第十一話 仮免
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ヒーロー仮免許取得当日、試験会場国立多古場競技場。
「いよいよ、かぁ・・・」
「緊張してきたァ」
歌恋は耳郎と一緒に、深呼吸する。その二人の前で、緑谷はキョロキョロしながら言った。
「多古場でやるんだ」
「試験て、何やるんだろう。ハー、仮免取れっかなァ」
ソワソワしてる峰田に、相澤先生が渇を入れる。
「峰田、取れるかじゃない。取って来い」
「おっ、もっ、もちろんだぜ!!」
「この試験に合格し仮免許を取得できればおまえら志望者は、晴れてヒヨッ子・・・。
セミプロへと孵化できる。頑張ってこい!」
相澤先生の言葉に後押しされ、やる気は十分。
「っしゃあ!なってやろうぜ、ヒヨッ子によォ!!」
「いつもの一発決めて行こーぜ!」
「せーのっ"プルス・・・"」
「ウルトラ!!!」
「「!!」」
聞きなれない声が混ざり、ハッとする。歌恋は目を丸くした。
切島の後ろで、一際大きな声で言った彼に、見覚えがあったから。
間違いない、この一風変わった性格で、いつも声が大きかったのが特徴の彼。
「勝手に他所様の円陣へ加わるのは良くないよ、イナサ」
(やっぱり、イナサって名前・・・それに、この高校の制服)
「あぁ、しまった!!どうも、大変失礼致しましたァ!!!」
勢い余って彼は地面に頭突きするが如く頭を下げる。
「イナサくん・・・夜嵐イナサくん・・・?」
歌恋はA組の中を抜け、夜嵐の前に立つ。
「「え?」」
「・・・・・・・・・」
皆の視線が痛い。でも、もし彼だったら・・・。
『雄英は絶対ダメっす!』
『なんで、どうして?』
『俺の大嫌いなヤツがいるから・・・!一緒に士傑じゃダメなんすか?』
『私は、雄英から合格もらった・・・ヒーロー科あるのは雄英しか受けてない。私は雄英に行く!』
顔を上げた夜嵐の目に、歌恋の姿が映る。
「・・・歌恋、ちゃん・・・?」
「うわ、やっぱりイナサくん!本当に士傑高校通ってたんだ!」
「おお!久しぶりっす!」
「元気にしてた?いや、元気か!」
「な、なんだ・・・?」
「登坂の知り合いか?」
「あ、皆紹介するね!私と同じ中学に通ってた夜嵐イナサくん。
士傑高校は数あるヒーロー科の中でも雄英に匹敵する程の難関校だよ」
「一度言ってみたかったっス!!プルスウルトラ!!自分、雄英高校大好きっス!!
歌恋ちゃんがいるクラスだとは思わなかったっすが、
雄英の皆さんと競えるなんて光栄の極みっス、よろしくお願いします!!」
「あ、イナサくんオデコから血出てる」
「うおっ。けど、神野事件、よく無事だったっすね!」
「あー、ニュースなってたもんね。全国に"個性"ばれちゃったよ、アハハ」
何だかんだあった中学は、夜嵐との仲は変わらずで歌恋は安心した。
久しぶりの再開に、歌恋は夜嵐と話しが進む。
そんな、自分と話す時よりも夜嵐と話してる時の歌恋は、始終笑顔で。
(俺と話す時、あそこまで笑って話したこと、あったか?)
轟は自分の心の中で自問自答する。
(いや、俺があんな性格じゃないから・・・。それに、歌恋の仲良かったって話してたのはアイツ)
『歌恋ちゃん』
そう、ヤツは呼んでた。歌恋も、イナサくんと。
(チッ・・・ンだよ・・・)
「行くぞ、イナサ」
夜嵐は呼ばれ、そのまま士傑の人たちと会場に向かう。歌恋がクラスと合流する頃、相澤先生が言っていた。
「ありゃあ・・・強いぞ。夜嵐、昨年度・・・つまり、おまえらの年の推薦入試、
トップの成績で合格したにも拘わらず、なぜか入学を辞退した男だ」
「え!?じゃあ・・・ていうか、推薦トップの成績って・・・」
緑谷がおずおずと、顔を轟に向けた。A組最強だと言われる彼よりも成績が上ってことはだ。
「実力は、轟くん以上―・・・!?」
(あ、なんか轟くん目合わせてくれない?)
