第十三話 立場
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夕方。
「俺、考えてみらたあんたの事もう全然好きっス!!"個性"の相性も良いっスし!」
「そっか」
「つか、爆豪って黙ってればソコソコ良さげ?黙ってみてー」
「黙ってろ」
四人で話ながら外に出ると、士傑高校の先生と肉倉、そしてオールマイトとプレゼント・マイクが話し合っていた。
内容はどうやらヴィラン連合のことで、雄英以外の学校に手をかけたということ、
ケミィが襲われた動機も不明だが、これからは士傑と雄英、情報共有も含め今後は連携していこうとの事らしい。
今後、合同での実習も検討するとか。
「久しぶりだな焦凍。ずいぶん変わった」
「うるせェよ」
頭を撫でようとしたのだろう。だがそのエンデヴァーの手を轟は振り払う。
「焦凍、おまえは自慢の息子だ」
轟の目付きが変わる。それは先ほどとうってかわって。最初の頃の-・・・。
「ならば俺も、おまえが胸を張れるようなヒーローになろう。
父はNo.1ヒーロー・・・最も偉大な男であると」
「勝手にしろよ・・・」
「エンデヴァー!!」
「!」
「俺、応援してるっス」
かつて恐怖を感じたエンデヴァーの目は、変わった。夜嵐に向け、微笑みかける。
「ありがとう。血が凄い出てるぞ」
少しずつだが時に立ち止まり、時に振り返っては、一歩一歩と歩みを進めている。
補講組が無事に帰ってきた。
「おかえり、二人とも」
「あぁ」
「チッ」
「今日の補講も大変だったみたいだなー」
「子供らと遊んだんだって?」
「んで知っとんだ!」
からかってくる上鳴と切島に、爆豪がいつものように突っ込む。
「歌恋が電話してたから」
まぁ、あとで補講の内容がどうだったか聞こうと思ってたことなので、かわらず隣に耳郞がいる。
「電話?」
自分が彼女にかけた覚えがないため、轟は首をかしげた。
「それが、イナサくんから電話あって。補講での出来事教えてくれたんだ」
「・・・・・・・・・・・」
黙る轟の後ろで、爆豪が舌打ちしている。
「あのヤロー」
「・・・かっちゃんが子供たちと遊ぶなんて、全然想像出来ないよ」
「ああ!?」
「デクくん」
怖いものでも見たような表情を見せる緑谷に、麗日はやれやれと彼の名前を呼んでいる。
「焦凍くんとイナサくんが仲良くなってくれてよかったよ。
あとね、イナサくんエンデヴァーのことも嫌いじゃないかもって言ってたよ」
あまりにもニコニコ話す歌恋に、轟は何も言えなくなってしまった。
なんでこうやってすぐ、嫉妬めいた感情が沸いてくるのだろう。
「・・・そうか。疲れたから寝る」
「え、うん・・・」
「轟のヤツ、どうしたんだ?」
あまりにも早い時間帯に、切島が首をかしげた。
「・・・私、変なこと言っちゃった・・・?」
「うーん・・・」
一緒に悩んでくれる耳郞に、目の前に座る芦戸が言う。
「なんか、轟も話したかったんじゃない?」
「・・・(ただたんに、嬉しかったんだけどな・・・)焦凍くん、笑顔じゃなかったな・・・」
「轟の表情って分かりづらくね?かっちゃんと違って」
「俺と比べんな」
爆豪といがみ合う上鳴。
「でも、確かに分かりづらいなって、俺も思うときあるよ」
歌恋は尾白に顔を向ける。
「ほら、良くも悪くも轟って、あまり表情変えないっていうか、あれがポーカーフェイスかなって」
「そう、かな・・・」
けど、轟がああに多少不機嫌になるのは、夜嵐の名前を言う時かもしれない。
仮免の時そうだったから・・・。でも、夜嵐の事はつい名前で呼んでしまう癖がある。
(焦凍くんって、結構あれだな・・・)
でも、自分が簡単に名前を呼べないって言っておいて夜嵐のことは普通に呼んでしまったから。
(・・・私が悪いのか・・・)
芦戸と話していた耳郞に、歌恋は声をかける。
「響香ちゃん」
「ん?」
「あのさ・・・皆がいるところで焦凍って呼んだら、やっぱ皆なんか言ってくるかな・・・」
「どうしたの?」
「うん、そのね・・・」
轟はもう、自分の事をいつしか歌恋と呼んでくれるようになった。
けど、歌恋は完全に焦凍と呼べないでいる。
もし轟が、夜嵐と同じ呼び方をされるのに不満を、不安を感じているのだとしたら。
「・・・呼び方変えてどうこうなるなんてわからないけど・・・」
「轟も、歌恋の前じゃワンコだね」
聞いていた芦戸も、話に加わる。
「ワンコって・・・」
「えー、だってさ、カップルっていったらもっとこう、イチャイチャしたくなるんじゃないの?
