第六話 職場体験と過去
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一週間ぶりのオールマイトの授業は、遊び要素を含めた救助訓練レースだった。
なんだかんだ、授業は無心になれる。5人1組ずつ、オールマイトを救助するという授業。
「もちろん、建物の被害は最小限にな!」
注意しながらオールマイトが指さすのは爆豪で。
「指さすなよ」
「じゃあ、初めの組は位置について!」
最初の出番は、緑谷、尾白、飯田、芦戸、瀬呂の5人。他は誰が一位になるか予想しながら見学。
建物がごちゃごちゃしてるここは、瀬呂のような"個性"が有利に見えた。
だが、緑谷も新たな動きで建物の上をピョンピョン移動している。
しかし、足の踏み場を誤った緑谷は落下。一位は瀬呂だ。
「緑谷ちゃんのあれ、新しい技ね。負けられないわ」
「あぁ。だが、今度は俺達だ」
「・・・・・・・・」
「・・・・(何故、こうなのっ・・・)」
「負けられないな、俺も」
二組目、蛙吹、常闇、轟、歌恋、障子。
オールマイトの合図と共に、5人一斉に走り出す。このチームも、機動力に関しては問題ない。
(・・・・・下手に目立ちたくなかった・・・)
結果、歌恋は5位に甘じんだ。
「登坂くんらしくなかったな、体調悪かったかな?」
「いえ、オールマイト・・・ごめんなさい・・・」
「うむ・・・まぁ、常に授業も危険はつきもの。集中力は欠かさないでくれよ。ケガの原因に繋がるからな」
「はい・・・」
心配そうに、蛙吹が寄り添ってくれる。
「大丈夫?いつもの本調子じゃなかったわね」
「うん・・・まぁ、いろいろあって・・・」
どうしよう、どうしようと頭の中もぐちゃぐちゃで、チラッと轟をみると、
彼は彼で何か言いたそうにしていたが、常闇と障子と、皆の方へ戻っていた。
(轟くん・・・なんて話せばいいのかな・・・)
怖くて、でも、このままも嫌で・・・。
男子更衣室。
「久々の授業、汗かいちゃった」
汗を拭いながら青山が言う。
「俺、機動力課題だわ」
と、切島。
「情報収集で補うしかないな」
常闇の案に、上鳴がくいつく。
「それだと後手にまわんだよな。そっか、だから登坂も出遅れた、とかかな」
「それはなくね?アイツ、桜吹雪ので情報集めれるし」
「確かに。そうなると、やっぱ常闇とか瀬呂が羨ましいよな」
「・・・・・・・・・」
原因はなんであれ、最下位だったのは変わらない。一緒にレースしたからわかる。
本気じゃなかったことくらい。
「おい、緑谷!!やべェ事が発覚した!!こっちゃ来い!!」
「ん?」
一生懸命呼ぶ峰田の声に、緑谷が振り向く。峰田の後ろの壁に穴があいている。
「見ろよ、この穴。ショーシャンク!!恐らく、諸先輩方が頑張ったんだろう!!
隣は、そうさ!わかるだろう!?女子更衣室!!」
ハッと、男子は目を見開く。
「・・・女子更衣室・・・バカバカしい」
「ふふ~ん?おめぇもホントは気になるんじゃね?」
席の近い切島にからかわれるが、無言のまま、轟は右手の氷を出した。
「ひっ!」
「峰田くん、やめたまえ!!ノゾキは立派なハンザイ行為だ!」
「飯田の言う通りだ(他の奴と一緒にされてたまるか)」
「オイラのリトルミネタは、もう立派なバンザイ行為なんだよォオ!!
八百万のヤオヨロッパイ!!芦戸の腰つき!!葉隠の浮かぶ下着!!
