第十話 入れ寮
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焦っていた。皆もう何人かは必殺技を完成させていて。それでいて、自分はこれでいいのかと思ってしまって。
今まで閉じ込めていた不安定な部分の自分の気持ち。
「・・・・・・・・・」
朝の日差しと、賑やかな寮に目が覚める。
「おはよう」
「・・・おはよう」
二人きりの談話室。記憶がないわけじゃないので、そんなに驚かない。
「寝れたか?」
「うん、お陰様で」
昨夜の中庭での練習を皆に見られたかもしれないけど。
談話室の様子を見ながら、轟も遅くまで一緒にいてくれた。一人だと心配だからって。
一人で部屋に戻ってもアレコレ考えて、また息がつまってしまうからって。
ソファの上で肩を寄せあって寝てくれた。
「ありがとう・・・焦凍くん」
慣れない名前呼びに、彼は照れ臭そうに髪の毛をかく。
「っ・・・キス、してぇ・・・」
「っ・・・」
突然のキスは、あの一回。それからは、お互い確認しながら。それってやっぱり、まだ遠慮があるから。
でも、その度に赤くなるのもどうにかならんものか悩みもんである。
「なんか尞になれねー」
「朝っからウルセーんだよ」
「なんか尞って、面白いよね!」
「全部一人でやんなきゃだから、疲れる」
「「!!」」
男子尞、女子尞からそれぞれ声が聞こえ出す。慌てた歌恋は、咄嗟に共同スペースのキッチンに向かう。
「おー!轟早えーな!」
「切島、爆豪・・・」
切島はキッチンにいる歌恋にも、軽く挨拶してくれる。
「はよっ、登坂!」
「お、おはよー切島くん、爆豪くん!(あ、危なかった・・・)」
「おはよー。ウチにも水ちょうだい」
「おはよう、響香ちゃん」
「「・・・・・・・・・」」
「・・・・・・・(なんだよ、この雰囲気)」
睨み合ってるような爆豪と轟に、怖じ気づく切島。そんな爆豪は、ふと視線を歌恋達女子に向ける。
「もう・・・泣かすなよ」
「あぁ」
試験まで、それぞれの課題を乗りこえる。毎日が、プルスウルトラ。
桜の持続時間を長くする特訓と、幹の技のバリエーション拡大。
(手のひらの葉っぱは、とりあえず保留)
コスチュームの見直しもし、歌恋は腕・手のひらまでガードしてくれる、黒のグローブを着用。
指先までグローブしてしまうと都合が悪いので、そこはなしである。
素材は変換しやすいように、自身の髪の毛が練りこまれ、鉄要りの重さも極力軽くしてもらった。
スポーツウェアのように、吸水速乾素材に、動きやすく
ストレッチ素材の薄い紫色のTシャツ。
下はそのままキュロットで、ロングブーツでこちらもやはり幹としていけるようにガードの強化素材がある。
あと、食べ物必須の歌恋には、腰にウェストポーチ。
こちらは食べ物のみならず、必要最低限に治療も行えるような備え付けも。
みんなのコスチュームも少しずつ変わっていっていた。
大幅にコスチュームが変わったのは、緑谷、切島、上鳴、耳郎あたりか。
緑谷は腕に負担が来てるからと、いつものシューズのデザインがカッコよくなっている。
これからは足も使えるように、とのことだろう。上鳴は電気を放つことしかできない。
それをカバーしてくれる機械が腕にある。電気の通り道を作り、攻撃の狙い打ちが出来るようになるとか。
切島はオールマイトの助言を生かし、小細工なしのゴリ押し出来るよう強化中。
轟は炎と氷の"個性"同時発動の練習中。同時に発動出来るようになったら、どうなるんだ。
「そこまでだ、A組!!今日は午後から我々がここを使わせてもらう予定だ!」
何事かとおもいみれば、B組が中に入ってくる。
「イレイザー、さっさと退くがいい」
「まだ10分弱ある。時間の使い方がなってないな」
「ねぇ知ってる!?仮免試験て、半数が落ちるんだって!A組全員落ちてよ!!」
