第六話 職場体験と過去
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「・・・なに、これ?位置情報だけって、おかしくない?」
「クラスのラインに一斉送信・・・」
既読した他の面々が返事を送っているが、緑谷からの返事がない。
「デステゴロさん!」
「ブワッ!」
休憩中、飲んでいたお茶を吐き出すデステゴロ。
「ビックリさせんな!なんだ!」
「もしかしたら、これ!クラスメートからなんですが、保須市って、いま話題になってるヒーロー殺しの!
(飯田くんが行ってる職場体験の・・・っ、飯田くんはっ)」
「・・・オレたちはいかない」
「何でですか!?」
「要請がないからだ。オレたちの仕事は、市民の平和。まずは手の届く場所から救うんだ」
そういってデステゴロが見せてきた書類は、人質を取られた立てこもり事件。
「歌恋、とりあえず落ち着こう・・・?」
緑谷からの返事がないことへの不安。保須市、飯田のお兄さん絡みのヒーロー殺し事件。
嫌な妄想ばかりしてしまうが、皆プロヒーローと一緒に行動してるハズなんだ。
一人焦って飛び出したって、ヒーローの資格を持たない自分たちには何も出来ない。
「・・・すみませんでした・・・」
「クラスメートが心配なのは分かる。だが、オレたちはオレたちの仕事をやり遂げなきゃならん。
事件の現場、こちらも行くぞ。力を貸してくれ、お二人さん」
「「はいっ」」
警察の方と一緒に組み、犯人が立てこもってる見取り図を一緒に見る。
「要は現場に向かった方が早いな。イヤホン=ジャックの"個性"で、人質の正確な人数割り出せるだろう」
「ウチ、やります!」
「"キルシュ"は人質確保の準備!」
「了解ですっ」
"個性"の攻撃は雄英生はまだ出来ない。だから、相手を傷付けないような出番をデステゴロはくれた。
自分たちが出きる事。期待してくれてるからこそ、しっかりやり遂げなければ。
デステゴロが他に指示している間、耳郎はイヤホンを壁にくっつけている。
「どう・・・?私も捜そうか?」
歌恋が耳郎に確認する。
「大丈夫、なんとか聞き取れたよ。デステゴロさん」
「分かったか?人質の人数は?」
「気配からして二人・・・。犯人は複数、三人から四人うろうろしてます」
「よし。突撃する、キルシュ準備はいいか」
「はい、大丈夫です」
ドアを突き破り敵に向かうデステゴロに、歌恋は縛られて動けない人質二人を、
それぞれ両方の幹で一人ずつ目標にする。
「うわっ」
「ひっ」
さらに巻き付けられた身体に、人質の顔が青白くなる。いけない、恐怖を与えてしまっている。
「大丈夫です!味方です!動きます!」
「「うわぁー!」」
幹を縮ませ、自分たちに引き寄せる。
「ふー」
力はある程度必要だが、これもデステゴロが教えてくれた筋肉の使い方が様になってきていた。
「ひ、ヒーロー・・・!?」
息つく歌恋の隣で、耳郎が拘束を切りながら言う。
「まだ見習いですけどね」
「逃がすかぁ!」
「「!!」」
襲ってきそうだった一人の犯人を、デステゴロが警察の人達と協力して捕らえる。
「先に行ってろ、二人とも!」
「はいっ」
「こっちです、動けますか!?」
「ああっ」
「ありがとう!ヒーロー!」
その言葉が嬉しくて、頬を歪ませてしまう。一人じゃないから、仲間がいるから自分も安心出来るんだ。
無事、一つの事件を解決出来たことが本当に嬉しい。
「やっぱいいな、ヒーローってさ」
あれ以来、耳郎も嬉しそうでニヤニヤが止まらないらしい。
「早く免許欲しいね。攻撃出きるようになればもっともっと活躍できるし!」
「だね」
「響香ちゃん、ありがとう」
「急にどした?」
「うん、こんな私と一緒に同じ職場体験選んでくれて」
「相澤先生に提出した時、「自分で選べ言ったよな?」なんて言われたけど。
二人だっていいじゃん。こうやって話せるしさ」
「響香ちゃん」
「ん?」
「大好きっ」
嬉しくて、これしか言葉見つからなくて。
「うわ、いいよっ張り付かないでってば」
耳郎の照れながらの反論は、ただただ可愛いだけである。
いやいやしながらも受け止めてくれる彼女は、優しい。
「そういえば、緑谷くんから返事来てたね」
やはりヒーロー殺しと戦ったという緑谷、飯田からの返信。
「アイツらも、よく生きてられたよな。あとでニュース見よう」
「たぶん、いまの話題はそれだよね」
スマホでニュースを見ても、どこもかしこもヒーロー殺しステインを倒したNo.2ヒーローエンデヴァーの名もある。
どうやら緑谷達の活躍は、合理的に世間に発表されていないのだろう。
「轟は?」
「ふへっィ!?」
ずっと返信を気にしてる一人の名を上げられ、変に驚いてしまった。
「ごめん、だって画面見えるんだもん」
「いやぁ、隠してるつもりないし、アハハ」
クラスでの返信もただ一言しかなく、だからって個人の間で連絡していなかった。
「何言えばいいのかわかんなくって、緑谷くんがくれる状況で把握出来てるし、わざわざしないよっ」
「そのわりにはちょくちょく見てるじゃん?」
「っ~!!」
顔を真っ赤にし、何も言えなくなる歌恋。耳郎はなんだかんだ、痛い所をさらっと突いてくる。
「前にウチ、首突っ込まないっていったけど、歌恋さ、ウチと話す時みたいに素直になればいいんじゃない?
