第五話 それぞれの気持ち
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リカバリーガールに治癒されてるであろう轟の元へ急ぐ。
「轟くん!」
勢いよく開けたドアの先に、腕に包帯を巻いている最中の轟がいた。
「登坂・・・」
彼はボーッと、どこか上の空だ。
「まったく、毎回毎回客が多いね。はい、出来たよ」
愚痴るリカバリーガールに挨拶し、轟と一緒に戻る。
「・・・・・・・」
「と、轟くん?聞いてもいいかな・・・?」
「何だ?」
本当は、聞いていいのか悪いことなのか分からない。歌恋はもじもじし、ボソッと聞いた。
「・・・炎・・・使わなかったこと・・・」
何故か轟は、ふっと笑った。
「緑谷戦で・・・何か吹っ切れた気がしたが・・・まだ、使おうとするとお母さんの顔が浮かぶ」
「あ・・・」
『親父を嫌いな理由も、火傷の原因も全部』あの時、話してくれたお母さんの事。
「だけど・・・俺に一歩の勇気をくれたのは、登坂と緑谷だ。ありがとう」
「っ・・・」
なんだか無性にくすぐったい。
「・・・ん?轟くん、名字に戻ってる」
今は二人なのにな、なんてちゃかしてみる。
『登坂とテメーなんなんだよ!』
あの時の爆豪の指摘から、どうも調子が狂う。
「・・・爆豪と・・・なんかあんのか?」
「はい??」
聞いたことない、彼女の間抜けな、呆れたような声。
「だから、爆豪と・・・」
「別に・・・何もないけど・・・そうだ」
彼の一つ一つの行動を思い出す。
「いろいろ、助けてくれてるな~とは思う。入試の時もそうだし・・・皆と話してる時も、かな?
何だかんだ爆豪くん、人の事をよく観察してるよね」
「・・・・・・・」
「轟くん?」
「いや・・・表彰式に遅れる」
「うん・・・」
「それではこれより!!表彰式に移ります!」
表彰台に上がる三人・・・いや、一位にいる爆豪の姿を見て、A組の面々は引いている。
「うわぁ・・・」
「何アレ・・・」
事情を知る爆豪と仲の良い切島が教えてくれた。
「起きてから、ずっと暴れてんだと。しっかしまー、締まんねー一位だな」
誰もがそう思うのは仕方ない。何せ爆豪は両手に鎖、腰には背後に立つ鉄壁に縛られ、
しまいに口元にも喋れないよう鉄で出来たようなマスクをつけられていた。
「ん"ん"~~!!!」
爆豪はいまも、声にならぬ声をあげている。端からみればヴィランみたいな姿だ。
「三位には飯田くんもいたのに・・・残念だね」
飯田の早退理由を知る緑谷に、歌恋が耳打ちした。
「うん・・・お兄さん、無事だといいけど・・・」
『兄がヴィランにやられた』
そう聞いた時は、とても信じられなかった。飯田のお兄さんはインゲニウムだと緑谷に聞いて。
((無事でいて・・・))
メダル授与をしてくれるのは、オールマイト。
「メダルを持って来「我らがヒーロー、オールマイトォ!!」」
見事、ミッドナイトとオールマイトの声が被った。
一人ずつ、丁寧に渡されるメダル。
「常闇少年、おめでとう!強いな君は!」
「もったいないお言葉」
オールマイトは、常闇をしっかり抱き止める。
「ただ!相性差を覆すには、"個性"に頼りっきりじゃダメだ。
もっと自力を鍛えれば、取れる択が増すだろう」
「・・・御意」
「轟少年、おめでとう。決勝で左側を収めてしまったのには、ワケがあるのかな」
(あ、オールマイトも同じこと聞いてる・・・)
「緑谷戦でキッカケをもらって・・・わからなくなってしまいました。
あなたが奴を気にかけるのも、少しわかった気がします。俺も、あなたのようなヒーローになりたかった。
ただ・・・俺だけが吹っ切れてそれで終わりじゃ、ダメだと思った。清算しなきゃならないモノがまだある」
話終えて、オールマイトがギュッと、抱きしめる。
「・・・顔が以前と全然違う、深くは聞くまいよ。今の君なら、きっと清算できる」
オールマイトは最後に、一位の爆豪と向き直る。
「さて、爆豪少年!!っと、こりゃあんまりだ・・・伏線回収見事だったな」
鉄で出来たようなマスクを外し、爆豪の顔は更に酷くなる。もう、表現のしようがない。
「オールマイトォ、こんな一番・・・何の価値もねぇんだよ。世間が認めても、俺が認めてなきゃゴミなんだよ!!」
「うむ!相対評価に晒され続けるこの世界で、不変の絶対評価を持ち続けられる人間はそう多くない。
受けとっとけよ!"傷"として!忘れぬよう!」
「要らねっつってんだろが!!」
なおも拒む爆豪。首に下げられまいと必死に顔でとてめいたが、オールマイトの力でメダルは口に下げられた。
(・・・なんていう、一位の姿・・・最後まで爆豪くんの世界だったな)
なんて、心の中でとどめとく歌恋。
「さァ、今回は彼らだった!!しかし皆さん!この場の誰にもここに立つ可能性はあった!!
