第十七話 雪の果て
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「勝呂!」
「!」
旧男子寮で、燐が走ってくる。
「玲薇がいねえ!!何処に行ったか知らねーか?」
「風美夜なら、奥村センセーから連絡来たから会いに行くて」
「本当か!?」
「俺がまんま嘘言うてどーするんや。だから言うたやろ、前に」
「ん?」
「"悠長な事してっと、誰かに取られる"て」
「あ・・・」
様子がおかしいのは何も雪男だけだったわけじゃない。
玲薇の様子も、おかしいのは薄々気付いていた。
でも、彼女は何を聞いても『何もない』と言って教えてくれなくて。
「・・・言われたんや、風美夜に。ホンマの人の温もりを教えてくれって」
これは、言わないでおこうと思ってた。でもいい加減、腹立たしさを抑えきれない。
「は・・・?」
「お前や奥村先生の事で悩んで悩んで、風美夜も頭いっぱいいっぱいや。
自分が『普通の人間やったら』って、何度も俺に言うて、泣きながら。だから、一度だけ抱いた」
「っ・・・!!」
怒りで、ワナワナ自分の拳が震えてることに気付く燐。
食堂で言い合ってる二人を、子猫丸が、新館の女子寮から戻ってきていた出雲が、唖然としている。
「何で・・・何で勝呂なんだよ!?」
「!!」
たまらず、燐は勝呂の胸ぐらを掴む。どうして頼ってくれない。どうして、玲薇は勝呂にしがみついたんだ。
「せやし真っ向から風美夜とちゃんと向きおうとったんか!?」
「燐!!!」
「「「!!」」」
その時、泣きじゃくった顔で叫び声を上げたのは、しえみだった。
「ゆきちゃ・・・雪ちゃんが!!」
志摩と行動を一緒にしていた玲薇は、遠巻きに見てもわかる、
雪男の左目から、青い炎が膨れ上がっている事に唖然としていた。
雪男が玲薇に言っていた事は本当で。じゃあ、雪男も本当はサタンの力を受け継いでいたって事なのか。
「うあああァァ!!!」
叫ぶ雪男の元に、足が動かない。だが、志摩は臆することなく雪男の元へ近付いた。
「あーあー、先生。すっかり、ええ顔に仕上がりましたね」
「ゆき、お・・・?」
恐る恐る志摩の後ろから、玲薇はしゃがみ込んでいる雪男を見つめる。
「・・・志摩くん、どうして彼女を連れて来たんだ」
「あ・・・」
突き放される言葉に、玲薇は顔を下に向ける。
「先生のそばに、やったっけ」
「「・・・・・・・・・・」」
一足、遅い。
先に弱さを見せつけ、抱き寄せたのは杜山しえみ。けれど、兄の名前をしえみから聞いた瞬間、
押し倒した恐怖で逃げてきた。そんな情けない自分を、玲薇に、合わせる顔がないのに。
無造作に落ちたメガネを拾い、雪男は掛け直す。
燐の元に駆け寄ったしえみが、泣きながら皆に話していた。
「雪ちゃん、独りぼっちだって。友達も、家族もいないって。私・・・怒ったの。
「そんなことない」って・・・失敗、しちゃった・・・!!」
「杜山さん、あんまり気にしたらアカンよ」
そう優しく、子猫丸が声を書ける。
「・・・奥村、風美夜と奥村先生の話しの順序、間違うてたな。
奥村先生に、銃で脅されたところを風美夜も見てたんや」
「!!」
「「僕と兄の出生について、知っている事を話して下さい」
ライトニングとの調査内容を教えろて・・・。とても尋常な様子には見えへんかった・・・!
せやから、風美夜は・・・」
この先の言葉は、言えなかった。
(・・・なんで、何でだ・・・!)
皆に出逢って、心配したり、頼ってくれたり、怒ってくれたりしてくれる仲間が増えた。
けれど、どんなに寄り添って近付こうとしても、結局は悪魔などなんだので距離を置いてしまう。
一番近い存在だから、一番近しい間柄だから。家族とは・・・?求める普通って、何だ・・・?
「!?」
目の前を走り去る燐に、勝呂が叫ぶ。
「奥村!?」
だが燐は、袋に入れたままの降魔剣をもち外に飛び出した。
「ちょっと、奥村燐!!」
たまらず出雲も名前を呼ぶが、彼が止まることはない。
(雪男・・・!玲薇・・・!)
「あんた、どうして玲薇にそんな事したのよ!?あの子が好きなのは、奥村燐なのに・・・!」
抱いた。そう聞いた時、玲薇が信じられなかった。
「・・・・・・なんや。アイツは一度、杜山さんにやって告ったんや」
仲間内なら知っている。それは、玲薇も例外ではない。
「一度や二度喧嘩したとこで、他あたるんやつや。風美夜かて我慢の限界もある!