ストレートに感情をぶつけてくる物間。彼のコスチュームを見て、上鳴が拳藤に聞いている。
「つか、物間のコスチュームあれなの?」
何も"個性"を手助けしてくれる道具はない。至って普通の黒のタキシード風だ。
「「"コピー"だから、変に奇をてらう必要はないのさ」って、言ってた」
「てらってねぇつもりか」
一緒の試験会場だと思っていたが、先生達が言うにはA組B組は試験会場が別らしい。
それを聞いた物間はホッと安心していた。大丈夫か、彼は。
しかし、そうとなれば素性のしれない他校同士が潰しあうってこと。
自分らより訓練期間の長い者、未知の"個性"を持ち、洗練してきたものが奪ってくる。
試験内容は不明だが、明確な逆境であることは間違いない。
「フヘェエ、毎日大変だァ・・・!」
今日は女子の皆で気張らしに集まっている。こういった付き合いも大切にしたいから。
だからって、試験の日まで残りすくないので気持ちの焦りは仕方ない。
みんなの様子を聞いていく。八百万はやりたいことはあるが体が追い付かないので"個性"を伸ばしていて、
蛙吹はよりカエルらしい技が完成しつつあるとか。
「きっと透ちゃんもビックリよ。お茶子ちゃんは?」
蛙吹が問いかけるものの、麗日からの返事はない。
「お茶子ちゃん?」
「うひゃん!!」
蛙吹がつついただけで、麗日の驚きようがすごい。
「お疲れの様ね」
「いやいやいや!!疲れてなんかいられへん、まだまだこっから!・・・のハズなんだけど、何だろうねぇ。
最近、ムダに心がザワつくんが多くてねぇ」
「恋だ」
「ギヨ」
麗日の体が固まった。やはり芦戸はこういった話が好きなようで。
「な、何!?故意!?知らん知らん!」
「いいじゃん、隠すことないよ!ここにもうカップルはいるんだしさ!」
「はっ!?」
急に話を振られ、歌恋も驚く。
「ちょ、三奈ちゃん!」
「そんな歌恋も隠さなくっていいって!んで、麗日は誰なの?
緑谷か、飯田か!?一緒にいること多いよねぇ!」
「チャウワチャウワ」
必死に否定する麗日は、空を舞う。
「浮いた。誰ー!?どっち!?誰なのー!?」
「違うよ本当に!私、そういの本当・・・わからんし・・・」
蛙吹が首を横に振りながら言った。
「無理に検索するのは良くないわ」
「ええー!!やだ、もっと聞きたいー!!もうだったら、歌恋は轟とどこまでいってんのさ!」
「えっ!?」
芦戸の矛先が歌恋に向き、麗日はホッとしている。
(お茶子ちゃーん!!)
「そういえば、エレベーターの中で頭ナデナデされてる時歌恋ちゃん可愛かったよね」
あの現場にいた葉隠も話に入ってくる。
「強引に抱き止めてられてさー、あいつはクラス一のイケメンじゃん。羨ましい!
瀬呂じゃないけど、どこまでやったの!?」
歌恋の顔も麗日同様真っ赤だ。
「ど、どこまでって・・・!そんな、あの・・・」
こんな話だけなのに、やだな、下がむずむずしてしょうがない。まだキス止まりだと言っちゃえばいいんだろうけど。
「私なんて、記者会見のアナウンサーが言ってたように[不吉]なんだよ?そんなたいそれたこと、轟くんが・・・」
言ってて悲しくなる。なに気持ちが沈む必要あるんだ。轟本人はずっと言ってくれてる。
キレイだって。彼のことは信じたい。簡単に周りに流されるような性格してないから信頼出来るのかもしれない。
「皆とも話したけど、歌恋の桜はそんなんじゃないよ」
「響香ちゃん・・・」
「大丈夫。あいつも男だよ」
芦戸がその大丈夫にどんな意味を含めたのかしらないが、歌恋は再び顔を真っ赤にするのだった。
「なんとか形になってきた・・・!」
毎日欠かさずにやった特訓もあってか、桜のままの持続時間を今までより多少長くするように出来ることが出来た。
そうすれば今まで使っていたように、桜吹雪の勢いで飛び上がることだって、捜索だってしやすくなる。
(上手く出来れば、自分の姿を隠して遠くに身を潜ませることも出来るね!)
