第十九話 過去へ
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「おや、獅郎」
廊下でたまたま、実験体の服に身を包んでいる獅郎と遭遇した。初めてみた時よりも、随分大人びてきている。
メフィストは面白いものを見付けたと言わんばかりの表情に、ちょっかいをかけた。
『今日は一年に一度のお務めの日でしたか、ご苦労さまです。
貴方、候補生としてかなり優秀と聞いていますよ。早く祓魔師になれるといいですねぇ』
『死ねよ』
四年経っても、獅郎はまだ十三號セクションの実験体。ルシフェルは完全な肉体を手に入れるまで、
決して諦めることはないだろう。実験体はその狂気を鎮める為に存在している。
初め、ルシフェルの新しい憑依体を造る為大量のクローンが造られたがうまくいかず、
そこで先程いた研究者の一人、エミネスクがエリクサー"不老不死薬"の開発を提案した。
エリクサーがあればどんな肉体でも憑依体にする事が可能と考えた。
しかし、開発された薬を被験するクローン達にとっては地獄の始まり。彼らは"人"扱いされず、
エリクサーを試され死んでいくモルモット。運良く生き延びても、人間性は破壊される。
「セクションが、藤本獅郎という男を生んだのです」
エリクサーを入れられ、血を抜き取られて自分が何者かも分からないであろう実験体達。
その環境がどんなものなのか計り知れないが、人間性を疑いたくなる。メフィストや他の悪魔はともかく、
ここで働く人間である彼らを。悪魔の囁きに皆、ここで集まって研究に励んでいるのかと。
「・・・・・他にやり方なかったのかよ。こんな事、やっていいはずねぇ!!」
「世界を守る方法が、これしかなくても?」
「・・・わかんねーけど・・・!」
「・・・正直、その辺の感情は量りかねる。私は悪魔なのでね」
「そーかよ・・・とにかく、こんなのは!!」
メフィストに背を向け、燐はドアに向かう。
「おやぁ?もう逃げるんですか?」
「見てられるか!!バァカ!!」
見たくなかった。ひでェ育ち方だ
つらすぎるだろ・・・!
『集合!』
どこからか声が聞こえ、ハッと我に返る。
「・・・あれ、しまった。ここどこだ!?」
新たな場所に移動してしまったようだ。すると、任務がこれから始まるという言葉を耳にし、
辺りに視線を巡らせると、集まっている生徒が森林にいるのに気がついた。そこにはこれまた成長しているユリがいる。
今回の任務内容は、どうやらエントを祓魔対象とするらしい。
エントは悪霊と融合し、死者を出しているとても凶暴な悪魔。ユリたち訓練生は祓魔師達の後方支援。
エントを弱体化させる為に、松明で四方を囲むこと。
『初めての実戦・・・!バカな失敗しないように気をつけなきゃ・・・!足ひっぱらないでよね、ユリ!』
『うん!』
同室で仲良くなったジェニと、リックも一緒にいた。
『ユリは優秀だ。足ひっぱるならお前だろ、ジェニ』
『何ですって!?』
リックといがみ合うジェニに、ユリがジェニの隣に立つ。
『何よ!ユリばっかり優しくして!!』
『じゃあ、私がジェニに優しくするね』
『ギィィ!!』
ワイのワイのと、仲間達と楽しくやっていると、祓魔部隊と候補生が到着。
そこには、ユリの知る人物がいた。
『しろう!』
『!?』
名前を呼ばれ、獅郎は驚き顔を上げる。すると、ユリが目の前まで走ってきた。
『・・・お前!』
彼女は満面な笑顔で獅郎を受け入れる。
『覚えてる?私ユリ!5年ぶりかな、元気そうだね!』
『・・・・・・・・・』
『嬉しい!!』
だが、獅郎は一瞥する。
『チッ、話しかけんじゃねー、ガキ』
『お、覚えてないの?』
獅郎の冷たい態度にモヤモヤしたまま、任務が始まってしまった。
巨大なエントを、まず松明を使って根にダメージを与えて弱体させたあとに弱点である頭部を叩く。
その方法で少しずつエントを倒していくようだが、無駄に根や幹でやられる祓魔師をみて、獅郎は舌打ちした。
『間怠りィな・・・』
現場を仕切る上司の命令を無視し、獅郎は一人別の行動を始める。
