第十五話 新No.1ヒーロー
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「もう燃えカス同然です、あまり助力できませんが!」
「充分!!」
背中の羽が、エンデヴァーの身体ごと空へ向きを変える。
(上だ!!もっと上へ!!人も建物も気にする必要のない、上空へ!!)
空へと昇るエンデヴァーの姿は、カメラに、テレビに映らなくなるほどの距離まで。
「貴様は俺だ。過去の・・・或いは、別の未来の・・・灼けて・・・眠るがいい。おおおおおっ!!」
昔から、この校訓が大嫌いだった。
「"プルスウルトラプロミネンスバーン"!!」
太陽よりも眩しく光るエンデヴァーの技が、辺りを照らす。
炎の塊となって落ちる脳無。そして、エンデヴァー。落ちたその場にホークスが駆け寄れば、
ピクリとも動けない脳無の前で、エンデヴァーは立ち拳を突き上げていた。
勝者は、エンデヴァーだ。
【立っています!!スタンディング!!エンデヴァー!!】
その声とともに、パニック状態だった人々から笑顔と歓声が沸き起こる。
【勝利の!!いえ!!始まりのスタンディングですっ!!】
安心したのか、轟は崩れるようにしゃがみこむ。
「焦凍!」
「大丈夫か?」
「轟くん!」
エンデヴァーが勝って、落ち着いてきた皆も、轟に駆け寄る。
(よかった・・・エンデヴァーが勝ってくれてよかった・・・)
エンデヴァーのふらつく身体を、ホークスが寸前で支える。
「オールマイトとポーズ、同じじゃないですか」
「腕が・・・違う。奴は左・・・だ!」
「知らんですよ。とにかく!勝ってくれてありがとうございました・・・!」
落ち着いた体制で座り直すエンデヴァーに、ホークスはタオルを手渡す。
「・・・0点だ。ずいぶんと酷い"スタート"を切った」
「・・・すみません。でも、この勝ちは絶対・・・絶対にデカイはずです・・・!
まず、その怪我と出血、なんとかしないと・・・」
「俺はもう動けんぞ。誰か呼んで来・・・」
「ちょーっと待ってくれよ。色々想定外なんだが」
「!!!」
「!?」
第三者の声に、エンデヴァーとホークスが顔を向ける。
「まァ、とりあえずじめましてかな?エンデヴァー」
そこに立っていたのは、ヴィラン連合の荼毘だ。
「おまえがいるとは聞いてねぇ」
ホッとするのもつかの間、青い炎を持つヴィラン連合の荼毘が現れ、
炎の壁でエンデヴァーらを囲い込んでいる。
「あいつか・・・?堂々と・・・どういうつもりだ」
一度手合わせしている相澤先生に、ヴィラン連合の言葉にゾクリとし、歌恋は自身を抱く。
忘れない。あの時、爆豪と歌恋の救出に失敗した時に荼毘に言われたこと。
『哀しいなぁ、轟焦凍』
(荼毘・・・!)
立ち上がろうとするエンデヴァーを気遣いホークスが言う。
「いや、あなたは休んでて下さい。俺やります。ザコ羽しかありませんけど・・・時間稼ぎぐらいは・・・」
「勘弁してくれよ。そこの脳無を取りに来ただけなんだ。俺が勝てるハズねぇだろ。満身創痍のトップ2相手によ」
その時、ニュースを見て"飛んで"きたというプロヒーローミルコが乱入。
「てめェ連合だな!蹴っ飛ばす!」
「ミルコ・・・!?ったく、いいとこだったのに・・・」
すると、荼毘はあの黒い液体を口から吐き出す。歌恋も見たことあるそれに目を見開く。
「また今度な、No.1ヒーローさんよ。また話せる機会が来るだろう。
その時まで・・・精々頑張れ、死ぬんじゃねぇぞ轟炎司!!」
「今、話してけ」
ミルコが蹴りを喰らわすも遅く、荼毘は黒い液体にのまれ消えた。
唖然と、静寂に包まれる周囲。辺りを警戒しながらも、ホークスは言った。
「・・・とりあえずは・・・一件落着ぽいですね」
【危機は・・・荼毘は退き・・・敵は、消えました・・・!私の声は、彼らに届いていません。
・・・しかし!言わせて下さい!!エンデヴァー!!そしてホークス!!守ってくれました!!
命を賭して、勝ってくれました!!新たなる頂点がそこに!私は伝えたい!!
