第十六話 正月と寿
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『ライトニングは、何の調査をしてるんですか?』
そう訊ねられ、勝呂は何も答えられずにいる。そんな彼に追い討ちをするように話を続ける雪男。
「修道士だった三角さんというおじいさんが、亡くなったんです。ライトニングが訪ねてきた直後に。
まさか、何も関係ありませんよね?」
何かを見透かすようなメガネの奥の瞳に、つい言ってしまいそうになる。それでも・・・。
「・・・・・・・・俺の口からは、何もお話しできません。すみません・・・!」
「いえ・・・こちらこそ、無理を言ってしまってすみません」
もっと雪男に、話せと言われると思ったが、あっさり身を引く彼に謙遜してしまう。
「そうですよね。極秘捜査の内容を、おいそれと他人に話せないのは当然です」
「・・・・は、はぁ・・・」
「ひゃー、危ない。何とか間に合った〜!もうすぐ始まるそうですよ」
笑顔で戻ってくる子猫丸が、勝呂の隣に座る。彼に続き、塾生の仲間が集まった。
燐は数珠を買って貰ったと喜んで話し、志摩は皆と一緒に並ぼうとしたが家族に呼ばれ。
しえみと出雲の間に座らせてもらった玲薇は胸に手を当て小さく息を吐く。
初めての結婚式に、やはりドキドキしてしまう。
そしていよいよ、新郎新婦の登場である。
いつも以上におめかしをして着飾っている蝮は、とても綺麗だ。進行を勝呂の父、達磨が務め、
家族への手紙を柔造と蝮は読み、そして指輪をそれぞれの指にお互いはめた。キラキラ小さく、
それでいて立派に輝く指輪。二人は本当に、幸せそうだ。自分達とはまったく違う・・・。
賑やかな結婚式も終盤に差し掛かった頃、何回目かも分からない固めの盃もした頃。
トキメキが足らないという理由で皆の前でキスをすることになった蝮と柔造だが。
「なん晒すボケェ!」
「いってぇ」
無理やりなやり取りに、蝮のビンタが炸裂。
「・・・・・・・・・・・」
仲が良いのか悪いのか。それより、蝮の行動を少し手本にしてもいいのか、とも思ったり。
「もう夫婦なんやさけ、ケチケチすな」
「見せモンやないわクソ申!!」
きっとこれが夫婦喧嘩というものだろう。燐と玲薇だって、しょっちゅう言い合いはしている。
けど、二人のと少し違う。蝮と柔造は言い合っても、きっと笑いで事を済ませられるのだろう。
でも、自分たちのは・・・。言い合って、怒鳴ってべそかいて、顔も合わせない事もしばしば。
現状が、立場が違うのだからしょうがない。
そんな中、勝呂が席を立つ。
「あれ、どしたんです?」
気付いた隣にいた子猫丸が声をかけた。
「師匠からや。外で話してくる」
勝呂が席を離れ少しして、雪男も立ち上がる。
「・・・・・・・・」
何だか嫌な予感しかしない玲薇も席を立つが、どうやら志摩もらしい。
「お、奇遇やな」
「・・・雪男をつけるの?」
「んな怖い顔せんでええて。様子見るだけや。奥村センセーの様子が可笑しいのは薄々。何やあったやろ?」
「そうだったら、志摩くんのせいね」
「ひどいわー」
「酷いのはどっちよ」
「・・・玲薇ちゃんはどないするん?イルミナティ」
「・・・・・・・・」
ケロッとしてるそのムカつく顔に、玲薇は睨みつけた。
「は!?」
席を外した勝呂の声が廊下に響く。
「急で悪いね。明日の朝までにはまとめて欲しい」
「明日!?」
「ラフはメールで送ったから。全部英語だけど、君なら大丈夫だよね」
「ちょ・・・」
電話の相手のライトニングに言い返す前に、切られてしまった。
「なんなんや・・・!!あの人、今何を・・・」
ゴツと、頭に何かが当たる。
「!?」
振り返る前に、背後に立っていた人間に壁に背中を当てられた。
「すみません、話して下さい」
目の前に、勝呂に銃を突き付けているのは雪男だ。
「せ、先生・・・」
「僕と兄の出生について・・・」
今まで見たことない雪男の表情に、背筋が凍る。
(この人・・・こんな顔やったか・・・!?)
