第十六話 正月と寿
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「こっこっ・・・子猫しゃあああん!!」
そう子猫丸に抱きついてきた女の子。
「わぁ、弓ちゃん。変わらへんなぁ」
「何で夏帰った時連絡くれへんかったん?弓、会いたかった!!」
顔を赤く染め、子猫丸に必死にしがみつく女の子を見て玲薇は思った。
(・・・私も、燐に対してああになればよかったのかな・・・)
「あの子は?」
再び燐が聞いている。
「一番下の妹・・・弓ちゃん、お兄ちゃんも帰ってきたで?」
「廉兄おかえりー。はあぁ〜♡9か月ぶりの子猫しゃんのにおいいぃぃ」
背中にしがみつき、すーはーと大胆に息を吸っては吐いている。
「はは、ほんま面白いなぁ弓ちゃんは」
「子猫さんをマジで狙ってるんや」
志摩は嫌がってるようだが、好きなものはしょうがない。
チラッと燐を見れば目が合い、玲薇は顔を赤くする。
(雪男と話してから、燐とまともに話せてないけど、あの子みたいに執着できなくなってる・・・)
本当は、もっと。もっと・・・我慢なんてしなくていいのなら。
顔を反らしても、燐からも自分からも話かけることはなくなってしまっている。
「ただいま」
「剛兄!」
また知らぬ、志摩の兄弟が現れた。
「デケェ」
「剛造!!」
「剛兄!?」
「金造」
「ごうにぃい!どけや、廉造!!」
「なんで」
会うなり金造の飛び蹴りをくらう志摩。
「剛兄、めっちゃ会いたかったわあぁあ!カッケェエ!!」
「・・・志摩くんて、兄弟いっぱいいるんだね」
後ろ隣にいる勝呂に玲薇が言った。
「せやな。志摩んち集まるだけで賑やかなやな」
「坊、ただいま」
「剛造!」
志摩の紹介によると、剛造は二つ上のお兄さんで、祓魔師で海外のどっかの支部に出張中だとか。
「はぁ〜、到着10分でもう帰りたいわ・・・」
「いいじゃん、にぎやかで!もちつきてーな!」
イヤイヤな志摩を励ます燐。
「柔造さん!この度はご招待いただきありがとうございます」
雪男が柔造に、頭を下げる。
「おう、メガネくん。その節は、こっちこそ色々手伝ってもらえると助かるわ」
「さっそく何かありますか?」
「それじゃ、丸餅つくるの手伝ってもらえるか?」
「はい」
「もちつきじゃないのか〜」
燐は少し残念そうである。まぁ餅つきなんて、滅多に出来るもんじゃない。
「燐くん、お餅まるめるのも楽しいで」
「勝呂のとーちゃん!」
「おとん、ただいま!」
「お帰り、さぁ手伝ってや〜」
達磨の作る丸餅をお手本に、丸餅を初めて作ってみる。
餅とり粉を手につけてきゅっと絞って千切る。案外簡単そうだが、難しい。
「楽しいやろ。後でおやつにおろし餅しよな」
「おろし餅?」
それに反応したのはしえみだ。
「もちを大根おろし醤油の鉢に放り込んで食べるんや。おいしいで」
ふと、視野に入ったのだろう。
「わーっ!?奥村先生!片手なんやさかい、無理せんで下さい!」
騒ぐ子猫丸に、皆の視線が雪男に向けば、確かにお餅が手に張り付いている。
「違うんや子猫丸・・・先生は、両手使えるんや・・・ただ」
勝呂に視線を向けられ、本人が説明しずらいだろう説明を玲薇がした。
「あー・・・雪男、ここでも不器用さが出たのね」
「?はい?」
クリスマスパーティーで班が一緒だった勝呂は事情を知っている。
「すみません、僕ではお役に立てないそうです」
「じゃあ雪男くん、お台所でおろし醤油の鉢、もらってきてくれる?」
「はい」
「一人で大丈夫?」
心配で玲薇が聞けば、雪男は振り向いてくれる。
「そこまで出来なくないから、大丈夫だよ」
「・・・・・・・・・」
燐は黙って、二人の会話を見守る。
玲薇と話す雪男の笑った顔は、昔と変わらないけれど。
他の皆と自分に向けられる雪男の笑った顔は、何か違って見えていた。
あの夜、生まれた経緯に関しての話をしてから、燐は二人と喋れていない。
(雪男の奴、いつも通りの営業スマイルに見えるけど、変だ。何かが違う気がする。
それに俺、玲薇にも、さけられてんのかな・・・)
彼女が最近隣によくいるのは、雪男か、勝呂だ。
「・・・・・・・・」
燐の隣にいたくない訳じゃない。いつものように話してしまえば、口が滑って雪男の事を話してしまうかもしれないから。
『何の解決にもならないよ』
そんな風に、言われた。確かに答えが彼から返ってくれば話ははやいけど。期待は薄いだろう。
「さあ、おろし餅やろか〜!!」
そして、今日の夕飯はお餅とありあわせでも豪華だ。
それまで子供たちと一緒に遊んだりと、普段出来ない体験を沢山させてもらう。
夕飯の時間に、手伝いを申し出て皆の場所に戻るが、勝呂がいない。
「あれ、勝呂くんは?」
「僕呼んで来ようか」
確信がある訳じゃない、でも。
「勝呂くんなら、僕達の事を何か知ってるかもしれない」
