第十六話 正月と寿
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雪男はハッとし、顔を上げて玲薇を見る。
『僕達も青い炎を継いでると思う?』
志摩にイルミナティからの誘い話をされ、玲薇にも話すと言われ。
その後彼女にそう質問を投げかけた。だけど彼女はおどけた表情で。だから・・・『青い光』も聞いてみたけど。
あの時、ルシフェルに会ったのは自分だけじゃない。きっと玲薇も会ってるハズなんだ。
自分達以上にきっと、彼女は自分の事を知らないハズなのに。
「プッ」
なんだか可笑しくなって、笑いが込み上げる。
「クックックッあはははははは!!はは・・・ごめん・・・そうだったね!
考え方を変えられるわけじゃない。どっちも正しくて間違ってて。
僕らは本当に、気の合わない兄弟だったもんね。忘れてたよ、大声出してごめん。
玲薇も、起こして悪かったよ。お休み、二人とも。忘れて」
「・・・・・・・燐・・・・・・」
不安な声の玲薇に、燐は困ったように髪の毛をかく。
「・・・・・・・・・・・」
再びベッドに横になって思った。二人に、『おめでとう』と言えなくて。良い日なのか悪い日なのか、どっちもどっちだ。
あれ以来、燐がいくら雪男に話かけても、返ってくる返事は空返事だ。
「・・・玲薇は、自分の事をどう思ってるんだ?」
不意に、燐が聞いてきた。
「シュラから俺らの母ちゃんの話聞く時、先に部屋に行っただろ?やっぱり、居心地よくねぇよな」
「・・・・・・そう、だね。正直、羨ましかった。あぁ、やっぱり二人にはちゃんとどんな形であれ、
お父さんもお母さんもいたんだなぁって。私のお母さんは、お父さんが言ってた巫女さんしか知らない。
それも本当なのか嘘なのかも、もうわからないから。私以上に両親の事知ってるのに、
雪男はなんであんなに焦ってるのかな・・・」
雪男に、正直に相談をしてみようか。上手くいくかわからないけど。
「ねぇ、燐」
「ん?」
「なんか、いろいろ気遣わせてごめんね?」
「何言ってんだ、今更。玲薇だって本当は、俺なんかより頭良くてカッコよくて、頼れる奴が好きだったんだろ?
最近、勝呂とよく笑って話してるから・・・いい奴、だもんなアイツ」
そんなしょげたように言う燐に、小さくため息をつく。
「何言ってんの。勝呂くんとはそんな関係じゃないよ。私普通じゃないから、勝呂くんに迷惑だって。
それより心配なのは雪男だよ。やっぱり・・・ちゃんと話をするべきなのかな・・・」
「何を?」
「こっちの話」
いまも、手を伸ばせば抱き寄せる事だって出来る。けれど彼女は今、燐を、自分を見ていない。
玲薇は携帯を取り出し、雪男のアドレスを探す。
【雪男、今日話したいことがあるんだけど時間あるかな?】
そう、文面を打ってLINEを送る。
「・・・話したいこと・・・」
雪男と二人になれる時間なんてほとんどない。
燐と早めに寝室に行って、寝たフリして。すっかり燐が寝てからこっそり部屋を出る。
普段、自分達がキッチンとして使っている部屋で待っていれば、雪男は来てくれた。
「話って、なに?」
「うん・・・え、と・・・私達も、やっぱりサタンの力があるのかなって・・・」
「っ・・・!あんな強気に否定してたのに、急にどうしたのさ。あぁ、僕があんな風に昨日聞いたから?」
ここで押し負けてもダメだ。玲薇はギュッと拳を握りしめる。
「雪男も、キメラゾンビと戦ってる時にルシフェルに会ったの?」
彼の目を見てそう聞けば、見開かれた。
「私はあの時言われた。サタンを復活させる時に組み込まれるって。
黙ってようと思ったけど!皆がそばにいてくれれば、自分は何者でもいいって思ったけど!
志摩くんにも言われたんでしょ?イルミナティに来るかって。雪男は、迷ってるの?
