第九話 救出作戦
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依然としてテレビは、雄英高校の謝罪が流れている。
『生徒の安全・・・と仰りましたがイレイザーヘッドさん。事件の最中、生徒に戦うよう促したそうですね。
意図をお聞かせ下さい』
『私共が状況を把握出来なかった為、最悪の事態を避けるべくそう判断しました』
『最悪の事態とは?26名もの被害者と、2名の拉致は最悪と言えませんか?』
『・・・私があの場で想定した"最悪"とは、生徒が成す術なく殺害されることでした』
『被害の大半を占めたガス攻撃。敵の"個性"から催眠ガスの類だと判明しております。
拳藤さん、鉄哲くんの迅速な対応のおかげで、全員命に別状はなく、
また、生徒らのメンタルケアも行っておりますが、深刻な心的外傷などは今のところ見受けられません』
『不幸中の幸いだとでも?』
『未来を侵されることが"最悪"だと考えております』
『さらわれた爆豪くん、登坂さんについても同じことが言えますか?』
相変わらずメディアは挑発してくるのが上手い。こういう輩がいるから、何も変わらない。
『まずは爆豪くんですが、体育祭優勝。ヘドロ事件では強力なヴィランに単身抵抗を続け、
経歴こそタフなヒーロー性を感じさせますが、反面決勝で見せた粗暴さや、
表彰式に至るまでの態度など、精神面の不安定さも散見されています。
そして登坂さんですが、爆豪くん程の目立った成績は見受けられませんが、
体育祭では女子の成績でいえば高い評価を受け、それから・・・見る者による"個性"への賛否』
(・・・あー・・・やっぱりそうなんだ・・・)
"個性"桜。自分はこの"個性"は好きだ。髪の毛を使うあの桜吹雪だって。
桜の見頃を終えて生い茂るように綺麗に並ぶ緑の葉っぱだって大好きだ。
けど、桜と聞いてこう思う人もいたのは事実で・・・桜は不吉の象徴だと。
古来より桜が不吉だとも言われてしまうその理由は、「桜の下には屍があるから」だとか。
普段ピンクの色をしている可愛らしい桜だが、時折一部真っ赤に染まるのがあるのは、
その木の下に眠っているかもしれないと噂される死体があるからだとか。
現にその理由一つで、ここにいるのだから。
嫌だった中学のころを思い出す。
『ねぇねぇ、登坂さんの"個性"桜って言ってたじゃん?』
『授業でやってたあれでしょ?』
『"個性"は誰だってあるものだけどさ、桜って自分の命まで吸われてるようでヤバくない?』
『あーあれ、ちょうど古典の授業でやった桜とまつわる死体みたいな』
『あはは、何それスゲー怖い』
『もしかして登坂さんって、ユーレイ?』
『マジかよ!何だそれ!』
それでも、一人・・・変わった性格をした男の子がいて。中学校の時、彼の大胆な性格に救われている自分がいた。
『桜と俺の風の"個性"の相性、よくないっスか!?』
『もっともっと、スッゲー爆風を俺が起こしてブワッと歌恋ちゃんの桜吹雪みせてやるっスよ!』
(・・・もうその必要、なくなっちゃったよ)
だっていまは、自分で桜吹雪を起こせるようになってるから。
『カッコイイっスよ!桜!』
嫌みな記者の話が続く。
『これらによる目をつけた上での拉致だとしたら?言葉巧みに彼らをかどわかし、
悪の道に染まってしまったら?未来があると言い切れる根拠を、お聞かせ下さい』
(登坂・・・?)
