第十七話 先手必勝
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「メンゴね、常闇。浅田飴いる?」
「情けは無用・・・!」
「リカバリーガールに、お薬もらおうね」
共闘した者同士、心配し寄り添い合う。救護されるA組のクラスメートをみて、歌恋は思わず呟く。
「皆・・・」
「被害がえげつないですね」
戦闘の状況を見て、心操が相澤先生に語っている。
「ヒーロー科の訓練とは、こういうもんだ。しかし、ちょっと壊しすぎたな。
吹出!拳藤!わかってるとは思うが、被害は最小限に!」
そういうわけもあり、ステージの移動も兼ねての休憩時間を儲けられた。
「B組さァ、曲者多くない?」
「いや、こっちのセリフ」
「吹出くん、あんなデカイの出せるんだねー」
「喉がイガイガになるけどね!グッとこらえるのさ!」
ワイワイガヤガヤと、元から仲は悪くないA組とB組(たぶん、物間以外)はお互いの実力を改めて知り話の輪が広がる。
「ヤオモモ、大丈夫かな」
「リカバリーガールに治してもらえればすぐだから、大丈夫だよ」
心配する耳郞に、以前リカバリーガールに治してもらっている歌恋が変な自信ありげに言った。
「あれ?爆豪くんは?」
もう一人、同じチームになっている彼の姿がない。キョロキョロする歌恋に、瀬呂が教えてくれる。
「なんか、緑谷と話があるってさ」
「ふーん・・・」
「大丈夫かなぁ、ウチらのチーム」
「どうかなぁ・・・」
ステージを移動して、最初に始まるのは轟がいる第三チームからだ。その為、彼らは彼らで話し合い中だろう。
「はぁ・・・」
ため息する歌恋を見て、さらに耳郞は眉を寄せる。
「心配なんは爆豪だけじゃないけどね」
「うっ」
耳郞に頭を軽くペシペシ叩かれた。
「大変ねぇ、イロイロと」
瀬呂にもケラケラと軽く笑われる。まぁ、しょうがない。いまはウジウジしててはダメだ。
「足手まといにはならないようにします」
いろんな意味で。
「第3セット、準備を!!」
先生の合図が響く。ここまで、轟に頑張ってねの一言もなにも言ってあげられなかった。
「轟」
「ん」
リカバリーガールにお薬をもらい治してもらった常闇が、轟に声をかける。
「情けない姿を見せた。後は託したぞ」
「何で俺に」
「ホークス、エンデヴァー。我々先の戦いの英雄に師事を仰ぐ者ゆえに。No.1、No.2の名を背負う責務」
(・・・ホークス・・・)
チラッと、脳裏には常闇と同じ場所にインターンに行っていた彼女の事が浮かぶ。
「歌恋は?」
「女子(おなご)故に」
「おなご・・・」
何を思ったのか、轟は自身の髪の毛をかく。
「まぁ・・・あぁ(先の戦い・・・か)」
『おまえはこの技を、習得しなければならない』
ふと思い出す、昔父親に言われた言葉。
『俺から逃げるな。おまえから逃げるな』
『うう・・・』
まだ小さかった、火傷を負う前の自分。力を制御出来ていなかったあの頃。
『立て。柔な振りをするな!!燈矢は惜しかった。俺以上の火力を備えているのに冷の体質を持ってしまって・・・。
あいつは・・・惜しかった。おまえだ、焦凍。ようやくおまえが、おまえだけがこの技を!
