第三話 体育祭開催
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放課後、麗日が教室のドアを開けてから動けずにいる。
「うおおぉ・・・何ごとだぁあ!!?」
1-A組の教室の前の廊下は人で溢れかえっていた。
「出れねーじゃん!何しに来たんだよ」
「敵情視察だろ、ザコ」
ザコ呼ばわりされた峰田は、爆豪に言い返せないためか、後ろを指差し「なにアイツ」と、緑谷に顔で訴えている。
「ヴィランの襲撃を耐え抜いた連中だもんな。体育祭の前に見ときてぇんだろ。意味ねェから、どけモブ共」
爆豪の発言に、歌恋は手で顔を覆う。彼はどうしてこう、勘違いされやすい言葉選びしか出来ないのか。
「知らない人の事、とりあえずモブって言うのやめなよ!」
飯田が取り締まり役のような立ち位置になりつつあるが、爆豪は聞かない。
「どんなもんかと見に来たが、ずいぶん偉そうだなぁ。ヒーロー科に在籍する奴は、皆こんななのかい?」
「ああ!?」
爆豪一人の態度に、クラス全員がそういう目でみられてしまう。どうしてくれよう。
群がる人だかりから現れたのは、目元にクマがある男子生徒。
「こういうの見ちゃうと、ちょっと幻滅するなぁ。普通科とか他の科って、ヒーロー科落ちたから入ったって奴、
けっこういるんだ、知ってた?体育祭のリザルトによっちゃ、ヒーロー科編入も検討してくれるんだって。
その逆もまた然りらしいよ・・・。敵情視察?少なくともおれは、調子のってっと足元ゴッソリ掬っちゃうぞ。
っつー、宣戦布告しに来たつもり」
彼にとってヒーロー科になんの思い入れがあり、そんな大胆な行動に出られるのだろう。
(・・・私も、逆の立場だったらそうだったのかな・・・)
爆豪に、文句の一つ二つ言いたいが、この微妙な空気の中しゃしゃり出れない。
「隣のB組のモンだけどよぅ!!」
ぐわっと、集団から顔を出す人。
「ヴィランと戦ったっつうから、話聞こうと思ってたんだがよぅ!!エラく調子づいちゃってんな、オイ!!
本気で恥ずかしい事なっぞ!!」
「「「・・・・・・・・・」」」
多分他のA組が何かを言ってもどうもならない事態に、全員で爆豪の出方を伺う。
だが、これもこれで余計な事をしてくれた。彼は聞き手の親指を下に向けたのだ。
一斉にブーイングを浴びる爆豪に、切島が突っ込む。
「待てコラ!どうしてくれんだ、おめーのせいでヘイト集まりまくっちまってんじゃねぇか!!」
「関係ねぇよ・・・上に上がりゃ関係ねぇ」
考えなしに敵を作ってるのかと思ったが、爆豪も爆豪なりにちゃんと考えがあるって事か。
(やり方がやり方なだけで)
もっと上手い方法がなかったものか。
「く・・・!シンプルで男らしいじゃねぇか」
爆豪に共感する切島に言い聞かす上鳴。
「騙されんな!無駄に敵増やしただけだぞ!」
(それも一理ある)
なにより、歌恋にはどうすることも出来ない状況なのでもう流れに任せる事にした。
そんないざこざがあったものの、体育祭までの二週間で参加種目の決定や、それに伴う個々人の準備で、
長いようで短い準備期間はあっという間にすぎ、とうとう雄英体育祭本番当日を迎えた。
(・・・体育祭当日まで、轟くんとは気まずいまだったな)
1-A控え室では、各々で緊張をほぐす。
「皆、準備は出来てるか!?もうじき入場だ!!」
「相変わらずだね、飯田くん」
「歌恋の両親も、見に来てるんだっけ?」
「テレビで十分でしょ、って言ったのに。どんなヒーローが現地にいるかもみたいから、だって。
うちの家族、プロヒーロー誰もいないから、余計家族で浮いてるよ」
耳郞とは仲良くさせてもらってるからか、お互い話の融通がきくような間柄になっていた。
