第十一話 仮免
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「どうだ?」
「うん・・・77点・・・まずまず、かな」
捜索出来る能力、他者とのコミュニケーションとも上手くやれているが、足並みが揃わない部分あり、と。
(・・・確かに、私情を挟んでしまった部分あるけど・・・)
轟を見れば、お互い目が合うわけで。
「焦凍くんは・・・?」
「あぁ・・・まぁ、喧嘩が原因だな・・・」
あぁ、なんでこんなに悔しいんだろう。
周りの皆もお互い点数を見せ合っていて・・・。尾白は61点ギリギリだとか。
「俺、84!!見て、すごくね!?地味に優秀なのよね、俺って」
得意げに言う瀬呂の前で、八百万の点数を見て驚いている耳郞。
「待って、ヤオモモ94点!!」
「飯田くん、どうだった?」
緑谷が聞いている。
「80点だ。全体的に応用が利かないという感じだったな。緑谷くんは?」
「僕71点。行動自体ってより、行動する前の挙動とか足止まったりするところで減点されてる」
「こうして至らなかった点を捕捉してくれるのは、ありがたいな!」
「うん・・・!」
そして、目良の言葉に耳を傾ける。
合格した者は、これから緊急時に限りヒーローと同等の権利を行使できる立場になる。
すなわち、ヴィランとの戦闘、事件、事故からの救助など・・・ヒーローの指示がなくても、
自分らの判断で動けるようになる。しかし、それは個々人の行動一つ一つにより大きな社会的責任が生じる。
「皆さん御存知の通り、オールマイトというヒーローが力尽きました。
彼の存在は、犯罪の抑制になる程大きなモノでした。心のブレーキが消え去り、
増長する者はこれから必ず現れる。均衡が崩れ、世の中が大きく変化していく中、
いずれ皆さん若者が社会の中心となっていきます。次は皆さんがヒーローです」
ヒーローは、規範となり抑制できるような存在とならねばならない。
今回はあくまで仮のヒーロー活動認定資格免許。
「半人前程度に考え、各々の学舎で更なる精進に励んでいただきたい!
そして・・・えー、不合格となってしまった方々。点数が満たなかったからとしょげてる暇はありません。
君たちにもまだ、チャンスはあります」
それは、三ヶ月の特別講習を受講の後、個別テストで結果を出せば仮免許を発行するという。
「!!?」
「今、私が述べた"これから"に対応するには、より"質の高い"ヒーローがなるべく"多く"欲しい。
一次はいわゆる"落とす試験"でしたが、選んだ100名はなるべく育てていきたいのです。
そういうわけで全員を最後まで見ました。結果、決して見込みがないわけではなく、
むしろ至らぬ点を修正すれば合格者以上の実力者になる者ばかりです。
学業との並行でかなり忙しくなるとは思います。次回、4月の試験で再挑戦してもかまいませんが・・・」
「当然」
「お願いします!!」
不合格となってしまった3人、爆豪、轟、夜嵐の目付きが変わる。
「やったね、轟くん!!」
緑谷が声を上げ、A組の皆は轟にそれぞれ一言言っていた。
(焦凍くん)
歌恋も、自然と笑顔になっていく。
「すぐ・・・おいつく・・・」
こうしてようやく、仮免試験終了。また一歩、ヒーローへと近付いていく。
緑谷は早速、オールマイトとお母さんに仮免の写真を撮りメールで送っている。
「私も寮に戻ったら連絡しよう」
「これで一安心だね」
「うん」
耳郞と一緒に免許を見合いながら笑い合う。
「おーい!おーい!!」
「!」
そこへ、A組の輪の中に、夜嵐がやってきた。
「イナサくん?」
「歌恋ちゃん、おめでとうっす!」
「ありがとう」
満更でもなく言葉返す歌恋に、耳郞がニヤニヤ隣で肘でつついてくる。
(もー、響香ちゃんめ)
「轟!!」
そして夜嵐は轟に。
「また講習で会うな!!けどな!正直まだ好かん!!先に謝っとく!!ごめん!!」
それだけを言い残し、足早に帰っていく。
「どんな気遣いだよ」
そう切島に突っ込まれながら。
「こっちも、善処する」
「ねぇ」
微笑ましく彼らのやり取りを見ながら、青山が歌恋に話かけてきた。
「彼は、大胆というか繊細というか・・・どっちも持ってる人なんだね☆」
「そう、なのかな・・・(繊細、かぁ・・・)」
「・・・あ!」
緑谷がハッとし、士傑の毛原に駆け寄る。ノートとペンを持って。
「すみません!あ、あの!」
「?」
「気配消す訓練って、どんなことしてるんですか!?」
