第十七話 雪の果て
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「・・・玲薇はやっぱり、勝呂の方が好きだったんだろ」
悩む彼女に対して、半分悪魔である自分はどうすることもしてやれない。
「え?」
「勝呂から聞いたんだ、"抱いた"って。俺もしえみに目移りしたりしてたもんな、ごめん」
「あ・・・(言ったんだ・・・あの時の・・・!)」
「最初から、お前を巻き込んだあの日から違う道があったんだもんな。
一緒にって言った俺なんかとずっと行動してくれてたから"普通"の価値観とかわかんなくて」
「違う、違う!」
燐の胸板に両手を握りしめながら、必死に訴える。
「だってそうだろ!?お前はいつも雪男の事心配して!無理に二つも称号取る必要だってねーのに!
俺が守るって、だから近くにいてくれってあの日は約束したけど!玲薇は何も話してくんねー。
俺から距離置くし、勝呂には頼るし・・・何でだ?何でだよ、俺には言えねーのか?
俺、バカだから。伝えてくれねーとわかんねーんだよ・・・」
「燐・・・」
頭がいっぱいいっぱいで、どうしていいのかわからないのは自分だけではなかった。
話していいのか、燐にもルシフェルに出逢って伝えられたあの言葉を。
「・・・好きになんなきゃよかったのにな、お前も俺も・・・」
はにかんで、悲しげな表情で。
本当はもっと、二人で笑って寄り添いたいのに。お互い抱えてるもんがありすぎて、近寄れなくて。
「・・・ごめん、なさい・・・」
彼も、ここまで悩んで考えていた。言い返せる言葉が、玲薇には思い浮かばない。
『好きになんなきゃよかったのにな』
とうとう言わせてしまった。言われてしまった。けど、燐にルシフェルと話した事を言っていいのだろうか。
「私・・・」
「燐!風美夜!」
「!」
「シュラ!」
伝えようとした時に、車を運転していたシュラに声をかけられた。
「こんな所で何やってんだ!」
一先ず、二人はシュラとの会話に意識を向ける。
「何やってって・・・ニュース見たんだ」
「!」
シュラの顔が、ハッと引き締まる。
「雪男は!?雪男はどうなっちゃうんだ!?」
燐は視線を後ろの荷台に向けながら叫ぶ。
「この中にいるのか?頼む、会わせてくれよ!!俺・・・」
「燐!」
制止をかけ、燐の顔を見て、玲薇の顔を見てシュラが言う。
「風美夜も・・・落ちついてよく聞け」
燐にとっては衝撃的な、玲薇にとっては確信に変わった瞬間だった。
「・・・・・・・・」
「・・・・・・え?」
「雪男は当分戻らない。世界が変わったのはお前らも気づいてるな?」
「・・・・・!」
思い当たる、リニュウが言っていたゲヘナと同じだと。
「祓魔師以外の職員には自宅待機命令が出てるはずだ。二人とも、帰れ。
つらいだろうが、大人しくしてるんだ。いいな」
「「・・・・・・・・・・・」」
目の前が、真っ暗になる感覚だ。
「燐、おんぶして・・・」
顔を下に向けながら、両手を広げて燐にねだる。
「ん?」
「疲れちゃった・・・」
燐は何も聞かず言わず、玲薇の前で背中を見せてくれた。
その背中に、そっと寄り添い乗っかれば、燐は軽々と持ち上げてくれる。
周囲の人の目なんて、気にならなくて。
「つめてーな・・・」
「寒い・・・燐、温かい・・・」
ゆっくり歩く燐の振動が、今はちょうどいい。
「私・・・見ちゃったんだ。雪男の目から、炎が上がってるの・・・」
燐は驚かない。先程、シュラから教えてもらっていたし、
出生の事を何度も口にしていた雪男だ、薄々は気付いていたかもしれない。
「何も・・・言ってあげられなかった・・・ずっと、黙ってようと思ってたんだ、ルシフェルに言われた事・・・」
「は?」
「自分達の出生を知らなすぎる・・・私の不思議な力は、サタンの復活に必要なんだって」
「・・・・・・・・・・・」
「イルミナティに行けば、ルシフェルから情報をもらえるかもしれない。でも、本当は自分の出生なんてどうでもいいのに。
きっと、燐と雪男と出逢わなくても、燐を好きになって祓魔師の道を選ばなくても、私は、
結局はルシフェルやメフィストに見つかってこの力を知らないまま利用されてたかもしれない。
私は・・・二人に会えてよかったよ、ありがとう・・・」
燐は足を止めて、肩越しに振り返り玲薇の顔を見る。
「ありがとうなんて、最期みたいな言い方やめろよな」
「だって、サタンが復活すれば、私は組み込まれるって、ルシフェルに言われた。
アイツらは悪魔なんだよ、どんな手を使っても、きっと復活させちゃうよ」
「まだ決まってねーだろ!?自分犠牲にする言い方やめろ(聞きたくねーんだよっ)」
「だって、相手は上位悪魔だよ!?わかるでしょ!?」
「おろす」
「え?」
燐の首に腕を回す前に、手を離され上手く着地出来ずに尻餅をつく。
「いたっ何するの!?」
顔を上げて反抗すれば、背を低くした燐の顔が近付いた。
久しぶりだ・・・燐のキス。初めて、このまま時間が止まればいいのにと思った。
ずっと、ずっと・・・。
悩む彼女に対して、半分悪魔である自分はどうすることもしてやれない。
「え?」
「勝呂から聞いたんだ、"抱いた"って。俺もしえみに目移りしたりしてたもんな、ごめん」
「あ・・・(言ったんだ・・・あの時の・・・!)」
「最初から、お前を巻き込んだあの日から違う道があったんだもんな。
一緒にって言った俺なんかとずっと行動してくれてたから"普通"の価値観とかわかんなくて」
「違う、違う!」
燐の胸板に両手を握りしめながら、必死に訴える。
「だってそうだろ!?お前はいつも雪男の事心配して!無理に二つも称号取る必要だってねーのに!