麗日のうららかボディに、登坂のまだ秘められた体型!蛙吹の意外オッパァアァ」
叫ぶ峰田の目に、除き穴から耳郎のイヤホンが直撃し攻撃される。
「あああああ!!!」
それを見て、緑谷は震える。
「耳郎さんのイヤホンジャック・・・正確さと不意打ちの凶悪コンボが強み!!」
「もー、最悪・・・」
あんな奴の隣の席だということに、未だショックを隠せない歌恋。
「ありがと、響香ちゃん」
お礼を言う蛙吹に、八百万が言う。
「何て卑劣・・・!!すぐにふさいでしまいましょう!!」
(ウチだけ何も言われてなかったな)
耳郎の心の嘆きに、誰も気付かなかったとか。
(ただ・・・峰田くんもバカだよね、ひっそりやり過ごせばいいのに)
まだまだ、それは難しいのか。
放課後、先に教室を出て行く轟を追いかける歌恋。
「ねぇ、あの二人怪しいよね、やっぱ!」
「体育祭の時もそうだったけどさ、確かめる?」
「おー!?いいね!」
ノリノリで教室を出て行った歌恋の話をする葉隠と芦戸に、耳郎が指摘した。
「やめなって。それ、歌恋が一番嫌いなパターンなんだから」
「そうなの?なんで?別に可笑しい組み合わせじゃなくない?」
「ウチがこんな事話していいのかわかんないけど・・・歌恋も、中学でいろいろあったみたいだからさ」
「・・・でも、気にならないってのは少し、嘘になりますけど・・・」
「ヤオモモ・・・」
「なんでしょう?」
「いや、なんもない」
轟を追いかけた歌恋が声を出す。
「轟くん、待って!」
「・・・・・・・・」
息を荒くして追いかけてきた歌恋に、振り返る。
「ぜんぜん、話せるタイミングなくて、ごめんね・・・」
「いや、別に・・・」
「・・・今からでも、話していい・・・?」
「聞いて、いいのか?」
「うん」
人通りの少ない、校舎の裏側。あまり人の多い所は嫌だったから。
改めて二人で向き合うのは緊張する。教室でも、席は前後だから歌恋が後ろを見なければ顔は見ない。
「何て言えばいいのか、その・・・わからないけど・・・最初に、これは言わせて・・・」
「?」
色んな人に言われて、考えて悩んで、やっぱりこの気持ちは変わらなくて。
「私・・・轟くんが好きです・・・」
「っ・・・!」
「私が・・・轟くんを嫌いになれないかもしれない・・・。けど、まだ名前は呼べない・・・」
轟は驚きながらも、口を挟まず震えて話す歌恋の言葉を聞いてくれている。
「中学の時、気の合う男子がいたの・・・。小学生からの癖で、その男子とも普通に名前で呼んでた。
けど、周りの女子はもう大人びた子もたくさんいて、私はまだ恋愛観なんて疎くて、
一緒にいた男子を好きになった他の女の子がいて、その女の子に勘違いされて。
それから、男子の名前を呼ぶのが怖くなった。中学はそれが嫌で、一人で行動することが多くなって。
雄英に入学したのは、自分の居場所が欲しくて。"個性"ある人は、外見でも左右されることあるから。
1年A組はやっぱりみんな個性的だった。けど、みんな優しくて話すのが楽しくて。
今のクラスメートとの関係も壊したくなくて・・・だから・・・今はまだ、ごめんなさい。
名前を呼べる日が来るかはわからない。だから、この気持ちはしまっておこうと思ってます」
轟の、呆れたようなため息が聞こえる。
「・・・そんな、理由か・・・」
「だから、言ったでしょ・・・?」
ちっぽけな理由だって。
「止めてごめんね・・・帰るね・・・っ!?」
後退りながらさっさとこの場を離れようとしたが、轟がそれをさせてくれなかった。
「聞かねぇのか、俺の話」
「っ・・・」
聞いたら、今より関係がもっと悪化しそうで、嫌な方向しか頭になくて。
「俺も好きだよ、登坂の事」
