第十一話 仮免
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「爆豪くんよ」
「あ?」
「肉倉・・・糸目の男が君のとこに来なかったか?」
「あぁ・・・」
どうやら爆豪は、思い当たる伏があるようだ。
「やはり・・・!色々無礼を働いたと思う。気を悪くしたろう。
あれは自分の価値基準を押しつける節があってね、何かと有名な君を見て暴走してしまった。
雄英とは、良い関係を築き上げていきたい。すまなかったね」
士傑の全身毛だらけの人が言った。隣では夜嵐が手を振っている。
「強くなったんすね!歌恋ちゃん!」
「アハハ・・・」
どう反応してやればいいのか分からなくなっている。
「良い関係・・・?」
ジロッと、今尚峰田は緑谷を睨み見ている。
「良い関係・・・とてもそんな感じではなかった・・・」
「それでは」
くるりと背を向ける士傑の人に、何を思ったのか轟が声をかけていた。
「おい、坊主の奴」
「あ・・・」
嫌な雰囲気だった二人を思いだし、歌恋は轟の後ろに立つ。
「俺、なんかしたか?」
「!」
「・・・・・・・ほホゥ」
やはり歌恋の知る夜嵐の目じゃない。以前轟が見せていた人を嫌う目付き。
「いやァ、申し訳ないっスけど・・・エンデヴァーの息子さん」
「!?」
「俺は、あんたらが嫌いだ。あの時よりいくらか雰囲気変わったみたいスけど、
あんたの目はエンデヴァーと同じっス」
過去に、夜嵐が言っていた嫌いな奴がいると。
(あれって・・・轟くんのことだったの?)
(親父の・・・目?)
「どうやってあの歌恋ちゃんに取り入ったのか知らないっスが、
あんたみたいな人に、歌恋ちゃんは勿体ないっすよ」
「やめてよイナサくん!私はあの頃の私じゃない!それに、焦凍くんは焦凍くんだよ!」
「・・・・・・」
「・・・歌恋」
『俺が俺自身だと思えるように』名前で。轟の名だけじゃない。焦凍は、一人だ。
またあの性格に戻ってはダメだ。こんな夜嵐を、今までで見たことがない・・・。
「夜嵐、どうした」
名前を呼ばれ、夜嵐は何事もなかったかのような態度に戻る。
「何でもないっス!!」
「じゃアね」
ケミィと呼ばれた彼女に挨拶された緑谷はビクッと肩を震わせた。
「あ、はい」
そのやり取りさえも羨ましいのか、峰田と上鳴の反撃をまたもや食らう。
「あ、はい。じゃねぇんだよ」
「この色狂いが」
「だから違うってば!!超怖いんだよ、あの人」
「はぁ・・・」
思わず気力が抜けてしまう。怖かった・・・あんな夜嵐の目を見たのは・・・雄英を受けた時以来。
「・・・わりぃ・・・なんか、俺のせいで・・・」
「そ、そんなことない!だから、お願いだから変なこと考えないで。いつも通りの焦凍くんでいて」
自分でも気持ち悪いくらい、彼の腕を掴み必死になっている事を自覚はしている。
けど、それでも不安の方が大きくてどうしようもなくて。何もしてあげれなくて。
「・・・俺のことなんか、心配すんな。今は、試験に集中しよう」
(嫌だ・・・そんな、突き放すような悲しい表情で言わないで・・・)
自分の心はもう、とことん彼の事を好きなんだと再度認識を改める。
告白したあの気持ちは、嘘じゃない。
すると、なんの予鈴もなく警報が鳴り響く。
「ヴィランによるテロが発生!規模は◯◯市全域、建物倒壊により傷病者多数!
道路の損壊が激しく、救急先着隊の到着に著しい遅れ!」
アナウンスの説明の中、またもや控え室の部屋が開いていく。
「到着する迄の救助活動は、その場にいるヒーロー達が指揮をとり行う。一人でも多くの命を救い出すこと!!」
スタートの合図だ。
「・・・(始まった)」
最後の試験。今は悩んでいる暇はない。轟と顔を合わせ歌恋は頷く。
(いまは、集中しよう)
皆と一緒に、とりあえず一番近い都市部ゾーンへ行くことにした。
すると早速、大泣きしている子供を一人発見する。
「ひっひっ、ああああんたすげでえぇ!!ひっあっち・・・!おじいちゃんが!!ひっ潰されてぇ!!」
「ええ!大変だ!!どっち!?」
緑谷が先頭に問いただす。
「なァんだよそれぇ減点だよォオ!!」
「!?」
フックである彼の態度が急変する。
「まず、私が歩行可能かどうか確認しろよ、呼吸の数もおかしいだろォ!?
