第二話 委員長
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(こ、これはっ・・・)
本日、校舎の前で轟の待ち合わせている歌恋がいる。
(いわゆるデート!?マジで、マジか!?)
顔を真っ赤にし、思わず座り込む。【※違います】
そう、これはただ、友達としてのお誘いであって、別に変に思われようとも思ってない。
ただ・・・彼はどうしてここまで自分によくしてくれるのかなと考える。
「・・・具合、悪ぃか・・・?」
「わっ!?ごめん、ううん、大丈夫!!」
しゃがみこんでいたので気にさせてしまったのだろう。彼は困った顔をしている。
それよりも、お互い私服姿なのは初めてな気がする。
(私服もカッコいい・・・)
いやいや、そんな話をしに来たのではない。歌恋はブンブン頭を振った。
「どうした?」
「いえ。さっきっから、変なこと考えてます」
「なっ・・・!」
「いや、だから、ごめんっ。その、何もない、何もないっ」
両手をぶんぶん胸の前で振り、全力で否定する。
「・・・変な奴・・・(俺だからいいようなものの・・・勘違いされるぜ)」
「で、その・・・話って・・・」
「・・・・・・・・・どっか、他に聞かれそうにないとこがいい。カラオケ、とか・・・?」
「っ・・・!!」
「・・・お前、そんなに俺の事評価してくれなくていいんだぜ?どうして欲しい?」
グイッと、腕を歌恋のアゴに向けて身動きを封じてみる。ちょっとしたからかい。
「・・・っ・・・と・・・轟くんが、普通にカッコいいから・・・っ」
「・・・・・・それ、二回目な。本当にそう思ってんのか?」
聞きながら、腕を離してくれて歌恋はホッとする。
「・・・じゃなきゃ、言わないよ・・・」
「・・・火傷顔を見てか?」
「そんな、私も可愛くないけどさ・・・轟くんだって、どうしてこんなに話してくれるの?」
「・・・・・・・・・・・さぁな」
ドキドキしながら、顔を下に向けながら前を歩く轟についていく。
何処に向かっているかとか、正直聞けないし、轟のもう一つの"個性"が気になり逃げようにも逃げたくない。
どうして秘密にしていたのか、使ってこなかったのか不思議だし、興味があったから。
「逃げねぇのか?」
「・・・うん・・・」
カラオケという看板を見て、なんともいえないけれど。
「昨日ので、轟くんが嘘つくような人には見えないから。今も気持ちが変わってないなら、教えて」
二人で部屋の案内番号を確認して部屋に入る。カラオケの電気は、普通の場所より薄暗いのが特徴。
五月蝿い予告が流れるテレビは、電源を探しきる。別に歌いに来たのではないので察する。
少し距離があいたまま、轟がゆっくり話出した。
「・・・俺の親父な、万年No.2と呼ばれるエンデヴァーだ。いくらなんでも、名前は知ってるだろ?」
「っ・・・!エンデヴァーの、息子・・・?」
「ハッキリ言って、俺は親父が嫌いだし、この赤毛は嫌いだ」
「・・・?」
轟が、何を伝えようとしてくれるのか、いまいちわかりずらい。
「エンデヴァーって、あの炎の使い手だよね?」
意を決したように、轟は左を使った。
「っ・・・!!」
赤毛の方が燃え、左腕も炎を纏っている。
「・・・俺のもう一つの"個性"・・・それは炎だ。アンタの苦手な、炎・・・」
炎を消しながら、どこか悲しげな轟の表情。
皆がどうして(主に爆豪だが)轟を半分野郎っていうのかと。
炎を使う"個性"を皆は知らないハズ。半分ってのは、髪の毛を見てだと思うけど。
「俺の"個性"は氷だけじゃねぇ。"半冷半燃"、氷と炎が二つ使える」
「・・・・・・(次元が違う)ヒーロー目指す上で、最強の"個性"じゃん。
今まで炎使わなかった理由って、お父さんが嫌いだから?」
轟が、小さく頷く。
「ふーん・・・そっか・・・。オールマイトの授業が終わって、轟くんに話かけずらくなったの、
実力の差を思い知らされたから。コンビ組まなきゃだったから仕方なかったけど、
逆に私、足手まといだったんじゃないかって。あと・・・これは、大きなお世話かもしんないけど。
轟くん、せっかく親から譲り受けたものなのに・・・色々もったいないよ・・・」
その時、轟が立ち上がった瞬間、冷たい目付きにゾクッとした。
「!!」
反抗する間もなく、肩を掴まれ、目の前が回転し上に轟の顔が間近くにある。
「アンタ、俺をイラつかせる天才だな・・・でも、なんで気になっちまうのかわかんねぇ。
初めて、何も知らねぇ奴にあんな真っ向からカッコいいなんて言われて。
本人が気にしてる顔を無視してよ。教えてやるよ、火傷の原因も、親父を嫌いな理由も、全部。
こんな顔になったのは、クソ親父のせいだ。"個性婚"知ってるよな?
