第ニ十一話 ユリとサタン
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サタンが消えて2年。
効果のあったサタン由来のエリクサーは、耐性が出来てしまったルシフェルに効かなくなっていた。
以前ルシフェルは肉体に恵まれず、治療室周辺に張っている結界を強化するべく、腕すぐりの祓魔師を依頼した。
そこには藤堂家、ネイガウス、他・・・。
「玲薇は、どうなってるんだ・・・?」
「彼女の方も、依然変化ありません。サタンの血が薄くなっています。それでも細胞は成長する。
生き残った、サタン混じりの小さな細胞は大切にされてますよ」
鍵を使い、彼女がまだ細胞として眠る姿を、燐は目の前にした。
不思議な液体の中に、フワフワと可愛らしく浮かんでいる。母体のような中にいるせいか、少し成長しているように伺えた。
目も、耳も、顔の位置もよく特定出来ないけれど、フワリと泳いでるそれは、燐に近づく。
「玲薇、ゴメン・・・」
現実の世界に戻って、彼女と再びあったらなんて言えばいいのだろう。
いや、もしかしたらルシフェルになにかされ、言われてるかもしれないのに。
『誰かいるのか!?』
「やべっ」
過去の人間が、入ってきた。メフィストに上手く隠れながら、改めて続きを見る。
『フェレス卿、驚かせないで下さい』
『申し訳ない、彼女の成長が気になってしまったもので』
そして、奴は再びセクションに現れた。上級以上を弾く結界を破壊して。
『カスども・・・この身体をどうにかしろ・・・!!』
結界がなくなったセクションに、サタンが沢山の悪魔を連れて戻ってきた。
『『『うわぁああ!!』』』
パニックになるセクションに、サタンは真っ直ぐエミネクスの所に姿をみせる。
『ヒヒ・・・お前がこの身体を造ったんだよなァ・・・?今すぐこの身体を取り替えろ!!』
『・・・そ、その身体は恐らく、長い年月をかけて貴方に馴染んだもので、二つとない特別なものです』
『何だと・・・?』
『サタンと同等の物質など、この世にあるはずがない・・・!』
『痛ぇんだよ、何とかしろ!』
『エリクサーを投与することはできます。肉体の劣化の速度を、少しは緩和させる事が』
『じゃあやれ!!』
『用意しろ!』
『は、はい!』
治まることのない痛みは、あの時のユリの言葉が脳裏に浮かぶ。
『生きたいからだよ!貴方だって、生きたいはず』
あの時はその言葉の意味は理解出来なかった。だが、痛みを知った今なら、理解出来そうだった。
『ユリ・・・!』
このままここにいれなくなってしまえば、もう二度と会えなくなってしまう。
『ユリはどこだ!連れて来い!!』
そしてユリは、アサイラムに緊急招集される。
『あ、あの・・・何が起こっているんです!?』
堪らず、リックが問いかける。
『私も詳しくは判らんが、未知の上級悪魔が、学園の結界に穴を空けて侵入したらしい』
『え!?何でそれでユリを』
ユリは言葉を返さず、空を見上げる。
来た。とうとうこの日が来たのだ。
エリクサーを打ってもらったサタンは、痛みが消え元の身体に戻っていた。
エリクサーの効果を好評するサタンに、エミネクスは使いすぎれば効果がなくなってくると忠告するが。
気配を察知できる悪魔は、ルシフェルの存在に気付いていた。エミネクスたち人間を引き連れ、
悪魔共々いまだベッドから起き上がることのできないルシフェルを目の前にした。
『お前は誰だ?』
『私は、パールの第一位光の王ルシフェル。そして、貴方に跪く者です。お仕えします、我が父・・・魔神サタン様・・・。
私はこのように、身体が動かせずお役に立ちません・・・せめて、こちらの者らを側仕えとしてお従え下さい。
父上にも喜んで仕えましょう』
『ふっヒヒヒ、ハハハハハハハ!!!いいぞ!!面白えじゃねーか、ヒヒヒ、気に入ったぜルシフェル!