一途に思おとても、想えん時もあるやろ!人間や、アイツやって、人間なんや!」
普通じゃないからと、はにかんで作り笑顔を見るのはもう沢山だ。
目の前で泣く顔を見るのは、もう沢山だ。
「ぼ、坊・・・?」
「アイツは・・・!」
メフィスト・フェレスから告げられた。
「作られたんもなんも関係あらへん。人間や!!!」
「!」
旧男子寮で、燐が走ってくる。
「玲薇がいねえ!!何処に行ったか知らねーか?」
「風美夜なら、奥村センセーから連絡来たから会いに行くて」
「本当か!?」
「俺がまんま嘘言うてどーするんや。だから言うたやろ、前に」
「ん?」
「"悠長な事してっと、誰かに取られる"て」
「あ・・・」
様子がおかしいのは何も雪男だけだったわけじゃない。
玲薇の様子も、おかしいのは薄々気付いていた。
でも、彼女は何を聞いても『何もない』と言って教えてくれなくて。
「・・・言われたんや、風美夜に。ホンマの人の温もりを教えてくれって」
これは、言わないでおこうと思ってた。でもいい加減、腹立たしさを抑えきれない。
「は・・・?」
「お前や奥村先生の事で悩んで悩んで、風美夜も頭いっぱいいっぱいや。
自分が『普通の人間やったら』って、何度も俺に言うて、泣きながら。だから、一度だけ抱いた」
「っ・・・!!」
怒りで、ワナワナ自分の拳が震えてることに気付く燐。
食堂で言い合ってる二人を、子猫丸が、新館の女子寮から戻ってきていた出雲が、唖然としている。
「何で・・・何で勝呂なんだよ!?」
「!!」
たまらず、燐は勝呂の胸ぐらを掴む。どうして頼ってくれない。どうして、玲薇は勝呂にしがみついたんだ。
「せやし真っ向から風美夜とちゃんと向きおうとったんか!?」
「燐!!!」
「「「!!」」」
その時、泣きじゃくった顔で叫び声を上げたのは、しえみだった。
「ゆきちゃ・・・雪ちゃんが!!」
志摩と行動を一緒にしていた玲薇は、遠巻きに見てもわかる、
雪男の左目から、青い炎が膨れ上がっている事に唖然としていた。
雪男が玲薇に言っていた事は本当で。じゃあ、雪男も本当はサタンの力を受け継いでいたって事なのか。
「うあああァァ!!!」
叫ぶ雪男の元に、足が動かない。だが、志摩は臆することなく雪男の元へ近付いた。
「あーあー、先生。すっかり、ええ顔に仕上がりましたね」
「ゆき、お・・・?」
恐る恐る志摩の後ろから、玲薇はしゃがみ込んでいる雪男を見つめる。
「・・・志摩くん、どうして彼女を連れて来たんだ」
「あ・・・」
突き放される言葉に、玲薇は顔を下に向ける。
「先生のそばに、やったっけ」
「「・・・・・・・・・・」」
一足、遅い。
先に弱さを見せつけ、抱き寄せたのは杜山しえみ。けれど、兄の名前をしえみから聞いた瞬間、
押し倒した恐怖で逃げてきた。そんな情けない自分を、玲薇に、合わせる顔がないのに。
無造作に落ちたメガネを拾い、雪男は掛け直す。
燐の元に駆け寄ったしえみが、泣きながら皆に話していた。
「雪ちゃん、独りぼっちだって。友達も、家族もいないって。私・・・怒ったの。
「そんなことない」って・・・失敗、しちゃった・・・!!」
「杜山さん、あんまり気にしたらアカンよ」
そう優しく、子猫丸が声を書ける。
「・・・奥村、風美夜と奥村先生の話しの順序、間違うてたな。
奥村先生に、銃で脅されたところを風美夜も見てたんや」
「!!」
「「僕と兄の出生について、知っている事を話して下さい」
ライトニングとの調査内容を教えろて・・・。とても尋常な様子には見えへんかった・・・!
せやから、風美夜は・・・」
この先の言葉は、言えなかった。
(・・・なんで、何でだ・・・!)
皆に出逢って、心配したり、頼ってくれたり、怒ってくれたりしてくれる仲間が増えた。
けれど、どんなに寄り添って近付こうとしても、結局は悪魔などなんだので距離を置いてしまう。
一番近い存在だから、一番近しい間柄だから。家族とは・・・?求める普通って、何だ・・・?
「!?」
目の前を走り去る燐に、勝呂が叫ぶ。
「奥村!?」
だが燐は、袋に入れたままの降魔剣をもち外に飛び出した。
「ちょっと、奥村燐!!」
たまらず出雲も名前を呼ぶが、彼が止まることはない。
(雪男・・・!玲薇・・・!)
「あんた、どうして玲薇にそんな事したのよ!?あの子が好きなのは、奥村燐なのに・・・!」
抱いた。そう聞いた時、玲薇が信じられなかった。
「・・・・・・なんや。アイツは一度、杜山さんにやって告ったんや」
仲間内なら知っている。それは、玲薇も例外ではない。
「一度や二度喧嘩したとこで、他あたるんやつや。風美夜かて我慢の限界もある!
一途に思おとても、想えん時もあるやろ!人間や、アイツやって、人間なんや!」
普通じゃないからと、はにかんで作り笑顔を見るのはもう沢山だ。
目の前で泣く顔を見るのは、もう沢山だ。
「ぼ、坊・・・?」
「アイツは・・・!」
メフィスト・フェレスから告げられた。
「作られたんもなんも関係あらへん。人間や!!!」