第ニ十四話 青い夜
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青い夜が始まった。壊れたサタンは、ユリを求めユリが愛してくれる身体を持つ為に、世界を彷徨う。
青い炎は世界中の人々を手当たり次第に、サタンの力と同等の強さでいられる身体を探り当てるために、
人々の身体は青い炎の力に呑まれ焼きつくされた。
国全体からは悪魔の凶暴化の報告もあり、手騎士達による悪魔の制御も難しくなっている。
それはかつてのシェミハザも例外ではなく、サタンに身体を乗っ取られそうになったが耐えてみせた。
事の発端の場へと、シェミハザは急ぐ。
ユリの出産は双子の一人を産み終えたところで、ユリ自身の意識が朦朧としていた。
そんなユリの側らでは、聖騎士團、四大騎士を従えた聖騎士が戦闘準備を始めている。
サタンの力を宿した一人目の子が生まれたことで、医工騎士がユリを救う為に残りの一人の為に帝王切開を望むも、
騎士團側はそれを邪魔するように行く手を阻む。騎士團側はあくまで、母体も子供も脅威となる者の死は関係ない。
瀕死状態のユリを見て、殺した方が早いと騎士團の一人が剣を掲げた。が、銃声が鳴り響く。
その銃を発砲した者を探し見れば、獅郞だった。騎士團が、騎士團の行動を許し許さない。
『な、なんだ貴様・・・!!血迷ったか!?』
『お前らこそ、頭冷やして出直せ。まだエギンを殺す指示は出てねーだろ。次動いたら必ず撃つ』
『は、反逆だ!』
『な、何を、違う!神父はあくまでグリゴリの命に従っている!』
言い合う彼らを置いて、獅郞はユリに小さく耳打ちする。
『ユリ、聞こえるか。このままじゃお前が殺される、生きたきゃ産むんだ!!』
獅郞の声が聞こえたのか、ユリはゆっくり目を開けた。声を振り絞り、獅郞に伝える。
『・・・い・・・丈夫・・・少し、休んでた・・・だけだよ』
『・・・よし!』
再び始まるお産の中、聖騎士は暴れるサタンの炎を継いでいる第一子の赤子と、対峙していた。
そんな中に生まれたもう一人の赤子。だが、産声がない。
『仮死状態だ。NICUのある処置室へ!早くしないと手遅れになる・・・』
『待て!!その餓鬼を修練場から出すことは罷りならん!サタンの仔の片鱗はないか、我々が検分する!』
『そんな時間は・・・』
『よこせ!!』
無反応なその赤子を刺激するも、まったく反応もなければ、瞳の色も青く光っていることはない。
『やめて、死んでしまう・・・お願い。私が検めます・・・だから、その子をお願いします・・・』
ユリの泣き叫ぶ声を聞いた第一子の赤子に、怒りが宿る。
『ひっ!!』
第二子の赤子を掴んでいた男は、一瞬にして身体を黒く燃え上がらせた。
その男が赤子を落としたすきに移った、青い炎の残り火が、赤子の左目に青い炎を揺らませて。
隙をみせた暴れていた第一子に、矢が命中。
『仕とめた、今です!!』
部下の声に反応した聖騎士が、第一子に走り詰め寄る。
転げ落ちていた第二子を医工騎士が拾い上げると、産声を上げていなかったその子は、元気な声で泣き出した。
『蘇生したぞ!!』
『抱いてみるかい』
泣き止まない、小さな小さな新しい命の誕生。暖かな温もりに、ユリの涙は溢れ止まらない。
『ああ・・・』
いくらサタンの仔だと皆に敵意を向けられたとしても、初めて出来た自分の大事な子。
やっと、自分の手の中に戻ってきた。
だが、そんな安らぎも束の間で、矢を当てられている第一子に、聖騎士が剣を突き立てた瞬間、辺りは崩落を始める。
『・・・チッ、今ごろご登場かよ、クソピエロ』
その災害からユリや獅郞たちを守ったのは、メフィストだ。
『聖騎士團は崩壊。青い稲妻作戦は失敗ですね。ここからは、私が引き受けましょう☆
医工騎士の皆さんは、もうお役御免です。撤退なさい』
『『は・・・はい』』
