第十七話 雪の果て
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首相官邸、記者会見途中メフィスト・フェレスが撃たれた。
驚いている雪男の場所に、何人もの警備員が集まってくる。
「そいつだ!!銃を持ってる!」
「取り押さえろ!」
「ま・・・待て!そいつは・・・」
「ちょっと貴方、私のSPでしょ。仕事して下さいよ」
右往左往してしまっているシュラに、倒れているメフィストが声を掛けている。
「あっ。お前、悪魔だから大丈夫だろ!?」
「ヒドイ女(ひと)だ・・・まー、そーですけどネ。フフフ、これしきの傷・・・」
額の血をハンカチで拭いながら上半身を起こす。
「グフッ」
だが、血を吐きグラリと再び身体が揺れる。
「アレレ?そんなバカな」
記者会見の発砲事件は、現在尚、テレビで流されている。
雪男と玲薇を捜している燐にも、街の中でテレビを見ている人の騒ぎが耳に入った。
「政府の会見中に発砲だと」
「はぁ?全人撃たれたの!?」
「いや、正十字騎士團のピエロみたいな支部長が」
「えっ、地元の名士じゃねーか!」
燐は足を止め、テレビに目を向ける。すると、一瞬だが取り押さえられている雪男が映った。
「雪男!!」
「メフィスト!!しっかりしろ!」
再び倒れて起き上がれないメフィストに、シュラが駆け寄る。
「・・・思ってたより、弱ってたようですね、私・・・。霧隠先生。
このままではこの身体と共に結界も朽ち果て、人工ゲヘナゲートは再び広がり始める。
共倒れは避けねば。私はまだ、この身体を捨てるわけにはいかない。結界は手放します」
「・・・!!(何てこった・・・!)判った、至急ヴァチカンに連絡する!!」
ヒューヒューと、息が荒くなりまともに呼吸するのも難しくなる。
「・・・これは・・・今までになかった展開だ。人の営みは予測不能、だから面白い・・・」
「なぁ、これってどこ!?」
街の人に、燐が問いかける。
「はぁ?首相の・・・官邸だろ」
「シュショーノカンテー・・・判った!!ありがとな!!」
「おい、ボウズ」
「絶対に判ってねーだろ!」
(雪男・・・お前、一体どうしたんだよ)
「爆発物探知機も陰性。第一、着弾点とコイツが立ってた位置も、全く合わない。
つまり、撃ってないって事だろ!いつまで拘束するつもりだよ!?
こうしてる間に真犯人なんて、とっくに逃げおおせてるぞ!」
雪男の無罪を講義してくれているのは、シュラだ。
「捜査はしているし、通例に従ってくれ」
「チッ。こっちだって、尋問したい事が山ほどあるんだ。
そもそもこんな事してる場合じゃねーっつうのに・・・後で後悔しても知らねーからな!」
「課長」
名前を呼ばれたその人は、肩越しに振り返る。そして、OKサインを見て言う。
「許可が出た。今日はそちらで引き取っていい」
「おっ」
「だが明日、改めて事情聴取させてもらう」
一段落し、シュラはため息を吐く。
「霧隠隊長!」
騎士團の仲間に声をかけられ、シュラは聞いた。
「メフィストは?」
「何とかヨハン・ファウスト邸へ運びましたが・・・やはり回復にはしばらくかかるようです。
特案が政府に非常事態宣言を発動するよう掛け合ってますが、どれだけ取り合ってもらえるかどうか・・・」
「・・・判った。雪男、立て。騎士團に帰るぞ」
だが雪男は何も答えず、シュラの顔を見ることなくフッと笑った。
その態度にブチ切れたシュラは、雪男の胸ぐらを掴み取る。
「お前、自分の状況判ってんのか!!」
しかし、雪男の左目を見て唖然とする。
「雪男、お前その目・・・」
その頃、スマホで情報を見ながら空から雪男を捜していた玲薇は、空気の変化にゾクリと鳥肌をたてる。
「な、なに・・・?」
《ほう・・・ゲヘナと同じ空気になった》
「ど、どういうこと・・・?」
《それに、サタンさまの力を持つ小僧の気配も近い》
「!?」
リニュウから降り立った場所は、首相官邸。
そこには悪魔の存在を公にした総理に、政府に向けてのデモ隊が集まっている。
「・・・・・・燐!」
朝早く旧男子寮を出て、すっかり日が落ち始めた夕方。
いつも降魔剣を袋に入れ持ち歩き、普通の人には決してないシッポをぶら下げて。
見間違えなどするものか。彼以外に該当なんて誰もするハズないのだから。
「玲薇!?お前、どうしてここに!?」
会えた喜びと、複雑な心境を持ちながら燐が駆け寄ってくれる。
「雪男を追いかけてきたの・・・!燐、私どうしよう・・・雪男が、雪男が・・・!」
「雪男に会ったのか?会えたのか?」
「会えたけど、どうしようも出来なかった・・・!」
燐にしがみつく。雪男が抱えていた悩み。どうしてもっと聞いて支えてやれなかったのだろう。
どうしてもっと・・・似たような悩みを持っていたからこそ、雪男はあんなに問いかけていたのに。
自分の存在理由がもっと分からなくて怖くて怯えていた。ルシフェルの言葉が、ずっと離れない。
サタンに組み込まれる力。サタンの復活に必要な力。
イルミナティに行けばその力の本当の意味を知るだろう。
そして、サタンの炎を受け継いでいる燐だって、何かしらあるはずだ。
『僕と一緒に、死んでみる?』
(・・・雪男がどうしてそう言ったのか・・・)
