第八話 林間合宿
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「チッ、地形と"個性"の使い方がうめぇ」
「見るからにザコのひょろガリのくせしやがってンのヤロウ・・・!」
「ここででけぇ火使って燃え移りでもすりゃ、火に囲まれて全員死ぬぞ。わかってんな?」
「喋んな、わーっとるわ」
(退こうにも、ガス溜まり・・・こりゃ、わかりやすく"縛り"掛けられてんな)
マンダレイ達から離れた緑谷は、肝試しのコースに入っていた。
(皆どうなってる・・・!?かっちゃんたちは肝試しで二番スタートだった・・・。
動いてないなら、そう遠くにはいないハズ。それに、かっちゃんの方にいれば、登坂さんだって)
そんな緑谷の前に突如現れた巨大な黒い手。
「!?」
動こうにも、既に限界にきている腕は動かない。
「っあ・・・!」
やられた・・・そう思った。
けど、衝撃がない。目をあければ、目の前に見えるのは、クラスメートの大きな背中。
「障子くん・・・!?」
彼も息を荒くしながら、傷だらけである。だが、自分より酷い怪我の緑谷をみて言った。
「その重症・・・もはや動いていい体じゃないな・・・友を救いたい一心か、呆れた男だ・・・」
いつの間にか、緑谷は障子に背負われていて。
「今のって・・・」
「あぁ。ヴィランに奇襲をかけられ、俺が庇った・・・。しかしそれが、
奴が必死で抑えていた"個性"のトリガーとなってしまった。ここを通りたいなら、
まずコレをどうにかせねばならん」
ダークシャドウに呑み込まれそうになっている常闇踏影を。
「俺から・・・っ離れろ、死ぬぞ!!」
「常闇くん!!」
闇が深いと制御が利かない常闇の"個性"。
それでも、体育祭の時に教えてくれたダークシャドウの弱点が光であるということ。
火事か、施設の方へ誘導すれば静められるハズ。
ダークシャドウの攻撃を避けながら、障子が問いかける。
「緑谷。俺はどんな状況下であろうと苦しむ友を捨て置く人間になりたくはない。
おまえは爆豪が心配でその体を押して来たのだろう?まだ動けるというのなら、
俺がダークシャドウを引き付け道を開こう」
「待ってよ。施設も火事も、距離がある。そんなの障子くん危なー・・・」
容赦なく襲ってくるダークシャドウに、必死に押さえ込もうともがき苦しむ常闇の姿。
「わかってる。救けるという行為には、リスクが伴う。だからこそ、ヒーローと呼ばれる。
このまま俺と共に常闇を救けるか、爆豪のもとへ駆けつけるか・・・。
おまえはどちらだ?緑谷」
「・・・・・・・ごめん、障子くん・・・」
「?」
クラス一の攻撃型の爆豪と轟が防戦一方の状態で、爆豪のイライラは更に募っている。
「近付けねぇ!!クソ、最大火力でブッ飛ばすしか・・・」
「だめだ!」
「木ィ燃えてもソッコー氷で覆え!!」
「爆発はこっちの視界も塞がれる!」
それに、轟の体にはもう霜も降りはじめているのだ。
「仕留めきれなかったらどうなる!?手数も距離も、向こうに分があんだぞ!」
「いた!氷が見える、交戦中だ!」
どこからかそう声と共に、何かがなぎ倒されていく音もする。
「!?」
「あ・・・?」
轟も爆豪も、そして、ヴィランさえもそちらに顔を向けた。
瞬間、木々を崩壊させていきながらこちらに走ってくるクラスメート。
「爆豪!轟!どちらか頼む・・・光を!!!」
更に大きくなっているダークシャドウが、躊躇もなくヴィランを押し潰す。
唖然とする轟と爆豪。
先ほどの緑谷の答えはこうだった。
『ごめん、障子くん・・・!このままで・・・少しいい?音だけで反応するなら、
複製腕を複製する形で囮をつくって・・・本体に攻撃が向かないよう誘導する!
ただ、誘導先はかっちゃんだ。爆発でダークシャドウを静められる!
どちらか選ばなきゃいけないなら、僕はどっちも救けたい!』
「かっちゃん!」
「障子、緑谷・・・と、常闇!?」
「早く"光"を!!常闇が暴走した!!」
ダークシャドウの耳を塞ぎたくなるような叫び声が響く。
「見境なしかっし、炎を・・・」
「待て、アホ」
今度、止めるのは爆豪のほうで、暴れ狂うダークシャドウに目を奪われる。
「見てえ」
「駄目だ駄目だ許せない。その子たちの断面を見るのは僕だぁあ!!
