第十五話 新No.1ヒーロー
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「しょ、と・・・」
いつの間に隣に来ていた轟。
「轟・・・!」
「轟さん!」
「轟くんっ」
歌恋の名前を呼ぶ声に反応した皆も、それぞれ視線を轟に向けた。
倒れるエンデヴァーの姿を見て、彼はギリッと歯軋りする。いくら嫌いだと、嫌ってるとしても、
実の父親を心配しない子供はいない。
【突如として現れた一人のヴィランが!!街を蹂躙(じゅんりん)しております!
ハッキリと確認できませんが、"改人脳無"も多数出現しているとの情報が。
現在ヒーローたちが交戦・避難誘導中!しかし、いち早く応戦したエンデヴァー氏は・・・】
テレビに映されるエンデヴァーは、顔に大怪我を負って・・・意識はあるのかどうかさえ危うい状況。
【この光景、嫌でも思い出される3か月前の悪夢】
立ち上がるエンデヴァー、しかし、脳無の攻撃の方が早く、そして強い。
唖然と立ち尽くしてしまう応戦にきていた他のヒーローが話す。
「・・・今の見えたか・・・?」
「・・・全く・・・」
「何でこんなのがポンと出てくるんだ・・・」
「街の全員逃がさねぇと・・・このままじゃ、神野どころの話じゃなくなる!」
騒ぎ、パニックに陥る街の人達。
「にっ・・・人間ハ、あっ・・・あっちか」
エンデヴァーが押さえつけていた脳無が、目を付けた。
歌恋は黙って、ぎゅっと、轟の左側の裾を掴む。
「・・・えっ?」
だが、歌恋は唖然とした。
「・・・・・・・」
何も答えてくれない轟は、彼女をそっと押し退けた。
(俺は・・・俺はやっぱり・・・)
テレビを見て、戦う実の父親を見て、改めて自分は奴の息子なのだと。
えげつなく映るヒーローのこの活躍は、半分が自分に見えて仕方なかった。
忘れかけようとした事なのに。自分の事を好きになろうとしたのに。
存在が大きくなれば大きくなるだけ、大切な気持ちが膨らめば膨らむほど。
「っ・・・・・・」
思わず、いつものように爆豪は怒鳴りちらそうとした。でも、それが出来る雰囲気じゃない。
「轟・・・」
クラスメイトがいくらおちょくっても離れるなんてことはなかった二人の関係。
「轟、もう見てたか・・・!」
そこへ、慌てて相澤先生が中に入ってくる。遠くなりかけた歌恋の意識も戻った。
(私は、焦凍になにされた・・・?)
あぁ、そうか。いつも言われていた左側に張り付くなってこと?炎だから、危ねぇって。
けど、その表情はなに・・・?今まで見たことない、いや、忘れていた。
最初に会った頃のあの時と同じ苦痛に歪む表情。近づくなって事・・・?
「テレビつけたら・・・エンデヴァーが!」
緑谷がどうすればいいのかと困った顔をしながら、相澤先生に伝えてくれている。
テレビの向こうでは、今もなお、逃げ惑う人々の中に、アナウンサーが仕切りに叫んでいた。
【象徴の不在・・・これが、象徴の不在・・・!!】
「ふざけんな・・・」
こんな事呟いても、アナウンサーに聞こえないのはわかってる。どうにもならないもどかしさ。
「てきとうな事言うなや!!」
「「「!!!」」」
一際大きく聞こえた声に、再び画面に目を向ける。
「どこ見て喋りよっとやテレビ!」
「やめとけやこんな時に」
「あれ見ろや。まだ炎が上がっとるやろうが!見えとるやろが!!
エンデヴァー生きて戦っとるやろうが!!おらんもんの尾っぽ引いて、勝手に絶望すんなや!
今、俺らの為に体張っとる男は誰や!!見ろや!!」
(・・・そうだよ・・・。
左側が炎だからって怖くない。もう、右側も左側も関係ないよ。
一緒にいたいって思ってくれたじゃない。だから寄り添ってくれたんだよね。
笑ってくれてたんだよね。片方側しか寄り添えないなんて、そんなの私が嫌だよ。
今さら離れるなんて嫌だよ。側にいさせてよ。こんな形でいられないなんて、一番嫌だよ!)
忘れたくない。今までいた、二人の大切な時間も。
「嫌だよ、焦凍・・・」
「っ・・・!」
軽率だった自分の考え、そう突き付けられる。
「歌恋・・・」
もう一度、轟の左側の裾を掴む歌恋の手は、震えていた。
(離したくない・・・)
嫌われるのが、一番怖いんだ。慣れっこだと思った。でも、大切なモノを見つけてしまった。
【再び、空からの映像です】
アナウンサーの声につられ、視線をテレビに向け直す。
【あっ!!黒のヴィランが・・・あっ!!避難先へ!!ああ!!