聖水をエントの頭上に放り投げ、行動が一瞬止まった所に、力づくで地面から引っこ抜いた。
暴れもがくエントを他所に、枝にしがみついた獅郎は短剣でバキバキと切りつけていく。
候補生の身である獅郎が一人で倒していく様に、唖然と静まり返る一同だが、根が止まっている隙に焼いていく。
悲鳴を上げるエントを容赦なく、獅郎は火炎でトドメを食らわした。
『死ね』
燃え上がる炎は、エントを容赦なく燃やし尽くす。獅郎の活躍に、一時騒然とするものの、任務は終わった。
その時に、火の海から逃れてきたグリーンマンが沢山いるのに気付くユリ。害がないグリーンマンを、そっと見守る。
『しろう、すごいな・・・』
そう、彼に関心の眼差しを向け、再びユリは声をかけた。
『しろう。け、怪我はなかった?でも、あんな戦い方危ないよ!』
『・・・・・・・・・・』
『すごく強いのは判ったけど、みんなビックリしてたよ。私も・・・』
黙ったままの獅郎の視線はユリではなく、ユリの足元にいる沢山のグリーンマンだ。
グリーンマンは火から逃れられた喜びを、仲間と抱き合い喜んでいる。
だが、獅郎にはそんな事どうでもよかった。銃を構え、無惨にもグリーンマンに射撃していく。
ユリは震えた。
『ど、どうして・・・』
グリーンマン達は、何も被害を出していないのに。
『悪魔だ』
キッパリと、獅郎が言い放つ。
『でも、逃げてきてた。怯えてたのに・・・』
『だから何だ。悪魔を祓うのが祓魔師だ』
二人の会話のやり取りに、どこか覚えのある燐。
『そうだけど・・・でも、違う。人を悪魔から助けるのが祓魔師だよ。無害の悪魔を殺すのは違う!
私達は、悪魔の力を借りて戦ってるのに・・・仲良くしなきゃ』
『はッ?マジで言ってんのか?ハハハハハ、死ぬぞ。いや、死ね。お前は俺の一番嫌いなタイプだ』
(親父、"尖ってる"どころか・・・なんていうか・・・破滅的だ)
ふと、燐の耳に他の隊の人が燐火を見付けて話しているのが聞こえた。
慌てて目を向けると、確かにその先には青い炎が揺らめいていたのだ。
「・・・・・・サタン!」
廊下でたまたま、実験体の服に身を包んでいる獅郎と遭遇した。初めてみた時よりも、随分大人びてきている。
メフィストは面白いものを見付けたと言わんばかりの表情に、ちょっかいをかけた。
『今日は一年に一度のお務めの日でしたか、ご苦労さまです。
貴方、候補生としてかなり優秀と聞いていますよ。早く祓魔師になれるといいですねぇ』
『死ねよ』
四年経っても、獅郎はまだ十三號セクションの実験体。ルシフェルは完全な肉体を手に入れるまで、
決して諦めることはないだろう。実験体はその狂気を鎮める為に存在している。
初め、ルシフェルの新しい憑依体を造る為大量のクローンが造られたがうまくいかず、
そこで先程いた研究者の一人、エミネスクがエリクサー"不老不死薬"の開発を提案した。
エリクサーがあればどんな肉体でも憑依体にする事が可能と考えた。
しかし、開発された薬を被験するクローン達にとっては地獄の始まり。彼らは"人"扱いされず、
エリクサーを試され死んでいくモルモット。運良く生き延びても、人間性は破壊される。
「セクションが、藤本獅郎という男を生んだのです」
エリクサーを入れられ、血を抜き取られて自分が何者かも分からないであろう実験体達。
その環境がどんなものなのか計り知れないが、人間性を疑いたくなる。メフィストや他の悪魔はともかく、
ここで働く人間である彼らを。悪魔の囁きに皆、ここで集まって研究に励んでいるのかと。
「・・・・・他にやり方なかったのかよ。こんな事、やっていいはずねぇ!!」
「世界を守る方法が、これしかなくても?」
「・・・わかんねーけど・・・!」
「・・・正直、その辺の感情は量りかねる。私は悪魔なのでね」
「そーかよ・・・とにかく、こんなのは!!」
メフィストに背を向け、燐はドアに向かう。
「おやぁ?もう逃げるんですか?」
「見てられるか!!バァカ!!」
見たくなかった。ひでェ育ち方だ
つらすぎるだろ・・・!
