第二十二話 密偵
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「俺の"個性"とキルシュの"個性"?」
あの事件の後、歌恋が問いかけてきた。俺は顎に手をあて、なやんでみる。
(そうだな・・・)
あの力は、彼女の意思じゃなく、勝手に動いたと常闇に話していたことが浮かぶ。
「俺の羽根は、しなやかで固いのが特徴かな。キルシュの桜はしなやかなんじゃない?」
目眩ましとか、先日飛んでみせようとした桜の技。攻撃はきっと、幹の方でやってきたのだろう。
でも、そうだな。アドバイスしてやるとしたら・・・気になってた事を一つ。
「まぁ・・・俺からキルシュに言うんだったら・・・髪の毛、染めてみたら?
もう発動の瞬間とか、感覚がわかるでしょ?自在に操りたいってそうじゃない?
今の状態、敵さんにも情報バレバレでしょう。息をするようにスムーズに」
説明しながら、彼女の髪の毛の先端をわさわさわ触ってやると、彼女の頬が心なしか赤くなったようにみえる。
軽率だったかな、なんて思ったけど・・・なる程、好きな男の子がいるのか。それもあの、エンデヴァーさんの息子とな。
「染める・・・でも、親に何か言われそう・・・」
きっと彼女は、俺なんかよりよっぽど両親に愛されてきたんだろう。
「ま、どうするかは君が決めることだけどね、歌恋ちゃん」
「!!」
あざとく、イタズラに。
「轟に相談してみたらどうだ?」
と、あまりに自然と轟の名を出す常闇。
「う~ん、でもせっかくいただいた案だから、やってみてもいいかなって・・・皆の反応が怖いけど」
ホークスが言うことも一理あるし、なんて、モゴモゴ悩む。
「俺が勝手に思い付いた案だし、美容代なら払ってもいいし。先輩として?」
「いや、そこまでは・・・!申し訳ないです・・・!」
「アハハハハ謙虚だなぁ!」
「っ~~」
「じゃ、美容室行ってる間に桜の持続時間、一時間くらいに増やしておいで」
「え!?寮でもまだ、30分くらいしか出来ません」
「出来ませんじゃなくて、やってみるの。はい、行ってらっしゃ~い」
迷いを無くすよう、羽根で後押しし、そのまま事務所の玄関まで追いやった。
「えっ!?ホークス~~」
「さて、常闇くん。俺たちはパトロール行くよ」
「え、あ、はい」
一連の流れに唖然としていた常闇は、呆気にとられている。しかも、ホークスは二階の窓から外に行こうとしていた。
あれ、いままで自分達がいる時は必ず玄関口から出発していたのに。
「これるかな」
発破かけられて、悔しいなんて気持ちが出てこないはずない。
「ダークシャドウ、また試すぞ」
「マタカ、フミカゲ」
でも、やはり途中でホークスは見失ってしまったのだ。彼は、速すぎる。まだ特訓が足りない。どうすればついていけるのか。
「ホークスホークス!いま仕事は?」
「パトロール」
「じゃあ、写真お願い!」
「「イエーイ」」
パシャリと、眩しい光に常闇は目をつぶる。
「ホークス、今日インターン生の女の子いないばい、よかと?」
「いま特訓中」
「最初彼女ばおもって、皆騒いどったとよ」
「え、あの子可愛か。それもいいな」
「「いやだ~~」」
「・・・・・・・・・」
ホークスはモテる。ファンサも怠らない。やはりこういう行動もあって支持率が伸びるのだろう。
いまは、学生の女の子たちに囲まれワチャワチャ楽しんでいる。
「あ、ツクヨミ追いついた。じゃまたね~」
「「頑張って~!」」
「・・・・・・・・・・」
常闇のもとに歩き、彼にこっそり耳打ちされた。
「そげんひきつった顔しちゃダメばい、リラックスリラックス」
「・・・登坂にたいして、冷たすぎじゃないですか?」
思わず出てしまった言葉。
「フ、フミカゲ」
焦って止めようとするダークシャドウだけど。仲間をこけにされるのも腹立たしくて。
「決めたんは、彼女でしょ」
「そうかもしれません。でも、あいつもヒーローになろうって。だからあなたを頼ってインターン選んだんです。それは、俺もです」
「学校で現ぬかしてても?」
「それ、は・・・」
「街の人らの声、聞いてた?」
「え・・・?」
「俺が職場体験で選んだのは、君が初めてだった。インターンだって、今回初めてだ。それも今回は、女の子もいる。
街の人も驚いたってさ。俺が誰かと一緒にヒーロー活動するなんて。俺より速い奴なんていなかったから。
言わなくてもわかるだろうけど、俺ここじゃモテモテでしょ?そんなんもあって聞いたんさね。
ホークスが女の子連れてる。彼女?それとも結婚相手?バカげた話。インターン生だって説明しただろって。
歌恋ちゃんの桜の"個性"が、どこまで拾ってるのか俺にはわからんと。
