第五話 それぞれの気持ち
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次の日、学校行く途中の電車でいろんな人に声をかけられた。
「体育祭凄かったぞー」とか。
「アンタ、"個性"楽しそうに使ってたよなー」とか。
でも、歌恋の地域はそんな高く評価してくれる人ばかりじゃない。
「たかだかヒーロー目指せるような"個性"だっただけでしょ」
「目立ちたがり?」
「女なんて、チヤホヤされたいだけでしょ」って。
「はぁ・・・」
雄英高校の最寄り駅でため息をつく。
(朝から疲れた・・・凄いよ、雄英。それに、休めた気がしなかった・・・)
轟とのこと・・・。なんで、いつも上手くいかないのか。それは、自分のせいなんだけど・・・。
「はぁ・・・」
今日の天気は雨。なんだか憂鬱だ。
「あれ、登坂さん!?」
「ん?緑谷くん!」
まさか駅で誰かと会うなんて奇遇だ。
「この時間に登坂さんいるなんて珍しいね」
「今日、一本遅いのできたから。緑谷くん、いつもこの時間?」
「うん、だいたい」
行き先は同ため、自然と同じ方向に足を進める。
「今日、凄く声かけられなかった?一日で、凄い注目の的だよね」
「確かに。でも・・・良い言葉ばかりじゃなかったなぁ」
「へ?」
「ん、うちの地域、プロヒーローの事務所ないからさ」
なんで、緑谷にはこうもスラスラ話せてしまったのか不思議だ。
「都市部からちょっと外れてて、ヒーロー目指したくても"個性"で不向きあるでしょ。
そんな不向きな"個性"が集まった地域だから、みんな何かしら恨みつらみあるわけで・・・。
若い子も、そんないない地域の集まりって感じ?」
「そうなんだ・・・」
「あ、ごめんね!暗い話!」
「そ、そんなことないよ!」
「緑谷くん、関係ないのに。何で話ちゃったんだろ・・・」
「?」
「何、呑気に歩いているんだ!!」
後ろから声がし、二人してビクッと震える。
「遅刻だぞ!おはよう、緑谷くん!!登坂くん!!」
「い、飯田くん!?」
「カ、カカカッパに長靴!!遅刻って、まだ予鈴5分前だよ?」
「雄英生たるもの、10分前行動が基本だろう!!」
「・・・・・・・あ・・・・・」
下駄箱で、歌恋は緑谷の裾を引っ張り顔を合わせた。
「お兄さんの事・・・」
「飯田くん・・・」
「兄の件なら心配ご無用だ。要らぬ心労をかけてすまなかったな」
「「・・・・・」」
この時、何も声をかけてあげられなかった。
A組のクラスの皆も、やはり話題は体育祭の後の事で、登校中いろんな人に声かけられたらしい。
(尾白くんの尻尾、犬みたいにブンブン振っててカワイイ)
なんて思ってしまう歌恋。
「歌恋ー、おはよう!」
「遅かったですわね、珍しく」
「おはよー、響香ちゃん、ヤオモモ!」
そう、今日わざわざ遅く登校した理由は、やっぱり後ろの席の彼が気になったから。
(・・・コイツらと俺の差は、なんなんだ・・・)
ジィーと見てくる轟の視線が痛い。一応、朝の挨拶だけはしてもいいか、と。
「お、おはよう・・・」
「あぁ・・・」
「歌恋ちゃん、髪の毛の長さ戻っとる!」
髪の毛の長さを気にしてくれていた麗日が、声を弾ませていた。
「ね?言ったでしょ、3日あれば戻るんだ」
「でも、改めて考えると不思議だよね」
「何が?」
「やっぱり、美容院お金かけてるん?」
そんなにすぐに伸びてしまうのも考えモノだと思ったのだろう。
「まぁ、お母さんに切ってもらったり、自分で少し調節したり・・・かな」
「うわぁ、大変そう。いっそのことウチみたいに短くしたら?」
いつもの辛口コメントの耳郎。てか、親とコメントが一緒だ。
「それはそれで技が使えません」
女の子同士でする会話が、今はとても楽しい。
轟が何も、悪いわけじゃない。普通に"焦凍"と呼んであげても構わない。
二人の時に、名前でって。でも、それは少し轟と距離が縮まるという行為。
間違って口がすべって、皆がいるところで名前を呼んでしまったら・・・。
男の子の名前を普通に呼ぶのが、女子の態度も目付きも変わるのを知ってるから。
今のこの皆との関係を壊したくないから。だから・・・。
緑谷みたいに、愛称で「デクくん」って呼ぶのはかわいらしいし、
仮に爆豪を「かっちゃん」って呼んでも、勝己って呼んでるわけじゃないからセーフな気もするけど。
「あぁ!?」
ガン飛ばす彼を「かっちゃん」なんて呼ぶ勇気は、やはりない。
