第ニ十四話 青い夜
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獅郞におぶされたユリが言った。
『シュラちゃんも呼びたい』
『無茶いうな。それにアイツ、俺を婚約者と思ってるぞ』
『ふふ』
『まァ、俺が父親ってのがそもそも無茶か。何やっていーか、サッパリだしな』
夢が、未来が、どんどん膨れていく。明るくて、温かくて。
『・・・春になったら、豆まきしよう』
『は?』
『獅郞が鬼役で。桜が咲いたらお花見したいな。夏は海水浴に行って、花火見ながらスイカ食べたり、
秋はおいしいものいっぱい食べさせて、あったかいおふとんで寝かせてあげて。冬は必ず、お誕生日会して。
獅郞は、獅郞が思う"お父さん"役、してあげて。そしたらいつか、本当のお父さんになってるから』
獅郞に、ぎゅっと抱きついて。
『大丈夫』
安心する。安らぎがある。二人なら、なんでも出来る。そんな風におもえて。
『まぁ、お前がいりゃあなんとか・・・』
だが、急に背中の重みがなくなった。
『!!』
あわてて振り返ると、ユリの意識が朦朧し、倒れてしまったのだ。
『ユリ!!』
返事がない。
『おい!!大丈夫か・・・あと少しだ、しっかりしろ!!』
ユリの顔を覗く。ユリの呼吸は異常呼吸だ。視線をさ迷わせ、焦点を合わせたのは産まれたばかりの自分の子供達。
彼女は微笑み、ゆっくり手を触れた。温かい。赤子はこれから、まだまだ大きくなっていくだろう。
『燐、雪男、兄弟仲良くね』
遠くで、燐は聞いた。母親の、最期の言葉を。
そして、獅郞に触れようと手を伸ばす。だが、その手は、獅郞の頬に触れることはなかった。
『・・・お、おい、おい、待て待て、マジか・・・!!』
獅郞は彼女の上半身を起こし、額を合わせる。
(まだ・・・あったかい)
懸命に呼び、彼女をひきとめる。
『頼む、頼むよ。初めて会った時から・・・ずっと、俺も好きだ』
始めて気持ちを伝えた。始めて獅郞からキスをする。二人が一度したのは、ユリからで、あの時は否定しかしなかったけれど。
やっと素直になれる。素直になれてきた自分がいる。なんで意地を張っていた、なんで見ることしかしなかった。
なんで彼女のしてきたこと、やってきたことに目をつぶってきたんだ。
『なぁ、聞いてんのか』
今さら気付いたところで、今さら伝えたところで・・・。
(だめだ、もういない)
さっき触れたユリの頬は、冷たくて。これが雪のせいなのか、自分の心の冷たさなのか。
『もう、聞こえてねぇ。さっきまで・・・笑ってたのに・・・!!』
一人、だ・・・。
『うあああああああ!!!』
どうしてこうなってしまったのだろう。どこで間違えたのだろう。
『・・・なんで、俺は・・・どうして・・・もっと、俺さえ、全部、俺が悪い・・・!!!俺が・・・』
『『うぅ、ええううえええ~!!』』
獅郞が首に下げていた赤子が二人泣き出す。ごちゃ混ぜになった不の感情に、首から赤子を引き離した。
その時に聞こえた獣の声。獅郞達の背後に、巨大なイエティがいた。
『・・・ハッ、生き残ってたんだな』
今の獅郞に、なんの気力もない。けど、戦闘モードのイエティにはそんな事は関係なかった。
おもいっきり殴られた獅郞はユリから引き離され、赤子は四方に飛ばされる。
『ゴボッ』
血を吐き出し、意識が朦朧とする。なんだか視界も、ぼやけてきた。きっと、今までの罰当たりだ。
(ああ・・・ちょーどいいや、このまま死んじまえ)
もっとやさしくしてやれた。守ってやれたのに。ボロボロにして死なせた。
悪魔を笑えねぇ、俺は悪魔のクズ以下。もうなんもやる気おきねーや。
もう俺に、生きる価値はない。
どれぐらい時間が経っただろう。
(・・・・・・あー・・・さみぃ、このまま・・・)
真っ白な視界に、不思議と子供の頃のユリの面影を見た。
くっついたらあったかいんだよ、しらないの?雪男だから、あったかくならないの?
『雪・・・男・・・』
あ、あったかい•••!
