第十一話 仮免
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
(くそっ、ちくしょう・・・)
『何をしてんだよ!』
本っ当だよ。嫌なモノに、自分がなっていたよ!!
(俺のしてきた事がこの事態を招いた。俺が・・・取り返さねぇと!!)
「やばい、突破されてる、こっち来る!」
歌恋はハッと顔を向ける。
(焦凍くん・・・!?イナサくん!?)
あの実力ある二人でも突破されている。やはり相手はプロヒーロー。
ギャングオルカではなくとも、期末試験の時に実感しているプロヒーローの並大抵の強さ。
距離的に緑谷がヴィランらの近くにいるが、一人では心もとない。
歌恋は常闇らに救護を任せ、緑谷の元に引き返す。
「わぁ!!!」
が、真堂が超音波の衝撃から復活したのか、"個性"を発動。
「真堂さん!オルカの超音波で動けないんじゃ!」
「まァ、ちょっとだいぶ末端しびれてるよね。音波も振動ってなわけで"個性"柄揺れには多少耐性あんだよ」
「緑谷くん!」
「登坂さん!」
「二人が、心配で・・・」
だが、真堂の様子がおかしい。
「そんな感じで騙し撃ち狙ってたんだよね!それをあの一年二人がよォー!」
(キャラが)
(・・・真堂さんのキャラ、よく分からないんだよね)
緑谷と顔を合わせ苦笑い。
「足は止めたぞ。奴らを行動不能にしろ!手分けして、残りの傷病者を避難させるんだ!」
「さて・・・風使いを仕留めてあちらの加勢に行くか」
ボロボロになった轟を、ギャングオルカは手離し目標に動く。
(無駄に張り合って・・・相性最悪連携ゼロ・・・。こんなんでトップヒーローに敵う訳がねぇ・・・。
もしお前もそう思ってんなら・・・!!)
『熱で風が浮くんだよ!!』
(しびれて力が入らない・・・!しっかし、やるっきゃない!)
炎を風で下から掬いとり、閉じ込める。炎の渦の中に、ギャングオルカを制圧していく。
「おい、後ろ!後ろ見ろ!」
「シャチョーが炎の渦で閉じ込められた!」
「マズくないか!?」
「シャチっぽいシャチョーは、乾燥に滅法弱い!!」
「夜嵐はいい!轟を止めろ!!」
轟を狙いに、セメントガンが連射される。だが、同時発動の練習をしていた轟は、
炎を出しながらも氷結でセメントガンを防ぎきる。
「!?」
「いっけね・・・!こいつ・・・!轟!!左右で二つの・・・!」
まだ練習が足りないと思っていた同時発動。
(動けねぇなら・・・関係ねぇや・・・)
焦るサイドキックの隙が見える。
「ヘルプに戻るか」
「いや、待て!」
腕を幹にした歌恋に、フルカウル状態の緑谷が、ヴィラン制圧に乗り込む。
「ぐおっ!!」
「借りる!」
ヴィランの腕を掴み、尻尾でそのまま器用に雪崩れ込む。
「「尾白くん!」」
「怪我人の避難済んだって!すぐに何人か加勢くるぞ!」
報告と共に、芦戸と常闇も到着。
「尾白!緑谷!歌恋!」
「加勢する!」
加勢は何も彼らだけではない。他の受験者も。
「あとは怪我人の安全確保・・・!こいつらの排除だ!」
サイドキックたちの団結も見せられる中、透明となっていた蛙吹がいつの間にか敵を沈めている。
「ぐあっ!!」
「蛙スっっ雨ちゃん!!いつの間にそこに!?」
「カエルっぽさを磨いてようやく実践レベルに達したの。"保護色"私の新技よ」
尾白が問いかける。
「蛙吹!救助と捜索は!?もう済んだのか!」
「だいたいね」
そして、士傑の毛原も。
「イナサを向かわせたハズだが・・・まだこんなに残っているとは。士傑の名折れよ!!」
「緑谷くん」
「うん」
緑谷の隣で、歌恋はギャングオルカを閉じ込めてる炎の渦を見つめる。
「炎と風の熱風牢獄か・・・。良いアイデアだ・・・。並のヴィランであれば、諦め泣いて許しを乞うだろう。
ただ、そうでなかった場合は?撃った時には既に・・・次の手を講じておくものだ」
ギャングオルカは炎の中にも関わらず、持参していたのか水を浴び攻撃を防いでいる。
(くっ・・・)
(うぅ~・・・!)
