第十七話 先手必勝
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『もっと非情に』
B組も、確かに強い。生半可な気持ちで挑めばすぐA組の負けになるだろう。
骨抜が言うように、炎で最初に燃やしてしまえばA組の圧勝かもしれない。
けど、それをやたら滅多に出来ないのは、やっぱりどこか授業という名目があるからだと思う。
これが本物のヴィランであれば、彼の炎は容赦ないのは知っているから。
「・・・焦凍は、強いよ・・・」
歌恋は独り言で。彼は、誰よりも恐怖を知ってるから。優しさを、覚えたから。
(氷結で身動き取れなくなる前に発動した!超反応じゃん。一旦退い―・・・)
一歩下がった途端、尾白の体はバランスを崩し動きがとれなくなる。
「うわっ!」
「近辺、適当に柔くしといたから足場信頼しない方がいいぜ」
「尾白は俺が相手する!!」
回原が"個性"「旋回」で、ドリルのように回転している腕で攻撃してきた。
指先までドリルになっている回原の攻撃を、尻尾といえど何も防具を持たない尾白にとっては守る術がない。
「尾白く、んっ」
すぐに駆けつけようにも、どこもかしこも骨抜の"個性"で柔らかくなっている地面では、飯田の脚力が無効されている。
「氷の下の地面も柔いぜ。あんたはとても面倒だ。沈めて固めて放っとく」
「俺たちの連携を断つ気か・・・!!おのれヴィラン、狡猾なり!!」
確か前にも、飯田はこうやって形から入るなーなんて、歌恋は苦笑いしながら画面を見た。
「障子!」
「ぐっ!!」
氷の壁でガードしていたにもかかわらず、叫ぶ轟の後ろに障子は自在に動く角の攻撃をくらってしまう。
「捜索役の障子クンは、安全圏にいると!ケンカーイです。そう!例えば轟クンのバックとカネ!」
角取の"個性"「角砲」。頭に生えている二本の角を飛ばせる。飛ばした先からまた角は生えて、
現在四本までなら操作可能。角だからといって、威力もスピードもないわけじゃない。
「角ダッシュハンマー!!」
「!!」
鉄哲は氷の壁ごと破壊しながら、轟をガッシリとわしづかむ。
「てめェよォオ、冷てェんだよなァオイ、氷がよォオ。てつてつがきんきんだよ轟ィ!!
ステゴロでてめェよォなァ!?俺に勝てるかァ!?」
切島の"個性"に似ている鉄哲は、怯むことなく真っ正面からの攻撃だ。
それぞれの場面で、意表を突かれるA組メンバー。
「おのれェェ!!」
氷の地面に落ちて固まって動けない飯田が叫ぶ。
「悪いね。レシプロって、時限だろ?開幕使用は良くなくね?じゃ、俺鉄哲の加勢行くから」
「時限?いつの話だ、マッドマン!インゲニウムはいつでもどこへでも駆けつける。その為の脚!!
俺はもう!ずっと!フルスロットルだ!!」
飯田の新技「レシプロターボ」が動き出す。それは氷も、固まった地面もお構い無く突き進む威力。
「マジか」
「レシプロの馬力を底上げし、尚且つ掛かる燃費は最小限に!!10分だ!!10分!誰も俺を止められない!!」
「結局新技で初見殺しかよ!」
「ただし!」
言いながら、あっという間に飯田は骨抜の背後を取る。
「速すぎて、制御しきれない!!お縄だ、マッドマン!!」
速いスピードで骨抜の周りをまわる飯田。しかし、氷の地面を柔化し、骨抜は地面の中に潜り込む。
飯田が追い付いてこれないように氷の柔化した部分を再び硬くするのも忘れずに。
取り残された飯田は、遠くの方で建物が崩壊する音の方に向かう。
一方、尾白と回原の一騎討ちは、やや回原の方が尾白を押している。防具をつけていない彼の尻尾は、ズタボロだ。
「いなしてるだけじゃ勝てないって、知らないのかァ!?」
(攻撃しても、弾くじゃん!)
