第十六話 正月と寿
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今日は皆で京都に行く日だ。志摩の兄である柔造から連絡を受け、結婚式に出る為でもある。
(・・・結婚式、かぁ・・・)
新幹線に乗ってる時、玲薇は窓際の席に座らせてもらいずっと外の風景を見ていた。
結婚式・・・それは、人を好きになった事があるのだから、一度は夢を見る。けど、最近はそれは鬱陶しいものだった。
(誘ってもらったのは嬉しいけど・・・素直にお祝いの気分じゃない・・・)
二人席に座っている玲薇の隣には、何故か雪男がいる。
「・・・浮かない顔だね」
「・・・うん・・・」
雪男から聞いたあの日・・・左目の事を聞いた後。
『左目・・・もしかして、前に感じた光の事・・・?』
強引にキスされたあの日に一瞬見た、雪男の左目の異変。
『その光が、私のと一緒かもしれないって事・・・?』
知らなかった、何も。知ろうとしなかった、何も。
雪男は、燐と双子だ。
中学の時、不登校だった燐と違い、学校ではいつも雪男がそばにいてくれていた。
自分とは違い、その頃から雪男は勉強が出来て女子からも人気が高かった。
高校生である今も、何も不具合なんかないと思っていたけど。
女子から言い寄られるのに雪男は、玲薇を言い訳に彼女は作らない。
ただ都合のいいように使われているもんだと思って、対して雪男に好意はなかった。
それより心配だったのは、燐だったから。人一倍優しい燐。
けれど、力が通常の人と違った燐は、よく空回りしてしまい上手くいかなくて。
周りの人に、燐を勘違いして欲しくなかったから・・・。
真っ先に手を差し伸べてくれて、落ち込んでいた自分に元気をくれたのは燐だった。
理由なんてないけど、燐が好き。彼がいなかったら、自分は変われてなかったかもしれない。
『何で兄さんなんだ』
雪男がどうしてそういつも燐に対してムキになるのかなと思っていた。
けど、雪男に言われていた。好きだって言葉。
(・・・本気で私を好きでいてくれていた・・・いつも、雪男の事はみていなかった・・・)
雪男は自分よりモテるし、勉強だって出来るから。
「雪男」
窓から目をそらし、雪男の顔をみる。
「ん?」
「・・・・・ごめんね・・・」
「何が?」
「いつも雪男の事、考えてなくて・・・」
「いいよ、もう。お互い様だし。でも、この間話した事を誰かに言ったら、今度こそ容赦しないかも」
「・・・ッ。どうして、燐には相談しないの?」
「さぁ、なんでかなぁ・・・。話しても、きっと何の解決にもならないよ。
玲薇に話したのは、状況が一緒だからかな・・・兄さんよりはバカじゃないし」
「なっ!」
「ははっ」
雪男と玲薇を除き、燐、しえみ、出雲、勝呂、子猫丸、志摩は六人で向かい合って座っている。
「くそ・・・あの二人、何話してんだ」
「・・・なんやろなぁ。秘密の恋話、とか?」
「志摩じゃねぇんだ。絶対違うね!あの雪男・・・いや、雪男だからか・・・」
「心当たりありそうやなぁ」
否定しきれない燐に、子猫丸は苦笑い。
「雪ちゃんと風美夜さんに直接聞くのはダメなの?」
隣のしえみが首をかしげる。
「・・・無理」
「ま、散々玲薇を酷い目に合わせてるんだから、いいんじゃない?」
キッパリ言い切る出雲に、事実であるが故言い返せない。
「・・・・・・・(クソっ)」
そんな会話を、外の風景を見ながらボーッと聞いている勝呂。メフィストの言葉を思い出す。
『あの子に、母親も父親も存在しない。人間の手によって作られた、サタンの血を引く者』
「・・・・・・・・・・」