掴まれた手を引き寄せられ、顔が近くなる。何も言えず口を閉じていると、そこに柔らかな感触が一瞬あった。
何故だかわからないけど、勝手に涙がたまる。
「勝手にアンタの頭ん中で構造されて、逃げられて。たまったもんじゃねぇ。
翻弄されっぱなしのこっちの身にもなれっての。名前のことはもうどうでもいいし、
呼べるような時期がきたら、そうすりゃいい。だから勝手に気持ちはしまうなよ」
「うっ・・・っ・・・」
優しい。皆優しくて、本当にこの学校に来てよかったと。
ありがとう。
なんだかんだ、授業は無心になれる。5人1組ずつ、オールマイトを救助するという授業。
「もちろん、建物の被害は最小限にな!」
注意しながらオールマイトが指さすのは爆豪で。
「指さすなよ」
「じゃあ、初めの組は位置について!」
最初の出番は、緑谷、尾白、飯田、芦戸、瀬呂の5人。他は誰が一位になるか予想しながら見学。
建物がごちゃごちゃしてるここは、瀬呂のような"個性"が有利に見えた。
だが、緑谷も新たな動きで建物の上をピョンピョン移動している。
しかし、足の踏み場を誤った緑谷は落下。一位は瀬呂だ。
「緑谷ちゃんのあれ、新しい技ね。負けられないわ」
「あぁ。だが、今度は俺達だ」
「・・・・・・・・」
「・・・・(何故、こうなのっ・・・)」
「負けられないな、俺も」
二組目、蛙吹、常闇、轟、歌恋、障子。
オールマイトの合図と共に、5人一斉に走り出す。このチームも、機動力に関しては問題ない。
(・・・・・下手に目立ちたくなかった・・・)
結果、歌恋は5位に甘じんだ。
「登坂くんらしくなかったな、体調悪かったかな?」
「いえ、オールマイト・・・ごめんなさい・・・」
「うむ・・・まぁ、常に授業も危険はつきもの。集中力は欠かさないでくれよ。ケガの原因に繋がるからな」
「はい・・・」
心配そうに、蛙吹が寄り添ってくれる。
「大丈夫?いつもの本調子じゃなかったわね」
「うん・・・まぁ、いろいろあって・・・」
どうしよう、どうしようと頭の中もぐちゃぐちゃで、チラッと轟をみると、
彼は彼で何か言いたそうにしていたが、常闇と障子と、皆の方へ戻っていた。
(轟くん・・・なんて話せばいいのかな・・・)
怖くて、でも、このままも嫌で・・・。
男子更衣室。
「久々の授業、汗かいちゃった」
汗を拭いながら青山が言う。
「俺、機動力課題だわ」
と、切島。
「情報収集で補うしかないな」
常闇の案に、上鳴がくいつく。
「それだと後手にまわんだよな。そっか、だから登坂も出遅れた、とかかな」
「それはなくね?アイツ、桜吹雪ので情報集めれるし」
「確かに。そうなると、やっぱ常闇とか瀬呂が羨ましいよな」
「・・・・・・・・・」
原因はなんであれ、最下位だったのは変わらない。一緒にレースしたからわかる。
本気じゃなかったことくらい。
「おい、緑谷!!やべェ事が発覚した!!こっちゃ来い!!」
「ん?」
一生懸命呼ぶ峰田の声に、緑谷が振り向く。峰田の後ろの壁に穴があいている。
「見ろよ、この穴。ショーシャンク!!恐らく、諸先輩方が頑張ったんだろう!!
隣は、そうさ!わかるだろう!?女子更衣室!!」
ハッと、男子は目を見開く。
「・・・女子更衣室・・・バカバカしい」
「ふふ~ん?おめぇもホントは気になるんじゃね?」
席の近い切島にからかわれるが、無言のまま、轟は右手の氷を出した。
「ひっ!」
「峰田くん、やめたまえ!!ノゾキは立派なハンザイ行為だ!」
「飯田の言う通りだ(他の奴と一緒にされてたまるか)」
「オイラのリトルミネタは、もう立派なバンザイ行為なんだよォオ!!
八百万のヤオヨロッパイ!!芦戸の腰つき!!葉隠の浮かぶ下着!!