ご覧いただいた通りだ!競い!高め合い!さらに先へと登っていくその姿!!
次代のヒーローは確実にその芽を伸ばしている!!てな感じで最後に一言!!
皆さん、ご唱和下さい!!せーの!」
プルスウルトラと叫ぶ会場に、何故かオールマイトだけが人一倍デカイ声で「おつかれさまでした」だった。
オールマイトと誰一人、意思の疎通はなかったとか。
(いろいろあった日だったけど、なんだかんだ体育祭楽しかったな)
次は来年、二年生になったらだ。
一先ずクラスで、帰りのHR。
「おつかれっつうことで、明日明後日は休校だ」
「!!」
「プロからの指名等を、こっちでまとめて休み明けに発表する。ドキドキしながら、しっかり休んでおけ」
歌恋家にて。
「体育祭お疲れ様!」
「カッコよかったぞー、歌恋」
帰り早々に両親から喜びの声が上がる。
「帰って早々賑やかだなー」
「年に一回のビッグイベントだもん、そりゃ盛り上がるわよ!」
「今日の夕飯は、すき焼きだそうだぞ」
「ホント!?お腹ペコペコだよ!」
「まったく・・・さっさとお風呂行っちゃいなさい」
「はーい。ん?」
カバンの中で、スマホが光ってる。画面を見れば、轟からラインが入っていた。
(後で確認しよう)
夕飯を食べながら、話題は体育祭。その中でも、クラスの皆の試合もちゃんと見ててくれたようで。
レクリエーションも楽しくクラスの皆と馴染めてるようでよかったと言ってくれた。
「憧れのヒーローは、やっぱりオールマイトになっちゃうけど・・・授業を経験していくうちに思ったんだ。
13号先生のような救命活動するヒーローも、カッコいいんだって。戦いばかりがヒーローじゃないって」
「うちの"個性"はヴィラン退治にはなかなか不向きだからな。お父さんも一度はヒーローを志したけど、
結局は一般的な仕事に就いた。けど、こうやって今の幸せがある。お父さんはそれだけで充分さ」
「私、お父さんがお父さんでよかった」
「お、ホントか!?」
「一つ・・・お母さんの心残りがあるのは、歌恋の技だけどね」
二人で台所に立ちながら、お母さんが短くなった髪の毛に触れる。
「あー・・・これね・・・。このぐらいなら、3日あれば元通りだよ」
「短いままじゃ、ダメかしら?ショートヘアでも可愛いのに」
「・・・あの技が一番強いから・・・ロングじゃ使いずらいし、やっぱりミディアムがいいな。
(ショート・・・ショート・・・?あっ)」
「そう・・・あ、それからお母さん思ったけど。歌恋、何だっけ、あの子・・・。
え~と・・・炎と氷、使う子、二位だった子」
「轟くん?」
「そうそう!なぁに~?あの子と気が合うの?あの時、お父さん凄かったんだから」
「んー?」
少し考え、ハッとする。もしかして、爆豪戦で思いっきり轟の名前叫んでしまったあの事か。
親に指摘され、顔が熱くなる。
「轟くんのお父さん、エンデヴァーでいろいろあったからだよ!それだけ!」
「ふ~ん?」
「轟くん!」
勢いよく開けたドアの先に、腕に包帯を巻いている最中の轟がいた。
「登坂・・・」
彼はボーッと、どこか上の空だ。
「まったく、毎回毎回客が多いね。はい、出来たよ」
愚痴るリカバリーガールに挨拶し、轟と一緒に戻る。
「・・・・・・・」
「と、轟くん?聞いてもいいかな・・・?」
「何だ?」
本当は、聞いていいのか悪いことなのか分からない。歌恋はもじもじし、ボソッと聞いた。
「・・・炎・・・使わなかったこと・・・」
何故か轟は、ふっと笑った。
「緑谷戦で・・・何か吹っ切れた気がしたが・・・まだ、使おうとするとお母さんの顔が浮かぶ」
「あ・・・」
『親父を嫌いな理由も、火傷の原因も全部』あの時、話してくれたお母さんの事。
「だけど・・・俺に一歩の勇気をくれたのは、登坂と緑谷だ。ありがとう」
