第ニ十二話 行先
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検査の報告をしてくれるのは、パールの一人であるエギュン。
「検査結果をご報告します!」
「素晴らしい検査結果が出ていますよ」
表情を一切変えることなく、淡々と告げるルシフェル。
「まずは雪男くんの方からでいいでしょう」
「はい」
「・・・・・・・・・」
「えっと、結論から言うと・・・キミは人間です」
「「!」」
「詳しい検査結果はこちらです!どの項目の数値も低く、どの悪魔にも憑依はないと出ています。
当然、父様の憑依もムリです」
「・・・腕の治りの速度で察しはついていたが、それじゃ何故ー・・・」
「でも、ただの人間でもありません。"論より証拠"といいます。放射用意」
「「!?」」
「な??」
ルシフェルの命令で、火炎放射器が雪男に向けられる。どうこうする前に、合図が。
「撃て」
「ふざけるな!!」
「ゆき・・・」
放射される青い炎。
「うわぁああ!!あ・・・」
雪男の悲鳴が上がるも、次第に消えていく。
「あ・・・え・・・?」
「!!」
なんと、ガードしていた腕には火傷の一つもついていない。服がボロボロに燃えただけだ。
「キミは、青い炎への耐性が異常に高いんです。だから父様はキミの左目に干渉できるんです!
父様にとって、君の左目はアッシャーを覗く貴重な窓なんだと思います」
「???」
「青い炎の耐性って・・・何故左目に!?」
雪男の疑問に、エギュンが次々と答えていく。
「キミは、左目に深く魔障を受けた痕跡がある。
そのせいかも・・・でもボクは、奥村燐と同じ母胎にいたことによる副産物と考えています!」
「ちょっとまだよく受け止めきれない」
「それどころじゃないんですよ!"赤"から"黒"へ放射して下さい!」
「は!」
再び、火炎放射器を構えたイルミナティの部下が放射する。
「これは我が結社開発の次元可変火炎放射器です。赤い炎青い炎黒い炎を83%の再現性で放射できます!」
そのエギュンの説明の最中にも、幾度と放たれる炎。
「気軽に放射するな!!僕に断れよ!!」
さすがの雪男もたじたじだ。
「どうですか?」
「初めは熱いが、徐々に慣れる・・・」
「青い炎が効かないという事は、アッシャーの赤い炎、ゲヘナの黒い炎も効かないという事なんです」
「つまり、僕には兄の青い炎は効かないのか」
「・・・・・・・」
黙って見届けている玲薇は、複雑な表情だった。
雪男は・・・雪男はその事実を知ってどうするつもりなのだろう。
燐と散々言い合って喧嘩して、それでも交わることのないこの二人・・・いや、寄り添うことのない雪男は、
いったい燐をどうしたいのだろう・・・。
「・・・ハ、この事実が知れただけでもここに来た意味はあった・・・!教えてくれて感謝する・・・!」
「喜んでいただけてよかった。では次は、貴女の番です」
ルシフェルに話を促され、玲薇はビクッと肩を震わせる。
「キミは、確か自分が実験体だったってことは知ってるんですよね?」
首を傾げるエギュンに、玲薇は雪男を見てから頷き返す。
「採血での結果も、僕ら悪魔の血が複数入り交じっているのがわかりました。
キミの言う自己を治癒する力は、悪魔特有の力が備わっていたんだと思われます」
(やっぱり・・・)
「人間よりも、悪魔の方が治癒能力は勝ってますから。何より貴女はサマエルの研究によって力が増幅してるハズです」
「私は、その力が自分の力だと思ってませんでした。思おうとしなかった。
その力は、燐がくれた四葉のクローバーのネックレスが反応してくれてると思ってたから」
「発動条件と重なって、そのネックレスが力の媒体になっていたのかもしれない。
でもキミはもう、自分の意志で自己治癒可能になってるハズです。護られる力は、キミ自身の能力です」
聞こうか聞くまいか迷った。でも、もう迷いは捨てよう。
「・・・この力がある限り、私"も"死ねないってことですか」
この問に答えたのは、ルシフェルだ。
「肉体はいずれ劣化します、だから貴女も成長した。
サマエルが貴女を作ったのは、父上の器となる者の力になる事だった。どうして自我を保てているのかは不思議ですが。
是非、貴女には見ていただきたいものがありますが、まずはお二人に、この空中要塞をご案内したいのです」
ルシフェルは立ち上がり、そして、雪男に顔を向けた。
「貴方には、約束したものを贈りたい」
ルシフェルの案内により、空中要塞の中を見て廻る。けどいまは、そんなの頭に入ってこなくて。
(私は、作られた・・・。サタンの力の一種になる為に・・・でも、自分が何者かやっとわかってスッキリしたかも)
小さい頃の記憶はない。お父さんもお母さんもいない理由にも繋がった。
獅郎が自分を見つけてくれたのは、サタンの力を持つ燐のそばにいさせる為だった・・・?