歌恋の攻撃中心はやはり腕の幹になりそうだ。
(あとはどれだけ、焦凍くんみたいに同時発動出来るか、かな・・・)
だが時間は待ってくれることはない。試験の日は着々と迫っていた。
今まで閉じ込めていた不安定な部分の自分の気持ち。
「・・・・・・・・・」
朝の日差しと、賑やかな寮に目が覚める。
「おはよう」
「・・・おはよう」
二人きりの談話室。記憶がないわけじゃないので、そんなに驚かない。
「寝れたか?」
「うん、お陰様で」
昨夜の中庭での練習を皆に見られたかもしれないけど。
談話室の様子を見ながら、轟も遅くまで一緒にいてくれた。一人だと心配だからって。
一人で部屋に戻ってもアレコレ考えて、また息がつまってしまうからって。
ソファの上で肩を寄せあって寝てくれた。
「ありがとう・・・焦凍くん」
慣れない名前呼びに、彼は照れ臭そうに髪の毛をかく。
「っ・・・キス、してぇ・・・」
「っ・・・」
突然のキスは、あの一回。それからは、お互い確認しながら。それってやっぱり、まだ遠慮があるから。
でも、その度に赤くなるのもどうにかならんものか悩みもんである。
「なんか尞になれねー」
「朝っからウルセーんだよ」
「なんか尞って、面白いよね!」
「全部一人でやんなきゃだから、疲れる」
「「!!」」
男子尞、女子尞からそれぞれ声が聞こえ出す。慌てた歌恋は、咄嗟に共同スペースのキッチンに向かう。
「おー!轟早えーな!」
「切島、爆豪・・・」
切島はキッチンにいる歌恋にも、軽く挨拶してくれる。
「はよっ、登坂!」
「お、おはよー切島くん、爆豪くん!(あ、危なかった・・・)」
「おはよー。ウチにも水ちょうだい」
「おはよう、響香ちゃん」
「「・・・・・・・・・」」
「・・・・・・・(なんだよ、この雰囲気)」
睨み合ってるような爆豪と轟に、怖じ気づく切島。そんな爆豪は、ふと視線を歌恋達女子に向ける。
「もう・・・泣かすなよ」
「あぁ」
試験まで、それぞれの課題を乗りこえる。毎日が、プルスウルトラ。
桜の持続時間を長くする特訓と、幹の技のバリエーション拡大。
(手のひらの葉っぱは、とりあえず保留)
コスチュームの見直しもし、歌恋は腕・手のひらまでガードしてくれる、黒のグローブを着用。
指先までグローブしてしまうと都合が悪いので、そこはなしである。
素材は変換しやすいように、自身の髪の毛が練りこまれ、鉄要りの重さも極力軽くしてもらった。
スポーツウェアのように、吸水速乾素材に、動きやすく
ストレッチ素材の薄い紫色のTシャツ。
下はそのままキュロットで、ロングブーツでこちらもやはり幹としていけるようにガードの強化素材がある。
あと、食べ物必須の歌恋には、腰にウェストポーチ。
こちらは食べ物のみならず、必要最低限に治療も行えるような備え付けも。
みんなのコスチュームも少しずつ変わっていっていた。
大幅にコスチュームが変わったのは、緑谷、切島、上鳴、耳郎あたりか。
緑谷は腕に負担が来てるからと、いつものシューズのデザインがカッコよくなっている。
これからは足も使えるように、とのことだろう。上鳴は電気を放つことしかできない。
それをカバーしてくれる機械が腕にある。電気の通り道を作り、攻撃の狙い打ちが出来るようになるとか。
切島はオールマイトの助言を生かし、小細工なしのゴリ押し出来るよう強化中。
轟は炎と氷の"個性"同時発動の練習中。同時に発動出来るようになったら、どうなるんだ。
「そこまでだ、A組!!今日は午後から我々がここを使わせてもらう予定だ!」
何事かとおもいみれば、B組が中に入ってくる。
「イレイザー、さっさと退くがいい」
「まだ10分弱ある。時間の使い方がなってないな」
「ねぇ知ってる!?仮免試験て、半数が落ちるんだって!A組全員落ちてよ!!」
ストレートに感情をぶつけてくる物間。彼のコスチュームを見て、上鳴が拳藤に聞いている。
「つか、物間のコスチュームあれなの?」