伝えたいよ!あそこにいるヒーローに!!ありがとうと!!】
あの事件が終わった後。轟が相澤先生と話している間に、爆豪に強引に手を引っ張られた。
「爆豪くん・・・!」
さっきから名前を呼んだり、どうしたのと聞いても彼は黙ったままだ。
でも、ここに来る前に見てしまった。爆豪に連れられる時、何か言いたげにしていた轟を。
でも、追ってくることはなくて。たぶん、彼の中は今エンデヴァーの事で頭がいっぱいなはず。
そんな中、爆豪に連れられたのは外だ。寮の外壁に、背中を叩きつけられる。
「っ――!!」
「・・・右手、火傷になりかけてんじゃねぇか。なんで離さなかったんだ。
ンで、あいつなんだよ・・・なんで俺じゃねぇんだよ」
こんな横取りなんてカッコ悪い姿しか見せらんなくて。
「それ、は・・・」
普段から、轟は自分を左側に置かせてくれない。いつも、隣に並ぶ時は決まって右側に寄せられる。
それが悔しくて切なくて、自分は怖くないって見せたくて、「大丈夫だよ」って言いたくて。
壁に背中をやられ、動けない歌恋の右手を取った爆豪は、火傷になりかけのその傷に舌を這わす。
「やっ・・・待って、爆豪くんっ」
「待てねぇ。俺は随分待ったぞ、あいつは突き放しただろ」
いつも吠えてる印象の爆豪とは全然違う。確かに彼は何かと助けて手を貸してくれた。
(でも、待って。それとこれとは違うんじゃ・・・)
うん、そう。これは爆豪じゃない。
「あれは、きっと違うよ。焦凍はああいうの、周りくどっぽくしちゃうけど守ろうとしてくれたんだよ」
オールマイトの初めての授業でも、USJの事件の時も体育祭も。
「俺の前で焦凍焦凍言うんじゃねぇ。腹立つんだよ、ムカつくんだよ。俺だってなぁ・・・あんたが好きなんだよ・・・」
「――!ばく、ごうくん・・・?」
驚きと戸惑いに、歌恋は言葉がでない。まさかとは思った。
轟とは違い、通りがけでも困っていると何かと手をやいていてくれたのは確かに思い浮かぶけど。
彼に、爆豪にそんな気持ちがあったなんて気付いてやれなくて。
「充分!!」
背中の羽が、エンデヴァーの身体ごと空へ向きを変える。
(上だ!!もっと上へ!!人も建物も気にする必要のない、上空へ!!)
空へと昇るエンデヴァーの姿は、カメラに、テレビに映らなくなるほどの距離まで。
「貴様は俺だ。過去の・・・或いは、別の未来の・・・灼けて・・・眠るがいい。おおおおおっ!!」
昔から、この校訓が大嫌いだった。
「"プルスウルトラプロミネンスバーン"!!」
太陽よりも眩しく光るエンデヴァーの技が、辺りを照らす。
炎の塊となって落ちる脳無。そして、エンデヴァー。落ちたその場にホークスが駆け寄れば、
ピクリとも動けない脳無の前で、エンデヴァーは立ち拳を突き上げていた。
勝者は、エンデヴァーだ。
【立っています!!スタンディング!!エンデヴァー!!】
その声とともに、パニック状態だった人々から笑顔と歓声が沸き起こる。
【勝利の!!いえ!!始まりのスタンディングですっ!!】
安心したのか、轟は崩れるようにしゃがみこむ。
「焦凍!」
「大丈夫か?」
「轟くん!」
エンデヴァーが勝って、落ち着いてきた皆も、轟に駆け寄る。
(よかった・・・エンデヴァーが勝ってくれてよかった・・・)
エンデヴァーのふらつく身体を、ホークスが寸前で支える。
「オールマイトとポーズ、同じじゃないですか」
「腕が・・・違う。奴は左・・・だ!」
「知らんですよ。とにかく!勝ってくれてありがとうございました・・・!」
落ち着いた体制で座り直すエンデヴァーに、ホークスはタオルを手渡す。
「・・・0点だ。ずいぶんと酷い"スタート"を切った」
「・・・すみません。でも、この勝ちは絶対・・・絶対にデカイはずです・・・!