横取りするなぁああああ!!」
「ねだるな、三下!!」
ヴィランの刃すら利いていないダークシャドウが、ヴィランにピリオドを打つ。
「アアアアア!暴れ足りンゾォ!アアアアア!!!」
もうどちらがヴィランなのか分からない状態だ。これ以上暴れさせるのは危険だ。
二人の光のお陰で、ダークシャドウは元の姿に戻り、常闇の中へと消えていった。
「ハッ、ハッ」
「てめェと俺の相性が残念だぜ・・・」
爆豪がどんな意味を込めていったのか、常闇には分からない。
「・・・?すまん、助かった」
だが、お礼は忘れない。
「俺らが防戦一方だった相手を、一瞬で・・・」
以前、歌恋に言われたことがある。氷と炎使えるなら、最強の"個性"だと。
だが、まだまだ。最強と呼べる"個性"を持つのは、他にもいるのかもしれない。
そう、今回の常闇のように。
障子が常闇に寄り添い、励ます。
「常闇、大丈夫か。よく言う通りにしてくれた」
『常闇くん!!抗わないで、ダークシャドウに身を委ねて!』
「障子・・・悪かった・・・。緑谷も・・・俺の心が未熟だった。複製の腕がトバされた瞬間、
怒りに任せダークシャドウを解き放ってしまった。闇の深さ・・・。
そして、俺の怒りが影響されヤツの狂暴性に拍車をかけた・・・。
結果、収容も出来ぬ程に増長し、障子を傷つけてしまった・・・。
そういうのは後だ・・・と、おまえなら言うだろうな」
「そうだ・・・!」
緑谷が話題を変えようと、話しを切り出す。
「ヴィランの目的の一つが、かっちゃんだって判明したんだ」
「爆豪・・・?」
ダークシャドウに必死だった常闇が、聞き返す。
「命を狙われているのか?何故・・・?」
「わからない・・・!それから、あと一つ・・・」
緑谷は言いずらそうに口をモゴモゴさせてしまう。が、でも言わなくちゃ。
「テレパスでは皆に伝えなかったけど、相澤先生が言ってたんだ。
登坂さんが・・・ヴィランに持っていかれたって・・・!」
「!」
この場にいる、緑谷以外は目を見開く。
「・・・は?」
静まり返ったこの場所に、轟の声が切る。二人の間柄をほんの少しでも理解していたからこそ。
「登坂って・・・歌恋のことだよな?んでだ?あいつ、施設にいたんじゃねぇのか?」
一番、安全な所にいたんじゃないのか。補習組は、そうだっただろ。
「わからない・・・!施設も襲撃を受けたのかもしれない。だから相澤先生も僕らに戦闘の許可を出したんだよ」
(・・・・・・・)
ワナワナ震え出す、轟の手を爆豪は盗み見る。
(登坂の事、名前で呼びやがった・・・)
「それに、僕らがかっちゃんの方に来たのも、もう一つの狙いがかっちゃんなら、
登坂さんを奪ったヴィランと遭遇出来るんじゃないかって思ったんだ」
「ここに来るまでにも、常闇のことで後手になりがちだったが、探索はしていたが」
障子の能力でも見つからない。なら、ヴィランもまた姿を隠してるって事か。
こちらの出方をうかがってるのか、どちらにせよ・・・何をされてるか分からない。
「轟くん!?どこ行くの!?」
「捜す!!」
「待て!一人で闇雲に捜すのは危険だ」
「っ・・・!」
常闇の制止で、足を止める。
「緑谷、考えがあるんだよな?」
障子が言い、頷く緑谷に轟は視線をぶつけた。
「うん・・・聞いて、轟くん。施設が安全か今は正直わかんないけど、
でも現状、プロの二名がいる施設に戻った方がいいと思うんだ」
その説明に、常闇がハッとする。
「なる程。これより我々の任は爆豪を送り届けること・・・か!」
「ただ広場は依然、プッシーキャッツが交戦中。道なりに戻るのはヴィランの目につくし、
タイムロスだ。まっすぐ最短が良い。かっちゃんを預けてから、リスク減らしてか、
登坂さん、見つける!救ける!必ず!その為に、力貸して轟くん。
ヴィランの数が分からない以上、障子くんの索敵能力も、轟くんの氷結も、
更に常闇くんさえよければ、光を備えた無敵のダークシャドウも必要なんだよ」
「見るからにザコのひょろガリのくせしやがってンのヤロウ・・・!」