幼馴染みな緑谷は簡単に呼んでるので、やはり幼馴染みなだけあるな、と思う。
「おはよう」
賑わっていた教室が、相澤先生の登場で皆一斉に自分の席に戻り静かになる。
「「「おはようございます!!」」」
「相澤先生、包帯取れたのね。良かったわ」
蛙吹が気付き、声をかける。確かに、もうミイラマンではなくなっていた。
「婆さんの処置が大げさなんだよ。んなもんより、今日の"ヒーロー情報学"、ちょっと特別だぞ。
「コードネーム」ヒーロー名の考案だ」
「「「胸ふくらむヤツきたぁああああ!!」」」
「と、いうのも」
騒がしくなりかけた生徒に、相澤先生のオーラで一瞬にして静かに説明を聞く。
「先日話した「プロからのドラフト指名」に関係してくる。指名が本格化するのは、
経験を積み、即戦力として判断される2、3年から・・・。つまり今回来た"指名"は、
将来性に対する"興味"に近い。卒業までにその興味が削がれたら、
一方的にキャンセルなんてことはよくある」
「頂いた指名が、そんまま自身へのハードルになるんですね!」
葉隠の言葉に、相澤先生が頷く。
「そ。で、その指名の集計結果がこうだ。例年はもっとバラけるんだが、二人に注目が偏った」
一位の轟が四千ちょっと、二位の爆豪が三千五百ちょっと。三位の常闇で360だ。
(こんなに差つくんだ・・・)
でも、指名がない人よりはある方がやっぱり嬉しくて。
「と、常闇くん・・・私の名前だよね・・・!」
30と少ないけれど。思わず前の目になり、常闇の肩に手を乗せて。
「間違いない」
「だー、白黒ついた!」→上鳴
「一位二位逆転してんじゃん」→切島
「表彰台で拘束された奴とか、ビビるもんな・・・」→瀬呂
「ビビってんじゃねーよ、プロが!!」
(いやいや、ビビるよ爆豪くん)
「さすがですわ、轟さん」
前の常闇と会話している歌恋を見ていた轟に、八百万から声がかかる。
「・・・ほとんど親の話題ありきだろ・・・(何でだ・・・?)」
峰田が緑谷の肩を揺さぶっている。
「無いな!怖かったんだ、やっぱ」
「んん・・・」
(緑谷くん、轟くんの試合で無茶したから、かな・・・)
「これを踏まえ・・・指名有無関係なく、いわゆる職場体験ってのに行ってもらう」
「「「!!」」」
(職場体験・・・!)
「体育祭凄かったぞー」とか。
「アンタ、"個性"楽しそうに使ってたよなー」とか。
でも、歌恋の地域はそんな高く評価してくれる人ばかりじゃない。
「たかだかヒーロー目指せるような"個性"だっただけでしょ」
「目立ちたがり?」
「女なんて、チヤホヤされたいだけでしょ」って。
「はぁ・・・」
雄英高校の最寄り駅でため息をつく。
(朝から疲れた・・・凄いよ、雄英。それに、休めた気がしなかった・・・)
轟とのこと・・・。なんで、いつも上手くいかないのか。それは、自分のせいなんだけど・・・。
「はぁ・・・」
今日の天気は雨。なんだか憂鬱だ。
「あれ、登坂さん!?」
「ん?緑谷くん!」
まさか駅で誰かと会うなんて奇遇だ。
「この時間に登坂さんいるなんて珍しいね」
「今日、一本遅いのできたから。緑谷くん、いつもこの時間?」
「うん、だいたい」
行き先は同ため、自然と同じ方向に足を進める。
「今日、凄く声かけられなかった?一日で、凄い注目の的だよね」
「確かに。でも・・・良い言葉ばかりじゃなかったなぁ」
「へ?」
「ん、うちの地域、プロヒーローの事務所ないからさ」
なんで、緑谷にはこうもスラスラ話せてしまったのか不思議だ。
「都市部からちょっと外れてて、ヒーロー目指したくても"個性"で不向きあるでしょ。
そんな不向きな"個性"が集まった地域だから、みんな何かしら恨みつらみあるわけで・・・。
若い子も、そんないない地域の集まりって感じ?」
「そうなんだ・・・」
「あ、ごめんね!暗い話!」
「そ、そんなことないよ!」
「緑谷くん、関係ないのに。何で話ちゃったんだろ・・・」
「?」
「何、呑気に歩いているんだ!!」
後ろから声がし、二人してビクッと震える。
「遅刻だぞ!おはよう、緑谷くん!!登坂くん!!」
「い、飯田くん!?」
「カ、カカカッパに長靴!!遅刻って、まだ予鈴5分前だよ?」
「雄英生たるもの、10分前行動が基本だろう!!」
「・・・・・・・あ・・・・・」
下駄箱で、歌恋は緑谷の裾を引っ張り顔を合わせた。
「お兄さんの事・・・」
