第十六話 A組vsB組
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二日後。エンデヴァー、重傷を負うも手術とリカバリーガールの"治癒"により、一命を取りとめ、ミルコはあの後再び"跳んで"行った。
父親であるエンデヴァーが帰った事の報せを受けた轟は、相澤先生とともに車で実家に一度帰ることに。
歌恋も、クラスの皆と焦凍を見送り、常闇と一緒にホークスに連絡を入れたりなど、
改めてプロヒーローになるとはどんな事なのか思い知った。一先ず、皆が無事でよかった。
しかし、テレビに映ったヴィラン連合の一人、確か名前は荼毘―・・・。
ヴィラン連合といえば、あの死柄木を筆頭に動いているもんだとおもっていたが、今回彼の姿はなかった。
あの脳無と荼毘という奴が勝手に動いたのだろうか?ヴィランの考えなんて、理解しようとは思わないけれど。
「まぁ、何にせよ相澤先生も一緒に行ったから、焦凍の心配はしなくて大丈夫だよね」
あの日、爆豪から告白を受け、再び焦凍とちぐはぐな関係に戻りそうだったけれど、
お互いの気持ちは変わらないでいてくれていて安心した。
(・・・爆豪くんには悪いと思ってるし、顔も合わせずらいけれど・・・)
やっと、焦凍は自分と一緒に家族とは別な幸せの在り方を見つけてくれている。
初めて出逢った頃よりも、笑顔も増え会話も増えた。それがとても嬉しい。
(・・・嬉しくて、ニヤニヤしちゃうな)
もう、ひとりぼっちは嫌だ。ひとりぼっちにさせるのも嫌だ。
『アンタみたいな幸せな両親の元で産まれた奴に、俺の何が分かる?』
ふといまでも思い出す、この言葉。
焦凍、アナタは今幸せですか?また、この答えを聞きたい。
その頃、実家に着いた焦凍は、兄と姉(夏雄と冬美)と一緒に好物を用意してくれていた蕎麦をすすっている。
「おつかれ」
居間の障子が開き、父親の顔を見た冬美が一番に声をかけた。
「・・・久しぶりだな」
「焦凍はわざわざ外出許可いただいてね!先生にも上がっていただくつもりだったけど、遠慮するって。
とりあえず、大仕事おつかれ様でしたってことで・・・ね!」
「傷痕・・・ひでえな」
言いながら、なお蕎麦をすすりながら焦凍はジィーッと、父親に出来た左の傷を見た。
母親に煮え湯を浴びせられて出来た火傷の場所と、それはほぼ変わらなくて。
夏雄は黙ったまま、焦凍とともに蕎麦を食べ続けている。
「二人とも、おつかれくらい言いなさいな!」
そんな二人を見かねた冬美が、小声で話しかけた。
「今日は労おうって、約束でしょ!せっかくお父さんが家族を顧みようとし始めてるんだから!
嫌いだからって、顔に出しすぎだよ」
「聞こえてるぞ」
冬美の小声は、しっかり父親にも聞こえていたようだ。
(・・・家族・・・)
彼女と離れてまだそんな時間もたっていないのに、いつも笑ってそばにいてくれる歌恋の事を思い出す。
家族とはいったい、何なのだろうと・・・。
沈黙を破ったのは、夏雄だ。
「~~・・・姉ちゃんごめん、やっぱムリっぽい俺」
「なつ~~!」
逃げ出すように居間を出ようとするが、障子の近くにいる父親に止められた。
「夏雄、言いたいことがあるなら言え」
「言えって・・・目ェ合わせたこともないくせに、急によく言うね」
面と向かい合い、自分の感情をぶちまける。
「俺さ、焦凍がそば好きなんて初めて知ったよ。あんたが失敗作(俺たち)と関わらせないようにしてたから」
昔の父親の言葉を思いだし、焦凍も手を止める。
『焦凍、見るな。兄さんらはおまえとは違う世界の人間だ』
「夏兄・・・」
「お母さんも姉ちゃんも、何故か許す流れなんだけどさ、俺の中じゃイカレ野郎絶賛継続中だよ。
変わったようで、全然変わってない。失敗作は放ったらかし、聞こえてくるお母さんの悲鳴。
焦凍の泣き声。燈矢兄のこともさ・・・No.1になって、強敵倒したところで心から消えるハズない。