二人って、あまりそういった雰囲気出さないし。まぁ実は、見えないとこでやってたり?」
「三奈ちゃん・・・!」
「歌恋も可愛いんだからさ、もっと堂々としてあげれば?
じゃなきゃ、アイツはイケメンだし、ついていっちゃう女山ほどいるんじゃない。性格は性格だけどね」
「う~ん・・・もっと、堂々とか。でも、だってさ!すぐ上鳴くんや峰田くんが邪魔するんだもん」
「え?」
「俺たちがなんだって?」
「ほら!」
「登坂って、からかいがあるもんな」
「瀬呂くんまで!」
「皆さん、そろそろお夕食ですわ!」
委員長、副委員長が、立派に仕事をこなしてくれている。
「轟くんと常闇くん、青山くんの姿が見えないぞ!」
「部屋かな?僕同じ階だから呼んでくるよ!」
「うむ、緑谷くん頼む」
「ほら、轟は歌恋が行ってきなよ」
耳郞にそう、背中を押される。
「え!?響香ちゃん、一緒に来て」
「なんでさ」
「じゃじゃ、俺が一緒に行く!」
「ずりーぞ上鳴!」
「二人は嫌だ。それなら切島くん選ぶ」
「俺!?」
切島には悪いが、上鳴と峰田の捌け口だ。
「響香ちゃん~」
「もー、わかったよ」
途中まで、緑谷も一緒に行動。
「僕はさ、きっと轟くん愛情が深い人なんじゃないかなって思うよ」
「緑谷くん・・・」
「ほら、登坂さんも、轟くんのお家の事情知ってるでしょ?」
「まぁ・・・うん・・・」
「登坂さんの事は、本当に大事にしたいんだよ」
「あ、ありがとう・・・」
緑谷に説得されると、なんだか照れる。
耳郞と二人になった時に言われた。
「歌恋さ、夜嵐のことも名前で呼んでるじゃん?男子の名前呼んでるのその二人ってわかってるから、
端からみてると、夜嵐の話してるときあーゆー態度になってる気がするよ」
「うっ・・・けど今さら、イナサくんのこと夜嵐くんとは呼びにくい・・・」
「ま、お好きなように」
あぁ、とうとう彼の部屋の前に来てしまった。
「・・・・・・・緊張する・・・」
「何を今さら」
ドアの前で右往左往する歌恋に、呆れる耳郞。
「轟ー、いる?夕食だって!」
「はうっ!」
「あぁ、今行く」
部屋から声が聞こえ、咄嗟に耳郞の後ろに隠れてしまった。
「・・・あ、歌恋もいたのか・・・」
「あ、あの・・・行こうか」
久しぶりにインターン組もいるということで、皆で夕食をとることに。
「緑谷ぁ、ナイトアイのお葬式の話、相澤先生なんか言ってたか?」
切島が聞いている。サー・ナイトアイは、唯一あの時の関連で命を落としてしまったヒーローだ。
今回事件に関わったA組の切島、緑谷、麗日、蛙吹は呼ばれているのだろう。
それから、ナイトアイの事務所はサイドキックのセンチピーダーが引き継ぐらしい。
通形先輩は例の薬でいま"個性"を失っているが、事務所は通形先輩の帰りを待っている。
やはりヒーローは、危険はつきもの。
轟の隣に座り食事をしているが・・・チラッと横顔を盗み見る。
「ん?」
「あ・・・焦凍、嫌なおもい・・・ごめんね」
すると、そっと頭に手を乗せてくれた。
「ありがとう・・・」
轟は本当に優しい人だ。その優しさを無駄にしてはいけない。
「俺、考えてみらたあんたの事もう全然好きっス!!"個性"の相性も良いっスし!」
「そっか」
「つか、爆豪って黙ってればソコソコ良さげ?黙ってみてー」
「黙ってろ」
四人で話ながら外に出ると、士傑高校の先生と肉倉、そしてオールマイトとプレゼント・マイクが話し合っていた。
内容はどうやらヴィラン連合のことで、雄英以外の学校に手をかけたということ、
ケミィが襲われた動機も不明だが、これからは士傑と雄英、情報共有も含め今後は連携していこうとの事らしい。
今後、合同での実習も検討するとか。
「久しぶりだな焦凍。ずいぶん変わった」