俺の野望を完遂できる!』
「轟くん!?」
飯田の呼び掛けに、ハッと我に返る。
「大丈夫かい!?随分と怪訝な顔だが!!」
「そうか?」
「うん!何か悩みでも!?」
「何でもねェ、ありがとな」
二人のやり取りに入るのは尾白で。
「前にも言ったかもしれないけど、轟表情そんな変わらないからわかんなかったな」
「・・・前にも言ったか?」
首をかしげる轟に、尾白が「あぁ」と、付け加える。
「あの時は轟いなかったっけ」
「?」
「けどまぁ、ほんと。よくわかるよなぁ、登坂もそうだし」
「委員長たる者、クラスの皆を見て悩む者には手を差し伸べるんだ」
「いやにハイだな。いつもだが」
と、障子。
「最近、兄さんの経過が良好でね!!」
「おお!よかったね!」
「俺もまた、インゲニウムの名を背負う者。皆を見るということは、皆からもみられているということ。
欠番ではあったが、俺も体育祭3位!皆に見せてやろう、継ぐ男の気概を!!」
一方、B組は。
「俺ァよ・・・良くバカ扱いされるわけだが、腐っても雄英合格した男。考え無しに生きてるわけじゃァねェのよ」
「急にどうした」
「このチーム!!索敵搦め手からっきしな奴ばかり」
「確かになー」
「ならどうする!?オイ!!皆!!」
「そこはさっき話」
「なら当然」
「え?」
「更地にするよなァ!!?」
「バカの考え!!」
チームの話を一向に聞く耳を持たない鉄哲は、そこらの配管を次々に壊していく。これでは被害の最小限もなにもない。
「小細工無用!来いや、死ようぜ真っ向勝負!!」
言うや、"個性"である「リアルスティール」を発動。一人暴れる鉄哲を、回原が懸命に止めにはいる。
「もう!向こうは轟いるんだぞ!!」
「まァ、これはこれでやれる事あるんじゃね」
「柔軟な思考かよ柔造!!」
そしてもう一人のチームであるポニーは、英語で何やら怒っている。
「ほらポニーも、英語出ちゃってる!!本怒り!」
それをまたもやさらりと英語で言い返しているのは骨抜だ。
「柔軟な応対かよ柔造!!」
遥か向こうから壊れていく配管や建物が目に入り、A組の四人は気を引き締める。
「向こうの意図は恐らく正面戦闘」
「やるぞ、A組チーム3!!」
場所はかわりエンデヴァー事務所。
「チームアップの依頼と取材が立て込んでいます。いつも通りでいいですか?」
「ああ。チームアップはリスト化しておけ」
サイドキックにそう伝え、エンデヴァーは鼻息も荒く、スマホとにらめっこしている。
(冬美の協力もあって・・・遂に・・・遂に焦凍のアカウントを登録できた。おまえに今一度、伝えたい事があるのだ。
既読スルーするな、焦凍よ・・・あの時とは違うのだ)
「ショート」というアカウントの場所に、いくつかLINEのメッセージが片言に入っている。
だが、いくら待っても愛しの我が息子からの返事はまったくこない。
(お前の意志を蔑ろにしていた。なりたい己を目指し、歩み始めている今だからこそ、父らしく、あの技を)
「だから・・・だから既読スルーをやめろ、焦凍・・・!焦凍ォオオオ!!」
「授業、始まったんじゃないスか?」
「日増しにショート患いが酷くなってないか」
端からみれば、やはり親バカである。
「ヘックショ」
珍しい轟のくしゃみに、飯田が心配そうに顔を覗く。
「大丈夫かい!?君でも風邪をひくのか!?」
「いや・・・多分、大丈夫だ」
「そろそろ着くぞ」
先頭を走っている尾白が声をかける。もう目の前には、B組が暴れている場所にたどり着く。
「手ハズ通りに!広がるよ」
尚も一人で暴れている鉄哲に、角取の怒りがおさまらない。
「鉄哲くん!相手が馬鹿ショージキに来テくれるハズナイデショ!トラップと思うヨ!!」