そう雪男に、耳打ちされた。
「・・・え?」
どういう事だろう。
そう子猫丸に抱きついてきた女の子。
「わぁ、弓ちゃん。変わらへんなぁ」
「何で夏帰った時連絡くれへんかったん?弓、会いたかった!!」
顔を赤く染め、子猫丸に必死にしがみつく女の子を見て玲薇は思った。
(・・・私も、燐に対してああになればよかったのかな・・・)
「あの子は?」
再び燐が聞いている。
「一番下の妹・・・弓ちゃん、お兄ちゃんも帰ってきたで?」
「廉兄おかえりー。はあぁ〜♡9か月ぶりの子猫しゃんのにおいいぃぃ」
背中にしがみつき、すーはーと大胆に息を吸っては吐いている。
「はは、ほんま面白いなぁ弓ちゃんは」
「子猫さんをマジで狙ってるんや」
志摩は嫌がってるようだが、好きなものはしょうがない。
チラッと燐を見れば目が合い、玲薇は顔を赤くする。
(雪男と話してから、燐とまともに話せてないけど、あの子みたいに執着できなくなってる・・・)
本当は、もっと。もっと・・・我慢なんてしなくていいのなら。
顔を反らしても、燐からも自分からも話かけることはなくなってしまっている。
「ただいま」
「剛兄!」
また知らぬ、志摩の兄弟が現れた。
「デケェ」
「剛造!!」
「剛兄!?」
「金造」
「ごうにぃい!どけや、廉造!!」
「なんで」
会うなり金造の飛び蹴りをくらう志摩。
「剛兄、めっちゃ会いたかったわあぁあ!カッケェエ!!」
「・・・志摩くんて、兄弟いっぱいいるんだね」
後ろ隣にいる勝呂に玲薇が言った。
「せやな。志摩んち集まるだけで賑やかなやな」
「坊、ただいま」
「剛造!」
志摩の紹介によると、剛造は二つ上のお兄さんで、祓魔師で海外のどっかの支部に出張中だとか。
「はぁ〜、到着10分でもう帰りたいわ・・・」
「いいじゃん、にぎやかで!もちつきてーな!」
イヤイヤな志摩を励ます燐。
「柔造さん!この度はご招待いただきありがとうございます」
雪男が柔造に、頭を下げる。
「おう、メガネくん。その節は、こっちこそ色々手伝ってもらえると助かるわ」
「さっそく何かありますか?」
「それじゃ、丸餅つくるの手伝ってもらえるか?」
「はい」
「もちつきじゃないのか〜」
燐は少し残念そうである。まぁ餅つきなんて、滅多に出来るもんじゃない。
「燐くん、お餅まるめるのも楽しいで」
「勝呂のとーちゃん!」
「おとん、ただいま!」
「お帰り、さぁ手伝ってや〜」
達磨の作る丸餅をお手本に、丸餅を初めて作ってみる。
餅とり粉を手につけてきゅっと絞って千切る。案外簡単そうだが、難しい。
「楽しいやろ。後でおやつにおろし餅しよな」
「おろし餅?」
それに反応したのはしえみだ。
「もちを大根おろし醤油の鉢に放り込んで食べるんや。おいしいで」
ふと、視野に入ったのだろう。
「わーっ!?奥村先生!片手なんやさかい、無理せんで下さい!」
騒ぐ子猫丸に、皆の視線が雪男に向けば、確かにお餅が手に張り付いている。
「違うんや子猫丸・・・先生は、両手使えるんや・・・ただ」
勝呂に視線を向けられ、本人が説明しずらいだろう説明を玲薇がした。
「あー・・・雪男、ここでも不器用さが出たのね」
「?はい?」
クリスマスパーティーで班が一緒だった勝呂は事情を知っている。
「すみません、僕ではお役に立てないそうです」
「じゃあ雪男くん、お台所でおろし醤油の鉢、もらってきてくれる?」
「はい」
「一人で大丈夫?」
心配で玲薇が聞けば、雪男は振り向いてくれる。
「そこまで出来なくないから、大丈夫だよ」
「・・・・・・・・・」
燐は黙って、二人の会話を見守る。
玲薇と話す雪男の笑った顔は、昔と変わらないけれど。
他の皆と自分に向けられる雪男の笑った顔は、何か違って見えていた。
あの夜、生まれた経緯に関しての話をしてから、燐は二人と喋れていない。
(雪男の奴、いつも通りの営業スマイルに見えるけど、変だ。何かが違う気がする。
それに俺、玲薇にも、さけられてんのかな・・・)
彼女が最近隣によくいるのは、雪男か、勝呂だ。
「・・・・・・・・」
燐の隣にいたくない訳じゃない。いつものように話してしまえば、口が滑って雪男の事を話してしまうかもしれないから。
『何の解決にもならないよ』
そんな風に、言われた。確かに答えが彼から返ってくれば話ははやいけど。期待は薄いだろう。
「さあ、おろし餅やろか〜!!」
そして、今日の夕飯はお餅とありあわせでも豪華だ。
それまで子供たちと一緒に遊んだりと、普段出来ない体験を沢山させてもらう。
夕飯の時間に、手伝いを申し出て皆の場所に戻るが、勝呂がいない。
「あれ、勝呂くんは?」
「僕呼んで来ようか」
確信がある訳じゃない、でも。
「勝呂くんなら、僕達の事を何か知ってるかもしれない」
そう雪男に、耳打ちされた。
「・・・え?」
どういう事だろう。