第五話 それぞれの気持ち
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準決勝。
クラスメートがいる場所に戻った歌恋。席を取っててくれた耳郞の隣に座る。
そして、いよいよだ。
「お互いヒーロー家出身のエリート対決だ!飯田天哉VS轟焦凍!!スタート!!」
最初の轟の氷結を、立ち幅跳びの如くよける飯田。
(緑谷くんのような打ち消しは出来ん!!炎も使うようになったのなら、択を迫られる!ならば!!)
一度目の飯田の技、レシプロバーストを瞬時によける轟。だが、またすぐ二度目が背中から叩きつける。
「っぐっ」
「!!」
飯田は極力、轟に正面から向き合わないように上手く背後を取っていた。
炎を使えば有利そうな場面でも、炎を出さず氷結で攻めるが、飛び越えてよける飯田に、
背後から服を捕まれそのまま場外に引っ張り込まれる。
だが、飯田の動きが止まる。
「いつの間に!!」
彼の足についている排気筒が、氷結によって塞がれていたのだ。
そこから一気に、腕を掴まれ氷漬けにされていく。
「範囲攻撃ばかり見せてたから・・・こういう小細工は頭から抜けてたよな」
「ぐううっ・・・」
身動きがとれなくなった飯田。轟は少しクラクラする頭を抱えながら立ち上がる。
「警戒はしてたんだがレシプロ、避けられねぇな、さすがに・・・」
「飯田、行動不能!轟、炎を見せず決勝進出!」
戦って、轟は自身の左手を見ている。
(・・・炎、出さなかった・・・どうして?)
そういえば、控え室にいる時も・・・。
『いまはわからねぇ』
(・・・迷ってるの?)
そして準決勝二戦目、爆豪VS常闇は。
「うっぜぇなぁああーーそれ!!」
常闇がダークシャドウで己を守り、それに向かって爆豪が爆破を繰り返していた。
「修羅め・・・!!」
常闇はここまで無敵に近い状態で勝ち上がってきていたが、爆豪のラッシュに防戦一方だ。
二人の戦いの間に緑谷も皆の場所に戻ってきていた。歌恋は緑谷に、軽く手を振って。
騎馬戦の時に、常闇が話してくれた彼の弱点を思い出す。
「爆発の光で、攻撃に転じられん。相性最悪だ・・・」
「僕らに明かしてくれた弱点。かっちゃんにバレてなければ転機はあるよ」
麗日と緑谷の会話に、歌恋は納得だ。
「うん。て、いうかデクくん」
麗日が心配そうに緑谷を見る。
「普通に見るんだね。ケガが・・・」
爆豪が距離を取り、常闇の裏をとる。
「スタングレネード!」
今まで以上の眩しい光線に、煙幕が晴れたそこに伏せっていたのは、常闇だ。
「・・・知っていたのか・・・」
「数撃って暴いたんだ、バァカ。まァ・・・相性が悪かったな、同情するぜ。詰みだ」
「・・・まいった・・・」
常闇、降参。爆豪の勝利。
「よって決勝は、轟対爆豪に決定だぁ!!」
控え室にいる轟は、緑谷戦で使った炎のことで、会えていない母の事を考えていた。
(緑谷と戦うまで"考える"なんて・・・考えもしなかった。お母さん、俺は・・・)
すると、控え室のドアが蹴りで開く。
「!」
「あ?」
ドアの前に立っていたのは、決勝の相手である爆豪だ。
「あれ?何でてめェがここに・・・控え室・・・あ、ここ2の方かクソが!!」
一人で繰り広げる劇に、轟は何も答えず再び視線を机に戻す。
(一瞬、登坂かと思っちまった・・・)
まぁ、彼女があんな乱暴な開け方はしないだろう。
何も言わない態度の轟に、何故か爆豪は苛つく。
「部屋間違えたのは俺だけどよ・・・決勝相手にその態度はオイオイオイ・・・どこ見てんだよ半分野郎が!!」
爆豪が爆破で脅してくるも、轟は微動だにしない。
「それ・・・緑谷にも言われたな。あいつ、無茶苦茶やって他人が抱えてたもんブッ壊してきやがった。
幼馴染みなんだってな。昔からあんななのか?緑谷は・・・」
「・・・・・・・」
自分が助けを求めてるわけでもない。それなのに、「ヘドロ事件」の時も、
川に誤って落っこちた時も、何故か緑谷は手を伸ばしていた。だが、それが気に食わない、昔っから。
「あんなクソナード・・・どうでもいんだよ!!」
苛立ちを発散しきれない爆豪は、机を蹴飛ばす。
「それよか言わせてもらうがな、登坂とテメーなんなんだよ!苛つくんだよ、イチイチイチイチよ!」
「・・・別に、どうもねぇけど・・・お前も、気になるのか・・・?」
「なっ・・・ウダウダと、どうでもいいんだよ・・・!てめェの家事情も気持ちも・・・!