何もメフィストと初めてあった時、自分たちの事を知らないとは1度も言っていなかった。
一番後ろでトボトボ歩き皆についていく玲薇を見て、雪男に志摩が耳打ちする。
「玲薇ちゃん、大丈夫かいな」
「・・・キミが心配する程ヤワじゃないさ」
「冷たいのーセンセ」
「・・・・・・・・・」
実験体ってことで、薄々わかっていただろうに。ここで弱気なとこ見せるわけにいかない。
少し歩いたところで、ルシフェルは空中要塞(ドミナスリミニス)の説明を始めた。
「この要塞は、魔法科学を利用した"魔法光学迷彩空中母艦"です。我が結社の魔法科学研究の中枢でもあります。
様々な利用方法を日々研究してもらっていますが、特に武器や装備開発に力を入れています」
「イルミナティの科学技術が、ここまで高度だとは・・・」
関心する雪男に、壁に飾られている銃たちが玲薇の目にも入る。
「・・・玲薇ちゃん?」
ルシフェルと雪男と少し距離を開けて、気遣わしげに志摩が言葉をなげる。
「なに」
素っ気ない、ぶっきらぼうな返事。
「その~・・・え・・・やっぱなんもないわ」
「・・・私の正体に、ガッカリしたんじゃない?あーあ・・・皆に顔向け出来ないな・・・これからどうなるんだろ」
「・・・・・(たぶん、坊は知っている。俺も薄々、総帥からの話の流れで)奥村くんは、どうやろ」
「・・・さあ」
皆との連絡手段を断ち切りたくて、携帯は寮においてきてしまったし。
帰りたいという気持ちも、ほとんどなくなってしまった。
「・・・・・あの一対の銃は?」
雪男の疑問に、皆彼に顔を向ければ、視線の先には同じ形をした黒の銃が二丁ある。
「気になりますか・・・やはり道具は主を呼ぶのかもしれませんね」
「?」
「アルムマヘル銃の試作機と原型機です。虚無皇アルムマヘルの結晶を使った銃で、上級悪魔にも致命傷を負わせます。
正十字騎士團の使う聖銀や聖水などは、どう造られているか知っていますか?」
「確か、ヴァチカン深部神秘部が製造しているはず。聖異物を基に造られると学んだが・・・」
「それは表向きの話。虚無皇アルムマヘルの結晶から滲み出る成分を抽出して造られます。
アルムマヘルの力は、ゲヘナの炎ともいわれる黒い炎と同質。志摩くんの使い魔、ヤマーンタカは、
正確にはアルムマヘルの眷属です。黒い炎は悪魔を無に、人間を虚にする」
ルシフェルの正確な情報が、次々入り込む。
「その銃は、結晶原石を使った大変強力な祓魔武器ですが、人間が長時間使用すると記憶障害を起こす事が判り、
試作機と原型機が造られたまま量産はされませんでした。しかし、黒い炎を無効化する貴方なら、使う事が出来る。差し上げます」
「気前が良すぎて怖いが、正直にこの銃は嬉しい」
「良かった。約束は守ります」
「「・・・・・・・・」」
雪男とルシフェルのやり取りに口を挟めない志摩と玲薇は、たまらず顔を合わせる。
「検査結果をご報告します!」
「素晴らしい検査結果が出ていますよ」
表情を一切変えることなく、淡々と告げるルシフェル。
「まずは雪男くんの方からでいいでしょう」
「はい」
「・・・・・・・・・」
「えっと、結論から言うと・・・キミは人間です」
「「!」」
「詳しい検査結果はこちらです!どの項目の数値も低く、どの悪魔にも憑依はないと出ています。
当然、父様の憑依もムリです」
「・・・腕の治りの速度で察しはついていたが、それじゃ何故ー・・・」
「でも、ただの人間でもありません。"論より証拠"といいます。放射用意」
「「!?」」
「な??」
ルシフェルの命令で、火炎放射器が雪男に向けられる。どうこうする前に、合図が。
「撃て」
「ふざけるな!!」
「ゆき・・・」
放射される青い炎。
「うわぁああ!!あ・・・」
雪男の悲鳴が上がるも、次第に消えていく。