同じ女として、最後まで気にしてくれたのだろう。医工騎士の彼女は、ユリの頭をそっと撫で、優しい言葉を送った。
『立場上ここだけの話だが・・・幸運を祈るよ』
『・・・ありがとう』
『死んだか?』
メフィストが出したキャンディ型の大きな壁で、現状が見えない。
だが、悪魔であるメフィストなら、それを探知することは容易い事。
『まさか、ピンピンしてますよ』
『どうする気だ』
『さぁ、どうする気なんです?』
ケロッとした表情で質問し返すメフィストに呆れる獅郞。
『ご覧なさい』
キャンディ型の壁を消し、前を向き直しサタンの仔の様子をみれば、刺さった矢を弾き、心臓は健在。
聖騎士のティソーナさえ、サタンの仔の心臓は破壊できない。だからといって、メフィストが直面対決すれば、
今以上の大災厄になることは間違いない。けれど、降魔剣なら。
『持ち主は、空っぽだっつってたぞ』
『だからよいのです。実はその剣、150年ほど前に私が造り、年若い僧侶に与えたもの。それが明陀宗の始まりです』
『はァ!?』
『信じなさい』
『ケッ、ぬけぬけと。まァいい、どーせサタンの仔の祓し方なんざ誰も判らねーし、こっちはやれる事をやってみるだけだ』
獅郞は部下に、最上級の防御装を張らせ前に出た。
『獅郞・・・』
弱々しい声に呼ばれ、獅郞は上半身を起こし訴えるユリに顔を向ける。
『戦わないで・・・あの子は多分、私達と自分を守ってるだけ・・・。私達だけにして、みんな逃げて・・・お願い・・・!!』
ユリの願いだが、獅郞は迷わずキッパリ断った。
『やだね。やっと、俺の番だ』
待ちに待った自分の番に、まるではしゃぐ子供のようだ。降魔剣を持ち、鞘を適当に放り投げる。
『ちょっと、鞘も大事なんですよ!!』
慌ててメフィストが、すんでのところで受け止めた。そんな彼の言葉も動きも気にしない獅郞は、得意の銃も構えている。
『ったく・・・!』
(親父・・・!!)
自分は今、ここに立てている。それはかつて、この獅郞に倒されなかったから。
それでも燐に、緊張は走っていた。二人に、どんな戦いが繰り広げられていたのか。
青い炎は世界中の人々を手当たり次第に、サタンの力と同等の強さでいられる身体を探り当てるために、
人々の身体は青い炎の力に呑まれ焼きつくされた。
国全体からは悪魔の凶暴化の報告もあり、手騎士達による悪魔の制御も難しくなっている。
それはかつてのシェミハザも例外ではなく、サタンに身体を乗っ取られそうになったが耐えてみせた。
事の発端の場へと、シェミハザは急ぐ。
ユリの出産は双子の一人を産み終えたところで、ユリ自身の意識が朦朧としていた。
そんなユリの側らでは、聖騎士團、四大騎士を従えた聖騎士が戦闘準備を始めている。
サタンの力を宿した一人目の子が生まれたことで、医工騎士がユリを救う為に残りの一人の為に帝王切開を望むも、
騎士團側はそれを邪魔するように行く手を阻む。騎士團側はあくまで、母体も子供も脅威となる者の死は関係ない。
瀕死状態のユリを見て、殺した方が早いと騎士團の一人が剣を掲げた。が、銃声が鳴り響く。
その銃を発砲した者を探し見れば、獅郞だった。騎士團が、騎士團の行動を許し許さない。
『な、なんだ貴様・・・!!血迷ったか!?』
『お前らこそ、頭冷やして出直せ。まだエギンを殺す指示は出てねーだろ。次動いたら必ず撃つ』
『は、反逆だ!』
『な、何を、違う!神父はあくまでグリゴリの命に従っている!』
言い合う彼らを置いて、獅郞はユリに小さく耳打ちする。
『ユリ、聞こえるか。このままじゃお前が殺される、生きたきゃ産むんだ!!』
獅郞の声が聞こえたのか、ユリはゆっくり目を開けた。声を振り絞り、獅郞に伝える。
『・・・い・・・丈夫・・・少し、休んでた・・・だけだよ』
『・・・よし!』
再び始まるお産の中、聖騎士は暴れるサタンの炎を継いでいる第一子の赤子と、対峙していた。
そんな中に生まれたもう一人の赤子。だが、産声がない。