自身の"個性"をより強化して、継がせる為だけに配偶者を選び結婚を強いる。
実績と金だけはある男だ・・・。親父は母の親族を丸め込み、母の"個性"を手に入れた。
俺をオールマイト以上のヒーローに育て上げることで、自身の欲求を満たそうとした奴だ。うっとうしい・・・!
そんな屑の道具にはならねぇ。記憶の中の母は、いつも泣いている・・・。
「おまえの左側が醜い」と、母は俺に煮え湯を浴びせた」
「っ・・・!!」
実の母親が、自分の子供に火傷を合理的に浴びせたなんて、言葉に出来ない。
「母は俺に危害を加えたという理由で、いまは病院にいる。親父も親父で、屑な奴だ。
アンタみたいな幸せな両親の元で産まれた奴に、俺の何が分かる?
昔から親父に叩き込まれてきた英才教育で培ってきた実力を、ボサッとしたクラスの連中に抜かれてたまるかよ」
「・・・・・・・・・」
反論出来ない。何て言ってあげればいいのか、分からない。彼の心の傷は、深くて深刻で残酷だ。
お母さんは、いつも私の名前を嬉しそうに呼んでくれる。
お父さんは、大黒柱としてどんと自分たちを守ってくれてる。
(・・・轟くんの家族は、全然違う・・・)
何もかもがバラバラで。
「・・・言い返さねぇのか?」
黙る歌恋に、轟が二ッと怪しく笑う。
嘘のようで本当の話。そんなの嘘だなんて、笑って言えばまた彼を怒らせるだけ。
穏便に、どういまの状況を潜り抜ければいいのかと、必死に歌恋は考える。
「・・・そういやアンタ、少し俺とこういう展開望んでたよな?」
(違う・・・いつもの冷静な轟くんじゃない・・・っ)
「俺の事、期待外れだろ」
「!!?」
ビクッと、体が大袈裟に反応する。轟の左手が、スカートの中の太ももに触れてきた。
防衛反応が出てしまい、肩を掴まれていない腕の方で"個性"を使い轟を殴り飛ばす。
「ッ・・・!!」
ドサッとソファから落ちる。その隙に、彼女は逃げ出した。
一人残る轟は、追いかけようとしない。きっと彼女は自分を嫌いになった。
そうだ、それでいい。親父に変に勘づかれて捕らわれて、他の兄とかに取られるよりいい。
こんな暗い家族事情の中に、巻き込みたくなかった。殴られた頬を触る。
「・・・ってぇ・・・」
どうしてやれる事が正解で不正解なのか、もうさっぱりだ。
「はぁはぁっ」
息を乱しながら歌恋は駅に向かって走ってた。轟が追いかけてくるんじゃないかって、
追い越されちゃダメだと振り返りながら走って。時間帯の違ういつも乗る電車に乗り込む。
家に帰り、まだ誰もいない中ベッドに潜り込み泣いた。泣いて泣いて、泣きはらした。
自分勝手で知らぬ内に相手を傷付けて、助けて欲しい時に助けてあげられなくて。
彼は何を求めて話してくれたんだろう。彼の欲しかった答えは何なのだろう。
ふと、轟に触られた太ももに触れる。こんなこと、したくなかったハズなのに。
合わせる顔がない・・・。
本日、校舎の前で轟の待ち合わせている歌恋がいる。
(いわゆるデート!?マジで、マジか!?)