でも、そんな批判な声ずっと向けられたら、彼女も可哀想でしょ。息抜きも必要と」
「・・・・・・・・・」
男と、女の違い。
「ま、俺がモテるのが原因」
「・・・・・・・・」
やっぱり、鼻につく。
「歌恋ちゃんが頑張ろうってしてるのは、俺にもわかるよ、常闇くん」
「・・・・・・!」
後進育成とか、興味なかったんだけどさ。二人があまりにも頑張るから。
そんなちょっぴり不満そうな常闇を夜間飛行一緒にしたり、短い時間彼らと共にいれたことは、楽しかったかな。
ホークス、ホークスって頼られるのがなんだかくすぐったくなって。らしくなくワクワクして。
公安にいる自分が、むなしくなる。ヒーローとはなにか。
「ヴィラン連合に取り入れ、ホークス」
頭が真っ白になった。いまから楽しいことが、これからあるハズなのに。
「は?ちょっと待って下さい、意味がわからない。そっちで捜索チーム組むんでしょ?グラントリノさんとかが」
「どこで聞いた?まだ公表してない話だ」
ヤバい、そう思っても遅い。
「そういうところよ、ホークス。あなたは目ざとく耳ざとい。神野の戦いは、拉致被害者の安否もあり事を急いた。
結果、情報が足りず相手の力を見謝った。闇組織を根絶する為に、多くの情報がいる」
「特に、あの改造人間・・・オール・フォー・ワンの力だけであれが造れるのか・・・。
連合に関する全てを丸裸にしなければ、同じ過ちを繰り返すことになる」
「取り入る間、奴らが出す被害は?目を瞑れって?」
そんなこと、出来る訳がない。俺の背中を見て、ついてこようって。
「瞑れる男だと見込んでの頼みだ。名誉名声に頓着がなく、ただただ"長期目標"を見据え動く。
君ほど適任な者はいないと考えている」
楽しそうに話す、二人のインターン生。俺はその輪に、入りきれない。
「本当に、必要なんですか?」
「だからこその提案よ。表と裏から追いつめることで、確実に退路を断つ」
「提案!断れないってわかった上でそーゆー言い方するんだもんな、人が悪い」
「否定しないわ、ホークス。神野であなたの都合がつかなかったのは幸いだった」
だったら、せめてもの救い。
「俺が穢れて皆が安心できるようになるなら、喜んで引き受けますよ」
俺はホークス、速すぎる男。ヒーローが暇を持て余す社会、必ず手にいれてやる。
俺の出せる、最高速度で。
あの事件の後、歌恋が問いかけてきた。俺は顎に手をあて、なやんでみる。
(そうだな・・・)
あの力は、彼女の意思じゃなく、勝手に動いたと常闇に話していたことが浮かぶ。
「俺の羽根は、しなやかで固いのが特徴かな。キルシュの桜はしなやかなんじゃない?」
目眩ましとか、先日飛んでみせようとした桜の技。攻撃はきっと、幹の方でやってきたのだろう。
でも、そうだな。アドバイスしてやるとしたら・・・気になってた事を一つ。
「まぁ・・・俺からキルシュに言うんだったら・・・髪の毛、染めてみたら?
もう発動の瞬間とか、感覚がわかるでしょ?自在に操りたいってそうじゃない?
今の状態、敵さんにも情報バレバレでしょう。息をするようにスムーズに」
説明しながら、彼女の髪の毛の先端をわさわさわ触ってやると、彼女の頬が心なしか赤くなったようにみえる。
軽率だったかな、なんて思ったけど・・・なる程、好きな男の子がいるのか。それもあの、エンデヴァーさんの息子とな。
「染める・・・でも、親に何か言われそう・・・」
きっと彼女は、俺なんかよりよっぽど両親に愛されてきたんだろう。
「ま、どうするかは君が決めることだけどね、歌恋ちゃん」
「!!」
あざとく、イタズラに。
「轟に相談してみたらどうだ?」
と、あまりに自然と轟の名を出す常闇。
「う~ん、でもせっかくいただいた案だから、やってみてもいいかなって・・・皆の反応が怖いけど」
ホークスが言うことも一理あるし、なんて、モゴモゴ悩む。
「俺が勝手に思い付いた案だし、美容代なら払ってもいいし。先輩として?」
「いや、そこまでは・・・!申し訳ないです・・・!」
「アハハハハ謙虚だなぁ!」
「っ~~」
「じゃ、美容室行ってる間に桜の持続時間、一時間くらいに増やしておいで」
「え!?寮でもまだ、30分くらいしか出来ません」
「出来ませんじゃなくて、やってみるの。はい、行ってらっしゃ~い」
迷いを無くすよう、羽根で後押しし、そのまま事務所の玄関まで追いやった。
「えっ!?ホークス~~」
「さて、常闇くん。俺たちはパトロール行くよ」
「え、あ、はい」
一連の流れに唖然としていた常闇は、呆気にとられている。しかも、ホークスは二階の窓から外に行こうとしていた。
あれ、いままで自分達がいる時は必ず玄関口から出発していたのに。