どうでもいいから俺にも使ってこいや炎側。そいつを上から捩じ伏せて、みせつけてやる」
「・・・・・・」
いよいよラスト、轟対爆豪の決勝が始まる。クラス最強に等しいと、クラス一の暴言で自信家の戦いが。
「今、スタート!!」
合図と共に、轟が瀬呂戦で見せた氷結の規模で爆豪を捕らえる。
だが、氷の中で響き渡るボコンと、破裂するような無数の音。
ボンッと、穴を開けた氷から、爆豪が出てきた。どうやら爆発で氷結を防いで掘り進めたのだろう。
戦っているからこそ分かる、轟が攻撃にみせる悪い"クセ"。
(強え"個性"故に、攻め方が大雑把だ!!)
轟の攻撃をよけ、爆豪が赤毛の、炎側の髪の毛を掴む。
(・・・炎を使えば勝てるのに・・・)
あの轟が、一方的にやられている。控え室で話してる時は、普通だったのに。
まだ拭いきれない、お母さんの気持ちが轟を邪魔しているのかもしれない。
「ナメ・・・ってんのかバァアアアカ!!」
放り投げられ、場外になるまいと、氷結で壁を作りアウトを回避する。
一息つく暇もなく、爆豪がもう一度左側を狙って攻撃した。
だが、使う事のない炎・・・。
「・・・俺じゃあ、力不足かよ」
久しぶりに、相澤先生の解説が入る。
「左側をわざわざ掴んだり、爆発のタイミングだったり・・・研究してるよ。
戦う度にセンスが光ってくるな、アイツは」
「ホゥホゥ」
「轟も、動きは良いんだが・・・攻撃が単純だ。緑谷戦以降、どこか調子が崩れてるなぁ・・・」
歌恋は、緑谷を見る。緑谷もまた、歌恋を見ていた。
轟の・・・彼の心は間違いなく変わった。だけど、今の相手が悪い。
「てめェ、虚仮にすんのも大概にしろよ!ブッ殺すぞ、俺が取んのは完膚なきまでの一位なんだよ!
舐めブのクソカスに勝っても、取れねぇんだよ!!デクより上に行かねぇと、意味ねぇんだよ!!
勝つつもりもねぇなら、俺の前に立つな!!何でここに立っとんだ、クソが!!!」
俺だって、ヒーローに。
(悪ィ、爆豪。緑谷と戦ってから、自分がどうするべきか、自分が正しいのかどうか)
『あの時あの一瞬、おまえを忘れた』
(わかんなくなっちまってんだ)
「負けるな、頑張れ!!!」
緑谷がデカイ声で轟に声援を送る。
(クソナードが!!そうだ、そうだよ)
爆豪が回転を混ぜた勢いで、轟に突っ込んでいく。
(俺の前に!ここに立つ以上!勝つ為だけに!!頭回してりゃいいんだよ!!)
緑谷の声援に答えたかのように、轟も炎を出す。だけど、やっぱり脳裏に浮かぶのはー・・・。
ハウザーインパクト!!
「轟くん!!」
たまらず、歌恋が叫ぶ。どうして、最後彼は炎を出したのに、直前に消した・・・。
「・・・は?」
爆豪も、ワケわからず。目の前に倒れてる轟が、視界に入る。
「は?」
反動で痛む腕に耐えながら、気を失っている轟の方へ歩く。
「オイッ・・・ふっ、ふざけんなよ!!」
そして、乱暴に胸ぐらを掴む。爆豪も爆豪で、悔しい終わりかただ。あんまりだ。あんな挑発したのに。
「こんなの、こんっ・・・」
ミッドナイトの眠り香で、暴れそうだった爆豪は、眠りについた。
「轟くん、場外!!よって・・・爆豪くんの勝ち!!」
以上で、全ての競技が終了。
今年度、雄英体育祭一年優勝は、A組、爆豪勝己。
クラスメートがいる場所に戻った歌恋。席を取っててくれた耳郞の隣に座る。
そして、いよいよだ。
「お互いヒーロー家出身のエリート対決だ!飯田天哉VS轟焦凍!!スタート!!」
最初の轟の氷結を、立ち幅跳びの如くよける飯田。
(緑谷くんのような打ち消しは出来ん!!炎も使うようになったのなら、択を迫られる!ならば!!)
