第十六話 正月と寿
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シュラが思い出しながら、懐かしむように燐と雪男の母親であるユリ・エギンの話をしていた。
「十八年前、八郎から保護したアタシを持て余した獅郎は、まずユリの所へ連れていったんだ」
『ユリ!!ちょっと頼みがある!』
『えー、一つ貸しだよ』
『チッ・・・ちょっとコイツ、クッセーからどーにかしてくれ!女だし、どー扱っていいか判らん!』
『あらま』
カーテンで仕切られてきる向こう側にいるユリに、獅郎が礼を言う。
『悪りィな』
『ううん。ちょーどお風呂入りたいところだったからついでだよ。ハイ、シュラちゃん目をつむって。
赤い髪。綺麗だねぇ』
話しかけてくれるユリに、獅郎以外に懐こうとしないシュラは話そうとしない。
お風呂から出て、小さいシュラに合う服をタンスから引き出しながら、獅郎に問いかける。
『この子、どーしたの?これじゃ大きいか・・・』
『任務の最中拾ったんだが・・・施設が満員で空くまで俺が面倒見ろってメフィストが・・・ったく、冗談じゃねーぜ』
と、良いタイミングなんだか悪いタイミングなんだか、シュラと獅郎のお腹が盛大になった。
『『・・・・・・・』』
三人で食卓を囲み、ユリは手を合わせる。
『いっただきまーす!!』
シュラはまず、匂いを確かめてから。そして、勢いよく頬張る。
『おいしい?』
その様子を嬉しそうに見ながらユリが言うが、やはりシュラは無視だ。
『あはは!』
『・・・ユリ、お前がコイツの面倒見てくんねーか?俺には無理だ、判るだろ。
そーじゃなきゃ、アサイラムに放り込むことになる。それは、俺も・・・』
『やだ!!』
そう感情むき出しに獅郎にしがみつくシュラ。
『あ?放せこのガキ』
『ふふふ、獅郎がいいんだって!引き離したら恨まれちゃう』
『はぁ!?』
『それとも、ここで一緒に暮らす?獅郎がお父さん役で、私がお母さん役をやるの。楽しそうじゃない?』
『・・・楽しくねーよ。冗談ぬかすな、変態女が』
『そうかなぁ、きっと素敵なのに』
「お前達の母親は、明るくてやさしい綺麗な人だった。アタシなんか、一生敵わないって思ったよ。
目は燐に似てたかな。黒子が多いのは、雪男に似てたかも。そんだけ!話は終わりだ。
誕生日おめでとう、燐、雪男」
シュラとも別れ、お互い寝室に行く。
「・・・玲薇、もう寝たかな?」
「さぁ」
暗くなっている部屋に、ベッドに横になってる玲薇の姿に安心する。
またいなくなってしまったんじゃないかと、燐は内心ソワソワしていたがホッとした。
ベッドに横になっても、眠気のこない雪男は燐に話かけた。
「・・・兄さん、起きてる?」
「・・・ん?」
「母さんの話、どう思った」
「どうって・・・俺、母ちゃんの名前も知らなかったし・・・ちゃんと存在してたんだなって知れてよかったよ」
ふと、二人の話す気配に、無意識に玲薇も目を覚ます。
「兄さん、僕達の生まれた経緯を知りたくないか?」
生まれた経緯ー・・・どうして雪男はそこまで深く知りたいのか。
玲薇と違い、母親もちゃんといて誕生日もあって。それだけで彼女は羨ましいのに。
雪男の話に、何となく耳をすませる。
「"ユリ・エギン"は騎士團内でサタンの子を宿した重罪人として、ほとんどの情報が機密扱いなんだ。
だけど僕は知りたい。どうやって自分が生まれて、何故秘密にされているのか。
・・・兄さんは、今も知る必要ないって思ってるなの?」
「・・・そーだな。楽しい話じゃねーのは、判りきってるし、そんなん知ったって何もいいことねーよ。
誕生日に、母ちゃんがキレーでやさしい人だって判っただけで、俺はもう十分だ」
「・・・(燐・・・)」
玲薇はギュッと布団を握りしめる。
ベッドから起き上がった燐は、ドアの方へ向かっていた。それが更に、雪男をイラつかせる。
「・・・どこ行く気・・・?」
「小便」
「ふざけるな!!何が誕生日だ!本当はいつ生まれたかも判らないのに!!」
滅多に聞かない雪男の怒鳴り声に燐は目を見開き、玲薇も思わず上半身を起こして二人を見る。
「普段は考えなしで突っ走るクセに・・・何で・・・何でそこだけ消極的なんだよ!ビビリはどっちだ!!」
兄弟喧嘩なんてしょっちゅうだけど・・・こんな取り乱す雪男は初めてだ。
「な、何だよ・・・!?何キレてんだ急に・・・!いや・・・つーか、知ってどーすんだよ!?