麗日のうららかボディに、登坂のまだ秘められた体型!蛙吹の意外オッパァアァ」
叫ぶ峰田の目に、除き穴から耳郎のイヤホンが直撃し攻撃される。
「あああああ!!!」
それを見て、緑谷は震える。
「耳郎さんのイヤホンジャック・・・正確さと不意打ちの凶悪コンボが強み!!」
「もー、最悪・・・」
あんな奴の隣の席だということに、未だショックを隠せない歌恋。
「ありがと、響香ちゃん」
お礼を言う蛙吹に、八百万が言う。
「何て卑劣・・・!!すぐにふさいでしまいましょう!!」
(ウチだけ何も言われてなかったな)
耳郎の心の嘆きに、誰も気付かなかったとか。
(ただ・・・峰田くんもバカだよね、ひっそりやり過ごせばいいのに)
まだまだ、それは難しいのか。
放課後、先に教室を出て行く轟を追いかける歌恋。
「ねぇ、あの二人怪しいよね、やっぱ!」
「体育祭の時もそうだったけどさ、確かめる?」
「おー!?いいね!」
ノリノリで教室を出て行った歌恋の話をする葉隠と芦戸に、耳郎が指摘した。
「やめなって。それ、歌恋が一番嫌いなパターンなんだから」
「そうなの?なんで?別に可笑しい組み合わせじゃなくない?」
「ウチがこんな事話していいのかわかんないけど・・・歌恋も、中学でいろいろあったみたいだからさ」
「・・・でも、気にならないってのは少し、嘘になりますけど・・・」
「ヤオモモ・・・」
「なんでしょう?」
「いや、なんもない」
轟を追いかけた歌恋が声を出す。
「轟くん、待って!」
「・・・・・・・・」
息を荒くして追いかけてきた歌恋に、振り返る。
「ぜんぜん、話せるタイミングなくて、ごめんね・・・」
「いや、別に・・・」
「・・・今からでも、話していい・・・?」
「聞いて、いいのか?」
「うん」
人通りの少ない、校舎の裏側。あまり人の多い所は嫌だったから。
改めて二人で向き合うのは緊張する。教室でも、席は前後だから歌恋が後ろを見なければ顔は見ない。
「何て言えばいいのか、その・・・わからないけど・・・最初に、これは言わせて・・・」
「?」
色んな人に言われて、考えて悩んで、やっぱりこの気持ちは変わらなくて。
「私・・・轟くんが好きです・・・」
「っ・・・!」
「私が・・・轟くんを嫌いになれないかもしれない・・・。けど、まだ名前は呼べない・・・」
轟は驚きながらも、口を挟まず震えて話す歌恋の言葉を聞いてくれている。
「中学の時、気の合う男子がいたの・・・。小学生からの癖で、その男子とも普通に名前で呼んでた。
けど、周りの女子はもう大人びた子もたくさんいて、私はまだ恋愛観なんて疎くて、
一緒にいた男子を好きになった他の女の子がいて、その女の子に勘違いされて。
それから、男子の名前を呼ぶのが怖くなった。中学はそれが嫌で、一人で行動することが多くなって。
雄英に入学したのは、自分の居場所が欲しくて。"個性"ある人は、外見でも左右されることあるから。
1年A組はやっぱりみんな個性的だった。けど、みんな優しくて話すのが楽しくて。
今のクラスメートとの関係も壊したくなくて・・・だから・・・今はまだ、ごめんなさい。
名前を呼べる日が来るかはわからない。だから、この気持ちはしまっておこうと思ってます」
轟の、呆れたようなため息が聞こえる。
「・・・そんな、理由か・・・」
「だから、言ったでしょ・・・?」
ちっぽけな理由だって。
「止めてごめんね・・・帰るね・・・っ!?」
後退りながらさっさとこの場を離れようとしたが、轟がそれをさせてくれなかった。
「聞かねぇのか、俺の話」
「っ・・・」
聞いたら、今より関係がもっと悪化しそうで、嫌な方向しか頭になくて。
「俺も好きだよ、登坂の事」
掴まれた手を引き寄せられ、顔が近くなる。何も言えず口を閉じていると、そこに柔らかな感触が一瞬あった。
何故だかわからないけど、勝手に涙がたまる。
「勝手にアンタの頭ん中で構造されて、逃げられて。たまったもんじゃねぇ。
翻弄されっぱなしのこっちの身にもなれっての。名前のことはもうどうでもいいし、
呼べるような時期がきたら、そうすりゃいい。だから勝手に気持ちはしまうなよ」
「うっ・・・っ・・・」
優しい。皆優しくて、本当にこの学校に来てよかったと。
ありがとう。