二人の技もここまで。水を浴びたギャングオルカが超音波で弾き飛ばす。
「で?次は?」
(ねェよ)
轟の視界に映る、ギャングオルカの背後に飛び出す緑谷と歌恋の姿。
「二人から、離れて下さい!!」
幹でギャングオルカを捕まえ、緑谷のシュートスタイルが炸裂した。
(緑谷・・・!登坂・・・!)
「よくも・・・二人を!」
こんなにボロボロになって負ける姿を見るのは、爆豪戦での体育祭以来・・・いや、それより酷い仕打ち。
ギャングオルカを捉えている幹に力を込め、緑谷の攻撃のアシスタントをする。
(おまえらは・・・どこまでも・・・!!)
こんな負けた姿を、見せたくなかったのに・・・。
ビーーーっと、警報が鳴り響く。
「えー、只今をもちまして、配置された全てのフックが危険区域より救助されました。
まことに勝手ではございますが、これにて仮免試験全工程、終了となります!!」
「え?え?」
「おわった!?」
幹の力を弱め、ヘナヘナと力なく歌恋は座り込む。
目良のアナウンスが続ける。
「集計の後、この場で合否の発表を行います。怪我をされた方は医務室へ・・・。
他の方々は着替えて、しばし待機でお願いします」
倒れている夜嵐と轟。それでも歌恋は、轟の元へ駆け寄った。
「焦凍くん、大丈夫・・・?」
「あぁ・・・(情けねぇ、いつも・・・)」
「医務室、行く?」
痛々しい、セメントガンの固まり。
「いや、大丈夫だ」
「・・・(焦凍くん・・・)」
コスチュームから制服に着替えて、皆と一緒に発表を待つ。
「どうかなァ・・・」
「やれることはやったけど・・・どう見てたのかわかんないし・・・」
「こういう時間、いっちばんヤダ」
麗日が頷き、ドキドキ高鳴ってる胸に手を当ててる耳郞に、八百万がそっと肩に手を置いている。
「人事を尽くしたならきっと、大丈夫ですわ」
そして。
「皆さん長い事おつかれ様でした。これより発表を行いますが・・・その前に一言。
採点方式についてです。我々ヒーロー公安委員会と、フックの皆さんによる、
二重の減点方式であなた方を見させてもらいました。つまり・・・危機的状況で、
どれだけ間違いのない行動をとれたかを審査しています。とりあえず、合格点の方は五十音順で名前が乗ってます。
今の言葉を踏まえた上で、ご確認下さい・・・」
掲示板に、ズラリと並ぶ名前たち。必死に自分の名字を探していく。
名前がすぐに見つかった者の嬉しそうな声があがる中、歌恋も自分の名前を発見。
「あった!」
だが、いつもすぐ、自分の下にあるハズの名前が見当たらない。
「常闇くんのはある・・・私のも・・・(どうして・・・)」
彼の名前だけが、ない。ハッとし、夜嵐の[よ]も探す。だが、彼の名前もやはりなかった。
他のA組の皆の名前はある・・・いや、爆豪のもない。
「・・・よかったな」
「あ・・・」
そう、轟が言ってくれる。でも正直、嬉しい気持ちはなかった。一緒に、受かりたかった・・・。
「ごめんなさい・・・戦おうって、言ったから・・・私のせい・・・」
「違う。歌恋のせいじゃない。(昔の俺の過ち・・・)」
「轟!!」
夜嵐が、二人の前に立つ。一触即発な夜嵐と轟に、歌恋はおどおどするが。
「ごめん!!」
「!」
「あんたが合格逃したのは、俺のせいだ!!俺の心の狭さの!!ごめん!!」
あんな言い争った奴から、謝罪してきてくれる。
「元々、俺がまいた種だし・・・よせよ。おまえが直球でぶつけてきて、気付けた事もあるから。
(これまでの道程。奴の息子だって事、ヒーロー目指してく上で背負ってく事・・・)」
「轟・・・落ちたの?」
芦戸が聞いてくる。それに、瀬呂が言う。
「ウチのツートップが両方落ちてんのかよ!」
「暴言改めよ?言葉って大事よ。原因明らか」
珍しく上鳴が爆豪にからかいに勝ってる。
「黙ってろ、殺すぞ」
「両者ともトップクラスであるが故に、自分本位な部分が仇となったわけである。
ヒエラルキー崩れたり!」
ぐっと、歌恋は拳を峰田に向ける。いますぐにでも殴ってしまいそうになるが、飯田が峰田を引っ張っていく。
「轟くん・・・」
「轟さん・・・」
「えー、全員ご確認いただけたでしょうか?続きまして、プリントを配ります。
採点内容が詳しく記載されてますので、しっかり目を通しておいて下さい。
ボーダーラインは50点。減点方式で採点しております。どの行動が何点引かれたか等、下記にズラーッと並んでます」
『何をしてんだよ!』
本っ当だよ。嫌なモノに、自分がなっていたよ!!