頭部の出血もかなりの量だぞォ!?仮免持ちなら、被害者の状態は瞬時に判断して動くぞ!
こればかりは訓練の数がものを言う!!視野広くぅ、周りを見ろォ!!」
指摘され、初めて他の受験者の方に目を向けてみる。暫定区域を指定する者、
ヘリの離発着場をつくる者、救護所を確保し負傷者の重症度に応じて治療の優先度を決める場所を作る者。
ヒーローは、人々を救ける為あらゆる事をこなさなきゃならない。
救出・救助はもちろんだが、消防や警察が到着するまでの間その代わりを務める権限を行使し、
スムーズに橋渡しを行えるよう最善を尽くすことも。
説明してくれるその子にありがたく思う。ちゃんと状況を見なくては。
「何よりあんた・・・」
そしてその子は緑谷に言った。
「私たちは、怖くて痛くて不安でたまらないんだぜ?掛ける第一斉が、
『ええ!大変だ!!』じゃあ、ダメだろう」
憧れであるオールマイトの登場を、緑谷は思い返す。
『もう大丈夫、私が来た』
気持ちを新たに。パンッと、両頬を叩き渇を入れ直す。
(落ちつけ!何をやってるんだ僕は!スイッチを入れろ!
仮免もこの試験も、ただの通過点じゃない。全部憧れへの、夢の形なんだ!)
だから、まずはやるべきことは一つ。とびきりの笑顔を見せること。
「大っ丈夫!!」
すると、男の子は最初に出会ったように泣きわめく。
「大丈夫さ、必ず救けるよ。僕はこの子を救護所まで運ぶから、皆先行ってて!!」
A組で、とりあえずチームを分けることに。だが、すでに爆豪・切島・雷鳴の姿はなく。
「歌恋ちゃん、私たちは水辺付近に行きましょう」
「梅雨ちゃん」
「向こうの方が手薄になってるとおもうんだ。水辺付近には崖もある」
「よし、遠距離ある俺も行こう」
歌恋は轟、蛙吹、尾白、常闇。
「あ、あたしも!」
そして、芦戸らと一緒に水辺・岩場付近を担当。
「士傑高校1年夜嵐イナサ、ヒーロー名「レップウ」!!救助演習滾るっス!!頑張るぞー!!」
吹き付ける風は、一見荒々しく見えるが人と瓦礫、大きさと形状それぞれに合わせた無数の風を使い、
信じがたい程繊細なコントロールを見せる夜嵐だったが、やはり雑だということで減点される。
「安全確認も怪我人の状態確認もなしに動かすな。事態が悪化するぞ」
「そっか!!失礼しました!」
「おい、ケミィまたいないぞ。どうしたんだ、あいつ」
水辺に到着したところで、歌恋たちはそこに人がいるのを見つけていた。
「私がいくわ!歌恋ちゃんは捜査続行してちょうだい」
「うん!」
「俺は暖かなるように燃えるもん探してくる」
「あ、だったらそれはあたしやるよ!轟はさ、梅雨ちゃんが助けてくれるおじいさん暖めてあげてて!」
「私も!」
そう名乗り出てくれるのは芦戸に葉隠に。
「梅雨ちゃん!あと、左の岩場に二人、右に一人!」
「わかったわ!」
神野事件を思い出す。相澤先生は救出に向かった五人を咎めたが、歌恋にとっては嬉しかった。
その気持ちは大事に。困っている人が目の前にいるのなら、必ず手を差し伸べる。
「焦凍くん、水辺を凍らせて道作れる?」
「あぁ」
「梅雨ちゃんと一緒に行ってくるよ」
「・・・わかった」
「怪我人のふるい分けに応急処置・・・救急隊が来るまでのわずかな時間。
その代わりをヒーローがつとめ・・・そして円滑な橋渡しをできるようにしておく・・・。調子は?」
パソコンから、ギャングオルカの声がし、それに目良が答える。
「初動はまァ・・・至らない者も多いですが・・・。それでも、フックの皆さんが下す減点判断は、
想定していたより少ないです。概ね良いんじゃないですかね」
「市井の人々を守る為、ヒーローには複合的な動きが求められる。すなわち救護、そして」
「「!!!」」
救護所の近くの壁が、爆発する。
「何だぁ!?」
「うわァ!?」
その爆発した壁から、ギャングオルカと彼のサイドキックたちが現れた。
「大敵。全てを並行処理・・・出来るかな」
ギャングオルカ。彼の番付は現在No.10。ちなみに、ヴィランっぽい見た目ヒーローランキング第3位。
アナウンスが告げる。
「ヴィランが姿を現し、追撃を開始!現場のヒーロー候補生はヴィランを制圧しつつ、救助を続行して下さい」