感じた、ユリの温もり。
雪男でもあったかいよ。雪男は、あったかくて強い人のことだもん
赤子達の泣き声に、現実に引き戻される。ユリが獅郞にあったのは、まだこっちに来るなという事だったのかもしれない。
完全に意識を取り戻した獅郞。
『チ・・・クショオ、やっぱりゴメンだ・・・!抜けだしてやる・・・!!絶対に生き残る!!』
イエティの目に向け、銃弾を打つ。奇声を上げながら、イエティの怒りが獅郞に変わった。
狂ったイエティは赤子達から、獅郞を握り潰す。巨大な口の中に放り込まれる前に銃弾を乱射しながら詠唱をした。
『"オン アーハフムマカキャラヤスヴァーハーマハーカーラ"よ、火葬場を解き放て!!』
詠唱の効果もあり、イエティを倒す。
この先の事なんて、本当は何も考えたくないのに。自分だけ生き残っても、何もないのに。
泣き続ける赤子の近くまで歩みより、語りかけた。君たちの母親は、もういないのに。
『・・・そんなに生きてぇか』
それでも帰ってくる言葉はなく。
『・・・サタンの子供だぞ、いいのか?・・・いいのか。サタンの子供だって俺だって、誰だっていつか死ぬ。
それまでは、ただ生きてていいんだ』
『シュラちゃんも呼びたい』
『無茶いうな。それにアイツ、俺を婚約者と思ってるぞ』
『ふふ』
『まァ、俺が父親ってのがそもそも無茶か。何やっていーか、サッパリだしな』
夢が、未来が、どんどん膨れていく。明るくて、温かくて。
『・・・春になったら、豆まきしよう』
『は?』
『獅郞が鬼役で。桜が咲いたらお花見したいな。夏は海水浴に行って、花火見ながらスイカ食べたり、
秋はおいしいものいっぱい食べさせて、あったかいおふとんで寝かせてあげて。冬は必ず、お誕生日会して。
獅郞は、獅郞が思う"お父さん"役、してあげて。そしたらいつか、本当のお父さんになってるから』
獅郞に、ぎゅっと抱きついて。
『大丈夫』
安心する。安らぎがある。二人なら、なんでも出来る。そんな風におもえて。
『まぁ、お前がいりゃあなんとか・・・』
だが、急に背中の重みがなくなった。
『!!』
あわてて振り返ると、ユリの意識が朦朧し、倒れてしまったのだ。
『ユリ!!』
返事がない。
『おい!!大丈夫か・・・あと少しだ、しっかりしろ!!』
ユリの顔を覗く。ユリの呼吸は異常呼吸だ。視線をさ迷わせ、焦点を合わせたのは産まれたばかりの自分の子供達。
彼女は微笑み、ゆっくり手を触れた。温かい。赤子はこれから、まだまだ大きくなっていくだろう。
『燐、雪男、兄弟仲良くね』
遠くで、燐は聞いた。母親の、最期の言葉を。
そして、獅郞に触れようと手を伸ばす。だが、その手は、獅郞の頬に触れることはなかった。
『・・・お、おい、おい、待て待て、マジか・・・!!』
獅郞は彼女の上半身を起こし、額を合わせる。
(まだ・・・あったかい)
懸命に呼び、彼女をひきとめる。
『頼む、頼むよ。初めて会った時から・・・ずっと、俺も好きだ』
始めて気持ちを伝えた。始めて獅郞からキスをする。二人が一度したのは、ユリからで、あの時は否定しかしなかったけれど。
やっと素直になれる。素直になれてきた自分がいる。なんで意地を張っていた、なんで見ることしかしなかった。
なんで彼女のしてきたこと、やってきたことに目をつぶってきたんだ。
『なぁ、聞いてんのか』
今さら気付いたところで、今さら伝えたところで・・・。
(だめだ、もういない)
さっき触れたユリの頬は、冷たくて。これが雪のせいなのか、自分の心の冷たさなのか。
『もう、聞こえてねぇ。さっきまで・・・笑ってたのに・・・!!』
一人、だ・・・。
『うあああああああ!!!』
どうしてこうなってしまったのだろう。どこで間違えたのだろう。
『・・・なんで、俺は・・・どうして・・・もっと、俺さえ、全部、俺が悪い・・・!!!俺が・・・』
『『うぅ、ええううえええ~!!』』
獅郞が首に下げていた赤子が二人泣き出す。ごちゃ混ぜになった不の感情に、首から赤子を引き離した。
その時に聞こえた獣の声。獅郞達の背後に、巨大なイエティがいた。
『・・・ハッ、生き残ってたんだな』
今の獅郞に、なんの気力もない。けど、戦闘モードのイエティにはそんな事は関係なかった。
おもいっきり殴られた獅郞はユリから引き離され、赤子は四方に飛ばされる。
『ゴボッ』
血を吐き出し、意識が朦朧とする。なんだか視界も、ぼやけてきた。きっと、今までの罰当たりだ。
(ああ・・・ちょーどいいや、このまま死んじまえ)
もっとやさしくしてやれた。守ってやれたのに。ボロボロにして死なせた。
悪魔を笑えねぇ、俺は悪魔のクズ以下。もうなんもやる気おきねーや。
もう俺に、生きる価値はない。
どれぐらい時間が経っただろう。
(・・・・・・あー・・・さみぃ、このまま・・・)
真っ白な視界に、不思議と子供の頃のユリの面影を見た。
くっついたらあったかいんだよ、しらないの?雪男だから、あったかくならないの?
『雪・・・男・・・』
あ、あったかい•••!
感じた、ユリの温もり。
雪男でもあったかいよ。雪男は、あったかくて強い人のことだもん
赤子達の泣き声に、現実に引き戻される。ユリが獅郞にあったのは、まだこっちに来るなという事だったのかもしれない。
完全に意識を取り戻した獅郞。
『チ・・・クショオ、やっぱりゴメンだ・・・!抜けだしてやる・・・!!絶対に生き残る!!』
イエティの目に向け、銃弾を打つ。奇声を上げながら、イエティの怒りが獅郞に変わった。
狂ったイエティは赤子達から、獅郞を握り潰す。巨大な口の中に放り込まれる前に銃弾を乱射しながら詠唱をした。
『"オン アーハフムマカキャラヤスヴァーハーマハーカーラ"よ、火葬場を解き放て!!』
詠唱の効果もあり、イエティを倒す。
この先の事なんて、本当は何も考えたくないのに。自分だけ生き残っても、何もないのに。
泣き続ける赤子の近くまで歩みより、語りかけた。君たちの母親は、もういないのに。
『・・・そんなに生きてぇか』
それでも帰ってくる言葉はなく。
『・・・サタンの子供だぞ、いいのか?・・・いいのか。サタンの子供だって俺だって、誰だっていつか死ぬ。
それまでは、ただ生きてていいんだ』
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