顔を真っ赤にし、思わず座り込む。【※違います】
そう、これはただ、友達としてのお誘いであって、別に変に思われようとも思ってない。
ただ・・・彼はどうしてここまで自分によくしてくれるのかなと考える。
「・・・具合、悪ぃか・・・?」
「わっ!?ごめん、ううん、大丈夫!!」
しゃがみこんでいたので気にさせてしまったのだろう。彼は困った顔をしている。
それよりも、お互い私服姿なのは初めてな気がする。
(私服もカッコいい・・・)
いやいや、そんな話をしに来たのではない。歌恋はブンブン頭を振った。
「どうした?」
「いえ。さっきっから、変なこと考えてます」
「なっ・・・!」
「いや、だから、ごめんっ。その、何もない、何もないっ」
両手をぶんぶん胸の前で振り、全力で否定する。
「・・・変な奴・・・(俺だからいいようなものの・・・勘違いされるぜ)」
「で、その・・・話って・・・」
「・・・・・・・・・どっか、他に聞かれそうにないとこがいい。カラオケ、とか・・・?」
「っ・・・!!」
「・・・お前、そんなに俺の事評価してくれなくていいんだぜ?どうして欲しい?」
グイッと、腕を歌恋のアゴに向けて身動きを封じてみる。ちょっとしたからかい。
「・・・っ・・・と・・・轟くんが、普通にカッコいいから・・・っ」
「・・・・・・それ、二回目な。本当にそう思ってんのか?」
聞きながら、腕を離してくれて歌恋はホッとする。
「・・・じゃなきゃ、言わないよ・・・」
「・・・火傷顔を見てか?」
「そんな、私も可愛くないけどさ・・・轟くんだって、どうしてこんなに話してくれるの?」
「・・・・・・・・・・・さぁな」
ドキドキしながら、顔を下に向けながら前を歩く轟についていく。
何処に向かっているかとか、正直聞けないし、轟のもう一つの"個性"が気になり逃げようにも逃げたくない。
どうして秘密にしていたのか、使ってこなかったのか不思議だし、興味があったから。
「逃げねぇのか?」
「・・・うん・・・」
カラオケという看板を見て、なんともいえないけれど。
「昨日ので、轟くんが嘘つくような人には見えないから。今も気持ちが変わってないなら、教えて」
二人で部屋の案内番号を確認して部屋に入る。カラオケの電気は、普通の場所より薄暗いのが特徴。
五月蝿い予告が流れるテレビは、電源を探しきる。別に歌いに来たのではないので察する。
少し距離があいたまま、轟がゆっくり話出した。
「・・・俺の親父な、万年No.2と呼ばれるエンデヴァーだ。いくらなんでも、名前は知ってるだろ?」
「っ・・・!エンデヴァーの、息子・・・?」
「ハッキリ言って、俺は親父が嫌いだし、この赤毛は嫌いだ」
「・・・?」
轟が、何を伝えようとしてくれるのか、いまいちわかりずらい。
「エンデヴァーって、あの炎の使い手だよね?」
意を決したように、轟は左を使った。
「っ・・・!!」
赤毛の方が燃え、左腕も炎を纏っている。
「・・・俺のもう一つの"個性"・・・それは炎だ。アンタの苦手な、炎・・・」
炎を消しながら、どこか悲しげな轟の表情。
皆がどうして(主に爆豪だが)轟を半分野郎っていうのかと。
炎を使う"個性"を皆は知らないハズ。半分ってのは、髪の毛を見てだと思うけど。
「俺の"個性"は氷だけじゃねぇ。"半冷半燃"、氷と炎が二つ使える」
「・・・・・・(次元が違う)ヒーロー目指す上で、最強の"個性"じゃん。
今まで炎使わなかった理由って、お父さんが嫌いだから?」
轟が、小さく頷く。
「ふーん・・・そっか・・・。オールマイトの授業が終わって、轟くんに話かけずらくなったの、
実力の差を思い知らされたから。コンビ組まなきゃだったから仕方なかったけど、
逆に私、足手まといだったんじゃないかって。あと・・・これは、大きなお世話かもしんないけど。
轟くん、せっかく親から譲り受けたものなのに・・・色々もったいないよ・・・」
その時、轟が立ち上がった瞬間、冷たい目付きにゾクッとした。
「!!」
反抗する間もなく、肩を掴まれ、目の前が回転し上に轟の顔が間近くにある。
「アンタ、俺をイラつかせる天才だな・・・でも、なんで気になっちまうのかわかんねぇ。
初めて、何も知らねぇ奴にあんな真っ向からカッコいいなんて言われて。
本人が気にしてる顔を無視してよ。教えてやるよ、火傷の原因も、親父を嫌いな理由も、全部。
こんな顔になったのは、クソ親父のせいだ。"個性婚"知ってるよな?
