第九話 救出作戦
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ブラドキング先生が通報して、ヴィランが去った15分後。救急や消防が到着。
生徒40名の内、ヴィランのガスによって意識不明の重体15名。重・軽傷者11名。
無傷で済んだのは13名だった。そして・・・行方不明2名。プロヒーロー、
6名のうち1名が頭を強く打たれ重体。1名が大量の血痕を残し、行方不明となっていた。
一方、ヴィラン側は3名の現行犯逮捕。彼らを残し、他のヴィランは跡形もなく姿を消した。
楽しみにしていた林間合宿は、最悪の結果で幕を閉じた。
「スマホで連絡いれても・・・一切出ないのよ・・・あの子。何で、何で、ウチの子なのよ・・・!」
いつも「ただいま」と、元気に帰ってくる声がない・・・。
「騒いでも、歌恋は帰ってこないよ・・・プロヒーローが動いてくれる」
「だからって、落ち着いてられないわよ!」
「じゃあ聞くが、君に何が出きるんだ!」
「っ・・・!」
「君まで今、いなくならなくていいじゃないか!同じクラスの爆豪くんも一緒なんだろ?
一人じゃない、一人じゃないから」
「雄英高校・・・事件続き・・・本当に、通わせる意味があると思う?」
わかってる。中学の時よりも、断然楽しく通っている我が子。クラスメートの会話も、
よくも飽きずしてくれて、授業の話もしてくれて。
新聞を見て、ぐしゃと、怒り任せにする轟。
(助けてやれなかった・・・何も出来なかった・・・)
あの後、麗日と蛙吹から歌恋が狙われてた理由を聞いた。
(桜の"個性"が、真っ赤な血・・・?ふざけんな)
授業で思いっきり"個性"使えて、中学の時よりA組は皆優しくて大好きだって言っていた彼女。
(何がクラス最強だよ)
いてもたってもいられず足が動いた方は、緑谷がいる病院だ。
「あー!?轟、なんでいんの!?」
受付の場所で遭遇したのは、切島だ。
「おまえこそ」
僅かな緊張から、切島が目をキョロキョロ泳がせている。
「・・・あん時、おめーに言いそびれちまったけど・・・」
いつになく、迫力のない切島の声。
「施設にいて、登坂も隣にいたんだ。それなのに、いつの間にか消えてた。
掴むことすらできなかった!庇ってやることすらできなかった!ごめん!」
そんな状況だったなんて、聞いて腹が立つ。でも、それは自分も同じで。
「・・・俺だってそうだ。歌恋も、爆豪も・・・」
目の前だったのに、掴めなかった。
「・・・風呂一緒に入った時さ、爆豪言ってたろ」
「?」
「轟、登坂のこと好きなのか?」
切島の素朴な疑問に、やたら意識してしまう。
「なっ・・・」
「いや、だって普通におめー名前呼んでるし。相澤先生なんかと話てるときもそうだったし。
登坂嫌そうでねーみてーだし」
「!(しまった・・・必死で名前のことなんてすっかり忘れてたな)」
「ま、俺は知ったとこで口挟んだりしねーけど。峰田と上鳴には気をつけろ」
「・・・その忠告は、二人を救けられたらって話だよな・・・」
今はいない。隣にいない。不思議だ。当たり前だと思ってた。けど、当たり前じゃない。
お互いに好きだと分かったあの日から、もっともっと大事にしてやればよかった。
いや、大事にし過ぎてろくに二人の時間なんてない。歌恋が言った。
『好きです』って言葉。あれは、どんな意味?
やったのは、ほんの触れるだけのキスに、バスの中で手繋いだだけ。
(・・・こんな風に思ってんの、俺だけだったのか・・・?)