「・・・?そんな訓練、してないが・・・」
どうやら、話が噛み合っていない。
「でも、あの唇プルっとした人が・・・それに、あの人もっと話したそうにしてたので、
お話できればと思ったんですけど・・・どこへ・・・」
「ケミィか?彼女は調子が悪いと、先にタクシーで駅へ向かってしまったよ」
「えー・・・そっか・・・。悪いことしたな・・・」
「そういえばあいつ、ここ3日くらい変だったな・・・。なんか、普段と違うというか・・・」
そのケミィに姿を変えていた、"個性"変身のトガだったとは、ヴィラン連合以外知ることない。
そして、雄英高校一年目の夏休みも終わりを迎えていて。戻った寮の共有談話室で皆と寛いでいた。
「歌恋、両親と連絡とれた?」
お風呂上がりの耳郞が、肩にタオルをのせたまま聞いてくる。
「うん。おめでとうって、喜んでくれたよ」
「明日から普通の授業だねぇ」
葉隠が、座っている歌恋の両肩に腕をのせてきた。
「透ちゃん・・・?」
「てかよ、色々ありすぎたな!」
「一生忘れられない夏休みだった・・・」
「確かに」
上鳴と尾白の感情と、歌恋も一緒である。
「そろそろ寝ようかな・・・」
まだ、深夜に差し掛かる前に、一足先に部屋に戻る。
「あ、その前に焦凍くんに電話しよう」
同じ屋根の下にいるのに、わざわざ電話なんて変な気分だが、なかなか二人の時間になれないのも事実。
部屋に戻り、ベッドに横になってから見慣れた名前に電話をかける。
「歌恋?どうした?」
「あ、えっと・・・いまいい?」
「あぁ、お母さんに手紙書いてたんだ。何かあったか?」
「・・・・・・」
初めて出逢った頃より、だいぶ彼の性格は変わった。ううん、元から本当こうに優しい性格だったのかもしれない。
お父さん、エンデヴァーがきっかけで、今まで必死に自分を押さえつけていたのかもしれない。
「一つ、聞いてもいい?」
「なんだ?」
「焦凍くん、私と緑谷くんがきっかけで性格変わったでしょ?いま、後悔してる・・・?」
なんてこと聞いてるんだと、自分でもわかってる。でも、彼の性格を無理矢理変えてしまったんだとしたら・・・。
「・・・そんなこと、ねぇよ。後悔なんてしてんだったら、こんな関係になろうなんて考えねぇよ。
ただ、夜嵐のことで気にしてんなら、俺は過去にやってきた事を忘れちゃいけねぇと思った。
逃げてた自分とも、親父とも・・・ちゃんと向き合わなきゃいけねぇのかなって・・・」
俺の家族も、歌恋みたいな幸せ家族になれる日があるかなと。
いつか、親父を許せる日が・・・。
「うん・・・77点・・・まずまず、かな」
捜索出来る能力、他者とのコミュニケーションとも上手くやれているが、足並みが揃わない部分あり、と。
(・・・確かに、私情を挟んでしまった部分あるけど・・・)
轟を見れば、お互い目が合うわけで。
「焦凍くんは・・・?」
「あぁ・・・まぁ、喧嘩が原因だな・・・」
あぁ、なんでこんなに悔しいんだろう。
周りの皆もお互い点数を見せ合っていて・・・。尾白は61点ギリギリだとか。
「俺、84!!見て、すごくね!?地味に優秀なのよね、俺って」
得意げに言う瀬呂の前で、八百万の点数を見て驚いている耳郞。
「待って、ヤオモモ94点!!」
「飯田くん、どうだった?」
緑谷が聞いている。
「80点だ。全体的に応用が利かないという感じだったな。緑谷くんは?」
「僕71点。行動自体ってより、行動する前の挙動とか足止まったりするところで減点されてる」
「こうして至らなかった点を捕捉してくれるのは、ありがたいな!」
「うん・・・!」
そして、目良の言葉に耳を傾ける。
合格した者は、これから緊急時に限りヒーローと同等の権利を行使できる立場になる。
すなわち、ヴィランとの戦闘、事件、事故からの救助など・・・ヒーローの指示がなくても、
自分らの判断で動けるようになる。しかし、それは個々人の行動一つ一つにより大きな社会的責任が生じる。
「皆さん御存知の通り、オールマイトというヒーローが力尽きました。
彼の存在は、犯罪の抑制になる程大きなモノでした。心のブレーキが消え去り、
増長する者はこれから必ず現れる。均衡が崩れ、世の中が大きく変化していく中、
いずれ皆さん若者が社会の中心となっていきます。次は皆さんがヒーローです」
ヒーローは、規範となり抑制できるような存在とならねばならない。
今回はあくまで仮のヒーロー活動認定資格免許。
「半人前程度に考え、各々の学舎で更なる精進に励んでいただきたい!