「なぁ、登坂。お前の同級生だっつーあいつ、変わってんな」
瀬呂が不思議そうに話しかけてきた。
「雄英大好きとか言ってたわりに入学は蹴るって、どうゆうことよ?」
「んー(これを本人がいない所で話していいのかわからないし・・・)まぁ、切島くんよりも熱血バカだったかな」
「は、俺よりも!?」
(でも、そっか。推薦ってことは・・・轟くんやヤオモモと会ってるハズか)
歌恋は轟のもとに駆け寄り、聞いてみる。
「轟くん、推薦でイナサくんにあったりしてた、もしかして」
「・・・・・・・・憶えてねぇ」
(あれ、何だろう・・・凄く近寄りがたくなってる・・・?)
「イレイザー!?イレイザーじゃないか!!」
「!」
呼ばれた方に顔を向ければ、スマイルヒーロー「Ms,ジョーク」がいた。
「テレビや体育祭で姿は見てたけど、こうして直で会うのは久し振りだな!!結婚しようぜ」
「しない」
なんて直球な二人のやり取り。
「しないのかよ!!ウケる!」
「相変わらず絡みづらいジョーク」
彼女の"個性"は爆笑。近くの人を強制的に笑わせて思考・行動共に鈍らせる。
Ms,ジョークのヴィラン退治は、狂気に満ちてるとか。
「私と結婚したら、笑いの絶えない幸せな家庭が築けるんだぞ」
「その家庭、幸せじゃないだろ」
「ブハ!!」
二人のやり取りを見て、蛙吹が言う。
「仲が良いんですね」
「昔、事務所が近くでな!助け助けられを繰り返すうちに、相思相愛の仲へと」
「なってない」
(相澤先生、バッサリ切っていくな)
そんなMs,ジョークも受け持ちのクラスがあるらしく、紹介してくれた。
「傑物学園高校2年2組!私の受け持ち、よろしくな」
「俺は真堂!今年の雄英はトラブル続きで大変だったね。しかし、君たちはこうしてヒーローを志し続けているんだね。
すばらしいよ!!不屈の心こそ、これからのヒーローが持つべき素養だと思う!!」
「ドストレートに爽やかイケメンだ・・・」
「中でも、神野事件を中心で経験した登坂さんと」
「!」
「爆豪くん」
「あ?」
「君らは特別に強い心を持っている。今日は君たちの胸を借りるつもりで頑張らせてもらうよ」
真堂が爆豪に手を差し出す。だが、爆豪はそれを弾いた。
「フかしてんじゃねぇ。台詞と面が合ってねぇんだよ」
(爆豪くん・・・)
「こら、おめー失礼だろ!すみません、無礼で・・・」
すっかり切島は、お母さんポジションである。
「良いんだよ!心が強い証拠さ!」
「ねぇ、轟くん。サインちょうだい」
そう傑物学園の女子が、轟の方へ集まる。
「体育祭、かっこよかったんだぁ」
「はぁ・・・」
ジトーと、今度は歌恋が轟を睨む番である。
「まぁ、サインくらいなら」
(あっ!なんかしてやったりの顔!)