歌恋がそんな家族の中ヒーローを目指すのは自分の居場所と、
中学では得られなかった仲間といえる友が欲しかったのも事実。
雄英高校ならみんな"個性"を使っても仲間外れなんてこと、まずないから。
そんな単純極まりない動機。こんな理由で雄英高校に入ったなんて、本気でプロを目指す人にはいえないけど。
(幸せ家族、か・・・)
轟があの時言っていた言葉が、未だに信じられなかった。No.2プロヒーローの息子。
そんな肩書きがありながら親を恨み、お母さんも今入院しているなんて。
いろんな家族のあり方はあると思うけど。本当は、ずっとこんなモヤモヤな気持ちのまま体育祭には出たくなかった。
けど、掛けてやれる言葉もなくて、あんな風にされて。どこでどう言えば正解か分からない。
これ以上、空気も悪くさせたくなくて。
「・・・ッ」
ふと、いつもならすぐお互い目線をすぐ反らすのに。なぜだろう、今日は違う。
「緑谷」
冷静に緑谷に声をかけるのは、轟で。
「轟くん・・・何?」
歌恋は二人の様子に変にドキドキしていた。あの二人が話すなんて珍しくて。
「客観的に見ても、実力は俺の方が上だと思う」
「へ!?うっ、うん・・・」
「おまえ、オールマイトに目ぇかけられてるよな」
「「!!」」
「別にそこ、詮索するつもりはねぇが・・・おまえには勝つぞ」
「おお!?クラス最強が宣戦布告!?」
上鳴の隣に座る爆豪の顔つきが強張る。
「急にケンカ腰でどうした!?直前にやめろって・・・」
切島が止めに入るが、轟はその手を払いのけた。
「仲良しごっこじゃねぇんだ、何だって良いだろ」
(エンデヴァー・・・お父さんのことがあるから・・・)
オールマイト以上のヒーローにさせる為にって。それを知ってるのは歌恋だけで。
「歌恋・・・?」
「轟くんが、何を思って僕に勝つって言ってんのか・・・は、わかんないけど・・・。
そりゃ、君の方が上だよ・・・。実力なんて、大半の人に敵わないと思う・・・客観的に見ても・・・」
「緑谷も、そーゆーネガティブな事言わねぇ方が・・・」
「でも・・・!!皆・・・他の科の人も、本気でトップを狙ってるんだ。
僕だって・・・遅れを取るわけにはいかないんだ。僕も本気で、獲りに行く!」
緑谷の、真っ直ぐで強い目・・・。
「・・・おお」
「・・・・・・」
余計な事は、今は言わない方がいい。全力で体育祭に挑み、楽しむだけだ。
入り口を抜ければ、逆光を浴びながら大きな声援、プレゼント・マイクの紹介とともに、
1-A組がステージにそれぞれの思いを乗せて降り立った。
「どうせてめーらアレだろ、こいつらだろ!!?ヴィランの襲撃を受けたにも拘わらず、
鋼の精神で乗り越えた奇跡の新星!!ヒーロー科!一年!!A組だろぉお!!?」
ステージの観客から、爆発的な声が上がる。こんなに注目されるとは、緊張しない訳がない。
USJ事件の日、お父さんとお母さんに散々心配させてしまった。
それでも、体育祭を楽しみに見に来てくれた両親に、恥じぬ心構えを見せれば大丈夫。
(大丈夫、今までの私じゃない)
B組も入場し、普通科、サポート科、経営科と順番に入場し終える。
今年の一年主審は18禁ヒーロー「ミッドナイト」。
(18禁・・・)
一人、歌恋は轟との出来事に顔を赤くする。あれは事件だ、そう、事件である。
周りも18禁の言葉にガヤガヤするが、ミッドナイトが鞭を一振りし、声を張り上げた。
「静かにしなさい!!選手代表!!1-A、爆豪勝己!!」
爆豪の代表に驚く緑谷。
「え~、かっちゃんなの!?」
そんな彼に答えたのは瀬呂で。
「あいつ、一応入試一位通過だったからな」
ポケットに手を突っ込んだまま、爆豪の選手宣誓が始まる。
「せんせー」