俺が守るって、だから近くにいてくれってあの日は約束したけど!玲薇は何も話してくんねー。
俺から距離置くし、勝呂には頼るし・・・何でだ?何でだよ、俺には言えねーのか?
俺、バカだから。伝えてくれねーとわかんねーんだよ・・・」
「燐・・・」
頭がいっぱいいっぱいで、どうしていいのかわからないのは自分だけではなかった。
話していいのか、燐にもルシフェルに出逢って伝えられたあの言葉を。
「・・・好きになんなきゃよかったのにな、お前も俺も・・・」
はにかんで、悲しげな表情で。
本当はもっと、二人で笑って寄り添いたいのに。お互い抱えてるもんがありすぎて、近寄れなくて。
「・・・ごめん、なさい・・・」
彼も、ここまで悩んで考えていた。言い返せる言葉が、玲薇には思い浮かばない。
『好きになんなきゃよかったのにな』
とうとう言わせてしまった。言われてしまった。けど、燐にルシフェルと話した事を言っていいのだろうか。
「私・・・」
「燐!風美夜!」
「!」
「シュラ!」
伝えようとした時に、車を運転していたシュラに声をかけられた。
「こんな所で何やってんだ!」
一先ず、二人はシュラとの会話に意識を向ける。
「何やってって・・・ニュース見たんだ」
「!」
シュラの顔が、ハッと引き締まる。
「雪男は!?雪男はどうなっちゃうんだ!?」
燐は視線を後ろの荷台に向けながら叫ぶ。
「この中にいるのか?頼む、会わせてくれよ!!俺・・・」
「燐!」
制止をかけ、燐の顔を見て、玲薇の顔を見てシュラが言う。
「風美夜も・・・落ちついてよく聞け」
燐にとっては衝撃的な、玲薇にとっては確信に変わった瞬間だった。
「・・・・・・・・」
「・・・・・・え?」
「雪男は当分戻らない。世界が変わったのはお前らも気づいてるな?」
「・・・・・!」
思い当たる、リニュウが言っていたゲヘナと同じだと。
「祓魔師以外の職員には自宅待機命令が出てるはずだ。二人とも、帰れ。
つらいだろうが、大人しくしてるんだ。いいな」
「「・・・・・・・・・・・」」
目の前が、真っ暗になる感覚だ。
「燐、おんぶして・・・」
顔を下に向けながら、両手を広げて燐にねだる。
「ん?」
「疲れちゃった・・・」
燐は何も聞かず言わず、玲薇の前で背中を見せてくれた。
その背中に、そっと寄り添い乗っかれば、燐は軽々と持ち上げてくれる。
周囲の人の目なんて、気にならなくて。
「つめてーな・・・」
「寒い・・・燐、温かい・・・」
ゆっくり歩く燐の振動が、今はちょうどいい。
「私・・・見ちゃったんだ。雪男の目から、炎が上がってるの・・・」
燐は驚かない。先程、シュラから教えてもらっていたし、
出生の事を何度も口にしていた雪男だ、薄々は気付いていたかもしれない。
「何も・・・言ってあげられなかった・・・ずっと、黙ってようと思ってたんだ、ルシフェルに言われた事・・・」
「は?」
「自分達の出生を知らなすぎる・・・私の不思議な力は、サタンの復活に必要なんだって」
「・・・・・・・・・・・」
「イルミナティに行けば、ルシフェルから情報をもらえるかもしれない。でも、本当は自分の出生なんてどうでもいいのに。
きっと、燐と雪男と出逢わなくても、燐を好きになって祓魔師の道を選ばなくても、私は、
結局はルシフェルやメフィストに見つかってこの力を知らないまま利用されてたかもしれない。
私は・・・二人に会えてよかったよ、ありがとう・・・」
燐は足を止めて、肩越しに振り返り玲薇の顔を見る。
「ありがとうなんて、最期みたいな言い方やめろよな」
「だって、サタンが復活すれば、私は組み込まれるって、ルシフェルに言われた。
アイツらは悪魔なんだよ、どんな手を使っても、きっと復活させちゃうよ」
「まだ決まってねーだろ!?自分犠牲にする言い方やめろ(聞きたくねーんだよっ)」
「だって、相手は上位悪魔だよ!?わかるでしょ!?」
「おろす」
「え?」
燐の首に腕を回す前に、手を離され上手く着地出来ずに尻餅をつく。
「いたっ何するの!?」
顔を上げて反抗すれば、背を低くした燐の顔が近付いた。
久しぶりだ・・・燐のキス。初めて、このまま時間が止まればいいのにと思った。
ずっと、ずっと・・・。