「ここででけぇ火使って燃え移りでもすりゃ、火に囲まれて全員死ぬぞ。わかってんな?」
「喋んな、わーっとるわ」
(退こうにも、ガス溜まり・・・こりゃ、わかりやすく"縛り"掛けられてんな)
マンダレイ達から離れた緑谷は、肝試しのコースに入っていた。
(皆どうなってる・・・!?かっちゃんたちは肝試しで二番スタートだった・・・。
動いてないなら、そう遠くにはいないハズ。それに、かっちゃんの方にいれば、登坂さんだって)
そんな緑谷の前に突如現れた巨大な黒い手。
「!?」
動こうにも、既に限界にきている腕は動かない。
「っあ・・・!」
やられた・・・そう思った。
けど、衝撃がない。目をあければ、目の前に見えるのは、クラスメートの大きな背中。
「障子くん・・・!?」
彼も息を荒くしながら、傷だらけである。だが、自分より酷い怪我の緑谷をみて言った。
「その重症・・・もはや動いていい体じゃないな・・・友を救いたい一心か、呆れた男だ・・・」
いつの間にか、緑谷は障子に背負われていて。
「今のって・・・」
「あぁ。ヴィランに奇襲をかけられ、俺が庇った・・・。しかしそれが、
奴が必死で抑えていた"個性"のトリガーとなってしまった。ここを通りたいなら、
まずコレをどうにかせねばならん」
ダークシャドウに呑み込まれそうになっている常闇踏影を。
「俺から・・・っ離れろ、死ぬぞ!!」
「常闇くん!!」
闇が深いと制御が利かない常闇の"個性"。
それでも、体育祭の時に教えてくれたダークシャドウの弱点が光であるということ。
火事か、施設の方へ誘導すれば静められるハズ。
ダークシャドウの攻撃を避けながら、障子が問いかける。
「緑谷。俺はどんな状況下であろうと苦しむ友を捨て置く人間になりたくはない。
おまえは爆豪が心配でその体を押して来たのだろう?まだ動けるというのなら、
俺がダークシャドウを引き付け道を開こう」
「待ってよ。施設も火事も、距離がある。そんなの障子くん危なー・・・」
容赦なく襲ってくるダークシャドウに、必死に押さえ込もうともがき苦しむ常闇の姿。
「わかってる。救けるという行為には、リスクが伴う。だからこそ、ヒーローと呼ばれる。
このまま俺と共に常闇を救けるか、爆豪のもとへ駆けつけるか・・・。
おまえはどちらだ?緑谷」
「・・・・・・・ごめん、障子くん・・・」
「?」
クラス一の攻撃型の爆豪と轟が防戦一方の状態で、爆豪のイライラは更に募っている。
「近付けねぇ!!クソ、最大火力でブッ飛ばすしか・・・」
「だめだ!」
「木ィ燃えてもソッコー氷で覆え!!」
「爆発はこっちの視界も塞がれる!」
それに、轟の体にはもう霜も降りはじめているのだ。
「仕留めきれなかったらどうなる!?手数も距離も、向こうに分があんだぞ!」
「いた!氷が見える、交戦中だ!」
どこからかそう声と共に、何かがなぎ倒されていく音もする。
「!?」
「あ・・・?」
轟も爆豪も、そして、ヴィランさえもそちらに顔を向けた。
瞬間、木々を崩壊させていきながらこちらに走ってくるクラスメート。
「爆豪!轟!どちらか頼む・・・光を!!!」
更に大きくなっているダークシャドウが、躊躇もなくヴィランを押し潰す。
唖然とする轟と爆豪。
先ほどの緑谷の答えはこうだった。
『ごめん、障子くん・・・!このままで・・・少しいい?音だけで反応するなら、
複製腕を複製する形で囮をつくって・・・本体に攻撃が向かないよう誘導する!
ただ、誘導先はかっちゃんだ。爆発でダークシャドウを静められる!
どちらか選ばなきゃいけないなら、僕はどっちも救けたい!』
「かっちゃん!」
「障子、緑谷・・・と、常闇!?」
「早く"光"を!!常闇が暴走した!!」
ダークシャドウの耳を塞ぎたくなるような叫び声が響く。
「見境なしかっし、炎を・・・」
「待て、アホ」
今度、止めるのは爆豪のほうで、暴れ狂うダークシャドウに目を奪われる。
「見てえ」
「駄目だ駄目だ許せない。その子たちの断面を見るのは僕だぁあ!!