よく聞け!!オレは研究施設を城とする!王はオレ、お前らは王国の住人だ』
『!!?』
『住人・・・!?何のつもりだ!?』
『我々は、一体何をすれば・・・!?』
『研究を続けろ、このオレとルシフェルの為にな』
『・・・研究を続けてもいい・・・』
きっとエミネクスは、それさえよければいいのだろう。
『あと、オレの血の匂いが別の場所からするが・・・』
『貴方の血を入れた細胞でしょう。もしこのまま成長して上手くいけば、貴方の身体の一部となり得ます。
ですが、もう少し血が必要です』
燐はギリッと、歯ぎしりする。それが玲薇なんだ。玲薇の生まれた理由。
『いいだろう、血はわけてやる。オレに仕えれば守ってやる。反抗すれば、皆殺しだ』
サタンはセクションの職員や実験体を人質に取って、食料・生活消耗品、研究資材などを要求。
メフィストらは結界が破壊された状況の説明を国内外から求められ、隠し続けることは出来ないと判断し、
一部の件だけを伏せ、それ以外は隠さず公表した。フェレス卿が認定した"サタンの存在"はたちまちに広がる。
そして、戦いの備えとして集められた、中国支部のルーシー、メキシコ支部のオセオラ、それから獅郎に聖騎士。
アークナイト四大騎士はいないものの、聖騎士の存在はいるだけで違う。騎士團の主要戦力総動員だ。
サタンの要件をのむべく、メフィストが動く。
『お前が使者ってワケか・・・?ククク、妙な奴だ。悪魔のクセに、よく人間の味方なんてしてるよな。
そこそこ強そうだ、仲間にならねーか?』
『私は、天邪鬼を信条としておりますもので、折角のお誘いですが、お断りします』
『まァいい。それより物資はどーした?見当たらねーぞ』
『物資は人質の子供達の解放と引き換えです。ご斟酌(しんしゃく)頂きますよう』
それが、怒りに触れた。メフィストの顔をキズものにし、頭上に飛んでいたヘリ共々爆発させる。
『ギャァーッハハハハハハハァ!?取り引き?笑わせんじゃねぇ、ハハハハハ!立場をわきまえろバァ~~カ!!』
メフィストでもサタンの力には対抗出来ないのか、いや、しないだけなのか定かではないが。
『1ヶ月だ。研究施設の備蓄が切れる1ヶ月以内に物資をよこせ。さもなくば一瞬で消してやるぜ』
手出しをすれば、全てが終わる。
確実なサタンの祓魔方も判らない。要求に屈しそうになるがサタンの強力な力に、憑依体は長くもたないだろうと。
残りの1ヶ月で、サタンの憑依体の崩壊を目指す。だが、サタンも黙ったままではいないのか、
引き連れていた悪魔たちを好きに放っていた。祓魔師たちはその悪魔退治に手をやく。
日が進むにつれ、死者の数も増えていくばかり。我慢ならなくなったユリは、上部の人間と話をつける。
あの日に呼び出しをうけたまま、サタンと会わせてもらえていないのだ。
『私を行かせてください!!サタンを説得してみせます!』
『まだ言ってるのか・・・。君にここの出入りを許してるのは、一番サタンに詳しいからだ。
万が一奴が表に出てきたら、知恵を貸してくれ』
『人が大勢亡くなってるんです、黙ってられない・・・サタンは、私を呼んだんですよね・・・?』
『籠城して、最初の接触時だけだ。その後は一度も要求はない。いい加減、ハッキリさせておこう。現状維持が望ましいんだ』
『!?』
何も知らない海外の援軍に、アサイラムで戦ってもらい、その間に極秘でセクションへ物資を運びいれている。
サタンはエリクサー目的でセクションを維持しているようだが、サタンの容態はよくないらしい。
どれだけかかるか判らないが、このまま朽ち果ててくれれば言う事はない。これは、そういう長期戦だ。
『・・・そこまでセクションの存在を守りたいのですか』