「これるかな」
発破かけられて、悔しいなんて気持ちが出てこないはずない。
「ダークシャドウ、また試すぞ」
「マタカ、フミカゲ」
でも、やはり途中でホークスは見失ってしまったのだ。彼は、速すぎる。まだ特訓が足りない。どうすればついていけるのか。
「ホークスホークス!いま仕事は?」
「パトロール」
「じゃあ、写真お願い!」
「「イエーイ」」
パシャリと、眩しい光に常闇は目をつぶる。
「ホークス、今日インターン生の女の子いないばい、よかと?」
「いま特訓中」
「最初彼女ばおもって、皆騒いどったとよ」
「え、あの子可愛か。それもいいな」
「「いやだ~~」」
「・・・・・・・・・」
ホークスはモテる。ファンサも怠らない。やはりこういう行動もあって支持率が伸びるのだろう。
いまは、学生の女の子たちに囲まれワチャワチャ楽しんでいる。
「あ、ツクヨミ追いついた。じゃまたね~」
「「頑張って~!」」
「・・・・・・・・・・」
常闇のもとに歩き、彼にこっそり耳打ちされた。
「そげんひきつった顔しちゃダメばい、リラックスリラックス」
「・・・登坂にたいして、冷たすぎじゃないですか?」
思わず出てしまった言葉。
「フ、フミカゲ」
焦って止めようとするダークシャドウだけど。仲間をこけにされるのも腹立たしくて。
「決めたんは、彼女でしょ」
「そうかもしれません。でも、あいつもヒーローになろうって。だからあなたを頼ってインターン選んだんです。それは、俺もです」
「学校で現ぬかしてても?」
「それ、は・・・」
「街の人らの声、聞いてた?」
「え・・・?」
「俺が職場体験で選んだのは、君が初めてだった。インターンだって、今回初めてだ。それも今回は、女の子もいる。
街の人も驚いたってさ。俺が誰かと一緒にヒーロー活動するなんて。俺より速い奴なんていなかったから。
言わなくてもわかるだろうけど、俺ここじゃモテモテでしょ?そんなんもあって聞いたんさね。
ホークスが女の子連れてる。彼女?それとも結婚相手?バカげた話。インターン生だって説明しただろって。
歌恋ちゃんの桜の"個性"が、どこまで拾ってるのか俺にはわからんと。
でも、そんな批判な声ずっと向けられたら、彼女も可哀想でしょ。息抜きも必要と」
「・・・・・・・・・」
男と、女の違い。
「ま、俺がモテるのが原因」
「・・・・・・・・」
やっぱり、鼻につく。
「歌恋ちゃんが頑張ろうってしてるのは、俺にもわかるよ、常闇くん」
「・・・・・・!」
後進育成とか、興味なかったんだけどさ。二人があまりにも頑張るから。
そんなちょっぴり不満そうな常闇を夜間飛行一緒にしたり、短い時間彼らと共にいれたことは、楽しかったかな。
ホークス、ホークスって頼られるのがなんだかくすぐったくなって。らしくなくワクワクして。
公安にいる自分が、むなしくなる。ヒーローとはなにか。
「ヴィラン連合に取り入れ、ホークス」
頭が真っ白になった。いまから楽しいことが、これからあるハズなのに。
「は?ちょっと待って下さい、意味がわからない。そっちで捜索チーム組むんでしょ?グラントリノさんとかが」
「どこで聞いた?まだ公表してない話だ」
ヤバい、そう思っても遅い。
「そういうところよ、ホークス。あなたは目ざとく耳ざとい。神野の戦いは、拉致被害者の安否もあり事を急いた。
結果、情報が足りず相手の力を見謝った。闇組織を根絶する為に、多くの情報がいる」
「特に、あの改造人間・・・オール・フォー・ワンの力だけであれが造れるのか・・・。
連合に関する全てを丸裸にしなければ、同じ過ちを繰り返すことになる」
「取り入る間、奴らが出す被害は?目を瞑れって?」
そんなこと、出来る訳がない。俺の背中を見て、ついてこようって。
「瞑れる男だと見込んでの頼みだ。名誉名声に頓着がなく、ただただ"長期目標"を見据え動く。
君ほど適任な者はいないと考えている」
楽しそうに話す、二人のインターン生。俺はその輪に、入りきれない。
「本当に、必要なんですか?」
「だからこその提案よ。表と裏から追いつめることで、確実に退路を断つ」
「提案!断れないってわかった上でそーゆー言い方するんだもんな、人が悪い」
「否定しないわ、ホークス。神野であなたの都合がつかなかったのは幸いだった」
だったら、せめてもの救い。
「俺が穢れて皆が安心できるようになるなら、喜んで引き受けますよ」
俺はホークス、速すぎる男。ヒーローが暇を持て余す社会、必ず手にいれてやる。
俺の出せる、最高速度で。
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