「っ・・・」
なんだか無性にくすぐったい。
「・・・ん?轟くん、名字に戻ってる」
今は二人なのにな、なんてちゃかしてみる。
『登坂とテメーなんなんだよ!』
あの時の爆豪の指摘から、どうも調子が狂う。
「・・・爆豪と・・・なんかあんのか?」
「はい??」
聞いたことない、彼女の間抜けな、呆れたような声。
「だから、爆豪と・・・」
「別に・・・何もないけど・・・そうだ」
彼の一つ一つの行動を思い出す。
「いろいろ、助けてくれてるな~とは思う。入試の時もそうだし・・・皆と話してる時も、かな?
何だかんだ爆豪くん、人の事をよく観察してるよね」
「・・・・・・・」
「轟くん?」
「いや・・・表彰式に遅れる」
「うん・・・」
「それではこれより!!表彰式に移ります!」
表彰台に上がる三人・・・いや、一位にいる爆豪の姿を見て、A組の面々は引いている。
「うわぁ・・・」
「何アレ・・・」
事情を知る爆豪と仲の良い切島が教えてくれた。
「起きてから、ずっと暴れてんだと。しっかしまー、締まんねー一位だな」
誰もがそう思うのは仕方ない。何せ爆豪は両手に鎖、腰には背後に立つ鉄壁に縛られ、
しまいに口元にも喋れないよう鉄で出来たようなマスクをつけられていた。
「ん"ん"~~!!!」
爆豪はいまも、声にならぬ声をあげている。端からみればヴィランみたいな姿だ。
「三位には飯田くんもいたのに・・・残念だね」
飯田の早退理由を知る緑谷に、歌恋が耳打ちした。
「うん・・・お兄さん、無事だといいけど・・・」
『兄がヴィランにやられた』
そう聞いた時は、とても信じられなかった。飯田のお兄さんはインゲニウムだと緑谷に聞いて。
((無事でいて・・・))
メダル授与をしてくれるのは、オールマイト。
「メダルを持って来「我らがヒーロー、オールマイトォ!!」」
見事、ミッドナイトとオールマイトの声が被った。
一人ずつ、丁寧に渡されるメダル。
「常闇少年、おめでとう!強いな君は!」
「もったいないお言葉」
オールマイトは、常闇をしっかり抱き止める。
「ただ!相性差を覆すには、"個性"に頼りっきりじゃダメだ。
もっと自力を鍛えれば、取れる択が増すだろう」
「・・・御意」
「轟少年、おめでとう。決勝で左側を収めてしまったのには、ワケがあるのかな」
(あ、オールマイトも同じこと聞いてる・・・)
「緑谷戦でキッカケをもらって・・・わからなくなってしまいました。
あなたが奴を気にかけるのも、少しわかった気がします。俺も、あなたのようなヒーローになりたかった。
ただ・・・俺だけが吹っ切れてそれで終わりじゃ、ダメだと思った。清算しなきゃならないモノがまだある」
話終えて、オールマイトがギュッと、抱きしめる。
「・・・顔が以前と全然違う、深くは聞くまいよ。今の君なら、きっと清算できる」
オールマイトは最後に、一位の爆豪と向き直る。
「さて、爆豪少年!!っと、こりゃあんまりだ・・・伏線回収見事だったな」
鉄で出来たようなマスクを外し、爆豪の顔は更に酷くなる。もう、表現のしようがない。
「オールマイトォ、こんな一番・・・何の価値もねぇんだよ。世間が認めても、俺が認めてなきゃゴミなんだよ!!」
「うむ!相対評価に晒され続けるこの世界で、不変の絶対評価を持ち続けられる人間はそう多くない。
受けとっとけよ!"傷"として!忘れぬよう!」
「要らねっつってんだろが!!」
なおも拒む爆豪。首に下げられまいと必死に顔でとてめいたが、オールマイトの力でメダルは口に下げられた。
(・・・なんていう、一位の姿・・・最後まで爆豪くんの世界だったな)
なんて、心の中でとどめとく歌恋。
「さァ、今回は彼らだった!!しかし皆さん!この場の誰にもここに立つ可能性はあった!!
