第ニ十二話 行先
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最期に藤堂は微笑み、見送られた。異様な雰囲気に、雪男が問う。
「・・・何なんだ、一体・・・」
「藤堂くんは明日、エリクサー最終実験の礎となる」
「「!?」」
「礎・・・死ぬのか!?」
驚く雪男とは反対に、ルシフェルは冷静に返す。
「全ては悲願の為」
「悲願」
イルミナティの悲願、それは。
「・・・確か、「世界を無に帰す」とか言ってたな。つまり藤堂も、イルミナティの人間は全員自殺志願者って訳か」
いつの間にか、玲薇たちのテーブルを囲むように人々が集まっている。
「確かに皆には死を厭わぬよう徹底していますが・・・」
「いやいやいや、ムリムリムリ」
ここにいる人全員を見ても、そう否定してるのは志摩のみで。
「誤解です。我々の目的は、あらゆる者が平等な新世界の想像。その為には旧い世界を壊さねばなりません。
全てを破壊し再生する。それこそ我々イルミナティの悲願。物質界は何も知らず過保護に守られ、
虚無界は渇き苦しみ排斥される。そんな世界は不条理で間違っている」
ルシフェルの言葉に感化されるよう、人々は歓喜の声と拍手を送っている。
「貴方もそうは思いませんか?」
牢に閉じ込められているライトニングのもとに、オセオラが姿を見せていた。
「ルーイン、博士につけた"鈴"を外すんだ。今度の魔封枷は私の特製だ。無理に外せば両手がフッ飛ぶぞ」
「やだ。事は両手より重大なんだ。"鈴"が鳴ればぼかぁ跡を追う」
「ルーイン・・・!!明日、調査委員会が立ち上がる。博士も軟禁されることになった。
結論が出るまでヴァチカンからは出られない。これ以上ない十分な対処だろう」
だが、ライトニングは長いため息を吐く。
「ハァー。ヌルいよ!軟禁っていったって、どーせ豪華な客室で羽根のばし放題なんでしょ。
そのまま飛んでいっても知らないからね、ぼかぁ」
「・・・・・・・・」
オセオラは返す言葉なく、顔を覆う。するとその時、光の線がライトニングに一直線に飛んできた。
「「!」」
その光は、ライトニングの"鈴"の合図。
「言わんこっちゃない!博士が移動したんだ!!竜士を呼んでくれ!」
「!?何だと・・・リュウジ!?」
首を傾げるオセオラの背後から、ルーシーのため息混じりの声が。
「やれやれ・・・とうとう狐が尻尾を出したってワケかい」
「ルーシー!?」
彼女の後ろには勝呂と、事情を知った出雲がいる。
「竜士!"ウィジャグローブ"を!」
「はい」
「どこだ、指し示せ!」
「ルーシー!まさか反逆する気か・・・!?」
「オセオラ。ドラグレスクが四大騎士に加わった時、聖騎士だった獅郎の言葉、覚えてるかい?
アイツは"善良な狂科学者"だ。ヘタな悪人より質が悪ィ。あの言葉の意味が、やっとしっくり来たんだよ」
「ルーマニアだ」
「「「!?」」」
全員の視線が、ライトニングに向けられる。
「やっぱり奴の根城は、K・R・C・研究所だ!今押さえられれば決定的な証拠になる!