自身の"個性"をより強化して、継がせる為だけに配偶者を選び結婚を強いる。
実績と金だけはある男だ・・・。親父は母の親族を丸め込み、母の"個性"を手に入れた。
俺をオールマイト以上のヒーローに育て上げることで、自身の欲求を満たそうとした奴だ。うっとうしい・・・!
そんな屑の道具にはならねぇ。記憶の中の母は、いつも泣いている・・・。
「おまえの左側が醜い」と、母は俺に煮え湯を浴びせた」
「っ・・・!!」
実の母親が、自分の子供に火傷を合理的に浴びせたなんて、言葉に出来ない。
「母は俺に危害を加えたという理由で、いまは病院にいる。親父も親父で、屑な奴だ。
アンタみたいな幸せな両親の元で産まれた奴に、俺の何が分かる?
昔から親父に叩き込まれてきた英才教育で培ってきた実力を、ボサッとしたクラスの連中に抜かれてたまるかよ」
「・・・・・・・・・」
反論出来ない。何て言ってあげればいいのか、分からない。彼の心の傷は、深くて深刻で残酷だ。
お母さんは、いつも私の名前を嬉しそうに呼んでくれる。
お父さんは、大黒柱としてどんと自分たちを守ってくれてる。
(・・・轟くんの家族は、全然違う・・・)
何もかもがバラバラで。
「・・・言い返さねぇのか?」
黙る歌恋に、轟が二ッと怪しく笑う。
嘘のようで本当の話。そんなの嘘だなんて、笑って言えばまた彼を怒らせるだけ。
穏便に、どういまの状況を潜り抜ければいいのかと、必死に歌恋は考える。
「・・・そういやアンタ、少し俺とこういう展開望んでたよな?」
(違う・・・いつもの冷静な轟くんじゃない・・・っ)
「俺の事、期待外れだろ」
「!!?」
ビクッと、体が大袈裟に反応する。轟の左手が、スカートの中の太ももに触れてきた。
防衛反応が出てしまい、肩を掴まれていない腕の方で"個性"を使い轟を殴り飛ばす。
「ッ・・・!!」
ドサッとソファから落ちる。その隙に、彼女は逃げ出した。
一人残る轟は、追いかけようとしない。きっと彼女は自分を嫌いになった。
そうだ、それでいい。親父に変に勘づかれて捕らわれて、他の兄とかに取られるよりいい。
こんな暗い家族事情の中に、巻き込みたくなかった。殴られた頬を触る。
「・・・ってぇ・・・」
どうしてやれる事が正解で不正解なのか、もうさっぱりだ。
「はぁはぁっ」
息を乱しながら歌恋は駅に向かって走ってた。轟が追いかけてくるんじゃないかって、
追い越されちゃダメだと振り返りながら走って。時間帯の違ういつも乗る電車に乗り込む。
家に帰り、まだ誰もいない中ベッドに潜り込み泣いた。泣いて泣いて、泣きはらした。
自分勝手で知らぬ内に相手を傷付けて、助けて欲しい時に助けてあげられなくて。
彼は何を求めて話してくれたんだろう。彼の欲しかった答えは何なのだろう。
ふと、轟に触られた太ももに触れる。こんなこと、したくなかったハズなのに。
合わせる顔がない・・・。