悲しげな表情で記者会見を見て聞いている彼女。このままヴィランのいいようにされてはダメだ。
テレビの向こうの相澤先生が、頭を下げる。
『行動については、私の不徳の致すところです登坂さんについては、"個性"の一つ。
古来より語られる[不吉の桜]と合わされているのであれば、違うと申し上げます。
繰り返し言うようですが、彼女のはプロヒーロー目指す上での大切な"個性"です。
我々が勝手に彼女の目指す道を踏みにじってはいけないと思っております』
「相澤先生・・・」
思わず呟いてしまっていた。本当は、嬉しくて泣きそうだった。
私は、ここに雄英にいていいんだってこと―・・・。
(雄英で・・・雄英で間違いなかったよ、イナサくん・・・)
『あんたさ、そんな気持ち悪い"個性"で、イナサくんと対等だなんて思ってないわよね?』
中学の時に目立ってしまっていた、二人の"個性"。
『イナサくんの強さは、あんたの強さと違うのよ』
『彼のこと、気軽に名前で呼ばないで・・・』
『歌恋ちゃん、俺雄英の推薦受けるっス!一緒に雄英合格して、ヒーロー目指すっすよ!』
『推薦かぁ・・・夜嵐くん、凄いね・・・私は受かるか分からないけど一般で頑張るよ』
『ん・・・?夜嵐くん・・・?』
そして、相澤先生は爆豪のことも語る。
『そして爆豪くん・・・体育祭でのソレらは、彼の"理想の強さ"に起因しています。
誰よりも"トップヒーロー"を追い求め・・・もがいてる。あれを見て"隙"と捉えたのなら、
ヴィランは浅はかであると、私は考えております』
『根拠になっておりませんが?感情の問題ではなく、具体策があるのかと伺っております』
『我々も、手をこまねいてるワケではありません。現在警察と共に調査を進めております。
我が校の生徒は、必ず取り戻します』
「ハッ言ってくれるな、雄英も先生も・・・そういうこった、クソカス連合!
言っとくが、俺ァまだ戦闘許可解けてねぇぞ!」
爆豪の隣で、歌恋は冷や汗が止まらない。
「マジか爆豪くん、戦うのか(クソカス連合って・・・)」
「ったりめぇだ。戦えるだろーが」
「っ・・・」
仕方ない、彼はやると決めたらやりとおす奴だ。
そんな態勢を見せれば、ヴィランの彼らの罵倒を浴びるのは当然で。
「自分らの立場・・・よくわかってるわね・・・小賢しい!」
「刺ましょう!」
「いや・・・馬鹿だろ」
「その気がねぇなら、懐柔されたフリでもしときゃいいものを・・・やっちまったな」
「したくねーモンは嘘でもしねんだよ、俺ァ。こんな辛気くせーとこ長居する気もねぇ」
「・・・それは、私も同感」
「・・・・・・・・」
死柄木は、何も言わない。顔にあった、落ちた手をただただ見ている。
何を焦ってるのか、ワープ男が声をあらげる。
「いけません、死柄木弔!落ち着いて・・・」
ギロッと、隠れていた目で二人は睨まれる。向けられる殺気に、身動き出来なくなりそうになる。
(ダメだダメだダメだ、一人じゃないから・・・一人じゃないから・・・!)
歌恋は自分に必死に言い聞かす。落ち着け、爆豪がいるから。
だが、死柄木から攻撃してくることはなく。
「手を出すなよ・・・おまえら。こいつらは・・・大切なコマだ」
彼は、その手を拾いまた、顔を隠した。あの手は、彼にとってなんの意味が、必要があるのだろう。
「出来れば、少し耳を傾けて欲しかったな・・・君たちとは、わかり合えると思ってた・・・」
「ねぇわ」
キッパリ断る爆豪に、歌恋も頷く。
「同じく」
「仕方がない。ヒーロー達も調査を進めていると言っていた・・・。悠長に説得してられない。
先生、力を貸せ」
ザザーっと、先ほど映っていたテレビが、砂嵐状態になる。
「・・・・・・良い判断だよ、死柄木弔」
「ここが、発信機の示す場所ですわ」
一行は足を止め、顔を上げ建物をみる。シャッターで閉められた古びた建物。
「これがアジト・・・いかにもだな!」
