第ニ十話 生きる為に
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飲み屋にて、ユリの現状を聞く獅郎。
『私、十三號セクションでも働くことになったよ』
彼は、大胆に呆れている。
『えっ、どうしたの!?』
『お前は本物の変態だ』
『・・・あは、獅郎もセクションで働くんでしょ。燐・・・じゃなくて、験体番号SO-005監視部隊ってとこに名前あった』
『俺は、もともとくされ縁なんだ。あの場所には・・・』
『私、セクションについてちゃんとレクチャー受けた』
その言葉に、獅郎はハッとする。
『・・・獅郎は、あそこで生まれたんだね』
知って欲しくなかった。知られたくなかった。
『何で関わった!』
『私もくされ縁なの。あの子は、私の子供の頃の遊び相手。初めて会った時、私から声をかけた。
まさか人の身体に憑依して現れるなんて、そんな高位の悪魔だなんて思ってなかった。
もう何人も人を殺してるのに、自覚がない。大きな力を持った赤ん坊。ほっておけない・・・!』
『・・・だからそうやって、悪魔なんかに関わるからドロ沼にハマるんだ、本当に死ぬぞ!』
獅郎が心配してくれるのは分かる。でも、自分の中の何かが、ユリを突き動かす。
ピーピーと、小さな音量なのにどこか鬱陶しいサイレン。
『呼び出し、行ってくる!』
呼び止めることなく、獅郎の横を通り店を出ていくユリ。ちょうどリックが店に入るのとそれは同時で。
『ん?ユリ?』
長い髪の毛を揺らめゆくユリをそのまま見送ると、辛気臭顔をした獅郎を見つけた。
『おいおいおい、何らよケンカか~?ウチのユリを傷つけたら、このリックが許さねーかんなぁ~?!』
『・・・お前、もう酔ってんのか』
『俺は忘年会シーズンでひっぱりダコなんれすよ。もう、なにやってんらよ!!おまえは!!よォ!!』
『いてえ』
バシバシ何度も叩かれる背中。
『本当は好きなクセによ~!ユリはあーみえてモテんれすよ。
そのうち誰かにカッさらわれても、しらねーかんな!』
(あれ・・・このやりとり・・・)
『そない悠長な事しとったら、誰かにとられるで』
(・・・そうだ。俺が勝呂に言われた言葉と、にてんだ・・・)
『抱いた』
泣いてすがった玲薇は自分ではなく、近くにいた勝呂だった。
たまらず殴りそうだったけど、それはちゃんと彼女の悩みを理解してやれなかったから。
似てるんだ、親子で。ユリが好きなのに、手を出せない獅郎。
獅郎の気持ちを知ってか知らずか、会いたい気持ちをさらけ出す燐火に手を伸ばすしかないユリ。
『兄上、あの新参者何だと思われますか』
『存在する事象の全体に通じている。お前も感じているはず。
あれは、我々を生み出した森羅万象そのものです』
ユリの協力のもと、燐火は様々な教材でもの凄い早さで知識を吸収していく。
だが、それに引き換え理性や情緒はすぐに育たず、飼っていたハムスターを殺してしまい、
はたまた、ユリが部屋を出て行こうとすれば燐火は暴れしがみつく。
そのアンバランスさが、危険に感じていた。
燐火が憑依して一年と三ヶ月。与えられるものは消費し、彼は何もかもに飽きている。
経験が伴わない彼に更に教育レベルだけ上げるのは危険だと。ユリの考えでは世界を広げるために、
ユリ以外の人間と接する機会は作れないかと提案するが、燐火はもう大量に人を殺している。
接したい者がいるか分からないと回答されてしまった。
だが、諦めかけたユリのもとに、獅郎自ら名乗り出てくれたのだ。
『立ちっぱなしでお前らの監視してるよりは、有意義かと思ってな』
『・・・ありがとう!!でも』
『勘違いすんな。何かあったら、俺はあいつを殺す』
『・・・!!』
言いかけたい言葉を、ぐっとこらえ、燐火に声をかける。
『燐火、今日は外から人が遊びに来てくれたよ。獅郎って、いうの』
満面の笑みで紹介するユリを見て、燐火は駆け寄り獅郎と突き放す。
『ユリにちかづくな!!』
『どうしたの?獅郎は何もしないよ』
『??わからない、わからないけど、でも・・・おまえはきらいだ!!』
『・・・・・・・・』
出会って早々なんて言われようだ。
『あっそ。じゃー、一人で遊ぶわ』
部屋を一通り見回し、獅郎はカエル飛ばしのオモチャを手に取る。