「どう動く!?ヒーロー!」
「あ?」
「肉倉・・・糸目の男が君のとこに来なかったか?」
「あぁ・・・」
どうやら爆豪は、思い当たる伏があるようだ。
「やはり・・・!色々無礼を働いたと思う。気を悪くしたろう。
あれは自分の価値基準を押しつける節があってね、何かと有名な君を見て暴走してしまった。
雄英とは、良い関係を築き上げていきたい。すまなかったね」
士傑の全身毛だらけの人が言った。隣では夜嵐が手を振っている。
「強くなったんすね!歌恋ちゃん!」
「アハハ・・・」
どう反応してやればいいのか分からなくなっている。
「良い関係・・・?」
ジロッと、今尚峰田は緑谷を睨み見ている。
「良い関係・・・とてもそんな感じではなかった・・・」
「それでは」
くるりと背を向ける士傑の人に、何を思ったのか轟が声をかけていた。
「おい、坊主の奴」
「あ・・・」
嫌な雰囲気だった二人を思いだし、歌恋は轟の後ろに立つ。
「俺、なんかしたか?」
「!」
「・・・・・・・ほホゥ」
やはり歌恋の知る夜嵐の目じゃない。以前轟が見せていた人を嫌う目付き。
「いやァ、申し訳ないっスけど・・・エンデヴァーの息子さん」
「!?」
「俺は、あんたらが嫌いだ。あの時よりいくらか雰囲気変わったみたいスけど、
あんたの目はエンデヴァーと同じっス」
過去に、夜嵐が言っていた嫌いな奴がいると。
(あれって・・・轟くんのことだったの?)
(親父の・・・目?)
「どうやってあの歌恋ちゃんに取り入ったのか知らないっスが、
あんたみたいな人に、歌恋ちゃんは勿体ないっすよ」
「やめてよイナサくん!私はあの頃の私じゃない!それに、焦凍くんは焦凍くんだよ!」
「・・・・・・」
「・・・歌恋」
『俺が俺自身だと思えるように』名前で。轟の名だけじゃない。焦凍は、一人だ。
またあの性格に戻ってはダメだ。こんな夜嵐を、今までで見たことがない・・・。
「夜嵐、どうした」
名前を呼ばれ、夜嵐は何事もなかったかのような態度に戻る。
「何でもないっス!!」
「じゃアね」
ケミィと呼ばれた彼女に挨拶された緑谷はビクッと肩を震わせた。
「あ、はい」
そのやり取りさえも羨ましいのか、峰田と上鳴の反撃をまたもや食らう。
「あ、はい。じゃねぇんだよ」
「この色狂いが」
「だから違うってば!!超怖いんだよ、あの人」
「はぁ・・・」
思わず気力が抜けてしまう。怖かった・・・あんな夜嵐の目を見たのは・・・雄英を受けた時以来。
「・・・わりぃ・・・なんか、俺のせいで・・・」
「そ、そんなことない!だから、お願いだから変なこと考えないで。いつも通りの焦凍くんでいて」
自分でも気持ち悪いくらい、彼の腕を掴み必死になっている事を自覚はしている。
けど、それでも不安の方が大きくてどうしようもなくて。何もしてあげれなくて。
「・・・俺のことなんか、心配すんな。今は、試験に集中しよう」
(嫌だ・・・そんな、突き放すような悲しい表情で言わないで・・・)
自分の心はもう、とことん彼の事を好きなんだと再度認識を改める。
告白したあの気持ちは、嘘じゃない。
すると、なんの予鈴もなく警報が鳴り響く。
「ヴィランによるテロが発生!規模は◯◯市全域、建物倒壊により傷病者多数!
道路の損壊が激しく、救急先着隊の到着に著しい遅れ!」
アナウンスの説明の中、またもや控え室の部屋が開いていく。
「到着する迄の救助活動は、その場にいるヒーロー達が指揮をとり行う。一人でも多くの命を救い出すこと!!」
スタートの合図だ。
「・・・(始まった)」
最後の試験。今は悩んでいる暇はない。轟と顔を合わせ歌恋は頷く。
(いまは、集中しよう)
皆と一緒に、とりあえず一番近い都市部ゾーンへ行くことにした。
すると早速、大泣きしている子供を一人発見する。
「ひっひっ、ああああんたすげでえぇ!!ひっあっち・・・!おじいちゃんが!!ひっ潰されてぇ!!」
「ええ!大変だ!!どっち!?」
緑谷が先頭に問いただす。
「なァんだよそれぇ減点だよォオ!!」
「!?」
フックである彼の態度が急変する。
「まず、私が歩行可能かどうか確認しろよ、呼吸の数もおかしいだろォ!?