今日、緑谷が目を覚ますことなく、目を開けたのは次の日だった。
「あー、緑谷!!目覚めてんじゃん」
「え?」
「テレビ見たか!?学校いま、マスコミやべーぞ」
ドアの方に目を向ければ、上鳴を先頭にクラスメートが入ってきた。
「迷惑かけたな、緑谷」
そう最初に謝罪するのは常闇で。
「ううん・・・僕の方こそ・・・。A組皆で来てくれたの?」
それに答えたのは、飯田だ。
「いや・・・耳郎くん、葉隠くんは、ヴィランのガスによって未だ意識が戻ってない。
そして、八百万くんも頭をひどくやられここに入院している。
昨日丁度、意識が戻ったそうだ。だから来ているのはその3人を除いた・・・」
麗日が、呟く。
「・・・14人、だよ」
「爆豪と、登坂いねぇからな」
「ちょっ、轟・・・」
「オールマイトがさ・・・言ってたんだ。手の届かない場所には、救けに行けない・・・って。
だから、手の届く範囲は必ず救け出すんだ・・・。僕は・・・手の届く場所にいた。
必ず救けなきゃいけなかった・・・!僕の"個性"は、その為の"個性"・・・なんだ。
相澤先生の言った通りになった・・・『おまえのは、一人救けて木偶の坊になるだけ』。
体・・・動かなかった・・・」
「じゃあ、今度は救けよう」
「へ!?」
緑谷だけじゃない、ここにいる皆の視線が、切島に向けられる。
「実は俺と・・・轟さ、昨日も来ててよォ・・・。そこでオールマイトと警察が、
八百万と話してるとこ遭遇したんだ」
『B組の泡瀬さんに協力頂き、ヴィランの一人に発信機を取りつけました。
これがその信号を受信するデバイスです。調査にお使い下さい』
『・・・・・・この前、相澤くんは君を「咄嗟の判断力に欠ける」と評していた。
素晴らしい成長だ!ありがとう、八百万少女!』
『級友の危機に・・・こんな形でしか協力できず・・・悔しいです』
『その気持ちこそ、君がヒーローたりうる証だよ。後は私たちに任せなさい!』
「・・・・・・・つまり、その受信デバイスを・・・八百万くんに創ってもらう・・・と?」
さすがと言うべきか、飯田の理解が早い。
「オールマイトの仰る通りだ。プロに任せるべき案件だ!生徒の出ていい舞台ではないんだ、馬鹿者!!」
「んなもん、わかってるよ!!でもさァ!何っも出来なかったんだ!!
隣にいたのに、手も出せなくて。ダチが狙われてるって聞いてさァ!!
なんっっも、出来なかった!!しなかった!!ここで動かなきゃ俺ァ、
ヒーローでも男でもなくなっちまうんだよ!」
「切島、落ち着けよ。こだわりは良いけどよ、今回は・・・」
「飯田ちゃんが正しいわ」
「飯田が、皆が正しいよ。でも!!なァ、緑谷!!まだ手は届くんだよ!」
芦戸が、恐る恐る確認する。
「ヤオモモから発信機のヤツもらって・・・それ辿って・・・自分らで爆豪と歌恋の救出に行くってこと・・・!?」
「ヴィランは俺らを殺害対象と言い、爆豪と登坂は殺さずさらった。
生かされるだろうが、殺されないとも言い切れねぇ。俺と切島は行く」
「ふっ――ふざけるのも大概にしたまえ!!」
「待て、落ち着け」
終わりの見えない、言い争い・・・お互いの気持ちが分かるこそのすれ違い・・・。
「切島の「何も出来なかった」悔しさも、轟の「眼前で奪われた」悔しさもわかる」
轟と緑谷と行動を共にした障子だからこそ、説得力がないわけではない。
「俺だって悔しい。だが、これは感情で動いていい話じゃない」
「オールマイトに任せようよ・・・。戦闘許可は解除されてるし、やれることはやったよ☆」
「青山の言う通りだ・・・。救けられてばかりだった俺には、強く言えんが・・・」
「皆、爆豪ちゃんと歌恋ちゃんがさらわれてショックなのよ。でも、冷静になりましょう。
どれ程正当な感情であろうと、また戦闘を行うというのなら、ルールを破るというのなら、
その行為はヴィランのそれと同じなのよ」
クラスメートの気持ちが分からない訳ではない。それでも・・・行動せずにはいられない。
「お話し中ごめんね――。緑谷くんの診察時間なんだが・・・」
医師が顔を出し、話にわって入る。
「い・・・行こうか。耳郎とか、葉隠の方も気になっし・・・」
皆が出ていくのを見計らい、切島が最後、緑谷に言い残す。
「八百万には昨日話をした。行くなら即行・・・今晩だ。重傷のおめーが動けるかは知らねぇ。
それでも誘ってんのは、おめーが一番悔しいと思うからだ。今晩・・・病院前で待つ」
生徒40名の内、ヴィランのガスによって意識不明の重体15名。重・軽傷者11名。
無傷で済んだのは13名だった。そして・・・行方不明2名。プロヒーロー、
6名のうち1名が頭を強く打たれ重体。1名が大量の血痕を残し、行方不明となっていた。
一方、ヴィラン側は3名の現行犯逮捕。彼らを残し、他のヴィランは跡形もなく姿を消した。
楽しみにしていた林間合宿は、最悪の結果で幕を閉じた。
「スマホで連絡いれても・・・一切出ないのよ・・・あの子。何で、何で、ウチの子なのよ・・・!」
いつも「ただいま」と、元気に帰ってくる声がない・・・。
「騒いでも、歌恋は帰ってこないよ・・・プロヒーローが動いてくれる」
「だからって、落ち着いてられないわよ!」
「じゃあ聞くが、君に何が出きるんだ!」
「っ・・・!」
「君まで今、いなくならなくていいじゃないか!同じクラスの爆豪くんも一緒なんだろ?