何より回原のドリルの攻撃を強化しているのは、サポートアイテムとして使用しているモノだ。
指先にはめているその道具は硬く、回原の「個性」と見事にマッチしていて、攻防と長けている。
「そらよっ!」
もう一撃、回原が攻撃しようとした時、何かに体を掴まれた。
「っ!?」
「飯田!!」
「回原くんを牢に入れる!!しばし離脱するが、すぐ戻る!尾白くんは轟くんの加勢に!!
骨抜くんも、恐らく向かってる!すぐ戻る!!」
「わかった!!(喋りも速くなるんだな・・・飯田!)」
「放せ、まだ良いとこ見せてないんだよ!」
体ごと目一杯使いドリルで攻撃するが、ロボのコスチュームを纏っている飯田は簡単にてばなさい。
「痛たたたたええい大人しくしたまえ!ヴィランに良いとこ見せてたまるか!」
「骨抜逃がしたんだろ!厄介さ見てんだろ!すぐあいつを追うとこだろうがよ!!普通!!
タイマン格闘の邪魔するとこじゃねぇだろ、インゲニウム!!」
「兄ならこうする。俺はそれに準ずる。訓練で曲げていては、本番でも曲げてしまうだろう」
二分程前、轟&障子VS鉄哲&角取の場面。
「んのヤロウ・・・!」
体制を立て直した轟は、氷の壁で距離を保とうとする。
「"俺拳"!!」
だが鉄哲は、依然正面戦闘容赦なく氷をバキバキに壊してくる。
「氷効かねェのにブッパとか、雑魚の動きだ」
爆豪の発言にイライラしてしまうが、見たまんまなので何も反抗できない。
「普通なら、氷で皮膚とかやられるけど、鉄哲くんの"個性"と相性最悪なんだ」
A組最強だと思っていた轟の"個性"。まさかここで、相性不利な相手がいると歌恋も思ってなかった。
「なるほど・・・」
似た"個性"に、自分は何ができるのか。
「鉄哲・・・!参考にするぜ・・・!」
グッと、切島は拳を握る。
「氷の防御なんぞ、正義の鉄拳でブチ破る!!」
「なら・・・炎の壁で!!」
一気に炎が巡り、燃え上がる。たまらずその場から逃げ出す角取を、障子に任せる。
(退いてくれ、一旦距離を・・・)
だが、これも鉄哲には効かない。燃え上がる炎の中を歩く鉄哲に、唖然とする。
「何で俺がてめェの相手してっか!!わかってねェなァ!?効かねェからだよ。
今度ァてつてつがチンチンだよ、オイ・・・!!」
鉄哲は、"個性"伸ばしの時に竈での暮らしを中心にしていた。氷はもとより、限界を超えて手に入れた彼の最高峰は、
炎さえも効果ない"個性"に仕上げてきたこと。半冷半燃、鉄哲には効かない。
「このまま気ィ失うまでブン殴る!!」
(焦凍・・・!)
胸ぐらを捕まれた轟は、容赦なく鉄哲の攻撃を受けてしまう。その度に、目をそらしたくなる。
でも駄目だ、目をそらすな。応援することしかできない歯がゆさ・・・同じチームだったら、何か出来たかもしれないのに。
授業だと、訓練だと分かっているけれど・・・。近くに駆け寄って、一緒に戦えないのがこんなにももどかしいんだ。
鉄哲が轟を捕らえ逃がさず、彼の得意とする範囲攻撃を出せない。
『体の熱を限界まで引き上げろ!』
こんな時に脳裏に浮かぶのは、父エンデヴァーの言葉だ。
『そしてその限界を越えろ!出来ぬハズがない!!やろうとしていないだけだ!!
