第ニ十話 生きる為に
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獅郎の候補生としての実力は、やり方はどうであれ誰もが認める程だった。
周囲から何かとトラブルメーカーと言われていた獅郎も、いつの間にか認定試験に受かり祓魔師となる。
それを気に、後見人として面倒を見てくれていた藤本氏の任務中の死。かつて獅郎がかけていたメガネは、
その後見人から受け継いだモノだ。形見といっても変だが、大事な品物の一つだったのだろう。
祓魔師となれば、実験体としての役目からも解放され、セクションを抜ける獅郎。
そして晴れて、祓魔師の任命式の日。
『正十字騎士團日本支部上一級祓魔師出席、藤本獅郎。光と闇のハザマに於いて、
勇猛果敢、克己復礼、人に尽くし、人に忠誠であれ。グリゴリと、代代の聖騎士の名において、汝を騎士とす』
憧れである任命式。目の前にした燐は、胸が踊る。
「めちゃくちゃカッコイイ!!」
「ヴァチカンでは一年に一度、認定試験を合格した者達を祓魔師に叙任します。
階級は、認定試験で一人で祓魔出来た悪魔の級によって決まるんですが、
叙任式には、世界各国の祓魔師が新人の品評に、顔を列ねる。
そろそろ貴方も、見知った顔が出てくる頃ですよ」
「え!?誰だ?」
辺りをキョロキョロ見回す燐。
「あ・・・?アイツ・・・」
その視線の先にいる人物に、首を傾げた。
「彼は当代の聖騎士、アベル・フランケンですが?」
「何か・・・誰かに似てねーか?」
「へえ、誰にでしょうか?」
やはり答えてくれないメフィストは、白を切るだけだ。
『下二級祓魔師、ユリ・エギン』
ユリの名前を呼ばれ、先程の疑問は忘れユリに顔を向ける。
彼女は晴れて祓魔師へ。獅郎と同期ということになった。
ユリと同じ部屋で暮らしていたリックも、ユリと同じ下二級。そしてジェニは候補生へ。
お互いに喜びを分け合ってる中、人混みの中でユリは獅郎を見つけた。
『獅郎!おめでとう!!』
だが、獅郎から返ってくる言葉はなく、冷たい態度をされるだけだった。
任命式も終わり、祓魔師になった獅郎には古びたマンションの一部屋が与えられた。
ここには似たような顔をした奴もいなければ、自分一人だけ。やっと訪れた自由の道。
バーに通い詰めタバコをここで初めて知り、女性とのあらゆることを遊び出す。
そんな自由にはしゃぎまくる獅郎を見て、たまらず燐は顔を背けた。
(・・・俺が考えてた、玲薇とって・・・)
散々彼女に否定されていた自分。焦る必要なかったのに、焦っていた。
告白して想いが通じて舞い上がって早く独占したくて。でも、それじゃあ嫌がられてもしょうがない。
しょせん獅郎のは遊び。遊びは遊びで、相手の女性に何人もフラれてはまた新しい女をつくる。
そんなある日、その現場をバッタリ目撃してしまうリックとユリは、ビンタされていた獅郎をジーッとみていた。
『何みてんだよ』
『スミマセン!さぁ、行こう、ユリ!』
二人が行く前に、また獅郎は新しい女の人と行ってしまった。
モテまくる獅郎を見て、同じ男であるリックは少し妬ける。
『しかし、さすが上一級の祓魔係長は違うねぇ、カッコイイよな』
『そうかな。あんなの、一人ぼっちにしか見えないよ』
心配するユリを他所に、獅郎はまた繰り返す。
「こんなの、別のイミで見てらんねーよ!!」
「えー、あったか~い目で見守ってあげましょうよォ。風美夜さんとの参考に、いかがです?」
「カンベンしろ!するかっ、アイツは・・・」
言ってることの恥ずかしさに気付き、燐はメフィストをドアの方へ押し寄せた。
「つか、今はいいんだ!」
「実につまらない」
上手くノってくるとおもったのだが、メフィストの思惑は失敗である。
そして、ドアを使ったことにより、またもや時は経っていた。
「うおっ!?」
燐の目の前には、巨大な像がある。しかし、その顔をした像は動いていた。どうやら悪魔であるようで、
29年前のメキシコでの任務が始まっていた。
任務は、メキシコ政府から像は破壊せず祓魔して欲しいと要請されていて、その像は考古学的に貴重なんだとか。
