第十六話 A組vsB組
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A組もB組も、だいたいそれぞれの"個性"を知っている。だが皆、新技や"個性"を伸ばしている為、様子見ってところだろう。
常闇が持つ遠距離であるダークシャドウを前に、詰め寄った。
「様子見ジャネーヨ!今ココデ、ヤレル奴ヤッチマウゼ!!」
B組を見つけたダークシャドウの意思は、そのまま常闇に通じる。
(フミカゲ!!ヤラレタ!!)
ダークシャドウの声を聞き、ハッとする常闇。戻ってきたダークシャドウに、常闇が言った。
「皆、散れ!戻れ、ダーク」
しかし、ダークシャドウは常闇に戻ることなく攻撃してきたのだ。原因は、ダークシャドウの中に隠れた黒色の仕業だった。
「フッ!」
すかさず八百万が用意した網を黒色に投げるが、届かない。
「常闇踏影。おまえは俺が穿つ」
(成る程、宿敵!)
羽織っていたマントを脱ぎ、常闇は体制を整え黒色を捉える。
「良いだろう。ホークスのもとで編み出した技・・・"黒の堕天使"で受けて立つ」
「だてんし・・・!?」
ホークスの元で職場体験、インターンを経験した常闇。職場体験ではひたすらホークスを追いかけ、
彼が治めた事件・事故の後処理で終わっていた。彼の事務所にいる他のサイドキック達も後始末係りだと言っていた。
何故自分はホークスに声を掛けられたのか、疑問がわき問いかける。
『鳥仲間』
『おふざけで・・・?』
『いーや、2割本音。半分は、1年A組の人から話を聞きたくて。君らを襲ったヴィラン連合とかいうチンピラのね。
んで、どうせなら俺について来れそうな優秀な人ってことで、上位から良さげな鳥人を』
『・・・・・・・・・・』
まるで伝書鳩のような扱い。沸々とこみ上げる悔しさ。一週間の職場体験は、何も教わる事はなかった。
だから歌恋に、ホークスの元にインターンをお願いしてほしいと頼まれた時は驚いた。
彼女には何も教わるどころか、話を聞きたいという理由で選ばれただけだと伝えても明るく言う。
『その道に突っ込んでみなきゃ何も始まらないし!』
『向こうが私達をどう見てどう使おうが構わない。だったら私達も逆に、盗めるもんは盗む!』
ホークスがどうやって一枚一枚羽を操っているのか。桜の技のバリエーションを増やしたいからと。
負けるわけにはいかない。クラスメートとして、ライバルとして。
再び一緒にインターンに行った日、常闇はダークシャドウを纏いホークスの後ろを必死に飛んで追いかけた。
彼女も置いていかれたのが酷くショックだったのだろう。編み出した飛ぶ技。帰ってからも特訓していた飛行練習。
それに、ホークスと二人で夜間飛行に連れていかれた時に言われた。残りの3割は、勿体ない事をしていると。
弱点の近距離カバーの尽力もいいけど、"得意"を伸ばす事も忘れない方がいいと。
『飛べる奴は飛ぶべきだよ。地面に縛りつけられる必要なんてない』
しかし、黒色にとってこの配管まみれのステージはうってつけだ。ありとあらゆる場所が黒を基調としている為、掴み所がない。
常闇は警戒を強める。だが・・・誰が予想していただろう、黒色は青山のマントを引っ張っていった。
すでに遠く、檻のある方へ持っていかれそうになる青山を、ダークシャドウを纏った"黒の堕天使"で常闇が追いかける。
「「飛んだ!!」」
常闇の新技に、驚くB組の面々。ダークシャドウは常に浮遊状態。
弱点である光は常闇のマントでくるんでやることで、常闇を抱えて移動するのを可能にした。
(ホークス、感謝する。俺は更に上へ行く!)