何も"個性"を手助けしてくれる道具はない。至って普通の黒のタキシード風だ。
「「"コピー"だから、変に奇をてらう必要はないのさ」って、言ってた」
「てらってねぇつもりか」
一緒の試験会場だと思っていたが、先生達が言うにはA組B組は試験会場が別らしい。
それを聞いた物間はホッと安心していた。大丈夫か、彼は。
しかし、そうとなれば素性のしれない他校同士が潰しあうってこと。
自分らより訓練期間の長い者、未知の"個性"を持ち、洗練してきたものが奪ってくる。
試験内容は不明だが、明確な逆境であることは間違いない。
「フヘェエ、毎日大変だァ・・・!」
今日は女子の皆で気張らしに集まっている。こういった付き合いも大切にしたいから。
だからって、試験の日まで残りすくないので気持ちの焦りは仕方ない。
みんなの様子を聞いていく。八百万はやりたいことはあるが体が追い付かないので"個性"を伸ばしていて、
蛙吹はよりカエルらしい技が完成しつつあるとか。
「きっと透ちゃんもビックリよ。お茶子ちゃんは?」
蛙吹が問いかけるものの、麗日からの返事はない。
「お茶子ちゃん?」
「うひゃん!!」
蛙吹がつついただけで、麗日の驚きようがすごい。
「お疲れの様ね」
「いやいやいや!!疲れてなんかいられへん、まだまだこっから!・・・のハズなんだけど、何だろうねぇ。
最近、ムダに心がザワつくんが多くてねぇ」
「恋だ」
「ギヨ」
麗日の体が固まった。やはり芦戸はこういった話が好きなようで。
「な、何!?故意!?知らん知らん!」
「いいじゃん、隠すことないよ!ここにもうカップルはいるんだしさ!」
「はっ!?」
急に話を振られ、歌恋も驚く。
「ちょ、三奈ちゃん!」
「そんな歌恋も隠さなくっていいって!んで、麗日は誰なの?
緑谷か、飯田か!?一緒にいること多いよねぇ!」
「チャウワチャウワ」
必死に否定する麗日は、空を舞う。
「浮いた。誰ー!?どっち!?誰なのー!?」
「違うよ本当に!私、そういの本当・・・わからんし・・・」
蛙吹が首を横に振りながら言った。
「無理に検索するのは良くないわ」
「ええー!!やだ、もっと聞きたいー!!もうだったら、歌恋は轟とどこまでいってんのさ!」
「えっ!?」
芦戸の矛先が歌恋に向き、麗日はホッとしている。
(お茶子ちゃーん!!)
「そういえば、エレベーターの中で頭ナデナデされてる時歌恋ちゃん可愛かったよね」
あの現場にいた葉隠も話に入ってくる。
「強引に抱き止めてられてさー、あいつはクラス一のイケメンじゃん。羨ましい!
瀬呂じゃないけど、どこまでやったの!?」
歌恋の顔も麗日同様真っ赤だ。
「ど、どこまでって・・・!そんな、あの・・・」
こんな話だけなのに、やだな、下がむずむずしてしょうがない。まだキス止まりだと言っちゃえばいいんだろうけど。
「私なんて、記者会見のアナウンサーが言ってたように[不吉]なんだよ?そんなたいそれたこと、轟くんが・・・」
言ってて悲しくなる。なに気持ちが沈む必要あるんだ。轟本人はずっと言ってくれてる。
キレイだって。彼のことは信じたい。簡単に周りに流されるような性格してないから信頼出来るのかもしれない。
「皆とも話したけど、歌恋の桜はそんなんじゃないよ」
「響香ちゃん・・・」
「大丈夫。あいつも男だよ」
芦戸がその大丈夫にどんな意味を含めたのかしらないが、歌恋は再び顔を真っ赤にするのだった。
「なんとか形になってきた・・・!」
毎日欠かさずにやった特訓もあってか、桜のままの持続時間を今までより多少長くするように出来ることが出来た。
そうすれば今まで使っていたように、桜吹雪の勢いで飛び上がることだって、捜索だってしやすくなる。
(上手く出来れば、自分の姿を隠して遠くに身を潜ませることも出来るね!)
歌恋の攻撃中心はやはり腕の幹になりそうだ。
(あとはどれだけ、焦凍くんみたいに同時発動出来るか、かな・・・)
だが時間は待ってくれることはない。試験の日は着々と迫っていた。