嫌な予感しかない、嫌な予感しかない。
「俺が一位になる」
「絶対やると思った!!」
「うおおぉ・・・何ごとだぁあ!!?」
1-A組の教室の前の廊下は人で溢れかえっていた。
「出れねーじゃん!何しに来たんだよ」
「敵情視察だろ、ザコ」
ザコ呼ばわりされた峰田は、爆豪に言い返せないためか、後ろを指差し「なにアイツ」と、緑谷に顔で訴えている。
「ヴィランの襲撃を耐え抜いた連中だもんな。体育祭の前に見ときてぇんだろ。意味ねェから、どけモブ共」
爆豪の発言に、歌恋は手で顔を覆う。彼はどうしてこう、勘違いされやすい言葉選びしか出来ないのか。
「知らない人の事、とりあえずモブって言うのやめなよ!」
飯田が取り締まり役のような立ち位置になりつつあるが、爆豪は聞かない。
「どんなもんかと見に来たが、ずいぶん偉そうだなぁ。ヒーロー科に在籍する奴は、皆こんななのかい?」
「ああ!?」
爆豪一人の態度に、クラス全員がそういう目でみられてしまう。どうしてくれよう。
群がる人だかりから現れたのは、目元にクマがある男子生徒。
「こういうの見ちゃうと、ちょっと幻滅するなぁ。普通科とか他の科って、ヒーロー科落ちたから入ったって奴、
けっこういるんだ、知ってた?体育祭のリザルトによっちゃ、ヒーロー科編入も検討してくれるんだって。
その逆もまた然りらしいよ・・・。敵情視察?少なくともおれは、調子のってっと足元ゴッソリ掬っちゃうぞ。
っつー、宣戦布告しに来たつもり」
彼にとってヒーロー科になんの思い入れがあり、そんな大胆な行動に出られるのだろう。
(・・・私も、逆の立場だったらそうだったのかな・・・)
爆豪に、文句の一つ二つ言いたいが、この微妙な空気の中しゃしゃり出れない。
「隣のB組のモンだけどよぅ!!」
ぐわっと、集団から顔を出す人。
「ヴィランと戦ったっつうから、話聞こうと思ってたんだがよぅ!!エラく調子づいちゃってんな、オイ!!
本気で恥ずかしい事なっぞ!!」
「「「・・・・・・・・・」」」
多分他のA組が何かを言ってもどうもならない事態に、全員で爆豪の出方を伺う。
だが、これもこれで余計な事をしてくれた。彼は聞き手の親指を下に向けたのだ。
一斉にブーイングを浴びる爆豪に、切島が突っ込む。
「待てコラ!どうしてくれんだ、おめーのせいでヘイト集まりまくっちまってんじゃねぇか!!」
「関係ねぇよ・・・上に上がりゃ関係ねぇ」
考えなしに敵を作ってるのかと思ったが、爆豪も爆豪なりにちゃんと考えがあるって事か。
(やり方がやり方なだけで)
もっと上手い方法がなかったものか。
「く・・・!シンプルで男らしいじゃねぇか」
爆豪に共感する切島に言い聞かす上鳴。
「騙されんな!無駄に敵増やしただけだぞ!」
(それも一理ある)
なにより、歌恋にはどうすることも出来ない状況なのでもう流れに任せる事にした。
そんないざこざがあったものの、体育祭までの二週間で参加種目の決定や、それに伴う個々人の準備で、
長いようで短い準備期間はあっという間にすぎ、とうとう雄英体育祭本番当日を迎えた。
(・・・体育祭当日まで、轟くんとは気まずいまだったな)
1-A控え室では、各々で緊張をほぐす。
「皆、準備は出来てるか!?もうじき入場だ!!」
「相変わらずだね、飯田くん」
「歌恋の両親も、見に来てるんだっけ?」
「テレビで十分でしょ、って言ったのに。どんなヒーローが現地にいるかもみたいから、だって。
うちの家族、プロヒーロー誰もいないから、余計家族で浮いてるよ」
耳郞とは仲良くさせてもらってるからか、お互い話の融通がきくような間柄になっていた。
歌恋がそんな家族の中ヒーローを目指すのは自分の居場所と、