勝手に心変わりして!一方的に縒り戻そうってか!気持ち悪いぜ!そーゆーとこ、わかってんの!?」
「これから向き合い、償うつもりだ」
「あっそ!!!悪い姉ちゃん!ごちそーさま!」
「なつー!!」
冬美の声は聞かず、夏雄は行ってしまった。
「あーもう、やっぱりダメかなァ・・・」
悲しく、ため息がこぼれる。
「焦凍が雄英入って・・・お母さんに会うようになって・・・お父さんも歩み寄ってくれてさ。
お母さん笑うようになって、うちも、うちだって"家族"になれるんだーって・・・。嬉しかったの、姉さんはぁ~!焦凍~!」
「姉さん」
『アンタみたいな幸せな両親の元で産まれた奴に、俺の何が分かる?』
「・・・・・・・・・」
歌恋に向けて言った酷い言葉。冬美が言うように、轟家にもこれから未来はあるのかもしれない。
「夏兄があんな感情むき出すところ、初めて見た」
つけていたテレビから、ニュースが流れてくる。それは二日前にあった事件と、No.1ヒーローに対する評価。
相変わらず不安の声がある一方で、"見ろや君"の愛称で話題となっている少年も映し出され、
彼の叫びにより多くの心をエンデヴァーへ引き寄せていると。
【いやー、あの戦いね!エンデヴァーはもちろんだけどね。"見ろや君"そして何よりホークスの献身が大きかったよ。
皆がね、一丸となったもん。"応援するんだ"って。向かい風はまだ止まないだろうけどね。
皆もう気付いたよ、エンデヴァーの時代だってね。彼を支持する声は確実に拡がっているもの】
「ヒーローとしての・・・エンデヴァーって奴は凄かったよ、凄い奴だ」
「!」
焦凍に言われ、ハッと顔が上がる。
「けど・・・夏兄の言った通りだと思うし、おまえがお母さんを虐めたこと・・・まだ許せてねェ。
だから・・・"親父"として、これからどうなっていくのか見たい。ちょっとした切っ掛けが人を変えることもあるって、俺は知ってるから」
いま報告して、伝えていいのか迷う。でも、父親も変わろうとしてくれてるなら。
「俺だけが幸せになっていいのか、正直ずっと迷ってた」
それと同時に、自分の存在意義が欲しかったのかもしれない。いや、でもいまはそんなんどうでもよくて。
「それでも・・・いまも、たぶんこれからも・・・俺にはいま、好きな子が・・・大事な子がいます。
一緒に幸せの形を見つけてくれる大切な。だから、それだけは邪魔しないで欲しい」
「・・・どこのなんて子だ」
「登坂歌恋。おまえが覚えてるかわからねぇけど、神野事件の時、連合に捉えられてた女の子だ」
「っ・・・」
強くなった。前とは違う力強く、迷いのないその瞳に否定してしまえば前を向こうとしてくれてる息子をまた閉じ込めるだろう。
だから、父親はそっと目を瞑り、たった一言「そうか」と。そのまま彼は何をおもったのか、夏雄が姿を消した方へ足を向けた。
「お父さんまで、どこ行くのー!」
「冬美、今まですまなかった。それと、夏雄にかける言葉を間違えた」
実家に戻っていた焦凍が寮に無事に帰ってきた。顔を見るなり、焦凍から笑顔を見せてくれて、歌恋も笑顔になる。
彼はクラスメートからエンデヴァーの事を聞かれ、大丈夫だと答えていた。
各々の時間を過ごす頃、ようやく二人になって寮の外に出る。
「エンデヴァー、無事で本当によかった」
「・・・俺としては、アイツがいてもいなくても変わんねえけどな」
「そういうもんかなぁ・・・」
なんて、ほんのからかい半分でも、彼はエンデヴァーのことになるとやはりまだどこか苛立ちがあるようだ。
「だから、アイツに言っといたんだ。大事な子がいるって」
「え・・・?」
歌恋は驚いて、目を見開く。まさか、自分の存在を伝えているとは。
「それで・・・なんて?」
「そうか、だけしか言わなかったよ。歌恋の名前言って、覚えてるかは知らねえけど。邪魔するなって」
思いもよらない出来事に、歌恋は焦凍の右側の肩に頬を寄せる。