追っています!しかし、追っています!エンデヴァーーー!!】
脳無がエンデヴァーに問いかける。
「おっ、オお前も、再生さイせいも、持ちなノか?」
(一緒にするな。こちとら既に、体が動かん!!)
それでも、立ち止まれない理由がそこにある。
(動かん体を、火力で押し出せ。倒れてなるものか!霞むこの眼で勝機を見据えろ!
火力を上げろ!!もっと!!更に!!改人、貴様頭部は傷ついちゃマズいんだろう!?
最早生け捕りは考えぬ!!越えろ!こいつの反応速度を!越えてその面炭になるまで、倒れてなるものか・・・)
「そーゆーとこです」
そこへ、ホークスが加勢に入る。
(エンデヴァーさん!俺の羽じゃ、破壊力が足りない。けれど、スピードなら互角です。
俺ね、見てたんで知ってんですよ。本気で越えようなんて人は一人もいなかった)
そう、それは誰しもが憧れたNo.1ヒーロー、オールマイトの背中を。
あなただけですよ、本気で越えようとしてたのは。
(いや、無理でしょ・・・どんだけ不器用なんだこの人は)
でも、今それが現実になろうとしている。
「羽、あらかじめ飛ばしときました。あなたの火力に、俺の羽を上乗せする!」
まるで羽が生えたように、エンデヴァーの背中には炎の翼が広がる。
(背中押しますよ、No.1!!)
俺の背中やったら、安心させられん。
(だから・・・!!)
「ぬうぅ!!」
誰より、強くなりたかった。
向かう脳無の口に目掛け、拳を貫き焼き付けていく。
(突然、獣のような様相に!)
「マジかよっ」
ホークスの方からでもわかるほどの、脳無の姿のかわりよう。
脳無を焼きにいっているエンデヴァー。しかし、脳無の再生が間に合っているのか、倒れる気配がない。
ホークスが助力してくれた羽も、ほぼ全弾撃ってそれももう燃え尽きてなくなりかけている。
「ホークス!!」
エンデヴァーの叫ぶ声に、ホークスは顔を上げた。そう、まだ終わっていない。
「改人・・・脳無っ!!(無数の"個性"を持つようつくられしモノよ、強さに執着する者よ!)」
【・・・エンデヴァー、戦っています。身をよじり・・・足掻きながら!!】
「――っ!」
「!」
小さく上がる轟の炎に驚くも、不思議と恐怖はなかった。
瞬間的な出来事かもしれないけど、繋ぎ直してくれた炎が上がる手はあったかい。
「親父・・・っ、見てるぞ!!!」
いつの間に隣に来ていた轟。
「轟・・・!」
「轟さん!」
「轟くんっ」
歌恋の名前を呼ぶ声に反応した皆も、それぞれ視線を轟に向けた。
倒れるエンデヴァーの姿を見て、彼はギリッと歯軋りする。いくら嫌いだと、嫌ってるとしても、
実の父親を心配しない子供はいない。
【突如として現れた一人のヴィランが!!街を蹂躙(じゅんりん)しております!
ハッキリと確認できませんが、"改人脳無"も多数出現しているとの情報が。
現在ヒーローたちが交戦・避難誘導中!しかし、いち早く応戦したエンデヴァー氏は・・・】
テレビに映されるエンデヴァーは、顔に大怪我を負って・・・意識はあるのかどうかさえ危うい状況。
【この光景、嫌でも思い出される3か月前の悪夢】
立ち上がるエンデヴァー、しかし、脳無の攻撃の方が早く、そして強い。
唖然と立ち尽くしてしまう応戦にきていた他のヒーローが話す。
「・・・今の見えたか・・・?」
「・・・全く・・・」
「何でこんなのがポンと出てくるんだ・・・」
「街の全員逃がさねぇと・・・このままじゃ、神野どころの話じゃなくなる!」
騒ぎ、パニックに陥る街の人達。
「にっ・・・人間ハ、あっ・・・あっちか」
エンデヴァーが押さえつけていた脳無が、目を付けた。
歌恋は黙って、ぎゅっと、轟の左側の裾を掴む。
「・・・えっ?」
だが、歌恋は唖然とした。
「・・・・・・・」
何も答えてくれない轟は、彼女をそっと押し退けた。
(俺は・・・俺はやっぱり・・・)
テレビを見て、戦う実の父親を見て、改めて自分は奴の息子なのだと。
えげつなく映るヒーローのこの活躍は、半分が自分に見えて仕方なかった。
忘れかけようとした事なのに。自分の事を好きになろうとしたのに。
存在が大きくなれば大きくなるだけ、大切な気持ちが膨らめば膨らむほど。
「っ・・・・・・」
思わず、いつものように爆豪は怒鳴りちらそうとした。でも、それが出来る雰囲気じゃない。
「轟・・・」
クラスメイトがいくらおちょくっても離れるなんてことはなかった二人の関係。
「轟、もう見てたか・・・!」
そこへ、慌てて相澤先生が中に入ってくる。遠くなりかけた歌恋の意識も戻った。
(私は、焦凍になにされた・・・?)