これを奥村兄弟と本人に言ってしまったら、どうなってしまうのだろう。
普段変わらないように接してはいるももの、何気ない時にふと思い出してしまう。
京都駅に着き、さっそく目的の場所虎屋を目指す。
「お母、ただいま!」
「坊!お帰りなさい」
「竜士!」
笑顔で迎えてくれる女将さんだが、勝呂の変わった髪型を見て唖然とする。
だが、再びニコニコし、ポンと手をついた。
「そう・・・!そういう事やで♡竜士!」
「どういう事やねん!?」
「女将さん、お久しぶりです〜」
様子を見て、子猫丸も頭を下げている。
「みんな、ようおこしやす!お部屋案内するさかい、おばさんについて来て〜」
「また貸し切りなんか?」
勝呂が問いかける。
「そうや。二つの家の親戚みんな集まってんねんから」
部屋に行く為に襖を開けて行くと、何やら雄叫びのような賑やかな声が聞こえてくる。
庭にて餅つきをしている金造に、柔造が指揮をとっている姿があった。
「廉造!ええとこ来た、ちっと手伝えや!」
だが、相変わらず志摩は身を引いてしばらく眺めていた。
「金造!!力入れ過ぎや、杵割れるやろボケェ!!」
「シャアラァアス!!!」
迫力ある餅つきに、諦める。
「あ、遠慮しまーす」
が、次の瞬間志摩がガクンと、膝をつき倒れ込む。
「!?」
「ぎゃははは!!」
「・・・・・」
彼の後ろには、膝カックンをさせた張本人の小さな女の子がいたのだ。
「これ天!!廉おじちゃんに何してんの!」
「盾姉!!」
彼女に気付いた柔造が、もう一人抱き抱えられていた赤子の頭をなでに来た。
「陸介兄さんもお久しぶりです!剣介〜!おおきなったなあ!!」
「お母と蝮ちゃんは?」
「台所でお節の仕込み」
ワイのワイの賑やかな家族に、玲薇は唖然としている。
志摩の親戚の人が多すぎて分からない。
「あの人達は?」
燐が志摩に聞いた。
「あ〜一番上の姉ちゃん・・・と、旦那の陸介さんと姪っ子甥っ子」
「もうおじさんだったんだな」
「やめて」
(・・・結婚式、かぁ・・・)
新幹線に乗ってる時、玲薇は窓際の席に座らせてもらいずっと外の風景を見ていた。
結婚式・・・それは、人を好きになった事があるのだから、一度は夢を見る。けど、最近はそれは鬱陶しいものだった。
(誘ってもらったのは嬉しいけど・・・素直にお祝いの気分じゃない・・・)
二人席に座っている玲薇の隣には、何故か雪男がいる。
「・・・浮かない顔だね」
「・・・うん・・・」
雪男から聞いたあの日・・・左目の事を聞いた後。
『左目・・・もしかして、前に感じた光の事・・・?』
強引にキスされたあの日に一瞬見た、雪男の左目の異変。
『その光が、私のと一緒かもしれないって事・・・?』
知らなかった、何も。知ろうとしなかった、何も。
雪男は、燐と双子だ。
中学の時、不登校だった燐と違い、学校ではいつも雪男がそばにいてくれていた。
自分とは違い、その頃から雪男は勉強が出来て女子からも人気が高かった。
高校生である今も、何も不具合なんかないと思っていたけど。
女子から言い寄られるのに雪男は、玲薇を言い訳に彼女は作らない。
ただ都合のいいように使われているもんだと思って、対して雪男に好意はなかった。
それより心配だったのは、燐だったから。人一倍優しい燐。
けれど、力が通常の人と違った燐は、よく空回りしてしまい上手くいかなくて。
周りの人に、燐を勘違いして欲しくなかったから・・・。
真っ先に手を差し伸べてくれて、落ち込んでいた自分に元気をくれたのは燐だった。
理由なんてないけど、燐が好き。彼がいなかったら、自分は変われてなかったかもしれない。
『何で兄さんなんだ』
雪男がどうしてそういつも燐に対してムキになるのかなと思っていた。
