第ニ十話 生きる為に
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いつの間にか隣にいるメフィスト。今にも暴れそうな燐に向かって、口元に人差し指をあてた。
「シー。全て私が悪いわけじゃありません。全てはルシフェルの物質への拘り。
それを成功させようとあれこれ実験を思い付くのは人間。私はそれを許可するだけ」
「・・・しちゃいけないって事は、言わなかったのかよ」
「そしたらこちらの世界はルシフェルの怒りに触れボンッです」
「だからって・・・クソっクソっ!なんで、玲薇なんだよ・・・なんで・・・!」
「まぁ、どんなに喚いてもキリありません。先に急ぎましょう。むごいのは、まだこれからだ・・・」
「ッ・・・!」
『未知の悪魔・・・?』
呼び出しを受けたのか、獅郎が研究室に姿を見せていた。
『そうだ。先日験体に受肉した悪魔を監視してもらう』
『何で今更俺に・・・』
『気密性を保つためだ。人手も足りてないからな、まあひとまず見てみろ』
『・・・・・・・・・・・』
案内された部屋に入ると、そこには一人の研究員と、二人の監視役。中央には椅子に拘束された例の悪魔がいる。
『!?』
しかし獅郎には、その悪魔の顔をみて僅かに目を見開いた。
『ご・・・ごろう・・・?』
それは昔、獅郎本人も実験体だった頃、隣によくいた奴で。
『・・・あ』
口を開いた瞬間に暴れ出す。
『ァァァアアーッギギい』
落ち着かせるために鎮静剤を打とうと試みるが、青い炎が注射を持つ研究員を燃やし尽くす。
『うわああ!!』
『下がれ・・・!』
『しまった、逃げるぞ!』
拘束を無理矢理解いた悪魔は、上にある通気孔を渡り出口に向かう。
『何て力だ・・・!』
『ひでぇ』
『あれは、何の悪魔だ・・・!?』
その頃、ユリはリック達と共に一日の終わりをむかえていた。
『あー疲れた!ユリ、飲みに行こうぜ~~。獅郎は今日、来られないっていうしさー』
『私も、明日までに塾のテスト問題つくらなきゃ。頼まれてるの』
『はぁー?いいように使われてるな』
『リックも、毎日飲んでないでたまに早く帰ったら?』
『だって、好きなんだ酒が!』
『ジェニを誘おうよ!それなら行く!!』
『お前、まだそんなこと・・・アイツは候補生出身のエリート連中とよろしくやってるんだ。変わったんだよ』
『・・・そう、なのかなぁ』
『まー、今日は早く帰ることにするよ。お前もあんまり何でもかんでも引き受けるなよ。
悪いクセだぞ、夜道に気をつけろ、歯ァみがけよ』
『もー、わかったよ~』
リックと別れて一人慣れた夜道を歩くユリ。
自分一人しかいないハズの道に、ペタペタと、慣れない音が響く。
『・・・誰?』
意を決して、振り返る。
『!?』
そこには、鬼火のように揺らめく青い炎。
『燐・・・』
暗がりに目がなれ、姿を目視し驚く。
『え、獅、郎・・・?』
そっくりな顔つき。でも、彼の様子が変だ。
『あう、ううい、うい』
『!?』
言葉にならない言葉を発するそれは、ユリに目掛けて一目散だ。
『(じゃない・・・!)何?来ないで!!』
逃げるユリの前を塞ぐ。
『きゃあ!やめて』
『う、うい、う、り』
払い除けようとした手が、無意識に止まった。
『ゆ、り』
それが、片言なりに名前を呼んだから。
『燐火・・・?』
『あー』
それは、理解したように頷く。
(嘘・・・どういうこと!?)
『うっ』
小さな呻き声を上げる燐火。
『あ・・・?う、ゆ、り・・・』
意識を失う前に、確かにもう一度呼ばれた名前。
『やったぞ!回収しろ!!』
『!!』
そこにやってきたのは、祓魔師たちだ。突然の出来事に、ユリは立ち尽くす。
『なに!?』
『君、祓魔師だな。名乗りたまえ』
『は・・・はい。ユリ・エギン、下二級祓魔師です』
『エギンくん、悪いが我々と来てもらう』
聞き取り調査を行うユリの姿を見て唖然としているのは獅郎だ。
『何者です?何故、この女性の所に?』
『現在尋問中です。偶然巻き込まれただけの可能性もあります』
『経歴は?』
『ユリ・エギン下二級祓魔師25歳。称号は、手騎士一種と二種取得。トレーナーとブリーダーの資格保持者。養魔場勤務』
『特に目立つ点はないな。他には?』
『塾生や手騎士向けの講習会や教本も、いくつも執筆しています。手騎士の中では有名な人物のようですが』
麻酔が無くなった燐火が、目を覚ます。またもや拘束を解き、炎を出しながらユリを見つけた。
『ユ、リ・・・』
『撃て!!』
放たれる銃弾をユリを庇いよけるも、怒りのままに炎を向ける。
『やめなさい!!』
それを止めるのは、ユリだ。
『駄目!!』
迷いのない、親身にうったいかけるその瞳。それには逆らえないのか、燐火は落ち着きを取り戻す。
その様子に、ユリはホッと胸を撫で下ろした。
『いい子』
『言う事を聞いた・・・!?』
『バカな』
驚く職員の元に、メフィストが語りかける。
『彼女に懐いているようですねぇ』
『『フェレス卿!!』』