自覚しろ、おまえは誰よりも強い力を秘めていると!!』
(なんで今出てくんだよ)
左手の炎の熱が上がっていく。こんなところで、負けたくない。
「―くそ・・・(氷結も炎熱も意に介さねェなら)」
もっと。
父に反抗的だったあの頃の自分。けれど、『君の力』だと緑谷に言われて改めて気付けた己の事。
もう、子供じみた駄々はなしだ。これからエンデヴァーにもなに言われようが、今は、守りたいのが出来たから。
「あちっ!!」
手のひらだけでなく、体中をより熱くさせた轟に、さすがの鉄哲も驚いたのか手を離し後ずさる。
「退け、溶けちまうぞ」
もっと上げろ、上げられる。己を燃やせ。
なりたい俺に、なる為に。
B組も、確かに強い。生半可な気持ちで挑めばすぐA組の負けになるだろう。
骨抜が言うように、炎で最初に燃やしてしまえばA組の圧勝かもしれない。
けど、それをやたら滅多に出来ないのは、やっぱりどこか授業という名目があるからだと思う。
これが本物のヴィランであれば、彼の炎は容赦ないのは知っているから。
「・・・焦凍は、強いよ・・・」
歌恋は独り言で。彼は、誰よりも恐怖を知ってるから。優しさを、覚えたから。
(氷結で身動き取れなくなる前に発動した!超反応じゃん。一旦退い―・・・)
一歩下がった途端、尾白の体はバランスを崩し動きがとれなくなる。
「うわっ!」
「近辺、適当に柔くしといたから足場信頼しない方がいいぜ」
「尾白は俺が相手する!!」
回原が"個性"「旋回」で、ドリルのように回転している腕で攻撃してきた。
指先までドリルになっている回原の攻撃を、尻尾といえど何も防具を持たない尾白にとっては守る術がない。
「尾白く、んっ」
すぐに駆けつけようにも、どこもかしこも骨抜の"個性"で柔らかくなっている地面では、飯田の脚力が無効されている。
「氷の下の地面も柔いぜ。あんたはとても面倒だ。沈めて固めて放っとく」
「俺たちの連携を断つ気か・・・!!おのれヴィラン、狡猾なり!!」
確か前にも、飯田はこうやって形から入るなーなんて、歌恋は苦笑いしながら画面を見た。
「障子!」
「ぐっ!!」
氷の壁でガードしていたにもかかわらず、叫ぶ轟の後ろに障子は自在に動く角の攻撃をくらってしまう。
「捜索役の障子クンは、安全圏にいると!ケンカーイです。そう!例えば轟クンのバックとカネ!」
角取の"個性"「角砲」。頭に生えている二本の角を飛ばせる。飛ばした先からまた角は生えて、
現在四本までなら操作可能。角だからといって、威力もスピードもないわけじゃない。
「角ダッシュハンマー!!」
「!!」
鉄哲は氷の壁ごと破壊しながら、轟をガッシリとわしづかむ。
「てめェよォオ、冷てェんだよなァオイ、氷がよォオ。てつてつがきんきんだよ轟ィ!!
ステゴロでてめェよォなァ!?俺に勝てるかァ!?」
切島の"個性"に似ている鉄哲は、怯むことなく真っ正面からの攻撃だ。
それぞれの場面で、意表を突かれるA組メンバー。
「おのれェェ!!」
氷の地面に落ちて固まって動けない飯田が叫ぶ。
「悪いね。レシプロって、時限だろ?開幕使用は良くなくね?じゃ、俺鉄哲の加勢行くから」
「時限?いつの話だ、マッドマン!インゲニウムはいつでもどこへでも駆けつける。その為の脚!!
俺はもう!ずっと!フルスロットルだ!!」
飯田の新技「レシプロターボ」が動き出す。それは氷も、固まった地面もお構い無く突き進む威力。
「マジか」
「レシプロの馬力を底上げし、尚且つ掛かる燃費は最小限に!!10分だ!!10分!誰も俺を止められない!!」
「結局新技で初見殺しかよ!」
「ただし!」
言いながら、あっという間に飯田は骨抜の背後を取る。
「速すぎて、制御しきれない!!お縄だ、マッドマン!!」
速いスピードで骨抜の周りをまわる飯田。しかし、氷の地面を柔化し、骨抜は地面の中に潜り込む。
飯田が追い付いてこれないように氷の柔化した部分を再び硬くするのも忘れずに。
取り残された飯田は、遠くの方で建物が崩壊する音の方に向かう。
一方、尾白と回原の一騎討ちは、やや回原の方が尾白を押している。防具をつけていない彼の尻尾は、ズタボロだ。
「いなしてるだけじゃ勝てないって、知らないのかァ!?」
(攻撃しても、弾くじゃん!)