一人じゃない、一人じゃないから」
「雄英高校・・・事件続き・・・本当に、通わせる意味があると思う?」
わかってる。中学の時よりも、断然楽しく通っている我が子。クラスメートの会話も、
よくも飽きずしてくれて、授業の話もしてくれて。
新聞を見て、ぐしゃと、怒り任せにする轟。
(助けてやれなかった・・・何も出来なかった・・・)
あの後、麗日と蛙吹から歌恋が狙われてた理由を聞いた。
(桜の"個性"が、真っ赤な血・・・?ふざけんな)
授業で思いっきり"個性"使えて、中学の時よりA組は皆優しくて大好きだって言っていた彼女。
(何がクラス最強だよ)
いてもたってもいられず足が動いた方は、緑谷がいる病院だ。
「あー!?轟、なんでいんの!?」
受付の場所で遭遇したのは、切島だ。
「おまえこそ」
僅かな緊張から、切島が目をキョロキョロ泳がせている。
「・・・あん時、おめーに言いそびれちまったけど・・・」
いつになく、迫力のない切島の声。
「施設にいて、登坂も隣にいたんだ。それなのに、いつの間にか消えてた。
掴むことすらできなかった!庇ってやることすらできなかった!ごめん!」
そんな状況だったなんて、聞いて腹が立つ。でも、それは自分も同じで。
「・・・俺だってそうだ。歌恋も、爆豪も・・・」
目の前だったのに、掴めなかった。
「・・・風呂一緒に入った時さ、爆豪言ってたろ」
「?」
「轟、登坂のこと好きなのか?」
切島の素朴な疑問に、やたら意識してしまう。
「なっ・・・」
「いや、だって普通におめー名前呼んでるし。相澤先生なんかと話てるときもそうだったし。
登坂嫌そうでねーみてーだし」
「!(しまった・・・必死で名前のことなんてすっかり忘れてたな)」
「ま、俺は知ったとこで口挟んだりしねーけど。峰田と上鳴には気をつけろ」
「・・・その忠告は、二人を救けられたらって話だよな・・・」
今はいない。隣にいない。不思議だ。当たり前だと思ってた。けど、当たり前じゃない。
お互いに好きだと分かったあの日から、もっともっと大事にしてやればよかった。
いや、大事にし過ぎてろくに二人の時間なんてない。歌恋が言った。
『好きです』って言葉。あれは、どんな意味?
やったのは、ほんの触れるだけのキスに、バスの中で手繋いだだけ。
(・・・こんな風に思ってんの、俺だけだったのか・・・?)