一度目の飯田の技、レシプロバーストを瞬時によける轟。だが、またすぐ二度目が背中から叩きつける。
「っぐっ」
「!!」
飯田は極力、轟に正面から向き合わないように上手く背後を取っていた。
炎を使えば有利そうな場面でも、炎を出さず氷結で攻めるが、飛び越えてよける飯田に、
背後から服を捕まれそのまま場外に引っ張り込まれる。
だが、飯田の動きが止まる。
「いつの間に!!」
彼の足についている排気筒が、氷結によって塞がれていたのだ。
そこから一気に、腕を掴まれ氷漬けにされていく。
「範囲攻撃ばかり見せてたから・・・こういう小細工は頭から抜けてたよな」
「ぐううっ・・・」
身動きがとれなくなった飯田。轟は少しクラクラする頭を抱えながら立ち上がる。
「警戒はしてたんだがレシプロ、避けられねぇな、さすがに・・・」
「飯田、行動不能!轟、炎を見せず決勝進出!」
戦って、轟は自身の左手を見ている。
(・・・炎、出さなかった・・・どうして?)
そういえば、控え室にいる時も・・・。
『いまはわからねぇ』
(・・・迷ってるの?)
そして準決勝二戦目、爆豪VS常闇は。
「うっぜぇなぁああーーそれ!!」
常闇がダークシャドウで己を守り、それに向かって爆豪が爆破を繰り返していた。
「修羅め・・・!!」
常闇はここまで無敵に近い状態で勝ち上がってきていたが、爆豪のラッシュに防戦一方だ。
二人の戦いの間に緑谷も皆の場所に戻ってきていた。歌恋は緑谷に、軽く手を振って。
騎馬戦の時に、常闇が話してくれた彼の弱点を思い出す。
「爆発の光で、攻撃に転じられん。相性最悪だ・・・」
「僕らに明かしてくれた弱点。かっちゃんにバレてなければ転機はあるよ」
麗日と緑谷の会話に、歌恋は納得だ。
「うん。て、いうかデクくん」
麗日が心配そうに緑谷を見る。
「普通に見るんだね。ケガが・・・」
爆豪が距離を取り、常闇の裏をとる。
「スタングレネード!」
今まで以上の眩しい光線に、煙幕が晴れたそこに伏せっていたのは、常闇だ。
「・・・知っていたのか・・・」
「数撃って暴いたんだ、バァカ。まァ・・・相性が悪かったな、同情するぜ。詰みだ」
「・・・まいった・・・」
常闇、降参。爆豪の勝利。
「よって決勝は、轟対爆豪に決定だぁ!!」
控え室にいる轟は、緑谷戦で使った炎のことで、会えていない母の事を考えていた。
(緑谷と戦うまで"考える"なんて・・・考えもしなかった。お母さん、俺は・・・)
すると、控え室のドアが蹴りで開く。
「!」
「あ?」
ドアの前に立っていたのは、決勝の相手である爆豪だ。
「あれ?何でてめェがここに・・・控え室・・・あ、ここ2の方かクソが!!」
一人で繰り広げる劇に、轟は何も答えず再び視線を机に戻す。
(一瞬、登坂かと思っちまった・・・)
まぁ、彼女があんな乱暴な開け方はしないだろう。
何も言わない態度の轟に、何故か爆豪は苛つく。
「部屋間違えたのは俺だけどよ・・・決勝相手にその態度はオイオイオイ・・・どこ見てんだよ半分野郎が!!」
爆豪が爆破で脅してくるも、轟は微動だにしない。
「それ・・・緑谷にも言われたな。あいつ、無茶苦茶やって他人が抱えてたもんブッ壊してきやがった。
幼馴染みなんだってな。昔からあんななのか?緑谷は・・・」
「・・・・・・・」
自分が助けを求めてるわけでもない。それなのに、「ヘドロ事件」の時も、
川に誤って落っこちた時も、何故か緑谷は手を伸ばしていた。だが、それが気に食わない、昔っから。
「あんなクソナード・・・どうでもいんだよ!!」
苛立ちを発散しきれない爆豪は、机を蹴飛ばす。
「それよか言わせてもらうがな、登坂とテメーなんなんだよ!苛つくんだよ、イチイチイチイチよ!」
「・・・別に、どうもねぇけど・・・お前も、気になるのか・・・?」
「なっ・・・ウダウダと、どうでもいいんだよ・・・!てめェの家事情も気持ちも・・・!