「嬉しい。私いま、凄く幸せだ・・・焦凍は?」
聞きたかった質問。聞きたかった答え。
「俺も幸せだよ」
父親であるエンデヴァーが帰った事の報せを受けた轟は、相澤先生とともに車で実家に一度帰ることに。
歌恋も、クラスの皆と焦凍を見送り、常闇と一緒にホークスに連絡を入れたりなど、
改めてプロヒーローになるとはどんな事なのか思い知った。一先ず、皆が無事でよかった。
しかし、テレビに映ったヴィラン連合の一人、確か名前は荼毘―・・・。
ヴィラン連合といえば、あの死柄木を筆頭に動いているもんだとおもっていたが、今回彼の姿はなかった。
あの脳無と荼毘という奴が勝手に動いたのだろうか?ヴィランの考えなんて、理解しようとは思わないけれど。
「まぁ、何にせよ相澤先生も一緒に行ったから、焦凍の心配はしなくて大丈夫だよね」
あの日、爆豪から告白を受け、再び焦凍とちぐはぐな関係に戻りそうだったけれど、
お互いの気持ちは変わらないでいてくれていて安心した。
(・・・爆豪くんには悪いと思ってるし、顔も合わせずらいけれど・・・)
やっと、焦凍は自分と一緒に家族とは別な幸せの在り方を見つけてくれている。
初めて出逢った頃よりも、笑顔も増え会話も増えた。それがとても嬉しい。
(・・・嬉しくて、ニヤニヤしちゃうな)
もう、ひとりぼっちは嫌だ。ひとりぼっちにさせるのも嫌だ。
『アンタみたいな幸せな両親の元で産まれた奴に、俺の何が分かる?』
ふといまでも思い出す、この言葉。
焦凍、アナタは今幸せですか?また、この答えを聞きたい。
その頃、実家に着いた焦凍は、兄と姉(夏雄と冬美)と一緒に好物を用意してくれていた蕎麦をすすっている。
「おつかれ」
居間の障子が開き、父親の顔を見た冬美が一番に声をかけた。
「・・・久しぶりだな」
「焦凍はわざわざ外出許可いただいてね!先生にも上がっていただくつもりだったけど、遠慮するって。
とりあえず、大仕事おつかれ様でしたってことで・・・ね!」
「傷痕・・・ひでえな」
言いながら、なお蕎麦をすすりながら焦凍はジィーッと、父親に出来た左の傷を見た。
母親に煮え湯を浴びせられて出来た火傷の場所と、それはほぼ変わらなくて。
夏雄は黙ったまま、焦凍とともに蕎麦を食べ続けている。
「二人とも、おつかれくらい言いなさいな!」
そんな二人を見かねた冬美が、小声で話しかけた。
「今日は労おうって、約束でしょ!せっかくお父さんが家族を顧みようとし始めてるんだから!
嫌いだからって、顔に出しすぎだよ」
「聞こえてるぞ」
冬美の小声は、しっかり父親にも聞こえていたようだ。
(・・・家族・・・)
彼女と離れてまだそんな時間もたっていないのに、いつも笑ってそばにいてくれる歌恋の事を思い出す。
家族とはいったい、何なのだろうと・・・。
沈黙を破ったのは、夏雄だ。
「~~・・・姉ちゃんごめん、やっぱムリっぽい俺」
「なつ~~!」
逃げ出すように居間を出ようとするが、障子の近くにいる父親に止められた。
「夏雄、言いたいことがあるなら言え」
「言えって・・・目ェ合わせたこともないくせに、急によく言うね」
面と向かい合い、自分の感情をぶちまける。
「俺さ、焦凍がそば好きなんて初めて知ったよ。あんたが失敗作(俺たち)と関わらせないようにしてたから」
昔の父親の言葉を思いだし、焦凍も手を止める。
『焦凍、見るな。兄さんらはおまえとは違う世界の人間だ』
「夏兄・・・」
「お母さんも姉ちゃんも、何故か許す流れなんだけどさ、俺の中じゃイカレ野郎絶賛継続中だよ。
変わったようで、全然変わってない。失敗作は放ったらかし、聞こえてくるお母さんの悲鳴。
焦凍の泣き声。燈矢兄のこともさ・・・No.1になって、強敵倒したところで心から消えるハズない。
勝手に心変わりして!一方的に縒り戻そうってか!気持ち悪いぜ!そーゆーとこ、わかってんの!?」