「うるせェよ」
頭を撫でようとしたのだろう。だがそのエンデヴァーの手を轟は振り払う。
「焦凍、おまえは自慢の息子だ」
轟の目付きが変わる。それは先ほどとうってかわって。最初の頃の-・・・。
「ならば俺も、おまえが胸を張れるようなヒーローになろう。
父はNo.1ヒーロー・・・最も偉大な男であると」
「勝手にしろよ・・・」
「エンデヴァー!!」
「!」
「俺、応援してるっス」
かつて恐怖を感じたエンデヴァーの目は、変わった。夜嵐に向け、微笑みかける。
「ありがとう。血が凄い出てるぞ」
少しずつだが時に立ち止まり、時に振り返っては、一歩一歩と歩みを進めている。
補講組が無事に帰ってきた。
「おかえり、二人とも」
「あぁ」
「チッ」
「今日の補講も大変だったみたいだなー」
「子供らと遊んだんだって?」
「んで知っとんだ!」
からかってくる上鳴と切島に、爆豪がいつものように突っ込む。
「歌恋が電話してたから」
まぁ、あとで補講の内容がどうだったか聞こうと思ってたことなので、かわらず隣に耳郞がいる。
「電話?」
自分が彼女にかけた覚えがないため、轟は首をかしげた。
「それが、イナサくんから電話あって。補講での出来事教えてくれたんだ」
「・・・・・・・・・・・」
黙る轟の後ろで、爆豪が舌打ちしている。
「あのヤロー」
「・・・かっちゃんが子供たちと遊ぶなんて、全然想像出来ないよ」
「ああ!?」
「デクくん」
怖いものでも見たような表情を見せる緑谷に、麗日はやれやれと彼の名前を呼んでいる。
「焦凍くんとイナサくんが仲良くなってくれてよかったよ。
あとね、イナサくんエンデヴァーのことも嫌いじゃないかもって言ってたよ」
あまりにもニコニコ話す歌恋に、轟は何も言えなくなってしまった。
なんでこうやってすぐ、嫉妬めいた感情が沸いてくるのだろう。
「・・・そうか。疲れたから寝る」
「え、うん・・・」
「轟のヤツ、どうしたんだ?」
あまりにも早い時間帯に、切島が首をかしげた。
「・・・私、変なこと言っちゃった・・・?」
「うーん・・・」
一緒に悩んでくれる耳郞に、目の前に座る芦戸が言う。
「なんか、轟も話したかったんじゃない?」
「・・・(ただたんに、嬉しかったんだけどな・・・)焦凍くん、笑顔じゃなかったな・・・」
「轟の表情って分かりづらくね?かっちゃんと違って」
「俺と比べんな」
爆豪といがみ合う上鳴。
「でも、確かに分かりづらいなって、俺も思うときあるよ」
歌恋は尾白に顔を向ける。
「ほら、良くも悪くも轟って、あまり表情変えないっていうか、あれがポーカーフェイスかなって」
「そう、かな・・・」
けど、轟がああに多少不機嫌になるのは、夜嵐の名前を言う時かもしれない。
仮免の時そうだったから・・・。でも、夜嵐の事はつい名前で呼んでしまう癖がある。
(焦凍くんって、結構あれだな・・・)
でも、自分が簡単に名前を呼べないって言っておいて夜嵐のことは普通に呼んでしまったから。
(・・・私が悪いのか・・・)
芦戸と話していた耳郞に、歌恋は声をかける。
「響香ちゃん」
「ん?」
「あのさ・・・皆がいるところで焦凍って呼んだら、やっぱ皆なんか言ってくるかな・・・」
「どうしたの?」
「うん、そのね・・・」
轟はもう、自分の事をいつしか歌恋と呼んでくれるようになった。
けど、歌恋は完全に焦凍と呼べないでいる。
もし轟が、夜嵐と同じ呼び方をされるのに不満を、不安を感じているのだとしたら。
「・・・呼び方変えてどうこうなるなんてわからないけど・・・」
「轟も、歌恋の前じゃワンコだね」
聞いていた芦戸も、話に加わる。
「ワンコって・・・」
「えー、だってさ、カップルっていったらもっとこう、イチャイチャしたくなるんじゃないの?