その為、祓魔師たちは破壊せずに鎮魂を試みていたが、どれも効果なく終わり浮き足立っていた。
『破壊した方が早いだろ、俺が爆破してやる。メキシコの考古学者には破片を拾わせろ』
と、ここでもやはり獅郎はその手の案のみ。だが、もちろんそれは却下である。
『そういう訳にはいかないんだよ。騎士團全体の信頼に関わるんだからね』
ビシッと言い聞かすルーシーに、次に案を出したのはユリだ。
『あの・・・』
『誰だい』
『ユリ・エギン下二級祓魔師です。使い魔のトレーナーとして、随行しています!』
『何か意見があるのかい』
『あ・・・あの巨像・・・ゴーレムの可能性はないですか?』
『その可能性は出たが没だ。500年前の像だよ、ゴーレムなら主人がいるはず。
あのデカブツの主人が、まだ生きてるとでも?』
ルーシーの意見を再度聞いても、ユリ自身は納得いかず何故か引き下がれなかった。
『確かにそうですが・・・現代の誰かが操っているのかも。もしゴーレムなら、
こちらに敵意がないと判れば大人しくなります。確かめさせて下さい!』
申し出たユリは、一人武器も何も持たず動く像の前に立ちはだかる。
迫り来る巨像は、大きな口をユリの前で開き地響きのような声を上げた。
微動だにしないユリに、像は大人しく口を閉じる。その像は後に引くと、頭を下げた。
『!』
そこに、一枚の札が張り付いている。しかし、それは素人の不完全なものだった。この札のせいでゴーレムにされていたのだ。
『もうお休み』
札を剥がすと、巨像はみるみるうちに小さくなり人間の背丈ほどの大きさになった。
像は落ち着き、その場で動きを止め目を瞑ったのだった。
ユリの活躍で、像を傷付けることなく任務を終えられた。ルーシーが彼女を褒める。
『よくやった、ユリ・エギン。あんたには覇気があるよ』
『は・・・はき・・・』
『下二級に納まってるのが信じられないね。アタシが上に口を利いてやろうか?』
『あっ。すみません、私・・・悪魔が好きで、できればあまり戦いたくなくて・・・』
『ははァ、成程ねぇ。たまにそういう変わり者がいるけどね・・・』
周囲から何かとトラブルメーカーと言われていた獅郎も、いつの間にか認定試験に受かり祓魔師となる。
それを気に、後見人として面倒を見てくれていた藤本氏の任務中の死。かつて獅郎がかけていたメガネは、
その後見人から受け継いだモノだ。形見といっても変だが、大事な品物の一つだったのだろう。
祓魔師となれば、実験体としての役目からも解放され、セクションを抜ける獅郎。
そして晴れて、祓魔師の任命式の日。
『正十字騎士團日本支部上一級祓魔師出席、藤本獅郎。光と闇のハザマに於いて、
勇猛果敢、克己復礼、人に尽くし、人に忠誠であれ。グリゴリと、代代の聖騎士の名において、汝を騎士とす』
憧れである任命式。目の前にした燐は、胸が踊る。
「めちゃくちゃカッコイイ!!」
「ヴァチカンでは一年に一度、認定試験を合格した者達を祓魔師に叙任します。
階級は、認定試験で一人で祓魔出来た悪魔の級によって決まるんですが、
叙任式には、世界各国の祓魔師が新人の品評に、顔を列ねる。
そろそろ貴方も、見知った顔が出てくる頃ですよ」
「え!?誰だ?」
辺りをキョロキョロ見回す燐。
「あ・・・?アイツ・・・」
その視線の先にいる人物に、首を傾げた。
「彼は当代の聖騎士、アベル・フランケンですが?」
「何か・・・誰かに似てねーか?」
「へえ、誰にでしょうか?」
やはり答えてくれないメフィストは、白を切るだけだ。
『下二級祓魔師、ユリ・エギン』
ユリの名前を呼ばれ、先程の疑問は忘れユリに顔を向ける。
彼女は晴れて祓魔師へ。獅郎と同期ということになった。
ユリと同じ部屋で暮らしていたリックも、ユリと同じ下二級。そしてジェニは候補生へ。
お互いに喜びを分け合ってる中、人混みの中でユリは獅郎を見つけた。
『獅郎!おめでとう!!』
だが、獅郎から返ってくる言葉はなく、冷たい態度をされるだけだった。
任命式も終わり、祓魔師になった獅郎には古びたマンションの一部屋が与えられた。