気になって首突っ込むのに、思わせ振りさせるのも相手に失礼だよ」
「・・・・・・・響香ちゃんは・・・?上鳴くんの事・・・」
「あぁ、あれ?アイツとそんな気サラサラないし。イジルのが楽しいからって、
ウチの事はいいの。大事なのは自分の気持ちでしょうよ。クラスで話すことじゃないよ、あんなん」
「き、聞こえてた・・・?」
「『話さねぇ方がいいか』だろ。聞こえたもなにも、聞こえちゃうよ。
まぁ、そこまでアイツに言わせちゃう歌恋がどう接してたかなんて知らないけど。
ヤオモモがいつも言ってるよ。「あの二人、何なのですのっ」って。
轟の事、同じ推薦で入学してるから尊敬してるみたいだし」
「・・・そっか・・・(やっぱり私は・・・ダメだな・・・)」
こうした話しを、誰に相談していいのかわからなくて。
親にも先生にも言えなくて。一人で、自分の中で解決して。
でも、今の仲間の目からもそうに見てもらえていて、気にさせて。
「ねぇ、響香ちゃん・・・」
耳郎は返事もなく、顔を向ける。
「私・・・中学の時ね・・・普通に仲の良かった男子がいたの」
何を言う訳もなく、耳郎は聞いてくれている。
「その頃恋愛観なんて私疎くて、普通に男子も名前で呼んでた。くん呼びだけど、小学生の名残もあって。
けど、私じゃなくて違う女の子が、その男子の事を好きだったんだってさ。
そんなん、話してくれなきゃ知らない事なのに、私が仲良かったせいか勘違いされて。
高校決める時、雄英だって言ったら中学校のクラスメートとはそれっきり。
それほどプロヒーローに向かない普通の学生が集まってた普通の中学校だったし、
うちの地元そもそもプロヒーローの事務所がない地域だったから、そんな概念まったくなかっんだよね。
親も危険だからって、最初反対してた。でも、どうしても自分の場所を見つけたくて、
"個性"おもいっきり使える雄英に入って、見返してやろうと思ってたんだけど」
「歌恋が雄英に入ったのは、自分の居場所見つける為・・・?」
歌恋はうつむき気味に頷く。
「轟くんの事、普通にカッコいいって思ってるのは本当。それ、勢い余って本人に言ってるし」
「おぉ、で?」
「・・・色々、お家の事情知ってしまい」
「緑谷も色々言ってたな、戦ってたとき」
「・・・こんな話で、楽しい?」
「いいから、原因はなんなの?」
「・・・・・・と、轟くんが・・・名前で呼んで欲しいって・・・」
「おーっ」
だんだん恥ずかしさと、耳郎が興味津々で促すものだからどうしてよいやら悩む。
「で?なんて返事したの?」
「・・・呼べないって、言った」
「はぁ!?」
「轟くんみたいなイケメンは、ヤオモモみたいな美女がお似合いだよって」
「・・・・・・」
耳郎は呆れているのか、返す言葉なく右手で顔を覆っている。
「だって、また男の子の名前普通に呼んでたら、私居場所なくなっちゃう」
「・・・・・・・」
「1年A組は皆気さくで優しくて、誰隔てなく話してくれる。そんな関係がいまは居心地がいいの」
「クラスのラインに一斉送信・・・」
既読した他の面々が返事を送っているが、緑谷からの返事がない。
「デステゴロさん!」
「ブワッ!」
休憩中、飲んでいたお茶を吐き出すデステゴロ。
「ビックリさせんな!なんだ!」
「もしかしたら、これ!クラスメートからなんですが、保須市って、いま話題になってるヒーロー殺しの!