何より回原のドリルの攻撃を強化しているのは、サポートアイテムとして使用しているモノだ。
指先にはめているその道具は硬く、回原の「個性」と見事にマッチしていて、攻防と長けている。
「そらよっ!」
もう一撃、回原が攻撃しようとした時、何かに体を掴まれた。
「っ!?」
「飯田!!」
「回原くんを牢に入れる!!しばし離脱するが、すぐ戻る!尾白くんは轟くんの加勢に!!
骨抜くんも、恐らく向かってる!すぐ戻る!!」
「わかった!!(喋りも速くなるんだな・・・飯田!)」
「放せ、まだ良いとこ見せてないんだよ!」
体ごと目一杯使いドリルで攻撃するが、ロボのコスチュームを纏っている飯田は簡単にてばなさい。
「痛たたたたええい大人しくしたまえ!ヴィランに良いとこ見せてたまるか!」
「骨抜逃がしたんだろ!厄介さ見てんだろ!すぐあいつを追うとこだろうがよ!!普通!!
タイマン格闘の邪魔するとこじゃねぇだろ、インゲニウム!!」
「兄ならこうする。俺はそれに準ずる。訓練で曲げていては、本番でも曲げてしまうだろう」
二分程前、轟&障子VS鉄哲&角取の場面。
「んのヤロウ・・・!」
体制を立て直した轟は、氷の壁で距離を保とうとする。
「"俺拳"!!」
だが鉄哲は、依然正面戦闘容赦なく氷をバキバキに壊してくる。
「氷効かねェのにブッパとか、雑魚の動きだ」
爆豪の発言にイライラしてしまうが、見たまんまなので何も反抗できない。
「普通なら、氷で皮膚とかやられるけど、鉄哲くんの"個性"と相性最悪なんだ」
A組最強だと思っていた轟の"個性"。まさかここで、相性不利な相手がいると歌恋も思ってなかった。
「なるほど・・・」
似た"個性"に、自分は何ができるのか。
「鉄哲・・・!参考にするぜ・・・!」
グッと、切島は拳を握る。
「氷の防御なんぞ、正義の鉄拳でブチ破る!!」
「なら・・・炎の壁で!!」
一気に炎が巡り、燃え上がる。たまらずその場から逃げ出す角取を、障子に任せる。
(退いてくれ、一旦距離を・・・)
だが、これも鉄哲には効かない。燃え上がる炎の中を歩く鉄哲に、唖然とする。
「何で俺がてめェの相手してっか!!わかってねェなァ!?効かねェからだよ。
今度ァてつてつがチンチンだよ、オイ・・・!!」
鉄哲は、"個性"伸ばしの時に竈での暮らしを中心にしていた。氷はもとより、限界を超えて手に入れた彼の最高峰は、
炎さえも効果ない"個性"に仕上げてきたこと。半冷半燃、鉄哲には効かない。
「このまま気ィ失うまでブン殴る!!」
(焦凍・・・!)
胸ぐらを捕まれた轟は、容赦なく鉄哲の攻撃を受けてしまう。その度に、目をそらしたくなる。
でも駄目だ、目をそらすな。応援することしかできない歯がゆさ・・・同じチームだったら、何か出来たかもしれないのに。
授業だと、訓練だと分かっているけれど・・・。近くに駆け寄って、一緒に戦えないのがこんなにももどかしいんだ。
鉄哲が轟を捕らえ逃がさず、彼の得意とする範囲攻撃を出せない。
『体の熱を限界まで引き上げろ!』
こんな時に脳裏に浮かぶのは、父エンデヴァーの言葉だ。
『そしてその限界を越えろ!出来ぬハズがない!!やろうとしていないだけだ!!
自覚しろ、おまえは誰よりも強い力を秘めていると!!』
(なんで今出てくんだよ)
左手の炎の熱が上がっていく。こんなところで、負けたくない。
「―くそ・・・(氷結も炎熱も意に介さねェなら)」
もっと。
父に反抗的だったあの頃の自分。けれど、『君の力』だと緑谷に言われて改めて気付けた己の事。
もう、子供じみた駄々はなしだ。これからエンデヴァーにもなに言われようが、今は、守りたいのが出来たから。
「あちっ!!」
手のひらだけでなく、体中をより熱くさせた轟に、さすがの鉄哲も驚いたのか手を離し後ずさる。
「退け、溶けちまうぞ」
もっと上げろ、上げられる。己を燃やせ。
なりたい俺に、なる為に。