第十八話 覚悟
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そう、雪男は真面目で勉強が好きで、負けず嫌い。
玲薇は、雪男の本気の覚悟に呆然とした。雪男は、燐の眉間に銃弾を数弾撃ちはなった。
「だから、もう・・・兄さんの助けは必要ない」
「ゆき、お・・・話が違う・・・うっ・・・聞いて、ない・・・」
銃を持つ雪男の腕を掴む。足は自然と、倒れている燐に向かう。
だが、雪男は銃を捨て、今度は彼に腕を掴まれた。
「・・・兄さんだよ?これぐらいじゃ死なない」
「っ・・・!」
雪男の行動に疑問を持つのは、何も玲薇だけではない。
「今、撃っ・・・」
「お、奥村く・・・」
「・・・風美夜・・・」
「駄目」
堪らず飛び出したのは、しえみで。
「燐!雪ちゃん!」
「杜山しえみ!?」
だが、しえみの行き先を塞ぐように前に出たのは、アマイモンだ。
「!!」
「今、いいところなんです。邪魔はやめてもらう」
「どいて、このままじゃ・・・」
「・・・お前・・・」
「・・・ゲホッ」
「!」
燐の意識に、ハッと玲薇は顔をあげる。
「・・・へ、どーせまた栄養剤・・・」
けれど、口に含まれる血が吐き出される。額から流れる血も、止まらない。
(あいつ、今度こそ本気で・・・俺こそ)
回復しない痛みをこらえながら、もがき起き上がる。
「グッ・・・ググ・・・」
「り、燐・・・?(様子が・・・)」
何を見てたんだ
「アッアァアあああ!!!!!」
降魔剣を抜いた燐は、サタンの力を発動させる。
(俺こそ、何を見てたんだ・・・!)
その姿はまるで獣で悪魔だ。
「燐!!」
遠くにいても分かるその姿に、あの時の、林間合宿もとい実戦訓練をした日の出来事が思い浮かぶ。
「奥村・・・アカン!!」
近づこうとする候補生の仲間を、思考が一人違うアマイモンは近付けさせない。
「げェーッ、まさか暴走!?ちょっとカンベンしてや奥村くん!」
雪男に手を引かれ、玲薇は下唇を噛み締めながら錫杖でヤマンタカの力を借りる志摩を見送る。
だが、そんな志摩の攻撃はあっさり燐に避けられ、燐が着地する衝撃波をくらい、打ちどころの悪かった志摩は気絶。
再び、雪男と玲薇に襲いかかる燐。ふと脳裏に浮かぶ、燐にかけられた言葉。
『お前こそ、俺と違って完璧で・・・』
違う。僕からすれば
「兄さんこそが、完璧なんだ」
燐の剣を受け止めたのは、雪男の左目から突如として現れた炎のシールドだ。
「!」
玲薇はそれを見てハッとする。
(同じ・・・青い光・・・っ)
雪男をそのシールドで守ったのはサタン。それじゃやっぱり、自分のあの青い光もサタンのと一緒なのだろう。
《・・・クヒヒヒヒ・・・兄弟ゲンカはやめておけ》
ゾワッと鳥肌が立ち、まるで雪男の左目の炎につられ、玲薇は身を守るように淡い光を覆う。
雪男を切り付けた燐の降魔剣は、二つに折れる。
「燐!!」
「降魔剣が・・・折れた!」
心配する仲間とは裏腹に、アマイモンはニタリと危うい笑みを見せた。
「父上・・・サイコーだ、きっと面白くなる!」
「!?」
折れた先の降魔剣が、雪男と玲薇の目の前に落ちる。
「燐・・・」
光が落ち着くにつれ、自身を抱いて呟く玲薇は違和感を覚えた。
慌てて首に下げているネックレスを確認すれば、クローバーの跡形はコレっぽちもなく粉々だ。
「なんで・・・燐・・・」
壊れるなんて、今までの持ち物でもなかったのに。
手のひらにのる壊れたネックレスに、雪男はチラリと青い炎が出たままの左目も彼女に視線を向けた。
「う・・・」
一瞬、気を失った燐は目を覚ます。
「・・・?俺・・・!?」
上半身を起こし、二人の方を見れば地面に突き刺さっている剣の先。
手元の降魔剣を見れば、目を見開いた。先が、ない。
「さっき僕に切りつけた時折れたんだよ」
「え!?」
驚く燐に、雪男が続ける。
「・・・やれば出来るじゃないか。まぁ結局、すぐに正気に戻っちゃうからやさしいよね。
そこが兄さんの限界かな」
《だが、剣は折ってやった・・・》
また、あの声だ。
《やぁああ~っと、お前をそのクソ忌々しい呪縛から解き放ってやったぜ!