(飯田くんが行ってる職場体験の・・・っ、飯田くんはっ)」
「・・・オレたちはいかない」
「何でですか!?」
「要請がないからだ。オレたちの仕事は、市民の平和。まずは手の届く場所から救うんだ」
そういってデステゴロが見せてきた書類は、人質を取られた立てこもり事件。
「歌恋、とりあえず落ち着こう・・・?」
緑谷からの返事がないことへの不安。保須市、飯田のお兄さん絡みのヒーロー殺し事件。
嫌な妄想ばかりしてしまうが、皆プロヒーローと一緒に行動してるハズなんだ。
一人焦って飛び出したって、ヒーローの資格を持たない自分たちには何も出来ない。
「・・・すみませんでした・・・」
「クラスメートが心配なのは分かる。だが、オレたちはオレたちの仕事をやり遂げなきゃならん。
事件の現場、こちらも行くぞ。力を貸してくれ、お二人さん」
「「はいっ」」
警察の方と一緒に組み、犯人が立てこもってる見取り図を一緒に見る。
「要は現場に向かった方が早いな。イヤホン=ジャックの"個性"で、人質の正確な人数割り出せるだろう」
「ウチ、やります!」
「"キルシュ"は人質確保の準備!」
「了解ですっ」
"個性"の攻撃は雄英生はまだ出来ない。だから、相手を傷付けないような出番をデステゴロはくれた。
自分たちが出きる事。期待してくれてるからこそ、しっかりやり遂げなければ。
デステゴロが他に指示している間、耳郎はイヤホンを壁にくっつけている。
「どう・・・?私も捜そうか?」
歌恋が耳郎に確認する。
「大丈夫、なんとか聞き取れたよ。デステゴロさん」
「分かったか?人質の人数は?」
「気配からして二人・・・。犯人は複数、三人から四人うろうろしてます」
「よし。突撃する、キルシュ準備はいいか」
「はい、大丈夫です」
ドアを突き破り敵に向かうデステゴロに、歌恋は縛られて動けない人質二人を、
それぞれ両方の幹で一人ずつ目標にする。
「うわっ」
「ひっ」
さらに巻き付けられた身体に、人質の顔が青白くなる。いけない、恐怖を与えてしまっている。
「大丈夫です!味方です!動きます!」
「「うわぁー!」」
幹を縮ませ、自分たちに引き寄せる。
「ふー」
力はある程度必要だが、これもデステゴロが教えてくれた筋肉の使い方が様になってきていた。
「ひ、ヒーロー・・・!?」
息つく歌恋の隣で、耳郎が拘束を切りながら言う。
「まだ見習いですけどね」
「逃がすかぁ!」
「「!!」」
襲ってきそうだった一人の犯人を、デステゴロが警察の人達と協力して捕らえる。
「先に行ってろ、二人とも!」
「はいっ」
「こっちです、動けますか!?」
「ああっ」
「ありがとう!ヒーロー!」
その言葉が嬉しくて、頬を歪ませてしまう。一人じゃないから、仲間がいるから自分も安心出来るんだ。
無事、一つの事件を解決出来たことが本当に嬉しい。
「やっぱいいな、ヒーローってさ」
あれ以来、耳郎も嬉しそうでニヤニヤが止まらないらしい。
「早く免許欲しいね。攻撃出きるようになればもっともっと活躍できるし!」
「だね」
「響香ちゃん、ありがとう」
「急にどした?」
「うん、こんな私と一緒に同じ職場体験選んでくれて」
「相澤先生に提出した時、「自分で選べ言ったよな?」なんて言われたけど。
二人だっていいじゃん。こうやって話せるしさ」
「響香ちゃん」
「ん?」
「大好きっ」
嬉しくて、これしか言葉見つからなくて。
「うわ、いいよっ張り付かないでってば」
耳郎の照れながらの反論は、ただただ可愛いだけである。
いやいやしながらも受け止めてくれる彼女は、優しい。
「そういえば、緑谷くんから返事来てたね」
やはりヒーロー殺しと戦ったという緑谷、飯田からの返信。
「アイツらも、よく生きてられたよな。あとでニュース見よう」
「たぶん、いまの話題はそれだよね」
スマホでニュースを見ても、どこもかしこもヒーロー殺しステインを倒したNo.2ヒーローエンデヴァーの名もある。
どうやら緑谷達の活躍は、合理的に世間に発表されていないのだろう。
「轟は?」
「ふへっィ!?」
ずっと返信を気にしてる一人の名を上げられ、変に驚いてしまった。
「ごめん、だって画面見えるんだもん」
「いやぁ、隠してるつもりないし、アハハ」
クラスでの返信もただ一言しかなく、だからって個人の間で連絡していなかった。
「何言えばいいのかわかんなくって、緑谷くんがくれる状況で把握出来てるし、わざわざしないよっ」
「そのわりにはちょくちょく見てるじゃん?」
「っ~!!」
顔を真っ赤にし、何も言えなくなる歌恋。耳郎はなんだかんだ、痛い所をさらっと突いてくる。
「前にウチ、首突っ込まないっていったけど、歌恋さ、ウチと話す時みたいに素直になればいいんじゃない?