ご覧いただいた通りだ!競い!高め合い!さらに先へと登っていくその姿!!
次代のヒーローは確実にその芽を伸ばしている!!てな感じで最後に一言!!
皆さん、ご唱和下さい!!せーの!」
プルスウルトラと叫ぶ会場に、何故かオールマイトだけが人一倍デカイ声で「おつかれさまでした」だった。
オールマイトと誰一人、意思の疎通はなかったとか。
(いろいろあった日だったけど、なんだかんだ体育祭楽しかったな)
次は来年、二年生になったらだ。
一先ずクラスで、帰りのHR。
「おつかれっつうことで、明日明後日は休校だ」
「!!」
「プロからの指名等を、こっちでまとめて休み明けに発表する。ドキドキしながら、しっかり休んでおけ」
歌恋家にて。
「体育祭お疲れ様!」
「カッコよかったぞー、歌恋」
帰り早々に両親から喜びの声が上がる。
「帰って早々賑やかだなー」
「年に一回のビッグイベントだもん、そりゃ盛り上がるわよ!」
「今日の夕飯は、すき焼きだそうだぞ」
「ホント!?お腹ペコペコだよ!」
「まったく・・・さっさとお風呂行っちゃいなさい」
「はーい。ん?」
カバンの中で、スマホが光ってる。画面を見れば、轟からラインが入っていた。
(後で確認しよう)
夕飯を食べながら、話題は体育祭。その中でも、クラスの皆の試合もちゃんと見ててくれたようで。
レクリエーションも楽しくクラスの皆と馴染めてるようでよかったと言ってくれた。
「憧れのヒーローは、やっぱりオールマイトになっちゃうけど・・・授業を経験していくうちに思ったんだ。
13号先生のような救命活動するヒーローも、カッコいいんだって。戦いばかりがヒーローじゃないって」
「うちの"個性"はヴィラン退治にはなかなか不向きだからな。お父さんも一度はヒーローを志したけど、
結局は一般的な仕事に就いた。けど、こうやって今の幸せがある。お父さんはそれだけで充分さ」
「私、お父さんがお父さんでよかった」
「お、ホントか!?」
「一つ・・・お母さんの心残りがあるのは、歌恋の技だけどね」
二人で台所に立ちながら、お母さんが短くなった髪の毛に触れる。
「あー・・・これね・・・。このぐらいなら、3日あれば元通りだよ」
「短いままじゃ、ダメかしら?ショートヘアでも可愛いのに」
「・・・あの技が一番強いから・・・ロングじゃ使いずらいし、やっぱりミディアムがいいな。
(ショート・・・ショート・・・?あっ)」
「そう・・・あ、それからお母さん思ったけど。歌恋、何だっけ、あの子・・・。
え~と・・・炎と氷、使う子、二位だった子」
「轟くん?」
「そうそう!なぁに~?あの子と気が合うの?あの時、お父さん凄かったんだから」
「んー?」
少し考え、ハッとする。もしかして、爆豪戦で思いっきり轟の名前叫んでしまったあの事か。
親に指摘され、顔が熱くなる。
「轟くんのお父さん、エンデヴァーでいろいろあったからだよ!それだけ!」
「ふ~ん?」