お母さんもお父さんもいるのがわかってるのに、それ以上に自分達の秘密の何を知りたいの!?」
自分でも驚く程に強気な言い方になってしまっていた。それでも、後に引こうなんて考えていない。
「教えて、雪男の考えてること。これ以上、バラバラになるのは嫌だよ・・・」
せっかく同じ学校で、せっかく同じ寮にいるのに。
「でも、そっか。私普通じゃないから、皆といなくてもいいって、最近よく思うんだ。燐とも、一緒にいれない・・・」
玲薇は、兄や自分よりも自分が産まれた本当の日も、お母さんの名前も、力の秘密も知らない事が多い。
「・・・玲薇、だから言ってたよね僕。何で兄さんなんだって。気持ちは、今でも兄さんなんだろ?」
向かい合って立って話している玲薇のもとへ、雪男はゆっくり近づく。
「ねぇ、僕のキスと兄さんのキスは、どっちがよかった?」
「は?」
メガネ越しの向こうの雪男の目は、冗談なのか本気なのか、薄らと目を細めて聞いてくる。
「双子だから、やっぱそういうのも似てるのかな。以前は強引にしちゃって悪かったけど」
「ちょ、何聞いてるのよ」
「もし、玲薇が兄さんの事を今でも想ってるなら、僕と一緒に死んでみる?」
雪男が何を思ってそんな事を聞いているのか、理解出来ない。
「・・・なんで、そうなるの・・・(確かに一度死のうとヤケになったけど・・・)」
あの時は、燐が止めてくれたから。
「・・・サタンを復活させない、唯一の方法だと思ったからだよ」
「だからって、そんな冗談」
「冗談じゃないよ。何だっていい、どんなんだって構わない。僕は、君と一緒にいたかった。
前にも言ったよね?僕は、君が好きだって。あの時は答えを聞かないでしてしまったけど。
好きじゃなきゃ、あんなこと絶対にしない」
君はまた、上手く言い訳を考えてくるんだろうけれど。
「・・・雪男、ごめんね・・・」
謝ってほしくはないのに。でも、これだけは伝えておこう。
「確証はない。けど、僕の左目にも何か起こってる。それがまだ何なのか判らない、知らなくちゃ」
他の誰にも言っていない、二人だけの秘密。
「左目・・・」
『僕達も青い炎を継いでると思う?』
志摩にイルミナティからの誘い話をされ、玲薇にも話すと言われ。
その後彼女にそう質問を投げかけた。だけど彼女はおどけた表情で。だから・・・『青い光』も聞いてみたけど。
あの時、ルシフェルに会ったのは自分だけじゃない。きっと玲薇も会ってるハズなんだ。
自分達以上にきっと、彼女は自分の事を知らないハズなのに。
「プッ」
なんだか可笑しくなって、笑いが込み上げる。
「クックックッあはははははは!!はは・・・ごめん・・・そうだったね!
考え方を変えられるわけじゃない。どっちも正しくて間違ってて。
僕らは本当に、気の合わない兄弟だったもんね。忘れてたよ、大声出してごめん。
玲薇も、起こして悪かったよ。お休み、二人とも。忘れて」
「・・・・・・・燐・・・・・・」
不安な声の玲薇に、燐は困ったように髪の毛をかく。
「・・・・・・・・・・・」
再びベッドに横になって思った。二人に、『おめでとう』と言えなくて。良い日なのか悪い日なのか、どっちもどっちだ。
あれ以来、燐がいくら雪男に話かけても、返ってくる返事は空返事だ。
「・・・玲薇は、自分の事をどう思ってるんだ?」
不意に、燐が聞いてきた。
「シュラから俺らの母ちゃんの話聞く時、先に部屋に行っただろ?やっぱり、居心地よくねぇよな」
「・・・・・・そう、だね。正直、羨ましかった。あぁ、やっぱり二人にはちゃんとどんな形であれ、
お父さんもお母さんもいたんだなぁって。私のお母さんは、お父さんが言ってた巫女さんしか知らない。
それも本当なのか嘘なのかも、もうわからないから。私以上に両親の事知ってるのに、
雪男はなんであんなに焦ってるのかな・・・」
雪男に、正直に相談をしてみようか。上手くいくかわからないけど。
「ねぇ、燐」
「ん?」
「なんか、いろいろ気遣わせてごめんね?」
「何言ってんだ、今更。玲薇だって本当は、俺なんかより頭良くてカッコよくて、頼れる奴が好きだったんだろ?