燐火にさわるなと、言われるが容赦ない。カエルをバケツから出し、それに狙いを定める。
『それむずかしいんだ、おまえなんかできるもんか!』
『まーみてろって』
獅郎の宣言通り、カエルはキレイにバケツに戻る。
『カンタンだ』
『ぼくも!!』
獅郎に負けじと燐火は何回もカエル飛ばしに挑戦するが、どれもバケツには届かない。
『ははは!下手くそ』
『うぅ、あぁぁぁああ!』
『!』
軽く笑っただけなのに、燐火は炎を上げ獅郎に襲いかかる。
すかさずよけた獅郎は、腰にあるホルスターに手を伸ばす。
『獅郎、待って!!』
制止をかけたのはユリだ。
『燐火!!人にあたっちゃダメ!!』
『でも・・・』
泣きじゃくる燐火に目を合わせる為しゃがみ、話を促していく。
『負けてくやしいね、どうしたいの?』
『・・・・・・・・かちたい、ぼくはこいつにかつ!!』
『じゃあ練習しよう!獅郎より上手になればいいじゃない?』
『やれやれ、俺と同じくらいの図体してギャアギャアと・・・ガキは苦手だ』
呆れた様子で、懲りたのか獅郎が部屋を後にするところ。
『それなら獅郎も十分ガキだよ。大人気なく煽ったりして!』
『・・・俺は悪魔には負けねーって決めてんだ!』
『ガキ・・・』
『あー、そんないうならもー来てやんねー!!』
『ええー、来てよ!!来てあげて!今日はは燐火にもいい勉強になったと思うし・・・ねっ!』
『しょーがねぇな。一つ貸しだぞ』
『う、わかった。またね』
笑顔で獅郎を見送るユリを見て、燐火はどう思ったのか・・・。
次の日、ユリが燐火のもとに訪れた時、燐火に大量の本が提供されていた。人質と引き換えに・・・。
だがそれは、悪魔のような前兆にしか過ぎない。
『燐火』
『燐火・・・?あー、懐かしい響きだな』
あんなに片言な喋りだったのに、いまではハッキリと言葉を紡いでいる。
人質の解放を要求するが、燐火の炎で燃え上がった。
『ぶっあははは!!ビックリしたか?ユリ!ハハハ、あー面白ぇ。
オレはもう昨日とは違うんだ。ここにある知識全部手に入れて、やっと確信した。
このオレという存在は、"神"に相当する。いや、魔神かな。これからはオレのことは、サタン様と呼べ』
『私、十三號セクションでも働くことになったよ』
彼は、大胆に呆れている。
『えっ、どうしたの!?』
『お前は本物の変態だ』
『・・・あは、獅郎もセクションで働くんでしょ。燐・・・じゃなくて、験体番号SO-005監視部隊ってとこに名前あった』
『俺は、もともとくされ縁なんだ。あの場所には・・・』
『私、セクションについてちゃんとレクチャー受けた』
その言葉に、獅郎はハッとする。
『・・・獅郎は、あそこで生まれたんだね』
知って欲しくなかった。知られたくなかった。
『何で関わった!』
『私もくされ縁なの。あの子は、私の子供の頃の遊び相手。初めて会った時、私から声をかけた。
まさか人の身体に憑依して現れるなんて、そんな高位の悪魔だなんて思ってなかった。
もう何人も人を殺してるのに、自覚がない。大きな力を持った赤ん坊。ほっておけない・・・!』
『・・・だからそうやって、悪魔なんかに関わるからドロ沼にハマるんだ、本当に死ぬぞ!』
獅郎が心配してくれるのは分かる。でも、自分の中の何かが、ユリを突き動かす。
ピーピーと、小さな音量なのにどこか鬱陶しいサイレン。
『呼び出し、行ってくる!』
呼び止めることなく、獅郎の横を通り店を出ていくユリ。ちょうどリックが店に入るのとそれは同時で。
『ん?ユリ?』
長い髪の毛を揺らめゆくユリをそのまま見送ると、辛気臭顔をした獅郎を見つけた。
『おいおいおい、何らよケンカか~?ウチのユリを傷つけたら、このリックが許さねーかんなぁ~?!』
『・・・お前、もう酔ってんのか』
『俺は忘年会シーズンでひっぱりダコなんれすよ。もう、なにやってんらよ!!おまえは!!よォ!!』
『いてえ』
バシバシ何度も叩かれる背中。
『本当は好きなクセによ~!ユリはあーみえてモテんれすよ。
そのうち誰かにカッさらわれても、しらねーかんな!』
(あれ・・・このやりとり・・・)
『そない悠長な事しとったら、誰かにとられるで』
(・・・そうだ。俺が勝呂に言われた言葉と、にてんだ・・・)