だが、切島の言葉に、八百万は首を横に振る。
「わかりません・・・。ただ、私が確認した限り、ヴィランは丸一日ここから動いていません。
ヴィランがいるからといって、お二人がいるとは限りません。私たちが今、
どれだけか細い情報でここに立っているか、冷静に考えてみて下さい」
「耳郞くんや葉隠くんのようなスニーク活動に秀でた者はいない。少しでも危険だと判断したら、
すぐ止めるぞ。友であるからこそ、警察への通報も辞さんからな・・・!」
「・・・・・・ありがとう、飯田くん。出来る範囲で出来ること・・・考えよう」
緑谷たちがアジトに到着する頃、プロヒーローもアジトを捉えつつあった。
『生徒の安全・・・と仰りましたがイレイザーヘッドさん。事件の最中、生徒に戦うよう促したそうですね。
意図をお聞かせ下さい』
『私共が状況を把握出来なかった為、最悪の事態を避けるべくそう判断しました』
『最悪の事態とは?26名もの被害者と、2名の拉致は最悪と言えませんか?』
『・・・私があの場で想定した"最悪"とは、生徒が成す術なく殺害されることでした』
『被害の大半を占めたガス攻撃。敵の"個性"から催眠ガスの類だと判明しております。
拳藤さん、鉄哲くんの迅速な対応のおかげで、全員命に別状はなく、
また、生徒らのメンタルケアも行っておりますが、深刻な心的外傷などは今のところ見受けられません』
『不幸中の幸いだとでも?』
『未来を侵されることが"最悪"だと考えております』
『さらわれた爆豪くん、登坂さんについても同じことが言えますか?』
相変わらずメディアは挑発してくるのが上手い。こういう輩がいるから、何も変わらない。
『まずは爆豪くんですが、体育祭優勝。ヘドロ事件では強力なヴィランに単身抵抗を続け、
経歴こそタフなヒーロー性を感じさせますが、反面決勝で見せた粗暴さや、
表彰式に至るまでの態度など、精神面の不安定さも散見されています。
そして登坂さんですが、爆豪くん程の目立った成績は見受けられませんが、
体育祭では女子の成績でいえば高い評価を受け、それから・・・見る者による"個性"への賛否』
(・・・あー・・・やっぱりそうなんだ・・・)
"個性"桜。自分はこの"個性"は好きだ。髪の毛を使うあの桜吹雪だって。
桜の見頃を終えて生い茂るように綺麗に並ぶ緑の葉っぱだって大好きだ。
けど、桜と聞いてこう思う人もいたのは事実で・・・桜は不吉の象徴だと。
古来より桜が不吉だとも言われてしまうその理由は、「桜の下には屍があるから」だとか。
普段ピンクの色をしている可愛らしい桜だが、時折一部真っ赤に染まるのがあるのは、
その木の下に眠っているかもしれないと噂される死体があるからだとか。
現にその理由一つで、ここにいるのだから。
嫌だった中学のころを思い出す。
『ねぇねぇ、登坂さんの"個性"桜って言ってたじゃん?』
『授業でやってたあれでしょ?』
『"個性"は誰だってあるものだけどさ、桜って自分の命まで吸われてるようでヤバくない?』
『あーあれ、ちょうど古典の授業でやった桜とまつわる死体みたいな』
『あはは、何それスゲー怖い』
『もしかして登坂さんって、ユーレイ?』
『マジかよ!何だそれ!』
それでも、一人・・・変わった性格をした男の子がいて。中学校の時、彼の大胆な性格に救われている自分がいた。
『桜と俺の風の"個性"の相性、よくないっスか!?』
『もっともっと、スッゲー爆風を俺が起こしてブワッと歌恋ちゃんの桜吹雪みせてやるっスよ!』
(・・・もうその必要、なくなっちゃったよ)
だっていまは、自分で桜吹雪を起こせるようになってるから。
『カッコイイっスよ!桜!』
嫌みな記者の話が続く。
『これらによる目をつけた上での拉致だとしたら?言葉巧みに彼らをかどわかし、
悪の道に染まってしまったら?未来があると言い切れる根拠を、お聞かせ下さい』
(登坂・・・?)