なんなんだ、一体。わからない。試験が始まる前に、轟に問い詰める。
「轟くん、私何かした?」
他の知らない女の子と話してるのを見てモヤモヤして。コスチュームに着替えてから、
時間の許す限り、轟の手を掴み逃がさない。
「・・・・・・夜嵐、言ったか。あいつの名前は堂々呼べるんだな。てっきりアイツが原因だと思ったよ」
「あ・・・」
まだ、焦凍くんと、皆の前で堂々呼ぶのは恥ずかしくて、躊躇してしまうから時々呼び方が変わってしまう。
「それは・・・だって、中学の時からだし・・・今日は久しぶりに会ったから、つい・・・。
でも、うん・・・そう。前に話した男の子は、イナサくんのことだよ。けど、嫌いだったのは彼自身じゃないの」
怖かったのは、周りのクラスメートたちの急激の態度の変わりよう。
掴んでいた轟の手が、振り払われる。
「っ・・・」
「そうか」
視線を反らされて、それっきり何も轟は言わなかった。
「・・・轟くんも、一緒の気持ち・・・?」
「いよいよ、かぁ・・・」
「緊張してきたァ」
歌恋は耳郎と一緒に、深呼吸する。その二人の前で、緑谷はキョロキョロしながら言った。
「多古場でやるんだ」
「試験て、何やるんだろう。ハー、仮免取れっかなァ」
ソワソワしてる峰田に、相澤先生が渇を入れる。
「峰田、取れるかじゃない。取って来い」
「おっ、もっ、もちろんだぜ!!」
「この試験に合格し仮免許を取得できればおまえら志望者は、晴れてヒヨッ子・・・。
セミプロへと孵化できる。頑張ってこい!」
相澤先生の言葉に後押しされ、やる気は十分。
「っしゃあ!なってやろうぜ、ヒヨッ子によォ!!」
「いつもの一発決めて行こーぜ!」
「せーのっ"プルス・・・"」
「ウルトラ!!!」
「「!!」」
聞きなれない声が混ざり、ハッとする。歌恋は目を丸くした。
切島の後ろで、一際大きな声で言った彼に、見覚えがあったから。
間違いない、この一風変わった性格で、いつも声が大きかったのが特徴の彼。
「勝手に他所様の円陣へ加わるのは良くないよ、イナサ」
(やっぱり、イナサって名前・・・それに、この高校の制服)
「あぁ、しまった!!どうも、大変失礼致しましたァ!!!」
勢い余って彼は地面に頭突きするが如く頭を下げる。
「イナサくん・・・夜嵐イナサくん・・・?」
歌恋はA組の中を抜け、夜嵐の前に立つ。
「「え?」」
「・・・・・・・・・」
皆の視線が痛い。でも、もし彼だったら・・・。
『雄英は絶対ダメっす!』
『なんで、どうして?』
『俺の大嫌いなヤツがいるから・・・!一緒に士傑じゃダメなんすか?』
『私は、雄英から合格もらった・・・ヒーロー科あるのは雄英しか受けてない。私は雄英に行く!』
顔を上げた夜嵐の目に、歌恋の姿が映る。
「・・・歌恋、ちゃん・・・?」
「うわ、やっぱりイナサくん!本当に士傑高校通ってたんだ!」
「おお!久しぶりっす!」
「元気にしてた?いや、元気か!」
「な、なんだ・・・?」
「登坂の知り合いか?」
「あ、皆紹介するね!私と同じ中学に通ってた夜嵐イナサくん。
士傑高校は数あるヒーロー科の中でも雄英に匹敵する程の難関校だよ」
「一度言ってみたかったっス!!プルスウルトラ!!自分、雄英高校大好きっス!!
歌恋ちゃんがいるクラスだとは思わなかったっすが、
雄英の皆さんと競えるなんて光栄の極みっス、よろしくお願いします!!」
「あ、イナサくんオデコから血出てる」
「うおっ。けど、神野事件、よく無事だったっすね!」
「あー、ニュースなってたもんね。全国に"個性"ばれちゃったよ、アハハ」
何だかんだあった中学は、夜嵐との仲は変わらずで歌恋は安心した。
久しぶりの再開に、歌恋は夜嵐と話しが進む。
そんな、自分と話す時よりも夜嵐と話してる時の歌恋は、始終笑顔で。
(俺と話す時、あそこまで笑って話したこと、あったか?)
轟は自分の心の中で自問自答する。
(いや、俺があんな性格じゃないから・・・。それに、歌恋の仲良かったって話してたのはアイツ)
『歌恋ちゃん』
そう、ヤツは呼んでた。歌恋も、イナサくんと。
(チッ・・・ンだよ・・・)
「行くぞ、イナサ」
夜嵐は呼ばれ、そのまま士傑の人たちと会場に向かう。歌恋がクラスと合流する頃、相澤先生が言っていた。
「ありゃあ・・・強いぞ。夜嵐、昨年度・・・つまり、おまえらの年の推薦入試、
トップの成績で合格したにも拘わらず、なぜか入学を辞退した男だ」
「え!?じゃあ・・・ていうか、推薦トップの成績って・・・」
緑谷がおずおずと、顔を轟に向けた。A組最強だと言われる彼よりも成績が上ってことはだ。
「実力は、轟くん以上―・・・!?」
(あ、なんか轟くん目合わせてくれない?)