どうでもいいから俺にも使ってこいや炎側。そいつを上から捩じ伏せて、みせつけてやる」
「・・・・・・」
いよいよラスト、轟対爆豪の決勝が始まる。クラス最強に等しいと、クラス一の暴言で自信家の戦いが。
「今、スタート!!」
合図と共に、轟が瀬呂戦で見せた氷結の規模で爆豪を捕らえる。
だが、氷の中で響き渡るボコンと、破裂するような無数の音。
ボンッと、穴を開けた氷から、爆豪が出てきた。どうやら爆発で氷結を防いで掘り進めたのだろう。
戦っているからこそ分かる、轟が攻撃にみせる悪い"クセ"。
(強え"個性"故に、攻め方が大雑把だ!!)
轟の攻撃をよけ、爆豪が赤毛の、炎側の髪の毛を掴む。
(・・・炎を使えば勝てるのに・・・)
あの轟が、一方的にやられている。控え室で話してる時は、普通だったのに。
まだ拭いきれない、お母さんの気持ちが轟を邪魔しているのかもしれない。
「ナメ・・・ってんのかバァアアアカ!!」
放り投げられ、場外になるまいと、氷結で壁を作りアウトを回避する。
一息つく暇もなく、爆豪がもう一度左側を狙って攻撃した。
だが、使う事のない炎・・・。
「・・・俺じゃあ、力不足かよ」
久しぶりに、相澤先生の解説が入る。
「左側をわざわざ掴んだり、爆発のタイミングだったり・・・研究してるよ。
戦う度にセンスが光ってくるな、アイツは」
「ホゥホゥ」
「轟も、動きは良いんだが・・・攻撃が単純だ。緑谷戦以降、どこか調子が崩れてるなぁ・・・」
歌恋は、緑谷を見る。緑谷もまた、歌恋を見ていた。
轟の・・・彼の心は間違いなく変わった。だけど、今の相手が悪い。
「てめェ、虚仮にすんのも大概にしろよ!ブッ殺すぞ、俺が取んのは完膚なきまでの一位なんだよ!
舐めブのクソカスに勝っても、取れねぇんだよ!!デクより上に行かねぇと、意味ねぇんだよ!!
勝つつもりもねぇなら、俺の前に立つな!!何でここに立っとんだ、クソが!!!」
俺だって、ヒーローに。
(悪ィ、爆豪。緑谷と戦ってから、自分がどうするべきか、自分が正しいのかどうか)
『あの時あの一瞬、おまえを忘れた』
(わかんなくなっちまってんだ)
「負けるな、頑張れ!!!」
緑谷がデカイ声で轟に声援を送る。
(クソナードが!!そうだ、そうだよ)
爆豪が回転を混ぜた勢いで、轟に突っ込んでいく。
(俺の前に!ここに立つ以上!勝つ為だけに!!頭回してりゃいいんだよ!!)
緑谷の声援に答えたかのように、轟も炎を出す。だけど、やっぱり脳裏に浮かぶのはー・・・。
ハウザーインパクト!!
「轟くん!!」
たまらず、歌恋が叫ぶ。どうして、最後彼は炎を出したのに、直前に消した・・・。
「・・・は?」
爆豪も、ワケわからず。目の前に倒れてる轟が、視界に入る。
「は?」
反動で痛む腕に耐えながら、気を失っている轟の方へ歩く。
「オイッ・・・ふっ、ふざけんなよ!!」
そして、乱暴に胸ぐらを掴む。爆豪も爆豪で、悔しい終わりかただ。あんまりだ。あんな挑発したのに。
「こんなの、こんっ・・・」
ミッドナイトの眠り香で、暴れそうだった爆豪は、眠りについた。
「轟くん、場外!!よって・・・爆豪くんの勝ち!!」
以上で、全ての競技が終了。
今年度、雄英体育祭一年優勝は、A組、爆豪勝己。