一緒にインターンに行っていたせいもあるだろう。B組に度肝を抜かせた常闇の新技に歌恋は笑みを作っていた。
闇が濃く、常闇が押さえきれないほど暴れてしまうダークシャドウをまだ歌恋は見ていないが、彼らは強い。
追いついた常闇が青山を黒色の手から救出。その隙にまた、黒色は配管の一部に身を隠す。
「青山さん、ネビル・ビュッフェを!常闇さんは自由飛行!!」
八百万の合図に、ダークシャドウには更に奥深くマントを被せ、辺りに散らばる青山の光から身を守る。
影が動き、じっと隠れる場所をなくす黒色が、姿を現した。
「いました、葉隠さん!」
「よっしゃー、捕まえるぞー!!」
A組の反撃か、そう思ったが。八百万の鼻先から、キノコが生える。
「光ったら黒色失敗。プランB。キノコまみれにしちゃいノコ!」
小森の"個性"「キノコ」が、あっという間に大地から人の体にとキノコを生やしていく。
「いや・・・!」
「わー、シルエット見えちゃう、恥ずかしー!!」
「菌茸類が、大地を埋め尽くしていく」
「黒色くんが見えないよ☆」
小森の"個性"を、B組の人が教えてくれた。彼女のキノコは、2~3時間で全部消えるから、後には引かないらしい。
その為、ぶっぱが癖になっているとか。
どうやらB組、拳藤が考えていたプランAは、ダークシャドウを黒色が乗っ取る奇襲攻撃。
ダークシャドウを飛ばしてB組を探すのが一番リスク低いだろうからと。
ダークシャドウを操れるとは思ってないだろうし、黒色が誰かを捕まえると。
しかし、プランAは失敗。そして、プランBは黒色を探す為にA組は"光"を使うだろうとし、
キノコを生やす希乃子と、ゴンッガンッドガッと、"個性"「コミック」で擬音を具現化する吹出の技をおみまいしてやるのだ。
「なんかでたー!!」
具現化した擬音の壁。青山がネビルレーザーを撃っても壊れない。すると今度は、ジメジメと出てきた。
それが加湿器の変わりになるかのように、湿気が溢れる。
ドタバタしてしまうA組。いつの間にかその擬音の壁で、八百万だけ分断されてしまった。
ブレーンを、切り離される。彼女と一対一で戦うのは、"個性"の「大拳」で拳を大きくした拳藤だ。
「得意分野に持ち込めば、こっちにも勝機はあるってね!考える時間は与えない」
創造で盾を用意する八百万に怯むことなく、拳藤の攻撃の嵐は止まない。あっという間に、B組の有利な状況になった。
「これがうちの拳藤さんよ!」
嬉しそうに拳を挙げて話す鉄哲に、轟が静かに言う。
「最善手かはわかんねェな」
「え!?」
「八百万を警戒しての分断なら、見誤ったかもな」
「え!?」
「あいつを警戒すんなら、4人の総力でまっさきに潰すべきだった」
轟の少し離れた場所で、歌恋は彼をチラリと見やった。
(・・・焦凍は、期末試験でヤオモモと一緒だったから、少なからず彼女の実力を知ってる・・・でも、いいなぁ)
自分の好きな人が、相手(八百万)の実力を誉めている。
(私は、焦凍に心配かけてばかり・・・)
『俺には心配させてくれ』と言ってくれているけれど・・・心配してくれるのは嬉しいけど。
こうやって、実力を認めて誉めてもらいたいと思うのは、やっぱり心のどこかで憎く思う部分があるってこと。
(嫌だな私・・・なに嫉妬してるんだろ・・・)
いまは、授業だ。
顔上げて、八百万が映る画面を見る。いつの間にか彼女は、大砲を創り出していた。
「ちょっと、大砲って!!」
驚愕する拳藤を前に、八百万はニヤリと笑った。
「時間が掛かりますの、大きなものを創るのは!」
デカイ銃口を拳藤に向けている。彼女に向かって撃つとおもったそれを、八百万は方向回転させた。
(びっくりさせて、すみません!)
「発想が、物騒だな!!」
八百万が砲弾させると同時に、拳藤の両手を巨大化させた技、双大拳が八百万に襲いかかる。
「チッ」
八百万の考えに、たまらず舌打ちする拳藤。大砲から打ち上げられたのは弾丸ではなく、何かの物が、壁を越えて飛んでいった。
八百万と切り離された常闇たちは、別の場所で交戦している。人体にも生えるキノコが視界を邪魔し、
再び青山を、黒色が常闇から奪い去る。取り返そうにも、吹出の技もうまく邪魔してどうしようもない。
「くっ」
地面に着地すれば、下にいた葉隠の体中には常闇以上のキノコが。
「モヘ~・・・」
顔や体は以前透明だが、キノコのお陰でシルエットが分かってしまう程だ。
(八百万も分断されてしまった!姿を隠し、真綿で締めるような攻撃を仕掛ける包囲陣。
強いな・・・!強くて厭らしい!小森・吹出・黒色、この三者の居場所を捕捉できねば、このまま終わる!!)
そんな中、遠くの方からドウンと、音がした。擬音を具現化してしまう吹出の技ではないようで、
その音を頼りに、壁の方へ常闇は顔を向ける。すると、壁を越えて何かが落ちてきた。
「ダークシャドウ!」
「アイヨ!」
常闇は葉隠を抱き抱え、ダークシャドウと共に飛び、落ちてきているものを受け止めた。
その大きな袋の外見には、ヤオヨロズラッキーバッグと書かれている。
(これは・・・!!)