「あ・・・え・・・?」
「!!」
なんと、ガードしていた腕には火傷の一つもついていない。服がボロボロに燃えただけだ。
「キミは、青い炎への耐性が異常に高いんです。だから父様はキミの左目に干渉できるんです!
父様にとって、君の左目はアッシャーを覗く貴重な窓なんだと思います」
「???」
「青い炎の耐性って・・・何故左目に!?」
雪男の疑問に、エギュンが次々と答えていく。
「キミは、左目に深く魔障を受けた痕跡がある。
そのせいかも・・・でもボクは、奥村燐と同じ母胎にいたことによる副産物と考えています!」
「ちょっとまだよく受け止めきれない」
「それどころじゃないんですよ!"赤"から"黒"へ放射して下さい!」
「は!」
再び、火炎放射器を構えたイルミナティの部下が放射する。
「これは我が結社開発の次元可変火炎放射器です。赤い炎青い炎黒い炎を83%の再現性で放射できます!」
そのエギュンの説明の最中にも、幾度と放たれる炎。
「気軽に放射するな!!僕に断れよ!!」
さすがの雪男もたじたじだ。
「どうですか?」
「初めは熱いが、徐々に慣れる・・・」
「青い炎が効かないという事は、アッシャーの赤い炎、ゲヘナの黒い炎も効かないという事なんです」
「つまり、僕には兄の青い炎は効かないのか」
「・・・・・・・」
黙って見届けている玲薇は、複雑な表情だった。
雪男は・・・雪男はその事実を知ってどうするつもりなのだろう。
燐と散々言い合って喧嘩して、それでも交わることのないこの二人・・・いや、寄り添うことのない雪男は、
いったい燐をどうしたいのだろう・・・。
「・・・ハ、この事実が知れただけでもここに来た意味はあった・・・!教えてくれて感謝する・・・!」
「喜んでいただけてよかった。では次は、貴女の番です」
ルシフェルに話を促され、玲薇はビクッと肩を震わせる。
「キミは、確か自分が実験体だったってことは知ってるんですよね?」
首を傾げるエギュンに、玲薇は雪男を見てから頷き返す。
「採血での結果も、僕ら悪魔の血が複数入り交じっているのがわかりました。
キミの言う自己を治癒する力は、悪魔特有の力が備わっていたんだと思われます」
(やっぱり・・・)
「人間よりも、悪魔の方が治癒能力は勝ってますから。何より貴女はサマエルの研究によって力が増幅してるハズです」
「私は、その力が自分の力だと思ってませんでした。思おうとしなかった。
その力は、燐がくれた四葉のクローバーのネックレスが反応してくれてると思ってたから」
「発動条件と重なって、そのネックレスが力の媒体になっていたのかもしれない。
でもキミはもう、自分の意志で自己治癒可能になってるハズです。護られる力は、キミ自身の能力です」
聞こうか聞くまいか迷った。でも、もう迷いは捨てよう。
「・・・この力がある限り、私"も"死ねないってことですか」
この問に答えたのは、ルシフェルだ。
「肉体はいずれ劣化します、だから貴女も成長した。
サマエルが貴女を作ったのは、父上の器となる者の力になる事だった。どうして自我を保てているのかは不思議ですが。
是非、貴女には見ていただきたいものがありますが、まずはお二人に、この空中要塞をご案内したいのです」
ルシフェルは立ち上がり、そして、雪男に顔を向けた。
「貴方には、約束したものを贈りたい」
ルシフェルの案内により、空中要塞の中を見て廻る。けどいまは、そんなの頭に入ってこなくて。
(私は、作られた・・・。サタンの力の一種になる為に・・・でも、自分が何者かやっとわかってスッキリしたかも)
小さい頃の記憶はない。お父さんもお母さんもいない理由にも繋がった。
獅郎が自分を見つけてくれたのは、サタンの力を持つ燐のそばにいさせる為だった・・・?