だが、それを否定するのは意外にもこの中では頭の切れる骨抜だ。
「いや!俺が向こうなら行くね!障子で状況把握、轟を軸に攻めるのが一番強い。
ひとかたまりでこんな開けたとこいたら・・・」
轟の氷結が、容赦なくB組を捕らえる。
相変わらず彼もぶっぱが強い。それに、視界を遮ってしまうような氷塊も改良している。
A組の攻め手はこうだ。骨抜が地を柔化させていようが、氷結で覆えば関係なく、
相手の動きが鈍ったところを一網打尽。飯田がレシプロバーストでB組を捕まえに動く。
だが、足場を固めていた氷結は、いつの間にか骨抜の「個性」柔化で柔らかくなっていた。
「氷結ぶっぱは安い手じゃん。もっと非情に、火攻めで来られたら打つ手なかったのに」
「情けは無用・・・!」
「リカバリーガールに、お薬もらおうね」
共闘した者同士、心配し寄り添い合う。救護されるA組のクラスメートをみて、歌恋は思わず呟く。
「皆・・・」
「被害がえげつないですね」
戦闘の状況を見て、心操が相澤先生に語っている。
「ヒーロー科の訓練とは、こういうもんだ。しかし、ちょっと壊しすぎたな。
吹出!拳藤!わかってるとは思うが、被害は最小限に!」
そういうわけもあり、ステージの移動も兼ねての休憩時間を儲けられた。
「B組さァ、曲者多くない?」
「いや、こっちのセリフ」
「吹出くん、あんなデカイの出せるんだねー」
「喉がイガイガになるけどね!グッとこらえるのさ!」
ワイワイガヤガヤと、元から仲は悪くないA組とB組(たぶん、物間以外)はお互いの実力を改めて知り話の輪が広がる。
「ヤオモモ、大丈夫かな」
「リカバリーガールに治してもらえればすぐだから、大丈夫だよ」
心配する耳郞に、以前リカバリーガールに治してもらっている歌恋が変な自信ありげに言った。
「あれ?爆豪くんは?」
もう一人、同じチームになっている彼の姿がない。キョロキョロする歌恋に、瀬呂が教えてくれる。
「なんか、緑谷と話があるってさ」
「ふーん・・・」
「大丈夫かなぁ、ウチらのチーム」
「どうかなぁ・・・」
ステージを移動して、最初に始まるのは轟がいる第三チームからだ。その為、彼らは彼らで話し合い中だろう。
「はぁ・・・」
ため息する歌恋を見て、さらに耳郞は眉を寄せる。
「心配なんは爆豪だけじゃないけどね」
「うっ」
耳郞に頭を軽くペシペシ叩かれた。
「大変ねぇ、イロイロと」
瀬呂にもケラケラと軽く笑われる。まぁ、しょうがない。いまはウジウジしててはダメだ。
「足手まといにはならないようにします」
いろんな意味で。
「第3セット、準備を!!」
先生の合図が響く。ここまで、轟に頑張ってねの一言もなにも言ってあげられなかった。
「轟」
「ん」
リカバリーガールにお薬をもらい治してもらった常闇が、轟に声をかける。
「情けない姿を見せた。後は託したぞ」
「何で俺に」
「ホークス、エンデヴァー。我々先の戦いの英雄に師事を仰ぐ者ゆえに。No.1、No.2の名を背負う責務」
(・・・ホークス・・・)
チラッと、脳裏には常闇と同じ場所にインターンに行っていた彼女の事が浮かぶ。
「歌恋は?」
「女子(おなご)故に」
「おなご・・・」
何を思ったのか、轟は自身の髪の毛をかく。
「まぁ・・・あぁ(先の戦い・・・か)」
『おまえはこの技を、習得しなければならない』
ふと思い出す、昔父親に言われた言葉。
『俺から逃げるな。おまえから逃げるな』
『うう・・・』
まだ小さかった、火傷を負う前の自分。力を制御出来ていなかったあの頃。
『立て。柔な振りをするな!!燈矢は惜しかった。俺以上の火力を備えているのに冷の体質を持ってしまって・・・。
あいつは・・・惜しかった。おまえだ、焦凍。ようやくおまえが、おまえだけがこの技を!