『・・・聞けば、大層優秀な手騎士だそうじゃないですか。協力を仰いでは?』
あれを手懐けねば、始まらないのだから。
「シー。全て私が悪いわけじゃありません。全てはルシフェルの物質への拘り。
それを成功させようとあれこれ実験を思い付くのは人間。私はそれを許可するだけ」
「・・・しちゃいけないって事は、言わなかったのかよ」
「そしたらこちらの世界はルシフェルの怒りに触れボンッです」
「だからって・・・クソっクソっ!なんで、玲薇なんだよ・・・なんで・・・!」
「まぁ、どんなに喚いてもキリありません。先に急ぎましょう。むごいのは、まだこれからだ・・・」
「ッ・・・!」
『未知の悪魔・・・?』
呼び出しを受けたのか、獅郎が研究室に姿を見せていた。
『そうだ。先日験体に受肉した悪魔を監視してもらう』
『何で今更俺に・・・』
『気密性を保つためだ。人手も足りてないからな、まあひとまず見てみろ』
『・・・・・・・・・・・』
案内された部屋に入ると、そこには一人の研究員と、二人の監視役。中央には椅子に拘束された例の悪魔がいる。
『!?』
しかし獅郎には、その悪魔の顔をみて僅かに目を見開いた。
『ご・・・ごろう・・・?』
それは昔、獅郎本人も実験体だった頃、隣によくいた奴で。
『・・・あ』
口を開いた瞬間に暴れ出す。
『ァァァアアーッギギい』
落ち着かせるために鎮静剤を打とうと試みるが、青い炎が注射を持つ研究員を燃やし尽くす。
『うわああ!!』
『下がれ・・・!』
『しまった、逃げるぞ!』
拘束を無理矢理解いた悪魔は、上にある通気孔を渡り出口に向かう。
『何て力だ・・・!』
『ひでぇ』
『あれは、何の悪魔だ・・・!?』
その頃、ユリはリック達と共に一日の終わりをむかえていた。
『あー疲れた!ユリ、飲みに行こうぜ~~。獅郎は今日、来られないっていうしさー』
『私も、明日までに塾のテスト問題つくらなきゃ。頼まれてるの』
『はぁー?いいように使われてるな』
『リックも、毎日飲んでないでたまに早く帰ったら?』
『だって、好きなんだ酒が!』
『ジェニを誘おうよ!それなら行く!!』
『お前、まだそんなこと・・・アイツは候補生出身のエリート連中とよろしくやってるんだ。変わったんだよ』
『・・・そう、なのかなぁ』
『まー、今日は早く帰ることにするよ。お前もあんまり何でもかんでも引き受けるなよ。
悪いクセだぞ、夜道に気をつけろ、歯ァみがけよ』
『もー、わかったよ~』
リックと別れて一人慣れた夜道を歩くユリ。
自分一人しかいないハズの道に、ペタペタと、慣れない音が響く。
『・・・誰?』
意を決して、振り返る。
『!?』
そこには、鬼火のように揺らめく青い炎。
『燐・・・』
暗がりに目がなれ、姿を目視し驚く。
『え、獅、郎・・・?』
そっくりな顔つき。でも、彼の様子が変だ。
『あう、ううい、うい』
『!?』
言葉にならない言葉を発するそれは、ユリに目掛けて一目散だ。
『(じゃない・・・!)何?来ないで!!』
逃げるユリの前を塞ぐ。
『きゃあ!やめて』
『う、うい、う、り』
払い除けようとした手が、無意識に止まった。
『ゆ、り』
それが、片言なりに名前を呼んだから。
『燐火・・・?』
『あー』
それは、理解したように頷く。
(嘘・・・どういうこと!?)
『うっ』
小さな呻き声を上げる燐火。
『あ・・・?う、ゆ、り・・・』
意識を失う前に、確かにもう一度呼ばれた名前。
『やったぞ!回収しろ!!』
『!!』
そこにやってきたのは、祓魔師たちだ。突然の出来事に、ユリは立ち尽くす。
『なに!?』
『君、祓魔師だな。名乗りたまえ』
『は・・・はい。ユリ・エギン、下二級祓魔師です』
『エギンくん、悪いが我々と来てもらう』
聞き取り調査を行うユリの姿を見て唖然としているのは獅郎だ。
『何者です?何故、この女性の所に?』
『現在尋問中です。偶然巻き込まれただけの可能性もあります』
『経歴は?』
『ユリ・エギン下二級祓魔師25歳。称号は、手騎士一種と二種取得。トレーナーとブリーダーの資格保持者。養魔場勤務』
『特に目立つ点はないな。他には?』
『塾生や手騎士向けの講習会や教本も、いくつも執筆しています。手騎士の中では有名な人物のようですが』
麻酔が無くなった燐火が、目を覚ます。またもや拘束を解き、炎を出しながらユリを見つけた。
『ユ、リ・・・』
『撃て!!』
放たれる銃弾をユリを庇いよけるも、怒りのままに炎を向ける。
『やめなさい!!』
それを止めるのは、ユリだ。
『駄目!!』
迷いのない、親身にうったいかけるその瞳。それには逆らえないのか、燐火は落ち着きを取り戻す。
その様子に、ユリはホッと胸を撫で下ろした。
『いい子』
『言う事を聞いた・・・!?』
『バカな』
驚く職員の元に、メフィストが語りかける。
『彼女に懐いているようですねぇ』
『『フェレス卿!!』』
『・・・聞けば、大層優秀な手騎士だそうじゃないですか。協力を仰いでは?』
あれを手懐けねば、始まらないのだから。