突き放して知らないフリをするのは簡単だ。だけど、そんな台詞を聞いて理由も聞かず一人にするのは違う気がする。
驚いている雪男の場所に、何人もの警備員が集まってくる。
「そいつだ!!銃を持ってる!」
「取り押さえろ!」
「ま・・・待て!そいつは・・・」
「ちょっと貴方、私のSPでしょ。仕事して下さいよ」
右往左往してしまっているシュラに、倒れているメフィストが声を掛けている。
「あっ。お前、悪魔だから大丈夫だろ!?」
「ヒドイ女(ひと)だ・・・まー、そーですけどネ。フフフ、これしきの傷・・・」
額の血をハンカチで拭いながら上半身を起こす。
「グフッ」
だが、血を吐きグラリと再び身体が揺れる。
「アレレ?そんなバカな」
記者会見の発砲事件は、現在尚、テレビで流されている。
雪男と玲薇を捜している燐にも、街の中でテレビを見ている人の騒ぎが耳に入った。
「政府の会見中に発砲だと」
「はぁ?全人撃たれたの!?」
「いや、正十字騎士團のピエロみたいな支部長が」
「えっ、地元の名士じゃねーか!」
燐は足を止め、テレビに目を向ける。すると、一瞬だが取り押さえられている雪男が映った。
「雪男!!」
「メフィスト!!しっかりしろ!」
再び倒れて起き上がれないメフィストに、シュラが駆け寄る。
「・・・思ってたより、弱ってたようですね、私・・・。霧隠先生。
このままではこの身体と共に結界も朽ち果て、人工ゲヘナゲートは再び広がり始める。
共倒れは避けねば。私はまだ、この身体を捨てるわけにはいかない。結界は手放します」
「・・・!!(何てこった・・・!)判った、至急ヴァチカンに連絡する!!」
ヒューヒューと、息が荒くなりまともに呼吸するのも難しくなる。
「・・・これは・・・今までになかった展開だ。人の営みは予測不能、だから面白い・・・」
「なぁ、これってどこ!?」
街の人に、燐が問いかける。
「はぁ?首相の・・・官邸だろ」
「シュショーノカンテー・・・判った!!ありがとな!!」
「おい、ボウズ」
「絶対に判ってねーだろ!」
(雪男・・・お前、一体どうしたんだよ)
「爆発物探知機も陰性。第一、着弾点とコイツが立ってた位置も、全く合わない。
つまり、撃ってないって事だろ!いつまで拘束するつもりだよ!?
こうしてる間に真犯人なんて、とっくに逃げおおせてるぞ!」
雪男の無罪を講義してくれているのは、シュラだ。
「捜査はしているし、通例に従ってくれ」
「チッ。こっちだって、尋問したい事が山ほどあるんだ。
そもそもこんな事してる場合じゃねーっつうのに・・・後で後悔しても知らねーからな!」
「課長」
名前を呼ばれたその人は、肩越しに振り返る。そして、OKサインを見て言う。
「許可が出た。今日はそちらで引き取っていい」
「おっ」
「だが明日、改めて事情聴取させてもらう」
一段落し、シュラはため息を吐く。
「霧隠隊長!」
騎士團の仲間に声をかけられ、シュラは聞いた。
「メフィストは?」
「何とかヨハン・ファウスト邸へ運びましたが・・・やはり回復にはしばらくかかるようです。
特案が政府に非常事態宣言を発動するよう掛け合ってますが、どれだけ取り合ってもらえるかどうか・・・」
「・・・判った。雪男、立て。騎士團に帰るぞ」
だが雪男は何も答えず、シュラの顔を見ることなくフッと笑った。
その態度にブチ切れたシュラは、雪男の胸ぐらを掴み取る。
「お前、自分の状況判ってんのか!!」
しかし、雪男の左目を見て唖然とする。
「雪男、お前その目・・・」
その頃、スマホで情報を見ながら空から雪男を捜していた玲薇は、空気の変化にゾクリと鳥肌をたてる。
「な、なに・・・?」
《ほう・・・ゲヘナと同じ空気になった》
「ど、どういうこと・・・?」
《それに、サタンさまの力を持つ小僧の気配も近い》
「!?」
リニュウから降り立った場所は、首相官邸。
そこには悪魔の存在を公にした総理に、政府に向けてのデモ隊が集まっている。
「・・・・・・燐!」
朝早く旧男子寮を出て、すっかり日が落ち始めた夕方。
いつも降魔剣を袋に入れ持ち歩き、普通の人には決してないシッポをぶら下げて。
見間違えなどするものか。彼以外に該当なんて誰もするハズないのだから。
「玲薇!?お前、どうしてここに!?」
会えた喜びと、複雑な心境を持ちながら燐が駆け寄ってくれる。
「雪男を追いかけてきたの・・・!燐、私どうしよう・・・雪男が、雪男が・・・!」
「雪男に会ったのか?会えたのか?」
「会えたけど、どうしようも出来なかった・・・!」
燐にしがみつく。雪男が抱えていた悩み。どうしてもっと聞いて支えてやれなかったのだろう。
どうしてもっと・・・似たような悩みを持っていたからこそ、雪男はあんなに問いかけていたのに。
自分の存在理由がもっと分からなくて怖くて怯えていた。ルシフェルの言葉が、ずっと離れない。
サタンに組み込まれる力。サタンの復活に必要な力。
イルミナティに行けばその力の本当の意味を知るだろう。
そして、サタンの炎を受け継いでいる燐だって、何かしらあるはずだ。
『僕と一緒に、死んでみる?』
(・・・雪男がどうしてそう言ったのか・・・)
突き放して知らないフリをするのは簡単だ。だけど、そんな台詞を聞いて理由も聞かず一人にするのは違う気がする。