サーモグラフゴーグルと、エタノール、滅菌スプレーが入っていた。
B組三人の居場所が分からずとも、ゴーグルのお陰で人の体温を感知し、敵の場所を把握できる。
滅菌スプレーは、自分たちに振りかければ体に生えていたキノコはあっという間になくなった。
「B組にキノコ生えないのへんだと思ってた!」
二手に別れた常闇と葉隠。葉隠が吹出の背後に立ち声をかければ、彼はビクッと肩を震わせる。
「滅菌処理してたのね」
そして常闇はそのまま、キノコと黒色がいる場所まで一直線だ。
「居所さえわかればこちらの間合い。逃れ潜むことすら許されぬ疾風怒濤。ホークス曰く、疾さは力に勝るという」
黒色に捕らわれていった青山はここに一緒にいない。すでにB組の檻の中に入れられてしまったのだろう。
「ブラックアンク"夜宴"!」
味方がいないとわかれば攻撃の手を抜く必要はない。常闇の攻撃を受けた二人を、ダークシャドウと共に捕まえた。
黒に潜まれる前に、黒色は常闇のマントでくるんでいく。
「俺の外套だ。移動のしようがなければ、恐るるに足らず・・・投獄に」
だが常闇は、喉に違和感を覚える。
「ゴホッ、ゲホッ」
変な咳の仕方に、ダークシャドウは首をかしげた。
「フミカゲ!?」
「ごめんね。可愛くないから封じてたけど、負けそうなのにやらないのもダメキノコだもん。
肺攻め、スエヒロダケちゃん」
(気管に・・・!!)
「とおりゃあああ!!」
「見えないから、もーわけわかんないなぁ!」
キノコが生えなくなり、元の透明に戻った葉隠は、吹出相手に素手で戦っていた。
けれど突如現れた拳藤の大拳に葉隠は捕まってしまった。
「ギャッ」
「遅れてごめん」
「拳藤!助かった。何だい、それ・・・!」
「いやぁ、気絶させたんだけどね・・・やられちゃった。大砲付きで絡みついてきた。動きにくくてしょうがない。
創造するもの全部先を見据えてて、勝った気しないな」
しかし、結果は0対4と、B組の圧勝で終わった。
常闇が持つ遠距離であるダークシャドウを前に、詰め寄った。
「様子見ジャネーヨ!今ココデ、ヤレル奴ヤッチマウゼ!!」
B組を見つけたダークシャドウの意思は、そのまま常闇に通じる。
(フミカゲ!!ヤラレタ!!)
ダークシャドウの声を聞き、ハッとする常闇。戻ってきたダークシャドウに、常闇が言った。
「皆、散れ!戻れ、ダーク」
しかし、ダークシャドウは常闇に戻ることなく攻撃してきたのだ。原因は、ダークシャドウの中に隠れた黒色の仕業だった。
「フッ!」
すかさず八百万が用意した網を黒色に投げるが、届かない。
「常闇踏影。おまえは俺が穿つ」
(成る程、宿敵!)
羽織っていたマントを脱ぎ、常闇は体制を整え黒色を捉える。
「良いだろう。ホークスのもとで編み出した技・・・"黒の堕天使"で受けて立つ」
「だてんし・・・!?」
ホークスの元で職場体験、インターンを経験した常闇。職場体験ではひたすらホークスを追いかけ、
彼が治めた事件・事故の後処理で終わっていた。彼の事務所にいる他のサイドキック達も後始末係りだと言っていた。
何故自分はホークスに声を掛けられたのか、疑問がわき問いかける。
『鳥仲間』
『おふざけで・・・?』
『いーや、2割本音。半分は、1年A組の人から話を聞きたくて。君らを襲ったヴィラン連合とかいうチンピラのね。
んで、どうせなら俺について来れそうな優秀な人ってことで、上位から良さげな鳥人を』
『・・・・・・・・・・』
まるで伝書鳩のような扱い。沸々とこみ上げる悔しさ。一週間の職場体験は、何も教わる事はなかった。
だから歌恋に、ホークスの元にインターンをお願いしてほしいと頼まれた時は驚いた。
彼女には何も教わるどころか、話を聞きたいという理由で選ばれただけだと伝えても明るく言う。
『その道に突っ込んでみなきゃ何も始まらないし!』
『向こうが私達をどう見てどう使おうが構わない。だったら私達も逆に、盗めるもんは盗む!』
ホークスがどうやって一枚一枚羽を操っているのか。桜の技のバリエーションを増やしたいからと。
負けるわけにはいかない。クラスメートとして、ライバルとして。
再び一緒にインターンに行った日、常闇はダークシャドウを纏いホークスの後ろを必死に飛んで追いかけた。
彼女も置いていかれたのが酷くショックだったのだろう。編み出した飛ぶ技。帰ってからも特訓していた飛行練習。
それに、ホークスと二人で夜間飛行に連れていかれた時に言われた。残りの3割は、勿体ない事をしていると。