イヒヒヒハハハハハァァ久しぶりだな、息子ォオ!》
「サタン!!!」
《・・・って、本当はチョイチョイ見てたんだけどな?このメガネ小僧のお陰で、やっと親子の会話が出来る・・・ククク》
「何で・・・!!まさか、てめーが雪男を!?」
「違うよ、僕は僕だ。サタンは独立して勝手に喋ってる」
否定する雪男に、疑問ばかりが浮かぶ。
「どうなってるんだ!?」
「さあ、だからいくよ。玲薇、大丈夫?」
「・・・玲薇・・・」
燐と、目が合う。自分は本当に、このやり方でよかったのだろうか。
粉々になってしまった大事なネックレス。今までクローバーのお守りとしての力もあったからか、
自分のあの不思議な力は制御出来てたのかもしれない。あの時、ネックレスを渡してくれた日と、
力の発動がたまたま同じ日で媒体していたのだとしたら。自分の力は、どうなるのだろう。
壊れるなんて、考えてなかった。力が必要な時にだけ現れて治癒してくれるものだと思ってた。
でも、ネックレス関係なしに、吹雪の中雪男を捜して、彼から真実を教えられて。
左目の炎に一人で耐えていた雪男。例えその事実をライトニングの調査結果で知り得た事だとしても。
(・・・私は、もう・・・)
皆と一緒にいられない・・・。
実験体として、赤ん坊として産まれる前から細胞にサタンの血を少しずつ入れられているなんて。
獅郎らとはまた違うやり方だったのかもしれないが、そこまでは知らない。けれど・・・。
それを聞いて、ルシフェルに組み込まれるって言われたのが、なんとなくわかってしまったんだ。
「・・・不思議と身体が暖かいよ。二人の青い炎に反応してるのかな。
燐、ネックレス壊れちゃった。ゴメンね・・・力が、上手くどうにか出来るか分からない、ケド・・・」
意識が熱で朦朧とする。頭がクラクラする。力を発動させてる状態がずっと続く感じだ。
少しすれば慣れるだろう。でもこれって、上手くすれば不死身ってこと・・・?炎の塊ってこと・・・?
フワリと持っていかれそうな意識を保ち、雪男に寄りかかる。
玲薇は、雪男の本気の覚悟に呆然とした。雪男は、燐の眉間に銃弾を数弾撃ちはなった。
「だから、もう・・・兄さんの助けは必要ない」
「ゆき、お・・・話が違う・・・うっ・・・聞いて、ない・・・」
銃を持つ雪男の腕を掴む。足は自然と、倒れている燐に向かう。
だが、雪男は銃を捨て、今度は彼に腕を掴まれた。
「・・・兄さんだよ?これぐらいじゃ死なない」
「っ・・・!」
雪男の行動に疑問を持つのは、何も玲薇だけではない。
「今、撃っ・・・」
「お、奥村く・・・」
「・・・風美夜・・・」
「駄目」
堪らず飛び出したのは、しえみで。
「燐!雪ちゃん!」
「杜山しえみ!?」
だが、しえみの行き先を塞ぐように前に出たのは、アマイモンだ。
「!!」
「今、いいところなんです。邪魔はやめてもらう」
「どいて、このままじゃ・・・」
「・・・お前・・・」
「・・・ゲホッ」
「!」
燐の意識に、ハッと玲薇は顔をあげる。
「・・・へ、どーせまた栄養剤・・・」
けれど、口に含まれる血が吐き出される。額から流れる血も、止まらない。
(あいつ、今度こそ本気で・・・俺こそ)
回復しない痛みをこらえながら、もがき起き上がる。
「グッ・・・ググ・・・」
「り、燐・・・?(様子が・・・)」
何を見てたんだ
「アッアァアあああ!!!!!」
降魔剣を抜いた燐は、サタンの力を発動させる。
(俺こそ、何を見てたんだ・・・!)