まず、その怪我と出血、なんとかしないと・・・」
「俺はもう動けんぞ。誰か呼んで来・・・」
「ちょーっと待ってくれよ。色々想定外なんだが」
「!!!」
「!?」
第三者の声に、エンデヴァーとホークスが顔を向ける。
「まァ、とりあえずじめましてかな?エンデヴァー」
そこに立っていたのは、ヴィラン連合の荼毘だ。
「おまえがいるとは聞いてねぇ」
ホッとするのもつかの間、青い炎を持つヴィラン連合の荼毘が現れ、
炎の壁でエンデヴァーらを囲い込んでいる。
「あいつか・・・?堂々と・・・どういうつもりだ」
一度手合わせしている相澤先生に、ヴィラン連合の言葉にゾクリとし、歌恋は自身を抱く。
忘れない。あの時、爆豪と歌恋の救出に失敗した時に荼毘に言われたこと。
『哀しいなぁ、轟焦凍』
(荼毘・・・!)
立ち上がろうとするエンデヴァーを気遣いホークスが言う。
「いや、あなたは休んでて下さい。俺やります。ザコ羽しかありませんけど・・・時間稼ぎぐらいは・・・」
「勘弁してくれよ。そこの脳無を取りに来ただけなんだ。俺が勝てるハズねぇだろ。満身創痍のトップ2相手によ」
その時、ニュースを見て"飛んで"きたというプロヒーローミルコが乱入。
「てめェ連合だな!蹴っ飛ばす!」
「ミルコ・・・!?ったく、いいとこだったのに・・・」
すると、荼毘はあの黒い液体を口から吐き出す。歌恋も見たことあるそれに目を見開く。
「また今度な、No.1ヒーローさんよ。また話せる機会が来るだろう。
その時まで・・・精々頑張れ、死ぬんじゃねぇぞ轟炎司!!」
「今、話してけ」
ミルコが蹴りを喰らわすも遅く、荼毘は黒い液体にのまれ消えた。
唖然と、静寂に包まれる周囲。辺りを警戒しながらも、ホークスは言った。
「・・・とりあえずは・・・一件落着ぽいですね」
【危機は・・・荼毘は退き・・・敵は、消えました・・・!私の声は、彼らに届いていません。
・・・しかし!言わせて下さい!!エンデヴァー!!そしてホークス!!守ってくれました!!
命を賭して、勝ってくれました!!新たなる頂点がそこに!私は伝えたい!!
伝えたいよ!あそこにいるヒーローに!!ありがとうと!!】
あの事件が終わった後。轟が相澤先生と話している間に、爆豪に強引に手を引っ張られた。
「爆豪くん・・・!」
さっきから名前を呼んだり、どうしたのと聞いても彼は黙ったままだ。
でも、ここに来る前に見てしまった。爆豪に連れられる時、何か言いたげにしていた轟を。
でも、追ってくることはなくて。たぶん、彼の中は今エンデヴァーの事で頭がいっぱいなはず。
そんな中、爆豪に連れられたのは外だ。寮の外壁に、背中を叩きつけられる。
「っ――!!」
「・・・右手、火傷になりかけてんじゃねぇか。なんで離さなかったんだ。
ンで、あいつなんだよ・・・なんで俺じゃねぇんだよ」
こんな横取りなんてカッコ悪い姿しか見せらんなくて。
「それ、は・・・」
普段から、轟は自分を左側に置かせてくれない。いつも、隣に並ぶ時は決まって右側に寄せられる。
それが悔しくて切なくて、自分は怖くないって見せたくて、「大丈夫だよ」って言いたくて。
壁に背中をやられ、動けない歌恋の右手を取った爆豪は、火傷になりかけのその傷に舌を這わす。
「やっ・・・待って、爆豪くんっ」
「待てねぇ。俺は随分待ったぞ、あいつは突き放しただろ」
いつも吠えてる印象の爆豪とは全然違う。確かに彼は何かと助けて手を貸してくれた。
(でも、待って。それとこれとは違うんじゃ・・・)
うん、そう。これは爆豪じゃない。
「あれは、きっと違うよ。焦凍はああいうの、周りくどっぽくしちゃうけど守ろうとしてくれたんだよ」
オールマイトの初めての授業でも、USJの事件の時も体育祭も。
「俺の前で焦凍焦凍言うんじゃねぇ。腹立つんだよ、ムカつくんだよ。俺だってなぁ・・・あんたが好きなんだよ・・・」
「――!ばく、ごうくん・・・?」
驚きと戸惑いに、歌恋は言葉がでない。まさかとは思った。
轟とは違い、通りがけでも困っていると何かと手をやいていてくれたのは確かに思い浮かぶけど。
彼に、爆豪にそんな気持ちがあったなんて気付いてやれなくて。