まるで、悪魔にでも乗っ取られてしまったようなドス黒い、真っ黒な表情。
「何を知ってるんですか?知っている事を話して下さい」
「撃つんですか、俺を・・・!?」
「雪男、やめて!!」
「!」
玲薇の声に、ハッと雪男は我に返る。一緒に様子を伺っていた志摩は唖然とした。
(玲薇ちゃん、マジでか・・・!)
「玲薇・・・」
銃を持っている方の雪男の腕を、玲薇は強気に捕まえる。
「お願いだから、これ以上一人にならないで。私がいるから」
やっぱり最初に燐と二人で付き合おうとしたのが間違いだったのかもしれない。
離れられない、三人の運命。願わくば、子供の頃、何も知らなかったあの頃のように戻りたい。
それが無理だということは判ってる。だからせめてもの救い、ずっと三人でいたいから。
「・・・はは、どうしたんだ、僕は・・・」
そうだね、君がいてくれるならそれでいいのかもしれない
「すみません・・・忘れて下さい」
「雪男・・・」
弱々しい玲薇の声。
「ちょお待てぇ!!」
踵を返す雪男の肩を掴んだのは勝呂だ。
「(尋常やない・・・)何があったんや!?」
「すみませんでした」
「謝らんでええから事情を・・・」
アタフタする玲薇の傍で、雪男は勝呂に笑顔で言った。
「僕は貴方の上司ですよ、放して下さい」
そして、通りすがりに玲薇に言った。
「さっきの言葉、忘れないよ」
「・・・!!」
『私がいるから』
そう訊ねられ、勝呂は何も答えられずにいる。そんな彼に追い討ちをするように話を続ける雪男。
「修道士だった三角さんというおじいさんが、亡くなったんです。ライトニングが訪ねてきた直後に。
まさか、何も関係ありませんよね?」
何かを見透かすようなメガネの奥の瞳に、つい言ってしまいそうになる。それでも・・・。
「・・・・・・・・俺の口からは、何もお話しできません。すみません・・・!」
「いえ・・・こちらこそ、無理を言ってしまってすみません」
もっと雪男に、話せと言われると思ったが、あっさり身を引く彼に謙遜してしまう。
「そうですよね。極秘捜査の内容を、おいそれと他人に話せないのは当然です」
「・・・・は、はぁ・・・」
「ひゃー、危ない。何とか間に合った〜!もうすぐ始まるそうですよ」
笑顔で戻ってくる子猫丸が、勝呂の隣に座る。彼に続き、塾生の仲間が集まった。
燐は数珠を買って貰ったと喜んで話し、志摩は皆と一緒に並ぼうとしたが家族に呼ばれ。
しえみと出雲の間に座らせてもらった玲薇は胸に手を当て小さく息を吐く。
初めての結婚式に、やはりドキドキしてしまう。
そしていよいよ、新郎新婦の登場である。
いつも以上におめかしをして着飾っている蝮は、とても綺麗だ。進行を勝呂の父、達磨が務め、
家族への手紙を柔造と蝮は読み、そして指輪をそれぞれの指にお互いはめた。キラキラ小さく、
それでいて立派に輝く指輪。二人は本当に、幸せそうだ。自分達とはまったく違う・・・。
賑やかな結婚式も終盤に差し掛かった頃、何回目かも分からない固めの盃もした頃。
トキメキが足らないという理由で皆の前でキスをすることになった蝮と柔造だが。
「なん晒すボケェ!」
「いってぇ」
無理やりなやり取りに、蝮のビンタが炸裂。
「・・・・・・・・・・・」
仲が良いのか悪いのか。それより、蝮の行動を少し手本にしてもいいのか、とも思ったり。