その姿はまるで獣で悪魔だ。
「燐!!」
遠くにいても分かるその姿に、あの時の、林間合宿もとい実戦訓練をした日の出来事が思い浮かぶ。
「奥村・・・アカン!!」
近づこうとする候補生の仲間を、思考が一人違うアマイモンは近付けさせない。
「げェーッ、まさか暴走!?ちょっとカンベンしてや奥村くん!」
雪男に手を引かれ、玲薇は下唇を噛み締めながら錫杖でヤマンタカの力を借りる志摩を見送る。
だが、そんな志摩の攻撃はあっさり燐に避けられ、燐が着地する衝撃波をくらい、打ちどころの悪かった志摩は気絶。
再び、雪男と玲薇に襲いかかる燐。ふと脳裏に浮かぶ、燐にかけられた言葉。
『お前こそ、俺と違って完璧で・・・』
違う。僕からすれば
「兄さんこそが、完璧なんだ」
燐の剣を受け止めたのは、雪男の左目から突如として現れた炎のシールドだ。
「!」
玲薇はそれを見てハッとする。
(同じ・・・青い光・・・っ)
雪男をそのシールドで守ったのはサタン。それじゃやっぱり、自分のあの青い光もサタンのと一緒なのだろう。
《・・・クヒヒヒヒ・・・兄弟ゲンカはやめておけ》
ゾワッと鳥肌が立ち、まるで雪男の左目の炎につられ、玲薇は身を守るように淡い光を覆う。
雪男を切り付けた燐の降魔剣は、二つに折れる。
「燐!!」
「降魔剣が・・・折れた!」
心配する仲間とは裏腹に、アマイモンはニタリと危うい笑みを見せた。
「父上・・・サイコーだ、きっと面白くなる!」
「!?」
折れた先の降魔剣が、雪男と玲薇の目の前に落ちる。
「燐・・・」
光が落ち着くにつれ、自身を抱いて呟く玲薇は違和感を覚えた。
慌てて首に下げているネックレスを確認すれば、クローバーの跡形はコレっぽちもなく粉々だ。
「なんで・・・燐・・・」
壊れるなんて、今までの持ち物でもなかったのに。
手のひらにのる壊れたネックレスに、雪男はチラリと青い炎が出たままの左目も彼女に視線を向けた。
「う・・・」
一瞬、気を失った燐は目を覚ます。
「・・・?俺・・・!?」
上半身を起こし、二人の方を見れば地面に突き刺さっている剣の先。
手元の降魔剣を見れば、目を見開いた。先が、ない。
「さっき僕に切りつけた時折れたんだよ」
「え!?」
驚く燐に、雪男が続ける。
「・・・やれば出来るじゃないか。まぁ結局、すぐに正気に戻っちゃうからやさしいよね。
そこが兄さんの限界かな」
《だが、剣は折ってやった・・・》
また、あの声だ。
《やぁああ~っと、お前をそのクソ忌々しい呪縛から解き放ってやったぜ!
イヒヒヒハハハハハァァ久しぶりだな、息子ォオ!》
「サタン!!!」
《・・・って、本当はチョイチョイ見てたんだけどな?このメガネ小僧のお陰で、やっと親子の会話が出来る・・・ククク》
「何で・・・!!まさか、てめーが雪男を!?」
「違うよ、僕は僕だ。サタンは独立して勝手に喋ってる」
否定する雪男に、疑問ばかりが浮かぶ。
「どうなってるんだ!?」
「さあ、だからいくよ。玲薇、大丈夫?」
「・・・玲薇・・・」
燐と、目が合う。自分は本当に、このやり方でよかったのだろうか。
粉々になってしまった大事なネックレス。今までクローバーのお守りとしての力もあったからか、
自分のあの不思議な力は制御出来てたのかもしれない。あの時、ネックレスを渡してくれた日と、
力の発動がたまたま同じ日で媒体していたのだとしたら。自分の力は、どうなるのだろう。
壊れるなんて、考えてなかった。力が必要な時にだけ現れて治癒してくれるものだと思ってた。
でも、ネックレス関係なしに、吹雪の中雪男を捜して、彼から真実を教えられて。
左目の炎に一人で耐えていた雪男。例えその事実をライトニングの調査結果で知り得た事だとしても。
(・・・私は、もう・・・)
皆と一緒にいられない・・・。
実験体として、赤ん坊として産まれる前から細胞にサタンの血を少しずつ入れられているなんて。
獅郎らとはまた違うやり方だったのかもしれないが、そこまでは知らない。けれど・・・。
それを聞いて、ルシフェルに組み込まれるって言われたのが、なんとなくわかってしまったんだ。
「・・・不思議と身体が暖かいよ。二人の青い炎に反応してるのかな。
燐、ネックレス壊れちゃった。ゴメンね・・・力が、上手くどうにか出来るか分からない、ケド・・・」
意識が熱で朦朧とする。頭がクラクラする。力を発動させてる状態がずっと続く感じだ。
少しすれば慣れるだろう。でもこれって、上手くすれば不死身ってこと・・・?炎の塊ってこと・・・?
フワリと持っていかれそうな意識を保ち、雪男に寄りかかる。