今日、緑谷が目を覚ますことなく、目を開けたのは次の日だった。
「あー、緑谷!!目覚めてんじゃん」
「え?」
「テレビ見たか!?学校いま、マスコミやべーぞ」
ドアの方に目を向ければ、上鳴を先頭にクラスメートが入ってきた。
「迷惑かけたな、緑谷」
そう最初に謝罪するのは常闇で。
「ううん・・・僕の方こそ・・・。A組皆で来てくれたの?」
それに答えたのは、飯田だ。
「いや・・・耳郎くん、葉隠くんは、ヴィランのガスによって未だ意識が戻ってない。
そして、八百万くんも頭をひどくやられここに入院している。
昨日丁度、意識が戻ったそうだ。だから来ているのはその3人を除いた・・・」
麗日が、呟く。
「・・・14人、だよ」
「爆豪と、登坂いねぇからな」
「ちょっ、轟・・・」
「オールマイトがさ・・・言ってたんだ。手の届かない場所には、救けに行けない・・・って。
だから、手の届く範囲は必ず救け出すんだ・・・。僕は・・・手の届く場所にいた。
必ず救けなきゃいけなかった・・・!僕の"個性"は、その為の"個性"・・・なんだ。
相澤先生の言った通りになった・・・『おまえのは、一人救けて木偶の坊になるだけ』。
体・・・動かなかった・・・」
「じゃあ、今度は救けよう」
「へ!?」
緑谷だけじゃない、ここにいる皆の視線が、切島に向けられる。
「実は俺と・・・轟さ、昨日も来ててよォ・・・。そこでオールマイトと警察が、
八百万と話してるとこ遭遇したんだ」
『B組の泡瀬さんに協力頂き、ヴィランの一人に発信機を取りつけました。
これがその信号を受信するデバイスです。調査にお使い下さい』
『・・・・・・この前、相澤くんは君を「咄嗟の判断力に欠ける」と評していた。
素晴らしい成長だ!ありがとう、八百万少女!』
『級友の危機に・・・こんな形でしか協力できず・・・悔しいです』
『その気持ちこそ、君がヒーローたりうる証だよ。後は私たちに任せなさい!』
「・・・・・・・つまり、その受信デバイスを・・・八百万くんに創ってもらう・・・と?」
さすがと言うべきか、飯田の理解が早い。
「オールマイトの仰る通りだ。プロに任せるべき案件だ!生徒の出ていい舞台ではないんだ、馬鹿者!!」
「んなもん、わかってるよ!!でもさァ!何っも出来なかったんだ!!
隣にいたのに、手も出せなくて。ダチが狙われてるって聞いてさァ!!
なんっっも、出来なかった!!しなかった!!ここで動かなきゃ俺ァ、
ヒーローでも男でもなくなっちまうんだよ!」
「切島、落ち着けよ。こだわりは良いけどよ、今回は・・・」
「飯田ちゃんが正しいわ」
「飯田が、皆が正しいよ。でも!!なァ、緑谷!!まだ手は届くんだよ!」
芦戸が、恐る恐る確認する。
「ヤオモモから発信機のヤツもらって・・・それ辿って・・・自分らで爆豪と歌恋の救出に行くってこと・・・!?」
「ヴィランは俺らを殺害対象と言い、爆豪と登坂は殺さずさらった。
生かされるだろうが、殺されないとも言い切れねぇ。俺と切島は行く」
「ふっ――ふざけるのも大概にしたまえ!!」
「待て、落ち着け」
終わりの見えない、言い争い・・・お互いの気持ちが分かるこそのすれ違い・・・。
「切島の「何も出来なかった」悔しさも、轟の「眼前で奪われた」悔しさもわかる」
轟と緑谷と行動を共にした障子だからこそ、説得力がないわけではない。
「俺だって悔しい。だが、これは感情で動いていい話じゃない」
「オールマイトに任せようよ・・・。戦闘許可は解除されてるし、やれることはやったよ☆」
「青山の言う通りだ・・・。救けられてばかりだった俺には、強く言えんが・・・」
「皆、爆豪ちゃんと歌恋ちゃんがさらわれてショックなのよ。でも、冷静になりましょう。
どれ程正当な感情であろうと、また戦闘を行うというのなら、ルールを破るというのなら、
その行為はヴィランのそれと同じなのよ」
クラスメートの気持ちが分からない訳ではない。それでも・・・行動せずにはいられない。
「お話し中ごめんね――。緑谷くんの診察時間なんだが・・・」
医師が顔を出し、話にわって入る。
「い・・・行こうか。耳郎とか、葉隠の方も気になっし・・・」
皆が出ていくのを見計らい、切島が最後、緑谷に言い残す。
「八百万には昨日話をした。行くなら即行・・・今晩だ。重傷のおめーが動けるかは知らねぇ。
それでも誘ってんのは、おめーが一番悔しいと思うからだ。今晩・・・病院前で待つ」