「これから向き合い、償うつもりだ」
「あっそ!!!悪い姉ちゃん!ごちそーさま!」
「なつー!!」
冬美の声は聞かず、夏雄は行ってしまった。
「あーもう、やっぱりダメかなァ・・・」
悲しく、ため息がこぼれる。
「焦凍が雄英入って・・・お母さんに会うようになって・・・お父さんも歩み寄ってくれてさ。
お母さん笑うようになって、うちも、うちだって"家族"になれるんだーって・・・。嬉しかったの、姉さんはぁ~!焦凍~!」
「姉さん」
『アンタみたいな幸せな両親の元で産まれた奴に、俺の何が分かる?』
「・・・・・・・・・」
歌恋に向けて言った酷い言葉。冬美が言うように、轟家にもこれから未来はあるのかもしれない。
「夏兄があんな感情むき出すところ、初めて見た」
つけていたテレビから、ニュースが流れてくる。それは二日前にあった事件と、No.1ヒーローに対する評価。
相変わらず不安の声がある一方で、"見ろや君"の愛称で話題となっている少年も映し出され、
彼の叫びにより多くの心をエンデヴァーへ引き寄せていると。
【いやー、あの戦いね!エンデヴァーはもちろんだけどね。"見ろや君"そして何よりホークスの献身が大きかったよ。
皆がね、一丸となったもん。"応援するんだ"って。向かい風はまだ止まないだろうけどね。
皆もう気付いたよ、エンデヴァーの時代だってね。彼を支持する声は確実に拡がっているもの】
「ヒーローとしての・・・エンデヴァーって奴は凄かったよ、凄い奴だ」
「!」
焦凍に言われ、ハッと顔が上がる。
「けど・・・夏兄の言った通りだと思うし、おまえがお母さんを虐めたこと・・・まだ許せてねェ。
だから・・・"親父"として、これからどうなっていくのか見たい。ちょっとした切っ掛けが人を変えることもあるって、俺は知ってるから」
いま報告して、伝えていいのか迷う。でも、父親も変わろうとしてくれてるなら。
「俺だけが幸せになっていいのか、正直ずっと迷ってた」
それと同時に、自分の存在意義が欲しかったのかもしれない。いや、でもいまはそんなんどうでもよくて。
「それでも・・・いまも、たぶんこれからも・・・俺にはいま、好きな子が・・・大事な子がいます。
一緒に幸せの形を見つけてくれる大切な。だから、それだけは邪魔しないで欲しい」
「・・・どこのなんて子だ」
「登坂歌恋。おまえが覚えてるかわからねぇけど、神野事件の時、連合に捉えられてた女の子だ」
「っ・・・」
強くなった。前とは違う力強く、迷いのないその瞳に否定してしまえば前を向こうとしてくれてる息子をまた閉じ込めるだろう。
だから、父親はそっと目を瞑り、たった一言「そうか」と。そのまま彼は何をおもったのか、夏雄が姿を消した方へ足を向けた。
「お父さんまで、どこ行くのー!」
「冬美、今まですまなかった。それと、夏雄にかける言葉を間違えた」
実家に戻っていた焦凍が寮に無事に帰ってきた。顔を見るなり、焦凍から笑顔を見せてくれて、歌恋も笑顔になる。
彼はクラスメートからエンデヴァーの事を聞かれ、大丈夫だと答えていた。
各々の時間を過ごす頃、ようやく二人になって寮の外に出る。
「エンデヴァー、無事で本当によかった」
「・・・俺としては、アイツがいてもいなくても変わんねえけどな」
「そういうもんかなぁ・・・」
なんて、ほんのからかい半分でも、彼はエンデヴァーのことになるとやはりまだどこか苛立ちがあるようだ。
「だから、アイツに言っといたんだ。大事な子がいるって」
「え・・・?」
歌恋は驚いて、目を見開く。まさか、自分の存在を伝えているとは。
「それで・・・なんて?」
「そうか、だけしか言わなかったよ。歌恋の名前言って、覚えてるかは知らねえけど。邪魔するなって」
思いもよらない出来事に、歌恋は焦凍の右側の肩に頬を寄せる。
「嬉しい。私いま、凄く幸せだ・・・焦凍は?」
聞きたかった質問。聞きたかった答え。
「俺も幸せだよ」