何でそんなに知りてーんだ!」
「・・・なんでって・・・」
「ど、どーしたの二人とも・・・?」
話を聞いてなかったように、自然と話に入れるように。何事も知らないように玲薇が聞く。
「十八年前、八郎から保護したアタシを持て余した獅郎は、まずユリの所へ連れていったんだ」
『ユリ!!ちょっと頼みがある!』
『えー、一つ貸しだよ』
『チッ・・・ちょっとコイツ、クッセーからどーにかしてくれ!女だし、どー扱っていいか判らん!』
『あらま』
カーテンで仕切られてきる向こう側にいるユリに、獅郎が礼を言う。
『悪りィな』
『ううん。ちょーどお風呂入りたいところだったからついでだよ。ハイ、シュラちゃん目をつむって。
赤い髪。綺麗だねぇ』
話しかけてくれるユリに、獅郎以外に懐こうとしないシュラは話そうとしない。
お風呂から出て、小さいシュラに合う服をタンスから引き出しながら、獅郎に問いかける。
『この子、どーしたの?これじゃ大きいか・・・』
『任務の最中拾ったんだが・・・施設が満員で空くまで俺が面倒見ろってメフィストが・・・ったく、冗談じゃねーぜ』
と、良いタイミングなんだか悪いタイミングなんだか、シュラと獅郎のお腹が盛大になった。
『『・・・・・・・』』
三人で食卓を囲み、ユリは手を合わせる。
『いっただきまーす!!』
シュラはまず、匂いを確かめてから。そして、勢いよく頬張る。
『おいしい?』
その様子を嬉しそうに見ながらユリが言うが、やはりシュラは無視だ。
『あはは!』
『・・・ユリ、お前がコイツの面倒見てくんねーか?俺には無理だ、判るだろ。
そーじゃなきゃ、アサイラムに放り込むことになる。それは、俺も・・・』
『やだ!!』
そう感情むき出しに獅郎にしがみつくシュラ。
『あ?放せこのガキ』
『ふふふ、獅郎がいいんだって!引き離したら恨まれちゃう』
『はぁ!?』
『それとも、ここで一緒に暮らす?獅郎がお父さん役で、私がお母さん役をやるの。楽しそうじゃない?』
『・・・楽しくねーよ。冗談ぬかすな、変態女が』
『そうかなぁ、きっと素敵なのに』
「お前達の母親は、明るくてやさしい綺麗な人だった。アタシなんか、一生敵わないって思ったよ。
目は燐に似てたかな。黒子が多いのは、雪男に似てたかも。そんだけ!話は終わりだ。
誕生日おめでとう、燐、雪男」
シュラとも別れ、お互い寝室に行く。
「・・・玲薇、もう寝たかな?」
「さぁ」
暗くなっている部屋に、ベッドに横になってる玲薇の姿に安心する。
またいなくなってしまったんじゃないかと、燐は内心ソワソワしていたがホッとした。
ベッドに横になっても、眠気のこない雪男は燐に話かけた。
「・・・兄さん、起きてる?」
「・・・ん?」
「母さんの話、どう思った」
「どうって・・・俺、母ちゃんの名前も知らなかったし・・・ちゃんと存在してたんだなって知れてよかったよ」
ふと、二人の話す気配に、無意識に玲薇も目を覚ます。
「兄さん、僕達の生まれた経緯を知りたくないか?」
生まれた経緯ー・・・どうして雪男はそこまで深く知りたいのか。
玲薇と違い、母親もちゃんといて誕生日もあって。それだけで彼女は羨ましいのに。
雪男の話に、何となく耳をすませる。
「"ユリ・エギン"は騎士團内でサタンの子を宿した重罪人として、ほとんどの情報が機密扱いなんだ。
だけど僕は知りたい。どうやって自分が生まれて、何故秘密にされているのか。
・・・兄さんは、今も知る必要ないって思ってるなの?」
「・・・そーだな。楽しい話じゃねーのは、判りきってるし、そんなん知ったって何もいいことねーよ。
誕生日に、母ちゃんがキレーでやさしい人だって判っただけで、俺はもう十分だ」
「・・・(燐・・・)」
玲薇はギュッと布団を握りしめる。
ベッドから起き上がった燐は、ドアの方へ向かっていた。それが更に、雪男をイラつかせる。
「・・・どこ行く気・・・?」
「小便」
「ふざけるな!!何が誕生日だ!本当はいつ生まれたかも判らないのに!!」
滅多に聞かない雪男の怒鳴り声に燐は目を見開き、玲薇も思わず上半身を起こして二人を見る。
「普段は考えなしで突っ走るクセに・・・何で・・・何でそこだけ消極的なんだよ!ビビリはどっちだ!!」
兄弟喧嘩なんてしょっちゅうだけど・・・こんな取り乱す雪男は初めてだ。
「な、何だよ・・・!?何キレてんだ急に・・・!いや・・・つーか、知ってどーすんだよ!?
何でそんなに知りてーんだ!」
「・・・なんでって・・・」
「ど、どーしたの二人とも・・・?」
話を聞いてなかったように、自然と話に入れるように。何事も知らないように玲薇が聞く。