(俺のしてきた事がこの事態を招いた。俺が・・・取り返さねぇと!!)
「やばい、突破されてる、こっち来る!」
歌恋はハッと顔を向ける。
(焦凍くん・・・!?イナサくん!?)
あの実力ある二人でも突破されている。やはり相手はプロヒーロー。
ギャングオルカではなくとも、期末試験の時に実感しているプロヒーローの並大抵の強さ。
距離的に緑谷がヴィランらの近くにいるが、一人では心もとない。
歌恋は常闇らに救護を任せ、緑谷の元に引き返す。
「わぁ!!!」
が、真堂が超音波の衝撃から復活したのか、"個性"を発動。
「真堂さん!オルカの超音波で動けないんじゃ!」
「まァ、ちょっとだいぶ末端しびれてるよね。音波も振動ってなわけで"個性"柄揺れには多少耐性あんだよ」
「緑谷くん!」
「登坂さん!」
「二人が、心配で・・・」
だが、真堂の様子がおかしい。
「そんな感じで騙し撃ち狙ってたんだよね!それをあの一年二人がよォー!」
(キャラが)
(・・・真堂さんのキャラ、よく分からないんだよね)
緑谷と顔を合わせ苦笑い。
「足は止めたぞ。奴らを行動不能にしろ!手分けして、残りの傷病者を避難させるんだ!」
「さて・・・風使いを仕留めてあちらの加勢に行くか」
ボロボロになった轟を、ギャングオルカは手離し目標に動く。
(無駄に張り合って・・・相性最悪連携ゼロ・・・。こんなんでトップヒーローに敵う訳がねぇ・・・。
もしお前もそう思ってんなら・・・!!)
『熱で風が浮くんだよ!!』
(しびれて力が入らない・・・!しっかし、やるっきゃない!)
炎を風で下から掬いとり、閉じ込める。炎の渦の中に、ギャングオルカを制圧していく。
「おい、後ろ!後ろ見ろ!」
「シャチョーが炎の渦で閉じ込められた!」
「マズくないか!?」
「シャチっぽいシャチョーは、乾燥に滅法弱い!!」
「夜嵐はいい!轟を止めろ!!」
轟を狙いに、セメントガンが連射される。だが、同時発動の練習をしていた轟は、
炎を出しながらも氷結でセメントガンを防ぎきる。
「!?」
「いっけね・・・!こいつ・・・!轟!!左右で二つの・・・!」
まだ練習が足りないと思っていた同時発動。
(動けねぇなら・・・関係ねぇや・・・)
焦るサイドキックの隙が見える。
「ヘルプに戻るか」
「いや、待て!」
腕を幹にした歌恋に、フルカウル状態の緑谷が、ヴィラン制圧に乗り込む。
「ぐおっ!!」
「借りる!」
ヴィランの腕を掴み、尻尾でそのまま器用に雪崩れ込む。
「「尾白くん!」」
「怪我人の避難済んだって!すぐに何人か加勢くるぞ!」
報告と共に、芦戸と常闇も到着。
「尾白!緑谷!歌恋!」
「加勢する!」
加勢は何も彼らだけではない。他の受験者も。
「あとは怪我人の安全確保・・・!こいつらの排除だ!」
サイドキックたちの団結も見せられる中、透明となっていた蛙吹がいつの間にか敵を沈めている。
「ぐあっ!!」
「蛙スっっ雨ちゃん!!いつの間にそこに!?」
「カエルっぽさを磨いてようやく実践レベルに達したの。"保護色"私の新技よ」
尾白が問いかける。
「蛙吹!救助と捜索は!?もう済んだのか!」
「だいたいね」
そして、士傑の毛原も。
「イナサを向かわせたハズだが・・・まだこんなに残っているとは。士傑の名折れよ!!」
「緑谷くん」
「うん」
緑谷の隣で、歌恋はギャングオルカを閉じ込めてる炎の渦を見つめる。
「炎と風の熱風牢獄か・・・。良いアイデアだ・・・。並のヴィランであれば、諦め泣いて許しを乞うだろう。
ただ、そうでなかった場合は?撃った時には既に・・・次の手を講じておくものだ」
ギャングオルカは炎の中にも関わらず、持参していたのか水を浴び攻撃を防いでいる。
(くっ・・・)
(うぅ~・・・!)
二人の技もここまで。水を浴びたギャングオルカが超音波で弾き飛ばす。
「で?次は?」
(ねェよ)
轟の視界に映る、ギャングオルカの背後に飛び出す緑谷と歌恋の姿。
「二人から、離れて下さい!!」
幹でギャングオルカを捕まえ、緑谷のシュートスタイルが炸裂した。
(緑谷・・・!登坂・・・!)