『集合!』
どこからか声が聞こえ、ハッと我に返る。
「・・・あれ、しまった。ここどこだ!?」
新たな場所に移動してしまったようだ。すると、任務がこれから始まるという言葉を耳にし、
辺りに視線を巡らせると、集まっている生徒が森林にいるのに気がついた。そこにはこれまた成長しているユリがいる。
今回の任務内容は、どうやらエントを祓魔対象とするらしい。
エントは悪霊と融合し、死者を出しているとても凶暴な悪魔。ユリたち訓練生は祓魔師達の後方支援。
エントを弱体化させる為に、松明で四方を囲むこと。
『初めての実戦・・・!バカな失敗しないように気をつけなきゃ・・・!足ひっぱらないでよね、ユリ!』
『うん!』
同室で仲良くなったジェニと、リックも一緒にいた。
『ユリは優秀だ。足ひっぱるならお前だろ、ジェニ』
『何ですって!?』
リックといがみ合うジェニに、ユリがジェニの隣に立つ。
『何よ!ユリばっかり優しくして!!』
『じゃあ、私がジェニに優しくするね』
『ギィィ!!』
ワイのワイのと、仲間達と楽しくやっていると、祓魔部隊と候補生が到着。
そこには、ユリの知る人物がいた。
『しろう!』
『!?』
名前を呼ばれ、獅郎は驚き顔を上げる。すると、ユリが目の前まで走ってきた。
『・・・お前!』
彼女は満面な笑顔で獅郎を受け入れる。
『覚えてる?私ユリ!5年ぶりかな、元気そうだね!』
『・・・・・・・・・』
『嬉しい!!』
だが、獅郎は一瞥する。
『チッ、話しかけんじゃねー、ガキ』
『お、覚えてないの?』
獅郎の冷たい態度にモヤモヤしたまま、任務が始まってしまった。
巨大なエントを、まず松明を使って根にダメージを与えて弱体させたあとに弱点である頭部を叩く。
その方法で少しずつエントを倒していくようだが、無駄に根や幹でやられる祓魔師をみて、獅郎は舌打ちした。
『間怠りィな・・・』
現場を仕切る上司の命令を無視し、獅郎は一人別の行動を始める。
聖水をエントの頭上に放り投げ、行動が一瞬止まった所に、力づくで地面から引っこ抜いた。
暴れもがくエントを他所に、枝にしがみついた獅郎は短剣でバキバキと切りつけていく。
候補生の身である獅郎が一人で倒していく様に、唖然と静まり返る一同だが、根が止まっている隙に焼いていく。
悲鳴を上げるエントを容赦なく、獅郎は火炎でトドメを食らわした。
『死ね』
燃え上がる炎は、エントを容赦なく燃やし尽くす。獅郎の活躍に、一時騒然とするものの、任務は終わった。
その時に、火の海から逃れてきたグリーンマンが沢山いるのに気付くユリ。害がないグリーンマンを、そっと見守る。
『しろう、すごいな・・・』
そう、彼に関心の眼差しを向け、再びユリは声をかけた。
『しろう。け、怪我はなかった?でも、あんな戦い方危ないよ!』
『・・・・・・・・・・』
『すごく強いのは判ったけど、みんなビックリしてたよ。私も・・・』
黙ったままの獅郎の視線はユリではなく、ユリの足元にいる沢山のグリーンマンだ。
グリーンマンは火から逃れられた喜びを、仲間と抱き合い喜んでいる。
だが、獅郎にはそんな事どうでもよかった。銃を構え、無惨にもグリーンマンに射撃していく。
ユリは震えた。
『ど、どうして・・・』
グリーンマン達は、何も被害を出していないのに。
『悪魔だ』
キッパリと、獅郎が言い放つ。
『でも、逃げてきてた。怯えてたのに・・・』
『だから何だ。悪魔を祓うのが祓魔師だ』
二人の会話のやり取りに、どこか覚えのある燐。
『そうだけど・・・でも、違う。人を悪魔から助けるのが祓魔師だよ。無害の悪魔を殺すのは違う!
私達は、悪魔の力を借りて戦ってるのに・・・仲良くしなきゃ』
『はッ?マジで言ってんのか?ハハハハハ、死ぬぞ。いや、死ね。お前は俺の一番嫌いなタイプだ』
(親父、"尖ってる"どころか・・・なんていうか・・・破滅的だ)
ふと、燐の耳に他の隊の人が燐火を見付けて話しているのが聞こえた。
慌てて目を向けると、確かにその先には青い炎が揺らめいていたのだ。
「・・・・・・サタン!」