『当然だろう、それが我らの仕事だしな』
効果のあったサタン由来のエリクサーは、耐性が出来てしまったルシフェルに効かなくなっていた。
以前ルシフェルは肉体に恵まれず、治療室周辺に張っている結界を強化するべく、腕すぐりの祓魔師を依頼した。
そこには藤堂家、ネイガウス、他・・・。
「玲薇は、どうなってるんだ・・・?」
「彼女の方も、依然変化ありません。サタンの血が薄くなっています。それでも細胞は成長する。
生き残った、サタン混じりの小さな細胞は大切にされてますよ」
鍵を使い、彼女がまだ細胞として眠る姿を、燐は目の前にした。
不思議な液体の中に、フワフワと可愛らしく浮かんでいる。母体のような中にいるせいか、少し成長しているように伺えた。
目も、耳も、顔の位置もよく特定出来ないけれど、フワリと泳いでるそれは、燐に近づく。
「玲薇、ゴメン・・・」
現実の世界に戻って、彼女と再びあったらなんて言えばいいのだろう。
いや、もしかしたらルシフェルになにかされ、言われてるかもしれないのに。
『誰かいるのか!?』
「やべっ」
過去の人間が、入ってきた。メフィストに上手く隠れながら、改めて続きを見る。
『フェレス卿、驚かせないで下さい』
『申し訳ない、彼女の成長が気になってしまったもので』
そして、奴は再びセクションに現れた。上級以上を弾く結界を破壊して。
『カスども・・・この身体をどうにかしろ・・・!!』
結界がなくなったセクションに、サタンが沢山の悪魔を連れて戻ってきた。
『『『うわぁああ!!』』』
パニックになるセクションに、サタンは真っ直ぐエミネクスの所に姿をみせる。
『ヒヒ・・・お前がこの身体を造ったんだよなァ・・・?今すぐこの身体を取り替えろ!!』
『・・・そ、その身体は恐らく、長い年月をかけて貴方に馴染んだもので、二つとない特別なものです』
『何だと・・・?』
『サタンと同等の物質など、この世にあるはずがない・・・!』
『痛ぇんだよ、何とかしろ!』
『エリクサーを投与することはできます。肉体の劣化の速度を、少しは緩和させる事が』
『じゃあやれ!!』
『用意しろ!』
『は、はい!』
治まることのない痛みは、あの時のユリの言葉が脳裏に浮かぶ。
『生きたいからだよ!貴方だって、生きたいはず』
あの時はその言葉の意味は理解出来なかった。だが、痛みを知った今なら、理解出来そうだった。
『ユリ・・・!』
このままここにいれなくなってしまえば、もう二度と会えなくなってしまう。
『ユリはどこだ!連れて来い!!』
そしてユリは、アサイラムに緊急招集される。
『あ、あの・・・何が起こっているんです!?』
堪らず、リックが問いかける。
『私も詳しくは判らんが、未知の上級悪魔が、学園の結界に穴を空けて侵入したらしい』
『え!?何でそれでユリを』
ユリは言葉を返さず、空を見上げる。
来た。とうとうこの日が来たのだ。
エリクサーを打ってもらったサタンは、痛みが消え元の身体に戻っていた。
エリクサーの効果を好評するサタンに、エミネクスは使いすぎれば効果がなくなってくると忠告するが。
気配を察知できる悪魔は、ルシフェルの存在に気付いていた。エミネクスたち人間を引き連れ、
悪魔共々いまだベッドから起き上がることのできないルシフェルを目の前にした。
『お前は誰だ?』
『私は、パールの第一位光の王ルシフェル。そして、貴方に跪く者です。お仕えします、我が父・・・魔神サタン様・・・。
私はこのように、身体が動かせずお役に立ちません・・・せめて、こちらの者らを側仕えとしてお従え下さい。
父上にも喜んで仕えましょう』
『ふっヒヒヒ、ハハハハハハハ!!!いいぞ!!面白えじゃねーか、ヒヒヒ、気に入ったぜルシフェル!