「よくも・・・二人を!」
こんなにボロボロになって負ける姿を見るのは、爆豪戦での体育祭以来・・・いや、それより酷い仕打ち。
ギャングオルカを捉えている幹に力を込め、緑谷の攻撃のアシスタントをする。
(おまえらは・・・どこまでも・・・!!)
こんな負けた姿を、見せたくなかったのに・・・。
ビーーーっと、警報が鳴り響く。
「えー、只今をもちまして、配置された全てのフックが危険区域より救助されました。
まことに勝手ではございますが、これにて仮免試験全工程、終了となります!!」
「え?え?」
「おわった!?」
幹の力を弱め、ヘナヘナと力なく歌恋は座り込む。
目良のアナウンスが続ける。
「集計の後、この場で合否の発表を行います。怪我をされた方は医務室へ・・・。
他の方々は着替えて、しばし待機でお願いします」
倒れている夜嵐と轟。それでも歌恋は、轟の元へ駆け寄った。
「焦凍くん、大丈夫・・・?」
「あぁ・・・(情けねぇ、いつも・・・)」
「医務室、行く?」
痛々しい、セメントガンの固まり。
「いや、大丈夫だ」
「・・・(焦凍くん・・・)」
コスチュームから制服に着替えて、皆と一緒に発表を待つ。
「どうかなァ・・・」
「やれることはやったけど・・・どう見てたのかわかんないし・・・」
「こういう時間、いっちばんヤダ」
麗日が頷き、ドキドキ高鳴ってる胸に手を当ててる耳郞に、八百万がそっと肩に手を置いている。
「人事を尽くしたならきっと、大丈夫ですわ」
そして。
「皆さん長い事おつかれ様でした。これより発表を行いますが・・・その前に一言。
採点方式についてです。我々ヒーロー公安委員会と、フックの皆さんによる、
二重の減点方式であなた方を見させてもらいました。つまり・・・危機的状況で、
どれだけ間違いのない行動をとれたかを審査しています。とりあえず、合格点の方は五十音順で名前が乗ってます。
今の言葉を踏まえた上で、ご確認下さい・・・」
掲示板に、ズラリと並ぶ名前たち。必死に自分の名字を探していく。
名前がすぐに見つかった者の嬉しそうな声があがる中、歌恋も自分の名前を発見。
「あった!」
だが、いつもすぐ、自分の下にあるハズの名前が見当たらない。
「常闇くんのはある・・・私のも・・・(どうして・・・)」
彼の名前だけが、ない。ハッとし、夜嵐の[よ]も探す。だが、彼の名前もやはりなかった。
他のA組の皆の名前はある・・・いや、爆豪のもない。
「・・・よかったな」
「あ・・・」
そう、轟が言ってくれる。でも正直、嬉しい気持ちはなかった。一緒に、受かりたかった・・・。
「ごめんなさい・・・戦おうって、言ったから・・・私のせい・・・」
「違う。歌恋のせいじゃない。(昔の俺の過ち・・・)」
「轟!!」
夜嵐が、二人の前に立つ。一触即発な夜嵐と轟に、歌恋はおどおどするが。
「ごめん!!」
「!」
「あんたが合格逃したのは、俺のせいだ!!俺の心の狭さの!!ごめん!!」
あんな言い争った奴から、謝罪してきてくれる。
「元々、俺がまいた種だし・・・よせよ。おまえが直球でぶつけてきて、気付けた事もあるから。
(これまでの道程。奴の息子だって事、ヒーロー目指してく上で背負ってく事・・・)」
「轟・・・落ちたの?」
芦戸が聞いてくる。それに、瀬呂が言う。
「ウチのツートップが両方落ちてんのかよ!」
「暴言改めよ?言葉って大事よ。原因明らか」
珍しく上鳴が爆豪にからかいに勝ってる。
「黙ってろ、殺すぞ」
「両者ともトップクラスであるが故に、自分本位な部分が仇となったわけである。
ヒエラルキー崩れたり!」
ぐっと、歌恋は拳を峰田に向ける。いますぐにでも殴ってしまいそうになるが、飯田が峰田を引っ張っていく。
「轟くん・・・」
「轟さん・・・」
「えー、全員ご確認いただけたでしょうか?続きまして、プリントを配ります。
採点内容が詳しく記載されてますので、しっかり目を通しておいて下さい。
ボーダーラインは50点。減点方式で採点しております。どの行動が何点引かれたか等、下記にズラーッと並んでます」