けど、雪男に言われていた。好きだって言葉。
(・・・本気で私を好きでいてくれていた・・・いつも、雪男の事はみていなかった・・・)
雪男は自分よりモテるし、勉強だって出来るから。
「雪男」
窓から目をそらし、雪男の顔をみる。
「ん?」
「・・・・・ごめんね・・・」
「何が?」
「いつも雪男の事、考えてなくて・・・」
「いいよ、もう。お互い様だし。でも、この間話した事を誰かに言ったら、今度こそ容赦しないかも」
「・・・ッ。どうして、燐には相談しないの?」
「さぁ、なんでかなぁ・・・。話しても、きっと何の解決にもならないよ。
玲薇に話したのは、状況が一緒だからかな・・・兄さんよりはバカじゃないし」
「なっ!」
「ははっ」
雪男と玲薇を除き、燐、しえみ、出雲、勝呂、子猫丸、志摩は六人で向かい合って座っている。
「くそ・・・あの二人、何話してんだ」
「・・・なんやろなぁ。秘密の恋話、とか?」
「志摩じゃねぇんだ。絶対違うね!あの雪男・・・いや、雪男だからか・・・」
「心当たりありそうやなぁ」
否定しきれない燐に、子猫丸は苦笑い。
「雪ちゃんと風美夜さんに直接聞くのはダメなの?」
隣のしえみが首をかしげる。
「・・・無理」
「ま、散々玲薇を酷い目に合わせてるんだから、いいんじゃない?」
キッパリ言い切る出雲に、事実であるが故言い返せない。
「・・・・・・・(クソっ)」
そんな会話を、外の風景を見ながらボーッと聞いている勝呂。メフィストの言葉を思い出す。
『あの子に、母親も父親も存在しない。人間の手によって作られた、サタンの血を引く者』
「・・・・・・・・・・」
これを奥村兄弟と本人に言ってしまったら、どうなってしまうのだろう。
普段変わらないように接してはいるももの、何気ない時にふと思い出してしまう。
京都駅に着き、さっそく目的の場所虎屋を目指す。
「お母、ただいま!」
「坊!お帰りなさい」
「竜士!」
笑顔で迎えてくれる女将さんだが、勝呂の変わった髪型を見て唖然とする。
だが、再びニコニコし、ポンと手をついた。
「そう・・・!そういう事やで♡竜士!」
「どういう事やねん!?」
「女将さん、お久しぶりです〜」
様子を見て、子猫丸も頭を下げている。
「みんな、ようおこしやす!お部屋案内するさかい、おばさんについて来て〜」
「また貸し切りなんか?」
勝呂が問いかける。
「そうや。二つの家の親戚みんな集まってんねんから」
部屋に行く為に襖を開けて行くと、何やら雄叫びのような賑やかな声が聞こえてくる。
庭にて餅つきをしている金造に、柔造が指揮をとっている姿があった。
「廉造!ええとこ来た、ちっと手伝えや!」
だが、相変わらず志摩は身を引いてしばらく眺めていた。
「金造!!力入れ過ぎや、杵割れるやろボケェ!!」
「シャアラァアス!!!」
迫力ある餅つきに、諦める。
「あ、遠慮しまーす」
が、次の瞬間志摩がガクンと、膝をつき倒れ込む。
「!?」
「ぎゃははは!!」
「・・・・・」
彼の後ろには、膝カックンをさせた張本人の小さな女の子がいたのだ。
「これ天!!廉おじちゃんに何してんの!」
「盾姉!!」
彼女に気付いた柔造が、もう一人抱き抱えられていた赤子の頭をなでに来た。
「陸介兄さんもお久しぶりです!剣介〜!おおきなったなあ!!」
「お母と蝮ちゃんは?」
「台所でお節の仕込み」
ワイのワイの賑やかな家族に、玲薇は唖然としている。
志摩の親戚の人が多すぎて分からない。
「あの人達は?」
燐が志摩に聞いた。
「あ〜一番上の姉ちゃん・・・と、旦那の陸介さんと姪っ子甥っ子」
「もうおじさんだったんだな」
「やめて」