『仮死状態だ。NICUのある処置室へ!早くしないと手遅れになる・・・』
『待て!!その餓鬼を修練場から出すことは罷りならん!サタンの仔の片鱗はないか、我々が検分する!』
『そんな時間は・・・』
『よこせ!!』
無反応なその赤子を刺激するも、まったく反応もなければ、瞳の色も青く光っていることはない。
『やめて、死んでしまう・・・お願い。私が検めます・・・だから、その子をお願いします・・・』
ユリの泣き叫ぶ声を聞いた第一子の赤子に、怒りが宿る。
『ひっ!!』
第二子の赤子を掴んでいた男は、一瞬にして身体を黒く燃え上がらせた。
その男が赤子を落としたすきに移った、青い炎の残り火が、赤子の左目に青い炎を揺らませて。
隙をみせた暴れていた第一子に、矢が命中。
『仕とめた、今です!!』
部下の声に反応した聖騎士が、第一子に走り詰め寄る。
転げ落ちていた第二子を医工騎士が拾い上げると、産声を上げていなかったその子は、元気な声で泣き出した。
『蘇生したぞ!!』
『抱いてみるかい』
泣き止まない、小さな小さな新しい命の誕生。暖かな温もりに、ユリの涙は溢れ止まらない。
『ああ・・・』
いくらサタンの仔だと皆に敵意を向けられたとしても、初めて出来た自分の大事な子。
やっと、自分の手の中に戻ってきた。
だが、そんな安らぎも束の間で、矢を当てられている第一子に、聖騎士が剣を突き立てた瞬間、辺りは崩落を始める。
『・・・チッ、今ごろご登場かよ、クソピエロ』
その災害からユリや獅郞たちを守ったのは、メフィストだ。
『聖騎士團は崩壊。青い稲妻作戦は失敗ですね。ここからは、私が引き受けましょう☆
医工騎士の皆さんは、もうお役御免です。撤退なさい』
『『は・・・はい』』
同じ女として、最後まで気にしてくれたのだろう。医工騎士の彼女は、ユリの頭をそっと撫で、優しい言葉を送った。
『立場上ここだけの話だが・・・幸運を祈るよ』
『・・・ありがとう』
『死んだか?』
メフィストが出したキャンディ型の大きな壁で、現状が見えない。
だが、悪魔であるメフィストなら、それを探知することは容易い事。
『まさか、ピンピンしてますよ』
『どうする気だ』
『さぁ、どうする気なんです?』
ケロッとした表情で質問し返すメフィストに呆れる獅郞。
『ご覧なさい』
キャンディ型の壁を消し、前を向き直しサタンの仔の様子をみれば、刺さった矢を弾き、心臓は健在。
聖騎士のティソーナさえ、サタンの仔の心臓は破壊できない。だからといって、メフィストが直面対決すれば、
今以上の大災厄になることは間違いない。けれど、降魔剣なら。
『持ち主は、空っぽだっつってたぞ』
『だからよいのです。実はその剣、150年ほど前に私が造り、年若い僧侶に与えたもの。それが明陀宗の始まりです』
『はァ!?』
『信じなさい』
『ケッ、ぬけぬけと。まァいい、どーせサタンの仔の祓し方なんざ誰も判らねーし、こっちはやれる事をやってみるだけだ』
獅郞は部下に、最上級の防御装を張らせ前に出た。
『獅郞・・・』
弱々しい声に呼ばれ、獅郞は上半身を起こし訴えるユリに顔を向ける。
『戦わないで・・・あの子は多分、私達と自分を守ってるだけ・・・。私達だけにして、みんな逃げて・・・お願い・・・!!』
ユリの願いだが、獅郞は迷わずキッパリ断った。
『やだね。やっと、俺の番だ』
待ちに待った自分の番に、まるではしゃぐ子供のようだ。降魔剣を持ち、鞘を適当に放り投げる。
『ちょっと、鞘も大事なんですよ!!』
慌ててメフィストが、すんでのところで受け止めた。そんな彼の言葉も動きも気にしない獅郞は、得意の銃も構えている。
『ったく・・・!』
(親父・・・!!)
自分は今、ここに立てている。それはかつて、この獅郞に倒されなかったから。
それでも燐に、緊張は走っていた。二人に、どんな戦いが繰り広げられていたのか。