ここには似たような顔をした奴もいなければ、自分一人だけ。やっと訪れた自由の道。
バーに通い詰めタバコをここで初めて知り、女性とのあらゆることを遊び出す。
そんな自由にはしゃぎまくる獅郎を見て、たまらず燐は顔を背けた。
(・・・俺が考えてた、玲薇とって・・・)
散々彼女に否定されていた自分。焦る必要なかったのに、焦っていた。
告白して想いが通じて舞い上がって早く独占したくて。でも、それじゃあ嫌がられてもしょうがない。
しょせん獅郎のは遊び。遊びは遊びで、相手の女性に何人もフラれてはまた新しい女をつくる。
そんなある日、その現場をバッタリ目撃してしまうリックとユリは、ビンタされていた獅郎をジーッとみていた。
『何みてんだよ』
『スミマセン!さぁ、行こう、ユリ!』
二人が行く前に、また獅郎は新しい女の人と行ってしまった。
モテまくる獅郎を見て、同じ男であるリックは少し妬ける。
『しかし、さすが上一級の祓魔係長は違うねぇ、カッコイイよな』
『そうかな。あんなの、一人ぼっちにしか見えないよ』
心配するユリを他所に、獅郎はまた繰り返す。
「こんなの、別のイミで見てらんねーよ!!」
「えー、あったか~い目で見守ってあげましょうよォ。風美夜さんとの参考に、いかがです?」
「カンベンしろ!するかっ、アイツは・・・」
言ってることの恥ずかしさに気付き、燐はメフィストをドアの方へ押し寄せた。
「つか、今はいいんだ!」
「実につまらない」
上手くノってくるとおもったのだが、メフィストの思惑は失敗である。
そして、ドアを使ったことにより、またもや時は経っていた。
「うおっ!?」
燐の目の前には、巨大な像がある。しかし、その顔をした像は動いていた。どうやら悪魔であるようで、
29年前のメキシコでの任務が始まっていた。
任務は、メキシコ政府から像は破壊せず祓魔して欲しいと要請されていて、その像は考古学的に貴重なんだとか。
その為、祓魔師たちは破壊せずに鎮魂を試みていたが、どれも効果なく終わり浮き足立っていた。
『破壊した方が早いだろ、俺が爆破してやる。メキシコの考古学者には破片を拾わせろ』
と、ここでもやはり獅郎はその手の案のみ。だが、もちろんそれは却下である。
『そういう訳にはいかないんだよ。騎士團全体の信頼に関わるんだからね』
ビシッと言い聞かすルーシーに、次に案を出したのはユリだ。
『あの・・・』
『誰だい』
『ユリ・エギン下二級祓魔師です。使い魔のトレーナーとして、随行しています!』
『何か意見があるのかい』
『あ・・・あの巨像・・・ゴーレムの可能性はないですか?』
『その可能性は出たが没だ。500年前の像だよ、ゴーレムなら主人がいるはず。
あのデカブツの主人が、まだ生きてるとでも?』
ルーシーの意見を再度聞いても、ユリ自身は納得いかず何故か引き下がれなかった。
『確かにそうですが・・・現代の誰かが操っているのかも。もしゴーレムなら、
こちらに敵意がないと判れば大人しくなります。確かめさせて下さい!』
申し出たユリは、一人武器も何も持たず動く像の前に立ちはだかる。
迫り来る巨像は、大きな口をユリの前で開き地響きのような声を上げた。
微動だにしないユリに、像は大人しく口を閉じる。その像は後に引くと、頭を下げた。
『!』
そこに、一枚の札が張り付いている。しかし、それは素人の不完全なものだった。この札のせいでゴーレムにされていたのだ。
『もうお休み』
札を剥がすと、巨像はみるみるうちに小さくなり人間の背丈ほどの大きさになった。
像は落ち着き、その場で動きを止め目を瞑ったのだった。
ユリの活躍で、像を傷付けることなく任務を終えられた。ルーシーが彼女を褒める。
『よくやった、ユリ・エギン。あんたには覇気があるよ』
『は・・・はき・・・』
『下二級に納まってるのが信じられないね。アタシが上に口を利いてやろうか?』
『あっ。すみません、私・・・悪魔が好きで、できればあまり戦いたくなくて・・・』
『ははァ、成程ねぇ。たまにそういう変わり者がいるけどね・・・』