よく聞け!!オレは研究施設を城とする!王はオレ、お前らは王国の住人だ』
『!!?』
『住人・・・!?何のつもりだ!?』
『我々は、一体何をすれば・・・!?』
『研究を続けろ、このオレとルシフェルの為にな』
『・・・研究を続けてもいい・・・』
きっとエミネクスは、それさえよければいいのだろう。
『あと、オレの血の匂いが別の場所からするが・・・』
『貴方の血を入れた細胞でしょう。もしこのまま成長して上手くいけば、貴方の身体の一部となり得ます。
ですが、もう少し血が必要です』
燐はギリッと、歯ぎしりする。それが玲薇なんだ。玲薇の生まれた理由。
『いいだろう、血はわけてやる。オレに仕えれば守ってやる。反抗すれば、皆殺しだ』
サタンはセクションの職員や実験体を人質に取って、食料・生活消耗品、研究資材などを要求。
メフィストらは結界が破壊された状況の説明を国内外から求められ、隠し続けることは出来ないと判断し、
一部の件だけを伏せ、それ以外は隠さず公表した。フェレス卿が認定した"サタンの存在"はたちまちに広がる。
そして、戦いの備えとして集められた、中国支部のルーシー、メキシコ支部のオセオラ、それから獅郎に聖騎士。
アークナイト四大騎士はいないものの、聖騎士の存在はいるだけで違う。騎士團の主要戦力総動員だ。
サタンの要件をのむべく、メフィストが動く。
『お前が使者ってワケか・・・?ククク、妙な奴だ。悪魔のクセに、よく人間の味方なんてしてるよな。
そこそこ強そうだ、仲間にならねーか?』
『私は、天邪鬼を信条としておりますもので、折角のお誘いですが、お断りします』
『まァいい。それより物資はどーした?見当たらねーぞ』
『物資は人質の子供達の解放と引き換えです。ご斟酌(しんしゃく)頂きますよう』
それが、怒りに触れた。メフィストの顔をキズものにし、頭上に飛んでいたヘリ共々爆発させる。
『ギャァーッハハハハハハハァ!?取り引き?笑わせんじゃねぇ、ハハハハハ!立場をわきまえろバァ~~カ!!』
メフィストでもサタンの力には対抗出来ないのか、いや、しないだけなのか定かではないが。
『1ヶ月だ。研究施設の備蓄が切れる1ヶ月以内に物資をよこせ。さもなくば一瞬で消してやるぜ』
手出しをすれば、全てが終わる。
確実なサタンの祓魔方も判らない。要求に屈しそうになるがサタンの強力な力に、憑依体は長くもたないだろうと。
残りの1ヶ月で、サタンの憑依体の崩壊を目指す。だが、サタンも黙ったままではいないのか、
引き連れていた悪魔たちを好きに放っていた。祓魔師たちはその悪魔退治に手をやく。
日が進むにつれ、死者の数も増えていくばかり。我慢ならなくなったユリは、上部の人間と話をつける。
あの日に呼び出しをうけたまま、サタンと会わせてもらえていないのだ。
『私を行かせてください!!サタンを説得してみせます!』
『まだ言ってるのか・・・。君にここの出入りを許してるのは、一番サタンに詳しいからだ。
万が一奴が表に出てきたら、知恵を貸してくれ』
『人が大勢亡くなってるんです、黙ってられない・・・サタンは、私を呼んだんですよね・・・?』
『籠城して、最初の接触時だけだ。その後は一度も要求はない。いい加減、ハッキリさせておこう。現状維持が望ましいんだ』
『!?』
何も知らない海外の援軍に、アサイラムで戦ってもらい、その間に極秘でセクションへ物資を運びいれている。
サタンはエリクサー目的でセクションを維持しているようだが、サタンの容態はよくないらしい。
どれだけかかるか判らないが、このまま朽ち果ててくれれば言う事はない。これは、そういう長期戦だ。
『・・・そこまでセクションの存在を守りたいのですか』
『当然だろう、それが我らの仕事だしな』