あぁ、そうか。いつも言われていた左側に張り付くなってこと?炎だから、危ねぇって。
けど、その表情はなに・・・?今まで見たことない、いや、忘れていた。
最初に会った頃のあの時と同じ苦痛に歪む表情。近づくなって事・・・?
「テレビつけたら・・・エンデヴァーが!」
緑谷がどうすればいいのかと困った顔をしながら、相澤先生に伝えてくれている。
テレビの向こうでは、今もなお、逃げ惑う人々の中に、アナウンサーが仕切りに叫んでいた。
【象徴の不在・・・これが、象徴の不在・・・!!】
「ふざけんな・・・」
こんな事呟いても、アナウンサーに聞こえないのはわかってる。どうにもならないもどかしさ。
「てきとうな事言うなや!!」
「「「!!!」」」
一際大きく聞こえた声に、再び画面に目を向ける。
「どこ見て喋りよっとやテレビ!」
「やめとけやこんな時に」
「あれ見ろや。まだ炎が上がっとるやろうが!見えとるやろが!!
エンデヴァー生きて戦っとるやろうが!!おらんもんの尾っぽ引いて、勝手に絶望すんなや!
今、俺らの為に体張っとる男は誰や!!見ろや!!」
(・・・そうだよ・・・。
左側が炎だからって怖くない。もう、右側も左側も関係ないよ。
一緒にいたいって思ってくれたじゃない。だから寄り添ってくれたんだよね。
笑ってくれてたんだよね。片方側しか寄り添えないなんて、そんなの私が嫌だよ。
今さら離れるなんて嫌だよ。側にいさせてよ。こんな形でいられないなんて、一番嫌だよ!)
忘れたくない。今までいた、二人の大切な時間も。
「嫌だよ、焦凍・・・」
「っ・・・!」
軽率だった自分の考え、そう突き付けられる。
「歌恋・・・」
もう一度、轟の左側の裾を掴む歌恋の手は、震えていた。
(離したくない・・・)
嫌われるのが、一番怖いんだ。慣れっこだと思った。でも、大切なモノを見つけてしまった。
【再び、空からの映像です】
アナウンサーの声につられ、視線をテレビに向け直す。
【あっ!!黒のヴィランが・・・あっ!!避難先へ!!ああ!!
追っています!しかし、追っています!エンデヴァーーー!!】
脳無がエンデヴァーに問いかける。
「おっ、オお前も、再生さイせいも、持ちなノか?」
(一緒にするな。こちとら既に、体が動かん!!)
それでも、立ち止まれない理由がそこにある。
(動かん体を、火力で押し出せ。倒れてなるものか!霞むこの眼で勝機を見据えろ!
火力を上げろ!!もっと!!更に!!改人、貴様頭部は傷ついちゃマズいんだろう!?
最早生け捕りは考えぬ!!越えろ!こいつの反応速度を!越えてその面炭になるまで、倒れてなるものか・・・)
「そーゆーとこです」
そこへ、ホークスが加勢に入る。
(エンデヴァーさん!俺の羽じゃ、破壊力が足りない。けれど、スピードなら互角です。
俺ね、見てたんで知ってんですよ。本気で越えようなんて人は一人もいなかった)
そう、それは誰しもが憧れたNo.1ヒーロー、オールマイトの背中を。
あなただけですよ、本気で越えようとしてたのは。
(いや、無理でしょ・・・どんだけ不器用なんだこの人は)
でも、今それが現実になろうとしている。
「羽、あらかじめ飛ばしときました。あなたの火力に、俺の羽を上乗せする!」
まるで羽が生えたように、エンデヴァーの背中には炎の翼が広がる。
(背中押しますよ、No.1!!)
俺の背中やったら、安心させられん。
(だから・・・!!)
「ぬうぅ!!」
誰より、強くなりたかった。
向かう脳無の口に目掛け、拳を貫き焼き付けていく。
(突然、獣のような様相に!)
「マジかよっ」
ホークスの方からでもわかるほどの、脳無の姿のかわりよう。
脳無を焼きにいっているエンデヴァー。しかし、脳無の再生が間に合っているのか、倒れる気配がない。
ホークスが助力してくれた羽も、ほぼ全弾撃ってそれももう燃え尽きてなくなりかけている。
「ホークス!!」
エンデヴァーの叫ぶ声に、ホークスは顔を上げた。そう、まだ終わっていない。
「改人・・・脳無っ!!(無数の"個性"を持つようつくられしモノよ、強さに執着する者よ!)」
【・・・エンデヴァー、戦っています。身をよじり・・・足掻きながら!!】
「――っ!」
「!」
小さく上がる轟の炎に驚くも、不思議と恐怖はなかった。
瞬間的な出来事かもしれないけど、繋ぎ直してくれた炎が上がる手はあったかい。
「親父・・・っ、見てるぞ!!!」