横取りするなぁああああ!!」
「ねだるな、三下!!」
ヴィランの刃すら利いていないダークシャドウが、ヴィランにピリオドを打つ。
「アアアアア!暴れ足りンゾォ!アアアアア!!!」
もうどちらがヴィランなのか分からない状態だ。これ以上暴れさせるのは危険だ。
二人の光のお陰で、ダークシャドウは元の姿に戻り、常闇の中へと消えていった。
「ハッ、ハッ」
「てめェと俺の相性が残念だぜ・・・」
爆豪がどんな意味を込めていったのか、常闇には分からない。
「・・・?すまん、助かった」
だが、お礼は忘れない。
「俺らが防戦一方だった相手を、一瞬で・・・」
以前、歌恋に言われたことがある。氷と炎使えるなら、最強の"個性"だと。
だが、まだまだ。最強と呼べる"個性"を持つのは、他にもいるのかもしれない。
そう、今回の常闇のように。
障子が常闇に寄り添い、励ます。
「常闇、大丈夫か。よく言う通りにしてくれた」
『常闇くん!!抗わないで、ダークシャドウに身を委ねて!』
「障子・・・悪かった・・・。緑谷も・・・俺の心が未熟だった。複製の腕がトバされた瞬間、
怒りに任せダークシャドウを解き放ってしまった。闇の深さ・・・。
そして、俺の怒りが影響されヤツの狂暴性に拍車をかけた・・・。
結果、収容も出来ぬ程に増長し、障子を傷つけてしまった・・・。
そういうのは後だ・・・と、おまえなら言うだろうな」
「そうだ・・・!」
緑谷が話題を変えようと、話しを切り出す。
「ヴィランの目的の一つが、かっちゃんだって判明したんだ」
「爆豪・・・?」
ダークシャドウに必死だった常闇が、聞き返す。
「命を狙われているのか?何故・・・?」
「わからない・・・!それから、あと一つ・・・」
緑谷は言いずらそうに口をモゴモゴさせてしまう。が、でも言わなくちゃ。
「テレパスでは皆に伝えなかったけど、相澤先生が言ってたんだ。
登坂さんが・・・ヴィランに持っていかれたって・・・!」
「!」
この場にいる、緑谷以外は目を見開く。
「・・・は?」
静まり返ったこの場所に、轟の声が切る。二人の間柄をほんの少しでも理解していたからこそ。
「登坂って・・・歌恋のことだよな?んでだ?あいつ、施設にいたんじゃねぇのか?」
一番、安全な所にいたんじゃないのか。補習組は、そうだっただろ。
「わからない・・・!施設も襲撃を受けたのかもしれない。だから相澤先生も僕らに戦闘の許可を出したんだよ」
(・・・・・・・)
ワナワナ震え出す、轟の手を爆豪は盗み見る。
(登坂の事、名前で呼びやがった・・・)
「それに、僕らがかっちゃんの方に来たのも、もう一つの狙いがかっちゃんなら、
登坂さんを奪ったヴィランと遭遇出来るんじゃないかって思ったんだ」
「ここに来るまでにも、常闇のことで後手になりがちだったが、探索はしていたが」
障子の能力でも見つからない。なら、ヴィランもまた姿を隠してるって事か。
こちらの出方をうかがってるのか、どちらにせよ・・・何をされてるか分からない。
「轟くん!?どこ行くの!?」
「捜す!!」
「待て!一人で闇雲に捜すのは危険だ」
「っ・・・!」
常闇の制止で、足を止める。
「緑谷、考えがあるんだよな?」
障子が言い、頷く緑谷に轟は視線をぶつけた。
「うん・・・聞いて、轟くん。施設が安全か今は正直わかんないけど、
でも現状、プロの二名がいる施設に戻った方がいいと思うんだ」
その説明に、常闇がハッとする。
「なる程。これより我々の任は爆豪を送り届けること・・・か!」
「ただ広場は依然、プッシーキャッツが交戦中。道なりに戻るのはヴィランの目につくし、
タイムロスだ。まっすぐ最短が良い。かっちゃんを預けてから、リスク減らしてか、
登坂さん、見つける!救ける!必ず!その為に、力貸して轟くん。
ヴィランの数が分からない以上、障子くんの索敵能力も、轟くんの氷結も、
更に常闇くんさえよければ、光を備えた無敵のダークシャドウも必要なんだよ」