頭部の出血もかなりの量だぞォ!?仮免持ちなら、被害者の状態は瞬時に判断して動くぞ!
こればかりは訓練の数がものを言う!!視野広くぅ、周りを見ろォ!!」
指摘され、初めて他の受験者の方に目を向けてみる。暫定区域を指定する者、
ヘリの離発着場をつくる者、救護所を確保し負傷者の重症度に応じて治療の優先度を決める場所を作る者。
ヒーローは、人々を救ける為あらゆる事をこなさなきゃならない。
救出・救助はもちろんだが、消防や警察が到着するまでの間その代わりを務める権限を行使し、
スムーズに橋渡しを行えるよう最善を尽くすことも。
説明してくれるその子にありがたく思う。ちゃんと状況を見なくては。
「何よりあんた・・・」
そしてその子は緑谷に言った。
「私たちは、怖くて痛くて不安でたまらないんだぜ?掛ける第一斉が、
『ええ!大変だ!!』じゃあ、ダメだろう」
憧れであるオールマイトの登場を、緑谷は思い返す。
『もう大丈夫、私が来た』
気持ちを新たに。パンッと、両頬を叩き渇を入れ直す。
(落ちつけ!何をやってるんだ僕は!スイッチを入れろ!
仮免もこの試験も、ただの通過点じゃない。全部憧れへの、夢の形なんだ!)
だから、まずはやるべきことは一つ。とびきりの笑顔を見せること。
「大っ丈夫!!」
すると、男の子は最初に出会ったように泣きわめく。
「大丈夫さ、必ず救けるよ。僕はこの子を救護所まで運ぶから、皆先行ってて!!」
A組で、とりあえずチームを分けることに。だが、すでに爆豪・切島・雷鳴の姿はなく。
「歌恋ちゃん、私たちは水辺付近に行きましょう」
「梅雨ちゃん」
「向こうの方が手薄になってるとおもうんだ。水辺付近には崖もある」
「よし、遠距離ある俺も行こう」
歌恋は轟、蛙吹、尾白、常闇。
「あ、あたしも!」
そして、芦戸らと一緒に水辺・岩場付近を担当。
「士傑高校1年夜嵐イナサ、ヒーロー名「レップウ」!!救助演習滾るっス!!頑張るぞー!!」
吹き付ける風は、一見荒々しく見えるが人と瓦礫、大きさと形状それぞれに合わせた無数の風を使い、
信じがたい程繊細なコントロールを見せる夜嵐だったが、やはり雑だということで減点される。
「安全確認も怪我人の状態確認もなしに動かすな。事態が悪化するぞ」
「そっか!!失礼しました!」
「おい、ケミィまたいないぞ。どうしたんだ、あいつ」
水辺に到着したところで、歌恋たちはそこに人がいるのを見つけていた。
「私がいくわ!歌恋ちゃんは捜査続行してちょうだい」
「うん!」
「俺は暖かなるように燃えるもん探してくる」
「あ、だったらそれはあたしやるよ!轟はさ、梅雨ちゃんが助けてくれるおじいさん暖めてあげてて!」
「私も!」
そう名乗り出てくれるのは芦戸に葉隠に。
「梅雨ちゃん!あと、左の岩場に二人、右に一人!」
「わかったわ!」
神野事件を思い出す。相澤先生は救出に向かった五人を咎めたが、歌恋にとっては嬉しかった。
その気持ちは大事に。困っている人が目の前にいるのなら、必ず手を差し伸べる。
「焦凍くん、水辺を凍らせて道作れる?」
「あぁ」
「梅雨ちゃんと一緒に行ってくるよ」
「・・・わかった」
「怪我人のふるい分けに応急処置・・・救急隊が来るまでのわずかな時間。
その代わりをヒーローがつとめ・・・そして円滑な橋渡しをできるようにしておく・・・。調子は?」
パソコンから、ギャングオルカの声がし、それに目良が答える。
「初動はまァ・・・至らない者も多いですが・・・。それでも、フックの皆さんが下す減点判断は、
想定していたより少ないです。概ね良いんじゃないですかね」
「市井の人々を守る為、ヒーローには複合的な動きが求められる。すなわち救護、そして」
「「!!!」」
救護所の近くの壁が、爆発する。
「何だぁ!?」
「うわァ!?」
その爆発した壁から、ギャングオルカと彼のサイドキックたちが現れた。
「大敵。全てを並行処理・・・出来るかな」
ギャングオルカ。彼の番付は現在No.10。ちなみに、ヴィランっぽい見た目ヒーローランキング第3位。
アナウンスが告げる。
「ヴィランが姿を現し、追撃を開始!現場のヒーロー候補生はヴィランを制圧しつつ、救助を続行して下さい」
「どう動く!?ヒーロー!」