『抱いた』
泣いてすがった玲薇は自分ではなく、近くにいた勝呂だった。
たまらず殴りそうだったけど、それはちゃんと彼女の悩みを理解してやれなかったから。
似てるんだ、親子で。ユリが好きなのに、手を出せない獅郎。
獅郎の気持ちを知ってか知らずか、会いたい気持ちをさらけ出す燐火に手を伸ばすしかないユリ。
『兄上、あの新参者何だと思われますか』
『存在する事象の全体に通じている。お前も感じているはず。
あれは、我々を生み出した森羅万象そのものです』
ユリの協力のもと、燐火は様々な教材でもの凄い早さで知識を吸収していく。
だが、それに引き換え理性や情緒はすぐに育たず、飼っていたハムスターを殺してしまい、
はたまた、ユリが部屋を出て行こうとすれば燐火は暴れしがみつく。
そのアンバランスさが、危険に感じていた。
燐火が憑依して一年と三ヶ月。与えられるものは消費し、彼は何もかもに飽きている。
経験が伴わない彼に更に教育レベルだけ上げるのは危険だと。ユリの考えでは世界を広げるために、
ユリ以外の人間と接する機会は作れないかと提案するが、燐火はもう大量に人を殺している。
接したい者がいるか分からないと回答されてしまった。
だが、諦めかけたユリのもとに、獅郎自ら名乗り出てくれたのだ。
『立ちっぱなしでお前らの監視してるよりは、有意義かと思ってな』
『・・・ありがとう!!でも』
『勘違いすんな。何かあったら、俺はあいつを殺す』
『・・・!!』
言いかけたい言葉を、ぐっとこらえ、燐火に声をかける。
『燐火、今日は外から人が遊びに来てくれたよ。獅郎って、いうの』
満面の笑みで紹介するユリを見て、燐火は駆け寄り獅郎と突き放す。
『ユリにちかづくな!!』
『どうしたの?獅郎は何もしないよ』
『??わからない、わからないけど、でも・・・おまえはきらいだ!!』
『・・・・・・・・』
出会って早々なんて言われようだ。
『あっそ。じゃー、一人で遊ぶわ』
部屋を一通り見回し、獅郎はカエル飛ばしのオモチャを手に取る。
燐火にさわるなと、言われるが容赦ない。カエルをバケツから出し、それに狙いを定める。
『それむずかしいんだ、おまえなんかできるもんか!』
『まーみてろって』
獅郎の宣言通り、カエルはキレイにバケツに戻る。
『カンタンだ』
『ぼくも!!』
獅郎に負けじと燐火は何回もカエル飛ばしに挑戦するが、どれもバケツには届かない。
『ははは!下手くそ』
『うぅ、あぁぁぁああ!』
『!』
軽く笑っただけなのに、燐火は炎を上げ獅郎に襲いかかる。
すかさずよけた獅郎は、腰にあるホルスターに手を伸ばす。
『獅郎、待って!!』
制止をかけたのはユリだ。
『燐火!!人にあたっちゃダメ!!』
『でも・・・』
泣きじゃくる燐火に目を合わせる為しゃがみ、話を促していく。
『負けてくやしいね、どうしたいの?』
『・・・・・・・・かちたい、ぼくはこいつにかつ!!』
『じゃあ練習しよう!獅郎より上手になればいいじゃない?』
『やれやれ、俺と同じくらいの図体してギャアギャアと・・・ガキは苦手だ』
呆れた様子で、懲りたのか獅郎が部屋を後にするところ。
『それなら獅郎も十分ガキだよ。大人気なく煽ったりして!』
『・・・俺は悪魔には負けねーって決めてんだ!』
『ガキ・・・』
『あー、そんないうならもー来てやんねー!!』
『ええー、来てよ!!来てあげて!今日はは燐火にもいい勉強になったと思うし・・・ねっ!』
『しょーがねぇな。一つ貸しだぞ』
『う、わかった。またね』
笑顔で獅郎を見送るユリを見て、燐火はどう思ったのか・・・。
次の日、ユリが燐火のもとに訪れた時、燐火に大量の本が提供されていた。人質と引き換えに・・・。
だがそれは、悪魔のような前兆にしか過ぎない。
『燐火』
『燐火・・・?あー、懐かしい響きだな』
あんなに片言な喋りだったのに、いまではハッキリと言葉を紡いでいる。
人質の解放を要求するが、燐火の炎で燃え上がった。
『ぶっあははは!!ビックリしたか?ユリ!ハハハ、あー面白ぇ。
オレはもう昨日とは違うんだ。ここにある知識全部手に入れて、やっと確信した。
このオレという存在は、"神"に相当する。いや、魔神かな。これからはオレのことは、サタン様と呼べ』