ぼくが先導するから、誰か・・・」
動いたのは、オセオラだった。頑丈な鉄格子と、ライトニングの腕に嵌めていた枷が外される。
「・・・えぇい、儘よ」
悔しそうにするが、これはオセオラが仲間になってくれた証。
ライトニングはニンマリ口元を歪めた。そして軽い身のこなしで抱きつく。
「わーい!オセオラ大好き!!皆でルーマニア支部に突入だ!!」
「・・・・・・・」
前を歩くルーシー、ライトニング、オセオラの背中を見つめる出雲。
「大丈夫か?」
ここに来る前に話た、玲薇の秘密。
「・・・大丈夫じゃないわよ・・・」
同じく悪魔の血を引いているといえど、出雲の場合はもうその血筋は時の流れとともにだいぶ薄れていた。
でも、燐も雪男も違ければ、玲薇の状況もかなり違う。人工的に作られた、悪魔の血を入れられて。
その器として。それは理事長であるメフィストはもちろん、同じ実験体としていたルシフェルだって、
玲薇の存在は知っていたのだろう。
「アンタもそうだったから、玲薇を一生懸命受け入れようとしたんでしょ。
悟らせない為に、あたしたちにもバカみたいに気をつかわせて」
「・・・それ、は・・・本人も気づいとったやろし、奥村先生もライトニングの調査内容で大体気付いてたはずや」
「一番鈍そうなのは、奥村燐だけど。いつまでも考えてたってしょうがない。
あの子には、携帯叩きつけてやんなきゃ」
大丈夫じゃないといいながらも、大丈夫そうな出雲に安心した。
もうここまで来たら受け入れるだけ。今更事情を知ったからって、嫌いにはならない。
玲薇は、玲薇だ。
藤堂の実験を見る為に、実験棟に入る三人。
「実験棟は封鎖中だ!関係者以外の立ち入りは」
イルミナティの幹部に止められるが、同じくイルミナティの志摩が話しに入る。
「えー・・・こちらの方々は客員研究員で、総帥が特別に実験の見学を許可して下さったんです!
口約束でも入れてもらう事って出来ますか?ねぇ?」
志摩も疑いかかれているのか、確認されている。
「身分は間違いないようだが、リストにない」
「リストにない者を入れる訳にはいかん。例外はない」
「やっぱムリや、帰りましょ!!」
こそこそと、志摩は雪男に耳打ちするが。
「確認しろ」
雪男のハッキリとした声がイルミナティの幹部達に戸惑いをみせた。
「総帥に確認してもらえば判る」
「ゲッ、こないな綱渡りしてまで見たいです?」
「嫌なら帰って結構ですよ」
「めっちゃ帰りたいけどしかられる~」
「・・・(私の為にって気持ちなんだろうけど・・・)」
チラッと横目で玲薇は雪男を見る。ここに来る時に言われた。
堂々としていることが大切だと。非人道的な実験に自分を必要としてるなら・・・。
出雲の時のような二の舞にさせたくないから。
「総帥に確認が取れた、通れ」
「「!!」」
目の前の巨大な扉が、自動的に開かれた。
「はァ・・・総帥は先生がよほど特別と見えますね」
「・・・何なんだ、一体・・・」
「藤堂くんは明日、エリクサー最終実験の礎となる」
「「!?」」
「礎・・・死ぬのか!?」
驚く雪男とは反対に、ルシフェルは冷静に返す。
「全ては悲願の為」
「悲願」
イルミナティの悲願、それは。
「・・・確か、「世界を無に帰す」とか言ってたな。つまり藤堂も、イルミナティの人間は全員自殺志願者って訳か」
いつの間にか、玲薇たちのテーブルを囲むように人々が集まっている。
「確かに皆には死を厭わぬよう徹底していますが・・・」
「いやいやいや、ムリムリムリ」
ここにいる人全員を見ても、そう否定してるのは志摩のみで。
「誤解です。我々の目的は、あらゆる者が平等な新世界の想像。その為には旧い世界を壊さねばなりません。
全てを破壊し再生する。それこそ我々イルミナティの悲願。物質界は何も知らず過保護に守られ、
虚無界は渇き苦しみ排斥される。そんな世界は不条理で間違っている」
ルシフェルの言葉に感化されるよう、人々は歓喜の声と拍手を送っている。
「貴方もそうは思いませんか?」
牢に閉じ込められているライトニングのもとに、オセオラが姿を見せていた。
「ルーイン、博士につけた"鈴"を外すんだ。今度の魔封枷は私の特製だ。無理に外せば両手がフッ飛ぶぞ」
「やだ。事は両手より重大なんだ。"鈴"が鳴ればぼかぁ跡を追う」
「ルーイン・・・!!明日、調査委員会が立ち上がる。博士も軟禁されることになった。
結論が出るまでヴァチカンからは出られない。これ以上ない十分な対処だろう」
だが、ライトニングは長いため息を吐く。
「ハァー。ヌルいよ!軟禁っていったって、どーせ豪華な客室で羽根のばし放題なんでしょ。
そのまま飛んでいっても知らないからね、ぼかぁ」
「・・・・・・・・」
オセオラは返す言葉なく、顔を覆う。するとその時、光の線がライトニングに一直線に飛んできた。
「「!」」
その光は、ライトニングの"鈴"の合図。
「言わんこっちゃない!博士が移動したんだ!!竜士を呼んでくれ!」
「!?何だと・・・リュウジ!?」
首を傾げるオセオラの背後から、ルーシーのため息混じりの声が。
「やれやれ・・・とうとう狐が尻尾を出したってワケかい」
「ルーシー!?」
彼女の後ろには勝呂と、事情を知った出雲がいる。
「竜士!"ウィジャグローブ"を!」
「はい」
「どこだ、指し示せ!」
「ルーシー!まさか反逆する気か・・・!?」
「オセオラ。ドラグレスクが四大騎士に加わった時、聖騎士だった獅郎の言葉、覚えてるかい?