悲しげな表情で記者会見を見て聞いている彼女。このままヴィランのいいようにされてはダメだ。
テレビの向こうの相澤先生が、頭を下げる。
『行動については、私の不徳の致すところです登坂さんについては、"個性"の一つ。
古来より語られる[不吉の桜]と合わされているのであれば、違うと申し上げます。
繰り返し言うようですが、彼女のはプロヒーロー目指す上での大切な"個性"です。
我々が勝手に彼女の目指す道を踏みにじってはいけないと思っております』
「相澤先生・・・」
思わず呟いてしまっていた。本当は、嬉しくて泣きそうだった。
私は、ここに雄英にいていいんだってこと―・・・。
(雄英で・・・雄英で間違いなかったよ、イナサくん・・・)
『あんたさ、そんな気持ち悪い"個性"で、イナサくんと対等だなんて思ってないわよね?』
中学の時に目立ってしまっていた、二人の"個性"。
『イナサくんの強さは、あんたの強さと違うのよ』
『彼のこと、気軽に名前で呼ばないで・・・』
『歌恋ちゃん、俺雄英の推薦受けるっス!一緒に雄英合格して、ヒーロー目指すっすよ!』
『推薦かぁ・・・夜嵐くん、凄いね・・・私は受かるか分からないけど一般で頑張るよ』
『ん・・・?夜嵐くん・・・?』
そして、相澤先生は爆豪のことも語る。
『そして爆豪くん・・・体育祭でのソレらは、彼の"理想の強さ"に起因しています。
誰よりも"トップヒーロー"を追い求め・・・もがいてる。あれを見て"隙"と捉えたのなら、
ヴィランは浅はかであると、私は考えております』
『根拠になっておりませんが?感情の問題ではなく、具体策があるのかと伺っております』
『我々も、手をこまねいてるワケではありません。現在警察と共に調査を進めております。
我が校の生徒は、必ず取り戻します』
「ハッ言ってくれるな、雄英も先生も・・・そういうこった、クソカス連合!
言っとくが、俺ァまだ戦闘許可解けてねぇぞ!」
爆豪の隣で、歌恋は冷や汗が止まらない。
「マジか爆豪くん、戦うのか(クソカス連合って・・・)」
「ったりめぇだ。戦えるだろーが」
「っ・・・」
仕方ない、彼はやると決めたらやりとおす奴だ。
そんな態勢を見せれば、ヴィランの彼らの罵倒を浴びるのは当然で。
「自分らの立場・・・よくわかってるわね・・・小賢しい!」
「刺ましょう!」
「いや・・・馬鹿だろ」
「その気がねぇなら、懐柔されたフリでもしときゃいいものを・・・やっちまったな」
「したくねーモンは嘘でもしねんだよ、俺ァ。こんな辛気くせーとこ長居する気もねぇ」
「・・・それは、私も同感」
「・・・・・・・・」
死柄木は、何も言わない。顔にあった、落ちた手をただただ見ている。
何を焦ってるのか、ワープ男が声をあらげる。
「いけません、死柄木弔!落ち着いて・・・」
ギロッと、隠れていた目で二人は睨まれる。向けられる殺気に、身動き出来なくなりそうになる。
(ダメだダメだダメだ、一人じゃないから・・・一人じゃないから・・・!)
歌恋は自分に必死に言い聞かす。落ち着け、爆豪がいるから。
だが、死柄木から攻撃してくることはなく。
「手を出すなよ・・・おまえら。こいつらは・・・大切なコマだ」
彼は、その手を拾いまた、顔を隠した。あの手は、彼にとってなんの意味が、必要があるのだろう。
「出来れば、少し耳を傾けて欲しかったな・・・君たちとは、わかり合えると思ってた・・・」
「ねぇわ」
キッパリ断る爆豪に、歌恋も頷く。
「同じく」
「仕方がない。ヒーロー達も調査を進めていると言っていた・・・。悠長に説得してられない。
先生、力を貸せ」
ザザーっと、先ほど映っていたテレビが、砂嵐状態になる。
「・・・・・・良い判断だよ、死柄木弔」
「ここが、発信機の示す場所ですわ」
一行は足を止め、顔を上げ建物をみる。シャッターで閉められた古びた建物。
「これがアジト・・・いかにもだな!」
だが、切島の言葉に、八百万は首を横に振る。
「わかりません・・・。ただ、私が確認した限り、ヴィランは丸一日ここから動いていません。
ヴィランがいるからといって、お二人がいるとは限りません。私たちが今、
どれだけか細い情報でここに立っているか、冷静に考えてみて下さい」
「耳郞くんや葉隠くんのようなスニーク活動に秀でた者はいない。少しでも危険だと判断したら、
すぐ止めるぞ。友であるからこそ、警察への通報も辞さんからな・・・!」
「・・・・・・ありがとう、飯田くん。出来る範囲で出来ること・・・考えよう」
緑谷たちがアジトに到着する頃、プロヒーローもアジトを捉えつつあった。