俺の野望を完遂できる!』
「轟くん!?」
飯田の呼び掛けに、ハッと我に返る。
「大丈夫かい!?随分と怪訝な顔だが!!」
「そうか?」
「うん!何か悩みでも!?」
「何でもねェ、ありがとな」
二人のやり取りに入るのは尾白で。
「前にも言ったかもしれないけど、轟表情そんな変わらないからわかんなかったな」
「・・・前にも言ったか?」
首をかしげる轟に、尾白が「あぁ」と、付け加える。
「あの時は轟いなかったっけ」
「?」
「けどまぁ、ほんと。よくわかるよなぁ、登坂もそうだし」
「委員長たる者、クラスの皆を見て悩む者には手を差し伸べるんだ」
「いやにハイだな。いつもだが」
と、障子。
「最近、兄さんの経過が良好でね!!」
「おお!よかったね!」
「俺もまた、インゲニウムの名を背負う者。皆を見るということは、皆からもみられているということ。
欠番ではあったが、俺も体育祭3位!皆に見せてやろう、継ぐ男の気概を!!」
一方、B組は。
「俺ァよ・・・良くバカ扱いされるわけだが、腐っても雄英合格した男。考え無しに生きてるわけじゃァねェのよ」
「急にどうした」
「このチーム!!索敵搦め手からっきしな奴ばかり」
「確かになー」
「ならどうする!?オイ!!皆!!」
「そこはさっき話」
「なら当然」
「え?」
「更地にするよなァ!!?」
「バカの考え!!」
チームの話を一向に聞く耳を持たない鉄哲は、そこらの配管を次々に壊していく。これでは被害の最小限もなにもない。
「小細工無用!来いや、死ようぜ真っ向勝負!!」
言うや、"個性"である「リアルスティール」を発動。一人暴れる鉄哲を、回原が懸命に止めにはいる。
「もう!向こうは轟いるんだぞ!!」
「まァ、これはこれでやれる事あるんじゃね」
「柔軟な思考かよ柔造!!」
そしてもう一人のチームであるポニーは、英語で何やら怒っている。
「ほらポニーも、英語出ちゃってる!!本怒り!」
それをまたもやさらりと英語で言い返しているのは骨抜だ。
「柔軟な応対かよ柔造!!」
遥か向こうから壊れていく配管や建物が目に入り、A組の四人は気を引き締める。
「向こうの意図は恐らく正面戦闘」
「やるぞ、A組チーム3!!」
場所はかわりエンデヴァー事務所。
「チームアップの依頼と取材が立て込んでいます。いつも通りでいいですか?」
「ああ。チームアップはリスト化しておけ」
サイドキックにそう伝え、エンデヴァーは鼻息も荒く、スマホとにらめっこしている。
(冬美の協力もあって・・・遂に・・・遂に焦凍のアカウントを登録できた。おまえに今一度、伝えたい事があるのだ。
既読スルーするな、焦凍よ・・・あの時とは違うのだ)
「ショート」というアカウントの場所に、いくつかLINEのメッセージが片言に入っている。
だが、いくら待っても愛しの我が息子からの返事はまったくこない。
(お前の意志を蔑ろにしていた。なりたい己を目指し、歩み始めている今だからこそ、父らしく、あの技を)
「だから・・・だから既読スルーをやめろ、焦凍・・・!焦凍ォオオオ!!」
「授業、始まったんじゃないスか?」
「日増しにショート患いが酷くなってないか」
端からみれば、やはり親バカである。
「ヘックショ」
珍しい轟のくしゃみに、飯田が心配そうに顔を覗く。
「大丈夫かい!?君でも風邪をひくのか!?」
「いや・・・多分、大丈夫だ」
「そろそろ着くぞ」
先頭を走っている尾白が声をかける。もう目の前には、B組が暴れている場所にたどり着く。
「手ハズ通りに!広がるよ」
尚も一人で暴れている鉄哲に、角取の怒りがおさまらない。
「鉄哲くん!相手が馬鹿ショージキに来テくれるハズナイデショ!トラップと思うヨ!!」
だが、それを否定するのは意外にもこの中では頭の切れる骨抜だ。
「いや!俺が向こうなら行くね!障子で状況把握、轟を軸に攻めるのが一番強い。
ひとかたまりでこんな開けたとこいたら・・・」
轟の氷結が、容赦なくB組を捕らえる。
相変わらず彼もぶっぱが強い。それに、視界を遮ってしまうような氷塊も改良している。
A組の攻め手はこうだ。骨抜が地を柔化させていようが、氷結で覆えば関係なく、
相手の動きが鈍ったところを一網打尽。飯田がレシプロバーストでB組を捕まえに動く。
だが、足場を固めていた氷結は、いつの間にか骨抜の「個性」柔化で柔らかくなっていた。
「氷結ぶっぱは安い手じゃん。もっと非情に、火攻めで来られたら打つ手なかったのに」