最近、勝呂とよく笑って話してるから・・・いい奴、だもんなアイツ」
そんなしょげたように言う燐に、小さくため息をつく。
「何言ってんの。勝呂くんとはそんな関係じゃないよ。私普通じゃないから、勝呂くんに迷惑だって。
それより心配なのは雪男だよ。やっぱり・・・ちゃんと話をするべきなのかな・・・」
「何を?」
「こっちの話」
いまも、手を伸ばせば抱き寄せる事だって出来る。けれど彼女は今、燐を、自分を見ていない。
玲薇は携帯を取り出し、雪男のアドレスを探す。
【雪男、今日話したいことがあるんだけど時間あるかな?】
そう、文面を打ってLINEを送る。
「・・・話したいこと・・・」
雪男と二人になれる時間なんてほとんどない。
燐と早めに寝室に行って、寝たフリして。すっかり燐が寝てからこっそり部屋を出る。
普段、自分達がキッチンとして使っている部屋で待っていれば、雪男は来てくれた。
「話って、なに?」
「うん・・・え、と・・・私達も、やっぱりサタンの力があるのかなって・・・」
「っ・・・!あんな強気に否定してたのに、急にどうしたのさ。あぁ、僕があんな風に昨日聞いたから?」
ここで押し負けてもダメだ。玲薇はギュッと拳を握りしめる。
「雪男も、キメラゾンビと戦ってる時にルシフェルに会ったの?」
彼の目を見てそう聞けば、見開かれた。
「私はあの時言われた。サタンを復活させる時に組み込まれるって。
黙ってようと思ったけど!皆がそばにいてくれれば、自分は何者でもいいって思ったけど!
志摩くんにも言われたんでしょ?イルミナティに来るかって。雪男は、迷ってるの?
お母さんもお父さんもいるのがわかってるのに、それ以上に自分達の秘密の何を知りたいの!?」
自分でも驚く程に強気な言い方になってしまっていた。それでも、後に引こうなんて考えていない。
「教えて、雪男の考えてること。これ以上、バラバラになるのは嫌だよ・・・」
せっかく同じ学校で、せっかく同じ寮にいるのに。
「でも、そっか。私普通じゃないから、皆といなくてもいいって、最近よく思うんだ。燐とも、一緒にいれない・・・」
玲薇は、兄や自分よりも自分が産まれた本当の日も、お母さんの名前も、力の秘密も知らない事が多い。
「・・・玲薇、だから言ってたよね僕。何で兄さんなんだって。気持ちは、今でも兄さんなんだろ?」
向かい合って立って話している玲薇のもとへ、雪男はゆっくり近づく。
「ねぇ、僕のキスと兄さんのキスは、どっちがよかった?」
「は?」
メガネ越しの向こうの雪男の目は、冗談なのか本気なのか、薄らと目を細めて聞いてくる。
「双子だから、やっぱそういうのも似てるのかな。以前は強引にしちゃって悪かったけど」
「ちょ、何聞いてるのよ」
「もし、玲薇が兄さんの事を今でも想ってるなら、僕と一緒に死んでみる?」
雪男が何を思ってそんな事を聞いているのか、理解出来ない。
「・・・なんで、そうなるの・・・(確かに一度死のうとヤケになったけど・・・)」
あの時は、燐が止めてくれたから。
「・・・サタンを復活させない、唯一の方法だと思ったからだよ」
「だからって、そんな冗談」
「冗談じゃないよ。何だっていい、どんなんだって構わない。僕は、君と一緒にいたかった。
前にも言ったよね?僕は、君が好きだって。あの時は答えを聞かないでしてしまったけど。
好きじゃなきゃ、あんなこと絶対にしない」
君はまた、上手く言い訳を考えてくるんだろうけれど。
「・・・雪男、ごめんね・・・」
謝ってほしくはないのに。でも、これだけは伝えておこう。
「確証はない。けど、僕の左目にも何か起こってる。それがまだ何なのか判らない、知らなくちゃ」
他の誰にも言っていない、二人だけの秘密。
「左目・・・」