中学では得られなかった仲間といえる友が欲しかったのも事実。
雄英高校ならみんな"個性"を使っても仲間外れなんてこと、まずないから。
そんな単純極まりない動機。こんな理由で雄英高校に入ったなんて、本気でプロを目指す人にはいえないけど。
(幸せ家族、か・・・)
轟があの時言っていた言葉が、未だに信じられなかった。No.2プロヒーローの息子。
そんな肩書きがありながら親を恨み、お母さんも今入院しているなんて。
いろんな家族のあり方はあると思うけど。本当は、ずっとこんなモヤモヤな気持ちのまま体育祭には出たくなかった。
けど、掛けてやれる言葉もなくて、あんな風にされて。どこでどう言えば正解か分からない。
これ以上、空気も悪くさせたくなくて。
「・・・ッ」
ふと、いつもならすぐお互い目線をすぐ反らすのに。なぜだろう、今日は違う。
「緑谷」
冷静に緑谷に声をかけるのは、轟で。
「轟くん・・・何?」
歌恋は二人の様子に変にドキドキしていた。あの二人が話すなんて珍しくて。
「客観的に見ても、実力は俺の方が上だと思う」
「へ!?うっ、うん・・・」
「おまえ、オールマイトに目ぇかけられてるよな」
「「!!」」
「別にそこ、詮索するつもりはねぇが・・・おまえには勝つぞ」
「おお!?クラス最強が宣戦布告!?」
上鳴の隣に座る爆豪の顔つきが強張る。
「急にケンカ腰でどうした!?直前にやめろって・・・」
切島が止めに入るが、轟はその手を払いのけた。
「仲良しごっこじゃねぇんだ、何だって良いだろ」
(エンデヴァー・・・お父さんのことがあるから・・・)
オールマイト以上のヒーローにさせる為にって。それを知ってるのは歌恋だけで。
「歌恋・・・?」
「轟くんが、何を思って僕に勝つって言ってんのか・・・は、わかんないけど・・・。
そりゃ、君の方が上だよ・・・。実力なんて、大半の人に敵わないと思う・・・客観的に見ても・・・」
「緑谷も、そーゆーネガティブな事言わねぇ方が・・・」
「でも・・・!!皆・・・他の科の人も、本気でトップを狙ってるんだ。
僕だって・・・遅れを取るわけにはいかないんだ。僕も本気で、獲りに行く!」
緑谷の、真っ直ぐで強い目・・・。
「・・・おお」
「・・・・・・」
余計な事は、今は言わない方がいい。全力で体育祭に挑み、楽しむだけだ。
入り口を抜ければ、逆光を浴びながら大きな声援、プレゼント・マイクの紹介とともに、
1-A組がステージにそれぞれの思いを乗せて降り立った。
「どうせてめーらアレだろ、こいつらだろ!!?ヴィランの襲撃を受けたにも拘わらず、
鋼の精神で乗り越えた奇跡の新星!!ヒーロー科!一年!!A組だろぉお!!?」
ステージの観客から、爆発的な声が上がる。こんなに注目されるとは、緊張しない訳がない。
USJ事件の日、お父さんとお母さんに散々心配させてしまった。
それでも、体育祭を楽しみに見に来てくれた両親に、恥じぬ心構えを見せれば大丈夫。
(大丈夫、今までの私じゃない)
B組も入場し、普通科、サポート科、経営科と順番に入場し終える。
今年の一年主審は18禁ヒーロー「ミッドナイト」。
(18禁・・・)
一人、歌恋は轟との出来事に顔を赤くする。あれは事件だ、そう、事件である。
周りも18禁の言葉にガヤガヤするが、ミッドナイトが鞭を一振りし、声を張り上げた。
「静かにしなさい!!選手代表!!1-A、爆豪勝己!!」
爆豪の代表に驚く緑谷。
「え~、かっちゃんなの!?」
そんな彼に答えたのは瀬呂で。
「あいつ、一応入試一位通過だったからな」
ポケットに手を突っ込んだまま、爆豪の選手宣誓が始まる。
「せんせー」
嫌な予感しかない、嫌な予感しかない。
「俺が一位になる」
「絶対やると思った!!」