何もメフィストと初めてあった時、自分たちの事を知らないとは1度も言っていなかった。
一番後ろでトボトボ歩き皆についていく玲薇を見て、雪男に志摩が耳打ちする。
「玲薇ちゃん、大丈夫かいな」
「・・・キミが心配する程ヤワじゃないさ」
「冷たいのーセンセ」
「・・・・・・・・・」
実験体ってことで、薄々わかっていただろうに。ここで弱気なとこ見せるわけにいかない。
少し歩いたところで、ルシフェルは空中要塞(ドミナスリミニス)の説明を始めた。
「この要塞は、魔法科学を利用した"魔法光学迷彩空中母艦"です。我が結社の魔法科学研究の中枢でもあります。
様々な利用方法を日々研究してもらっていますが、特に武器や装備開発に力を入れています」
「イルミナティの科学技術が、ここまで高度だとは・・・」
関心する雪男に、壁に飾られている銃たちが玲薇の目にも入る。
「・・・玲薇ちゃん?」
ルシフェルと雪男と少し距離を開けて、気遣わしげに志摩が言葉をなげる。
「なに」
素っ気ない、ぶっきらぼうな返事。
「その~・・・え・・・やっぱなんもないわ」
「・・・私の正体に、ガッカリしたんじゃない?あーあ・・・皆に顔向け出来ないな・・・これからどうなるんだろ」
「・・・・・(たぶん、坊は知っている。俺も薄々、総帥からの話の流れで)奥村くんは、どうやろ」
「・・・さあ」
皆との連絡手段を断ち切りたくて、携帯は寮においてきてしまったし。
帰りたいという気持ちも、ほとんどなくなってしまった。
「・・・・・あの一対の銃は?」
雪男の疑問に、皆彼に顔を向ければ、視線の先には同じ形をした黒の銃が二丁ある。
「気になりますか・・・やはり道具は主を呼ぶのかもしれませんね」
「?」
「アルムマヘル銃の試作機と原型機です。虚無皇アルムマヘルの結晶を使った銃で、上級悪魔にも致命傷を負わせます。
正十字騎士團の使う聖銀や聖水などは、どう造られているか知っていますか?」
「確か、ヴァチカン深部神秘部が製造しているはず。聖異物を基に造られると学んだが・・・」
「それは表向きの話。虚無皇アルムマヘルの結晶から滲み出る成分を抽出して造られます。
アルムマヘルの力は、ゲヘナの炎ともいわれる黒い炎と同質。志摩くんの使い魔、ヤマーンタカは、
正確にはアルムマヘルの眷属です。黒い炎は悪魔を無に、人間を虚にする」
ルシフェルの正確な情報が、次々入り込む。
「その銃は、結晶原石を使った大変強力な祓魔武器ですが、人間が長時間使用すると記憶障害を起こす事が判り、
試作機と原型機が造られたまま量産はされませんでした。しかし、黒い炎を無効化する貴方なら、使う事が出来る。差し上げます」
「気前が良すぎて怖いが、正直にこの銃は嬉しい」
「良かった。約束は守ります」
「「・・・・・・・・」」
雪男とルシフェルのやり取りに口を挟めない志摩と玲薇は、たまらず顔を合わせる。