「飯田くん・・・」
「兄の件なら心配ご無用だ。要らぬ心労をかけてすまなかったな」
「「・・・・・」」
この時、何も声をかけてあげられなかった。
A組のクラスの皆も、やはり話題は体育祭の後の事で、登校中いろんな人に声かけられたらしい。
(尾白くんの尻尾、犬みたいにブンブン振っててカワイイ)
なんて思ってしまう歌恋。
「歌恋ー、おはよう!」
「遅かったですわね、珍しく」
「おはよー、響香ちゃん、ヤオモモ!」
そう、今日わざわざ遅く登校した理由は、やっぱり後ろの席の彼が気になったから。
(・・・コイツらと俺の差は、なんなんだ・・・)
ジィーと見てくる轟の視線が痛い。一応、朝の挨拶だけはしてもいいか、と。
「お、おはよう・・・」
「あぁ・・・」
「歌恋ちゃん、髪の毛の長さ戻っとる!」
髪の毛の長さを気にしてくれていた麗日が、声を弾ませていた。
「ね?言ったでしょ、3日あれば戻るんだ」
「でも、改めて考えると不思議だよね」
「何が?」
「やっぱり、美容院お金かけてるん?」
そんなにすぐに伸びてしまうのも考えモノだと思ったのだろう。
「まぁ、お母さんに切ってもらったり、自分で少し調節したり・・・かな」
「うわぁ、大変そう。いっそのことウチみたいに短くしたら?」
いつもの辛口コメントの耳郎。てか、親とコメントが一緒だ。
「それはそれで技が使えません」
女の子同士でする会話が、今はとても楽しい。
轟が何も、悪いわけじゃない。普通に"焦凍"と呼んであげても構わない。
二人の時に、名前でって。でも、それは少し轟と距離が縮まるという行為。
間違って口がすべって、皆がいるところで名前を呼んでしまったら・・・。
男の子の名前を普通に呼ぶのが、女子の態度も目付きも変わるのを知ってるから。
今のこの皆との関係を壊したくないから。だから・・・。
緑谷みたいに、愛称で「デクくん」って呼ぶのはかわいらしいし、
仮に爆豪を「かっちゃん」って呼んでも、勝己って呼んでるわけじゃないからセーフな気もするけど。
「あぁ!?」
ガン飛ばす彼を「かっちゃん」なんて呼ぶ勇気は、やはりない。
幼馴染みな緑谷は簡単に呼んでるので、やはり幼馴染みなだけあるな、と思う。
「おはよう」
賑わっていた教室が、相澤先生の登場で皆一斉に自分の席に戻り静かになる。
「「「おはようございます!!」」」
「相澤先生、包帯取れたのね。良かったわ」
蛙吹が気付き、声をかける。確かに、もうミイラマンではなくなっていた。
「婆さんの処置が大げさなんだよ。んなもんより、今日の"ヒーロー情報学"、ちょっと特別だぞ。
「コードネーム」ヒーロー名の考案だ」
「「「胸ふくらむヤツきたぁああああ!!」」」
「と、いうのも」
騒がしくなりかけた生徒に、相澤先生のオーラで一瞬にして静かに説明を聞く。
「先日話した「プロからのドラフト指名」に関係してくる。指名が本格化するのは、
経験を積み、即戦力として判断される2、3年から・・・。つまり今回来た"指名"は、
将来性に対する"興味"に近い。卒業までにその興味が削がれたら、
一方的にキャンセルなんてことはよくある」
「頂いた指名が、そんまま自身へのハードルになるんですね!」
葉隠の言葉に、相澤先生が頷く。
「そ。で、その指名の集計結果がこうだ。例年はもっとバラけるんだが、二人に注目が偏った」
一位の轟が四千ちょっと、二位の爆豪が三千五百ちょっと。三位の常闇で360だ。
(こんなに差つくんだ・・・)
でも、指名がない人よりはある方がやっぱり嬉しくて。
「と、常闇くん・・・私の名前だよね・・・!」
30と少ないけれど。思わず前の目になり、常闇の肩に手を乗せて。
「間違いない」
「だー、白黒ついた!」→上鳴
「一位二位逆転してんじゃん」→切島
「表彰台で拘束された奴とか、ビビるもんな・・・」→瀬呂
「ビビってんじゃねーよ、プロが!!」
(いやいや、ビビるよ爆豪くん)
「さすがですわ、轟さん」
前の常闇と会話している歌恋を見ていた轟に、八百万から声がかかる。
「・・・ほとんど親の話題ありきだろ・・・(何でだ・・・?)」
峰田が緑谷の肩を揺さぶっている。
「無いな!怖かったんだ、やっぱ」
「んん・・・」
(緑谷くん、轟くんの試合で無茶したから、かな・・・)
「これを踏まえ・・・指名有無関係なく、いわゆる職場体験ってのに行ってもらう」
「「「!!」」」
(職場体験・・・!)