弱点の近距離カバーの尽力もいいけど、"得意"を伸ばす事も忘れない方がいいと。
『飛べる奴は飛ぶべきだよ。地面に縛りつけられる必要なんてない』
しかし、黒色にとってこの配管まみれのステージはうってつけだ。ありとあらゆる場所が黒を基調としている為、掴み所がない。
常闇は警戒を強める。だが・・・誰が予想していただろう、黒色は青山のマントを引っ張っていった。
すでに遠く、檻のある方へ持っていかれそうになる青山を、ダークシャドウを纏った"黒の堕天使"で常闇が追いかける。
「「飛んだ!!」」
常闇の新技に、驚くB組の面々。ダークシャドウは常に浮遊状態。
弱点である光は常闇のマントでくるんでやることで、常闇を抱えて移動するのを可能にした。
(ホークス、感謝する。俺は更に上へ行く!)
一緒にインターンに行っていたせいもあるだろう。B組に度肝を抜かせた常闇の新技に歌恋は笑みを作っていた。
闇が濃く、常闇が押さえきれないほど暴れてしまうダークシャドウをまだ歌恋は見ていないが、彼らは強い。
追いついた常闇が青山を黒色の手から救出。その隙にまた、黒色は配管の一部に身を隠す。
「青山さん、ネビル・ビュッフェを!常闇さんは自由飛行!!」
八百万の合図に、ダークシャドウには更に奥深くマントを被せ、辺りに散らばる青山の光から身を守る。
影が動き、じっと隠れる場所をなくす黒色が、姿を現した。
「いました、葉隠さん!」
「よっしゃー、捕まえるぞー!!」
A組の反撃か、そう思ったが。八百万の鼻先から、キノコが生える。
「光ったら黒色失敗。プランB。キノコまみれにしちゃいノコ!」
小森の"個性"「キノコ」が、あっという間に大地から人の体にとキノコを生やしていく。
「いや・・・!」
「わー、シルエット見えちゃう、恥ずかしー!!」
「菌茸類が、大地を埋め尽くしていく」
「黒色くんが見えないよ☆」
小森の"個性"を、B組の人が教えてくれた。彼女のキノコは、2~3時間で全部消えるから、後には引かないらしい。
その為、ぶっぱが癖になっているとか。
どうやらB組、拳藤が考えていたプランAは、ダークシャドウを黒色が乗っ取る奇襲攻撃。
ダークシャドウを飛ばしてB組を探すのが一番リスク低いだろうからと。
ダークシャドウを操れるとは思ってないだろうし、黒色が誰かを捕まえると。
しかし、プランAは失敗。そして、プランBは黒色を探す為にA組は"光"を使うだろうとし、
キノコを生やす希乃子と、ゴンッガンッドガッと、"個性"「コミック」で擬音を具現化する吹出の技をおみまいしてやるのだ。
「なんかでたー!!」
具現化した擬音の壁。青山がネビルレーザーを撃っても壊れない。すると今度は、ジメジメと出てきた。
それが加湿器の変わりになるかのように、湿気が溢れる。
ドタバタしてしまうA組。いつの間にかその擬音の壁で、八百万だけ分断されてしまった。
ブレーンを、切り離される。彼女と一対一で戦うのは、"個性"の「大拳」で拳を大きくした拳藤だ。
「得意分野に持ち込めば、こっちにも勝機はあるってね!考える時間は与えない」
創造で盾を用意する八百万に怯むことなく、拳藤の攻撃の嵐は止まない。あっという間に、B組の有利な状況になった。
「これがうちの拳藤さんよ!」
嬉しそうに拳を挙げて話す鉄哲に、轟が静かに言う。
「最善手かはわかんねェな」
「え!?」
「八百万を警戒しての分断なら、見誤ったかもな」
「え!?」
「あいつを警戒すんなら、4人の総力でまっさきに潰すべきだった」
轟の少し離れた場所で、歌恋は彼をチラリと見やった。
(・・・焦凍は、期末試験でヤオモモと一緒だったから、少なからず彼女の実力を知ってる・・・でも、いいなぁ)
自分の好きな人が、相手(八百万)の実力を誉めている。
(私は、焦凍に心配かけてばかり・・・)
『俺には心配させてくれ』と言ってくれているけれど・・・心配してくれるのは嬉しいけど。
こうやって、実力を認めて誉めてもらいたいと思うのは、やっぱり心のどこかで憎く思う部分があるってこと。
(嫌だな私・・・なに嫉妬してるんだろ・・・)
いまは、授業だ。
顔上げて、八百万が映る画面を見る。いつの間にか彼女は、大砲を創り出していた。
「ちょっと、大砲って!!」
驚愕する拳藤を前に、八百万はニヤリと笑った。
「時間が掛かりますの、大きなものを創るのは!」
デカイ銃口を拳藤に向けている。彼女に向かって撃つとおもったそれを、八百万は方向回転させた。
(びっくりさせて、すみません!)