気になって首突っ込むのに、思わせ振りさせるのも相手に失礼だよ」
「・・・・・・・響香ちゃんは・・・?上鳴くんの事・・・」
「あぁ、あれ?アイツとそんな気サラサラないし。イジルのが楽しいからって、
ウチの事はいいの。大事なのは自分の気持ちでしょうよ。クラスで話すことじゃないよ、あんなん」
「き、聞こえてた・・・?」
「『話さねぇ方がいいか』だろ。聞こえたもなにも、聞こえちゃうよ。
まぁ、そこまでアイツに言わせちゃう歌恋がどう接してたかなんて知らないけど。
ヤオモモがいつも言ってるよ。「あの二人、何なのですのっ」って。
轟の事、同じ推薦で入学してるから尊敬してるみたいだし」
「・・・そっか・・・(やっぱり私は・・・ダメだな・・・)」
こうした話しを、誰に相談していいのかわからなくて。
親にも先生にも言えなくて。一人で、自分の中で解決して。
でも、今の仲間の目からもそうに見てもらえていて、気にさせて。
「ねぇ、響香ちゃん・・・」
耳郎は返事もなく、顔を向ける。
「私・・・中学の時ね・・・普通に仲の良かった男子がいたの」
何を言う訳もなく、耳郎は聞いてくれている。
「その頃恋愛観なんて私疎くて、普通に男子も名前で呼んでた。くん呼びだけど、小学生の名残もあって。
けど、私じゃなくて違う女の子が、その男子の事を好きだったんだってさ。
そんなん、話してくれなきゃ知らない事なのに、私が仲良かったせいか勘違いされて。
高校決める時、雄英だって言ったら中学校のクラスメートとはそれっきり。
それほどプロヒーローに向かない普通の学生が集まってた普通の中学校だったし、
うちの地元そもそもプロヒーローの事務所がない地域だったから、そんな概念まったくなかっんだよね。
親も危険だからって、最初反対してた。でも、どうしても自分の場所を見つけたくて、
"個性"おもいっきり使える雄英に入って、見返してやろうと思ってたんだけど」
「歌恋が雄英に入ったのは、自分の居場所見つける為・・・?」
歌恋はうつむき気味に頷く。
「轟くんの事、普通にカッコいいって思ってるのは本当。それ、勢い余って本人に言ってるし」
「おぉ、で?」
「・・・色々、お家の事情知ってしまい」
「緑谷も色々言ってたな、戦ってたとき」
「・・・こんな話で、楽しい?」
「いいから、原因はなんなの?」
「・・・・・・と、轟くんが・・・名前で呼んで欲しいって・・・」
「おーっ」
だんだん恥ずかしさと、耳郎が興味津々で促すものだからどうしてよいやら悩む。
「で?なんて返事したの?」
「・・・呼べないって、言った」
「はぁ!?」
「轟くんみたいなイケメンは、ヤオモモみたいな美女がお似合いだよって」
「・・・・・・」
耳郎は呆れているのか、返す言葉なく右手で顔を覆っている。
「だって、また男の子の名前普通に呼んでたら、私居場所なくなっちゃう」
「・・・・・・・」
「1年A組は皆気さくで優しくて、誰隔てなく話してくれる。そんな関係がいまは居心地がいいの」