「もう夫婦なんやさけ、ケチケチすな」
「見せモンやないわクソ申!!」
きっとこれが夫婦喧嘩というものだろう。燐と玲薇だって、しょっちゅう言い合いはしている。
けど、二人のと少し違う。蝮と柔造は言い合っても、きっと笑いで事を済ませられるのだろう。
でも、自分たちのは・・・。言い合って、怒鳴ってべそかいて、顔も合わせない事もしばしば。
現状が、立場が違うのだからしょうがない。
そんな中、勝呂が席を立つ。
「あれ、どしたんです?」
気付いた隣にいた子猫丸が声をかけた。
「師匠からや。外で話してくる」
勝呂が席を離れ少しして、雪男も立ち上がる。
「・・・・・・・・」
何だか嫌な予感しかしない玲薇も席を立つが、どうやら志摩もらしい。
「お、奇遇やな」
「・・・雪男をつけるの?」
「んな怖い顔せんでええて。様子見るだけや。奥村センセーの様子が可笑しいのは薄々。何やあったやろ?」
「そうだったら、志摩くんのせいね」
「ひどいわー」
「酷いのはどっちよ」
「・・・玲薇ちゃんはどないするん?イルミナティ」
「・・・・・・・・」
ケロッとしてるそのムカつく顔に、玲薇は睨みつけた。
「は!?」
席を外した勝呂の声が廊下に響く。
「急で悪いね。明日の朝までにはまとめて欲しい」
「明日!?」
「ラフはメールで送ったから。全部英語だけど、君なら大丈夫だよね」
「ちょ・・・」
電話の相手のライトニングに言い返す前に、切られてしまった。
「なんなんや・・・!!あの人、今何を・・・」
ゴツと、頭に何かが当たる。
「!?」
振り返る前に、背後に立っていた人間に壁に背中を当てられた。
「すみません、話して下さい」
目の前に、勝呂に銃を突き付けているのは雪男だ。
「せ、先生・・・」
「僕と兄の出生について・・・」
今まで見たことない雪男の表情に、背筋が凍る。
(この人・・・こんな顔やったか・・・!?)
まるで、悪魔にでも乗っ取られてしまったようなドス黒い、真っ黒な表情。
「何を知ってるんですか?知っている事を話して下さい」
「撃つんですか、俺を・・・!?」
「雪男、やめて!!」
「!」
玲薇の声に、ハッと雪男は我に返る。一緒に様子を伺っていた志摩は唖然とした。
(玲薇ちゃん、マジでか・・・!)
「玲薇・・・」
銃を持っている方の雪男の腕を、玲薇は強気に捕まえる。
「お願いだから、これ以上一人にならないで。私がいるから」
やっぱり最初に燐と二人で付き合おうとしたのが間違いだったのかもしれない。
離れられない、三人の運命。願わくば、子供の頃、何も知らなかったあの頃のように戻りたい。
それが無理だということは判ってる。だからせめてもの救い、ずっと三人でいたいから。
「・・・はは、どうしたんだ、僕は・・・」
そうだね、君がいてくれるならそれでいいのかもしれない
「すみません・・・忘れて下さい」
「雪男・・・」
弱々しい玲薇の声。
「ちょお待てぇ!!」
踵を返す雪男の肩を掴んだのは勝呂だ。
「(尋常やない・・・)何があったんや!?」
「すみませんでした」
「謝らんでええから事情を・・・」
アタフタする玲薇の傍で、雪男は勝呂に笑顔で言った。
「僕は貴方の上司ですよ、放して下さい」
そして、通りすがりに玲薇に言った。
「さっきの言葉、忘れないよ」
「・・・!!」
『私がいるから』