「発想が、物騒だな!!」
八百万が砲弾させると同時に、拳藤の両手を巨大化させた技、双大拳が八百万に襲いかかる。
「チッ」
八百万の考えに、たまらず舌打ちする拳藤。大砲から打ち上げられたのは弾丸ではなく、何かの物が、壁を越えて飛んでいった。
八百万と切り離された常闇たちは、別の場所で交戦している。人体にも生えるキノコが視界を邪魔し、
再び青山を、黒色が常闇から奪い去る。取り返そうにも、吹出の技もうまく邪魔してどうしようもない。
「くっ」
地面に着地すれば、下にいた葉隠の体中には常闇以上のキノコが。
「モヘ~・・・」
顔や体は以前透明だが、キノコのお陰でシルエットが分かってしまう程だ。
(八百万も分断されてしまった!姿を隠し、真綿で締めるような攻撃を仕掛ける包囲陣。
強いな・・・!強くて厭らしい!小森・吹出・黒色、この三者の居場所を捕捉できねば、このまま終わる!!)
そんな中、遠くの方からドウンと、音がした。擬音を具現化してしまう吹出の技ではないようで、
その音を頼りに、壁の方へ常闇は顔を向ける。すると、壁を越えて何かが落ちてきた。
「ダークシャドウ!」
「アイヨ!」
常闇は葉隠を抱き抱え、ダークシャドウと共に飛び、落ちてきているものを受け止めた。
その大きな袋の外見には、ヤオヨロズラッキーバッグと書かれている。
(これは・・・!!)
サーモグラフゴーグルと、エタノール、滅菌スプレーが入っていた。
B組三人の居場所が分からずとも、ゴーグルのお陰で人の体温を感知し、敵の場所を把握できる。
滅菌スプレーは、自分たちに振りかければ体に生えていたキノコはあっという間になくなった。
「B組にキノコ生えないのへんだと思ってた!」
二手に別れた常闇と葉隠。葉隠が吹出の背後に立ち声をかければ、彼はビクッと肩を震わせる。
「滅菌処理してたのね」
そして常闇はそのまま、キノコと黒色がいる場所まで一直線だ。
「居所さえわかればこちらの間合い。逃れ潜むことすら許されぬ疾風怒濤。ホークス曰く、疾さは力に勝るという」
黒色に捕らわれていった青山はここに一緒にいない。すでにB組の檻の中に入れられてしまったのだろう。
「ブラックアンク"夜宴"!」
味方がいないとわかれば攻撃の手を抜く必要はない。常闇の攻撃を受けた二人を、ダークシャドウと共に捕まえた。
黒に潜まれる前に、黒色は常闇のマントでくるんでいく。
「俺の外套だ。移動のしようがなければ、恐るるに足らず・・・投獄に」
だが常闇は、喉に違和感を覚える。
「ゴホッ、ゲホッ」
変な咳の仕方に、ダークシャドウは首をかしげた。
「フミカゲ!?」
「ごめんね。可愛くないから封じてたけど、負けそうなのにやらないのもダメキノコだもん。
肺攻め、スエヒロダケちゃん」
(気管に・・・!!)
「とおりゃあああ!!」
「見えないから、もーわけわかんないなぁ!」
キノコが生えなくなり、元の透明に戻った葉隠は、吹出相手に素手で戦っていた。
けれど突如現れた拳藤の大拳に葉隠は捕まってしまった。
「ギャッ」
「遅れてごめん」
「拳藤!助かった。何だい、それ・・・!」
「いやぁ、気絶させたんだけどね・・・やられちゃった。大砲付きで絡みついてきた。動きにくくてしょうがない。
創造するもの全部先を見据えてて、勝った気しないな」
しかし、結果は0対4と、B組の圧勝で終わった。