アイツは"善良な狂科学者"だ。ヘタな悪人より質が悪ィ。あの言葉の意味が、やっとしっくり来たんだよ」
「ルーマニアだ」
「「「!?」」」
全員の視線が、ライトニングに向けられる。
「やっぱり奴の根城は、K・R・C・研究所だ!今押さえられれば決定的な証拠になる!
ぼくが先導するから、誰か・・・」
動いたのは、オセオラだった。頑丈な鉄格子と、ライトニングの腕に嵌めていた枷が外される。
「・・・えぇい、儘よ」
悔しそうにするが、これはオセオラが仲間になってくれた証。
ライトニングはニンマリ口元を歪めた。そして軽い身のこなしで抱きつく。
「わーい!オセオラ大好き!!皆でルーマニア支部に突入だ!!」
「・・・・・・・」
前を歩くルーシー、ライトニング、オセオラの背中を見つめる出雲。
「大丈夫か?」
ここに来る前に話た、玲薇の秘密。
「・・・大丈夫じゃないわよ・・・」
同じく悪魔の血を引いているといえど、出雲の場合はもうその血筋は時の流れとともにだいぶ薄れていた。
でも、燐も雪男も違ければ、玲薇の状況もかなり違う。人工的に作られた、悪魔の血を入れられて。
その器として。それは理事長であるメフィストはもちろん、同じ実験体としていたルシフェルだって、
玲薇の存在は知っていたのだろう。
「アンタもそうだったから、玲薇を一生懸命受け入れようとしたんでしょ。
悟らせない為に、あたしたちにもバカみたいに気をつかわせて」
「・・・それ、は・・・本人も気づいとったやろし、奥村先生もライトニングの調査内容で大体気付いてたはずや」
「一番鈍そうなのは、奥村燐だけど。いつまでも考えてたってしょうがない。
あの子には、携帯叩きつけてやんなきゃ」
大丈夫じゃないといいながらも、大丈夫そうな出雲に安心した。
もうここまで来たら受け入れるだけ。今更事情を知ったからって、嫌いにはならない。
玲薇は、玲薇だ。
藤堂の実験を見る為に、実験棟に入る三人。
「実験棟は封鎖中だ!関係者以外の立ち入りは」
イルミナティの幹部に止められるが、同じくイルミナティの志摩が話しに入る。
「えー・・・こちらの方々は客員研究員で、総帥が特別に実験の見学を許可して下さったんです!
口約束でも入れてもらう事って出来ますか?ねぇ?」
志摩も疑いかかれているのか、確認されている。
「身分は間違いないようだが、リストにない」
「リストにない者を入れる訳にはいかん。例外はない」
「やっぱムリや、帰りましょ!!」
こそこそと、志摩は雪男に耳打ちするが。
「確認しろ」
雪男のハッキリとした声がイルミナティの幹部達に戸惑いをみせた。
「総帥に確認してもらえば判る」
「ゲッ、こないな綱渡りしてまで見たいです?」
「嫌なら帰って結構ですよ」
「めっちゃ帰りたいけどしかられる~」
「・・・(私の為にって気持ちなんだろうけど・・・)」
チラッと横目で玲薇は雪男を見る。ここに来る時に言われた。
堂々としていることが大切だと。非人道的な実験に自分を必要としてるなら・・・。
出雲の時のような二の舞にさせたくないから。
「総帥に確認が取れた、通れ」
「「!!」」
目の前の巨大な扉が、自動的に開かれた。
「はァ・・・総帥は先生がよほど特別と見えますね」