そして・・・えー、不合格となってしまった方々。点数が満たなかったからとしょげてる暇はありません。
君たちにもまだ、チャンスはあります」
それは、三ヶ月の特別講習を受講の後、個別テストで結果を出せば仮免許を発行するという。
「!!?」
「今、私が述べた"これから"に対応するには、より"質の高い"ヒーローがなるべく"多く"欲しい。
一次はいわゆる"落とす試験"でしたが、選んだ100名はなるべく育てていきたいのです。
そういうわけで全員を最後まで見ました。結果、決して見込みがないわけではなく、
むしろ至らぬ点を修正すれば合格者以上の実力者になる者ばかりです。
学業との並行でかなり忙しくなるとは思います。次回、4月の試験で再挑戦してもかまいませんが・・・」
「当然」
「お願いします!!」
不合格となってしまった3人、爆豪、轟、夜嵐の目付きが変わる。
「やったね、轟くん!!」
緑谷が声を上げ、A組の皆は轟にそれぞれ一言言っていた。
(焦凍くん)
歌恋も、自然と笑顔になっていく。
「すぐ・・・おいつく・・・」
こうしてようやく、仮免試験終了。また一歩、ヒーローへと近付いていく。
緑谷は早速、オールマイトとお母さんに仮免の写真を撮りメールで送っている。
「私も寮に戻ったら連絡しよう」
「これで一安心だね」
「うん」
耳郞と一緒に免許を見合いながら笑い合う。
「おーい!おーい!!」
「!」
そこへ、A組の輪の中に、夜嵐がやってきた。
「イナサくん?」
「歌恋ちゃん、おめでとうっす!」
「ありがとう」
満更でもなく言葉返す歌恋に、耳郞がニヤニヤ隣で肘でつついてくる。
(もー、響香ちゃんめ)
「轟!!」
そして夜嵐は轟に。
「また講習で会うな!!けどな!正直まだ好かん!!先に謝っとく!!ごめん!!」
それだけを言い残し、足早に帰っていく。
「どんな気遣いだよ」
そう切島に突っ込まれながら。
「こっちも、善処する」
「ねぇ」
微笑ましく彼らのやり取りを見ながら、青山が歌恋に話かけてきた。
「彼は、大胆というか繊細というか・・・どっちも持ってる人なんだね☆」
「そう、なのかな・・・(繊細、かぁ・・・)」
「・・・あ!」
緑谷がハッとし、士傑の毛原に駆け寄る。ノートとペンを持って。
「すみません!あ、あの!」
「?」
「気配消す訓練って、どんなことしてるんですか!?」
「・・・?そんな訓練、してないが・・・」
どうやら、話が噛み合っていない。
「でも、あの唇プルっとした人が・・・それに、あの人もっと話したそうにしてたので、
お話できればと思ったんですけど・・・どこへ・・・」
「ケミィか?彼女は調子が悪いと、先にタクシーで駅へ向かってしまったよ」
「えー・・・そっか・・・。悪いことしたな・・・」
「そういえばあいつ、ここ3日くらい変だったな・・・。なんか、普段と違うというか・・・」
そのケミィに姿を変えていた、"個性"変身のトガだったとは、ヴィラン連合以外知ることない。
そして、雄英高校一年目の夏休みも終わりを迎えていて。戻った寮の共有談話室で皆と寛いでいた。
「歌恋、両親と連絡とれた?」
お風呂上がりの耳郞が、肩にタオルをのせたまま聞いてくる。
「うん。おめでとうって、喜んでくれたよ」
「明日から普通の授業だねぇ」
葉隠が、座っている歌恋の両肩に腕をのせてきた。
「透ちゃん・・・?」
「てかよ、色々ありすぎたな!」
「一生忘れられない夏休みだった・・・」
「確かに」
上鳴と尾白の感情と、歌恋も一緒である。
「そろそろ寝ようかな・・・」
まだ、深夜に差し掛かる前に、一足先に部屋に戻る。
「あ、その前に焦凍くんに電話しよう」
同じ屋根の下にいるのに、わざわざ電話なんて変な気分だが、なかなか二人の時間になれないのも事実。
部屋に戻り、ベッドに横になってから見慣れた名前に電話をかける。
「歌恋?どうした?」
「あ、えっと・・・いまいい?」
「あぁ、お母さんに手紙書いてたんだ。何かあったか?」
「・・・・・・」
初めて出逢った頃より、だいぶ彼の性格は変わった。ううん、元から本当こうに優しい性格だったのかもしれない。
お父さん、エンデヴァーがきっかけで、今まで必死に自分を押さえつけていたのかもしれない。
「一つ、聞いてもいい?」
「なんだ?」
「焦凍くん、私と緑谷くんがきっかけで性格変わったでしょ?いま、後悔してる・・・?」
なんてこと聞いてるんだと、自分でもわかってる。でも、彼の性格を無理矢理変えてしまったんだとしたら・・・。
「・・・そんなこと、ねぇよ。後悔なんてしてんだったら、こんな関係になろうなんて考えねぇよ。
ただ、夜嵐のことで気にしてんなら、俺は過去にやってきた事を忘れちゃいけねぇと思った。
逃げてた自分とも、親父とも・・・ちゃんと向き合わなきゃいけねぇのかなって・・・」
俺の家族も、歌恋みたいな幸せ家族になれる日があるかなと。
いつか、親父を許せる日が・・・。