「なぁ、登坂。お前の同級生だっつーあいつ、変わってんな」
瀬呂が不思議そうに話しかけてきた。
「雄英大好きとか言ってたわりに入学は蹴るって、どうゆうことよ?」
「んー(これを本人がいない所で話していいのかわからないし・・・)まぁ、切島くんよりも熱血バカだったかな」
「は、俺よりも!?」
(でも、そっか。推薦ってことは・・・轟くんやヤオモモと会ってるハズか)
歌恋は轟のもとに駆け寄り、聞いてみる。
「轟くん、推薦でイナサくんにあったりしてた、もしかして」
「・・・・・・・・憶えてねぇ」
(あれ、何だろう・・・凄く近寄りがたくなってる・・・?)
「イレイザー!?イレイザーじゃないか!!」
「!」
呼ばれた方に顔を向ければ、スマイルヒーロー「Ms,ジョーク」がいた。
「テレビや体育祭で姿は見てたけど、こうして直で会うのは久し振りだな!!結婚しようぜ」
「しない」
なんて直球な二人のやり取り。
「しないのかよ!!ウケる!」
「相変わらず絡みづらいジョーク」
彼女の"個性"は爆笑。近くの人を強制的に笑わせて思考・行動共に鈍らせる。
Ms,ジョークのヴィラン退治は、狂気に満ちてるとか。
「私と結婚したら、笑いの絶えない幸せな家庭が築けるんだぞ」
「その家庭、幸せじゃないだろ」
「ブハ!!」
二人のやり取りを見て、蛙吹が言う。
「仲が良いんですね」
「昔、事務所が近くでな!助け助けられを繰り返すうちに、相思相愛の仲へと」
「なってない」
(相澤先生、バッサリ切っていくな)
そんなMs,ジョークも受け持ちのクラスがあるらしく、紹介してくれた。
「傑物学園高校2年2組!私の受け持ち、よろしくな」
「俺は真堂!今年の雄英はトラブル続きで大変だったね。しかし、君たちはこうしてヒーローを志し続けているんだね。
すばらしいよ!!不屈の心こそ、これからのヒーローが持つべき素養だと思う!!」
「ドストレートに爽やかイケメンだ・・・」
「中でも、神野事件を中心で経験した登坂さんと」
「!」
「爆豪くん」
「あ?」
「君らは特別に強い心を持っている。今日は君たちの胸を借りるつもりで頑張らせてもらうよ」
真堂が爆豪に手を差し出す。だが、爆豪はそれを弾いた。
「フかしてんじゃねぇ。台詞と面が合ってねぇんだよ」
(爆豪くん・・・)
「こら、おめー失礼だろ!すみません、無礼で・・・」
すっかり切島は、お母さんポジションである。
「良いんだよ!心が強い証拠さ!」
「ねぇ、轟くん。サインちょうだい」
そう傑物学園の女子が、轟の方へ集まる。
「体育祭、かっこよかったんだぁ」
「はぁ・・・」
ジトーと、今度は歌恋が轟を睨む番である。
「まぁ、サインくらいなら」
(あっ!なんかしてやったりの顔!)
なんなんだ、一体。わからない。試験が始まる前に、轟に問い詰める。
「轟くん、私何かした?」
他の知らない女の子と話してるのを見てモヤモヤして。コスチュームに着替えてから、
時間の許す限り、轟の手を掴み逃がさない。
「・・・・・・夜嵐、言ったか。あいつの名前は堂々呼べるんだな。てっきりアイツが原因だと思ったよ」
「あ・・・」
まだ、焦凍くんと、皆の前で堂々呼ぶのは恥ずかしくて、躊躇してしまうから時々呼び方が変わってしまう。
「それは・・・だって、中学の時からだし・・・今日は久しぶりに会ったから、つい・・・。
でも、うん・・・そう。前に話した男の子は、イナサくんのことだよ。けど、嫌いだったのは彼自身じゃないの」
怖かったのは、周りのクラスメートたちの急激の態度の変わりよう。
掴んでいた轟の手が、振り払われる。
「っ・・・」
「そうか」
視線を反らされて、それっきり何も轟は言わなかった。
「・・・轟くんも、一緒の気持ち・・・?」