二人って、あまりそういった雰囲気出さないし。まぁ実は、見えないとこでやってたり?」
「三奈ちゃん・・・!」
「歌恋も可愛いんだからさ、もっと堂々としてあげれば?
じゃなきゃ、アイツはイケメンだし、ついていっちゃう女山ほどいるんじゃない。性格は性格だけどね」
「う~ん・・・もっと、堂々とか。でも、だってさ!すぐ上鳴くんや峰田くんが邪魔するんだもん」
「え?」
「俺たちがなんだって?」
「ほら!」
「登坂って、からかいがあるもんな」
「瀬呂くんまで!」
「皆さん、そろそろお夕食ですわ!」
委員長、副委員長が、立派に仕事をこなしてくれている。
「轟くんと常闇くん、青山くんの姿が見えないぞ!」
「部屋かな?僕同じ階だから呼んでくるよ!」
「うむ、緑谷くん頼む」
「ほら、轟は歌恋が行ってきなよ」
耳郞にそう、背中を押される。
「え!?響香ちゃん、一緒に来て」
「なんでさ」
「じゃじゃ、俺が一緒に行く!」
「ずりーぞ上鳴!」
「二人は嫌だ。それなら切島くん選ぶ」
「俺!?」
切島には悪いが、上鳴と峰田の捌け口だ。
「響香ちゃん~」
「もー、わかったよ」
途中まで、緑谷も一緒に行動。
「僕はさ、きっと轟くん愛情が深い人なんじゃないかなって思うよ」
「緑谷くん・・・」
「ほら、登坂さんも、轟くんのお家の事情知ってるでしょ?」
「まぁ・・・うん・・・」
「登坂さんの事は、本当に大事にしたいんだよ」
「あ、ありがとう・・・」
緑谷に説得されると、なんだか照れる。
耳郞と二人になった時に言われた。
「歌恋さ、夜嵐のことも名前で呼んでるじゃん?男子の名前呼んでるのその二人ってわかってるから、
端からみてると、夜嵐の話してるときあーゆー態度になってる気がするよ」
「うっ・・・けど今さら、イナサくんのこと夜嵐くんとは呼びにくい・・・」
「ま、お好きなように」
あぁ、とうとう彼の部屋の前に来てしまった。
「・・・・・・・緊張する・・・」
「何を今さら」
ドアの前で右往左往する歌恋に、呆れる耳郞。
「轟ー、いる?夕食だって!」
「はうっ!」
「あぁ、今行く」
部屋から声が聞こえ、咄嗟に耳郞の後ろに隠れてしまった。
「・・・あ、歌恋もいたのか・・・」
「あ、あの・・・行こうか」
久しぶりにインターン組もいるということで、皆で夕食をとることに。
「緑谷ぁ、ナイトアイのお葬式の話、相澤先生なんか言ってたか?」
切島が聞いている。サー・ナイトアイは、唯一あの時の関連で命を落としてしまったヒーローだ。
今回事件に関わったA組の切島、緑谷、麗日、蛙吹は呼ばれているのだろう。
それから、ナイトアイの事務所はサイドキックのセンチピーダーが引き継ぐらしい。
通形先輩は例の薬でいま"個性"を失っているが、事務所は通形先輩の帰りを待っている。
やはりヒーローは、危険はつきもの。
轟の隣に座り食事をしているが・・・チラッと横顔を盗み見る。
「ん?」
「あ・・・焦凍、嫌なおもい・・・ごめんね」
すると、そっと頭に手を乗せてくれた。
「ありがとう・・・」
轟は本当に優しい人だ。その優しさを無駄にしてはいけない。