第二十話 地獄の轟くん家
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「つーかよ・・・」
部屋と通路でも、隔たりが障子一つだと嫌がおうにも聞こえてしまう会話に、爆豪はイラついていた。
『アンタみたいな幸せな両親の元で産まれた奴に、俺の何が分かる?』
そんな事言われていたなんて、初めて聞いた。それでも歌恋は轟を選び、一緒に道を歩む。
必要だったんだ。己を留めておける何か。暗がりだった人生に、ほんの少し見出だした光を求めて。
(俺だとダメな理由・・・)
一息ついた轟と冬美の会話を盗み聞き、爆豪はグッと拳をつくる。
「かっ」
緑谷の呼び止めもむなしく、スパンと障子は爆豪の手によって勢いよく開いた。
「客招くならセンシティブなとこ見せんなや!!」
いつにも増して迫力満点な爆豪の態度に、緑谷はぎょっとしている。
「まだ洗いもんあんだろが!」
「ああ!いけない、ごめんなさい、つい―・・・」
仕方ないのだ、久しぶりの家族との再開なんだから。緑谷が慌てて説明する。
「あ!あの!僕たち轟くんから事情は伺ってます・・・!」
「晩飯とか言われたら感じ良いのかと思うわフツー。四川麻婆が台無しだっつの!おい、轟」
「・・・・・・・・・・・」
会話も会話だったからか、落ち込んでいる様子の轟に声をかける。
本当は今すぐにでもぶん殴りたい。アイツは俺のもんだって、胸張って言いたい。
なんでテメーなんだと、文句の一つ二つ言いたい。泣かすなって、約束したのに。
そんな辛気くさい顔を見せるな。なんの為に、歌恋はお前を選んだのか。
救いたかったからだろ。お前を。衝動を抑え、一睨みしてやった。
「爆、豪・・・?」
「いつまでもそうやってっと、今度こそかっさらうぞ」
お互いの気持ちなんか知らない。自分だって、好きだから。
「・・・・・・・・・」
いつも、こうやって言い返せない。歌恋にも言ってる、自分がどうなるかわからないから、言葉が出ないんだ。
幸せを、貴重な時間をたくさんたくさん貰ってるのに。自分はなにも返せてないんじゃないかって。
いつも必死なのに空回りなのは、まだ心の中は過去の自分だから。自分だって、言われっぱなしは悔しいさ。
くれてやってもいいって、エンデヴァーがハイエンドと戦ったあの日本気で思った。
でも、それさえも振り切って歌恋は後を追ってきて抱き止めてくれたのに。
『一人にならないで』
そう言葉を投げかけてくれて、真っ暗な底から救ってくれてるのに。
「?」
爆豪と轟、二人の関係を知らない冬美は、首をかしげる。でも轟は、頑なに唇をギュッと閉じてしまっている。
ぶつくさ言いながら食器を置きに、洗い物をしているエンデヴァーのもとに運ぶ爆豪。
言い返したい。言い返したいのに、上手く言葉が見つからない。
神野事件の時傍にいたのは爆豪。クラス対抗、初めて勝利に導いたのも爆豪。
大事な場面で、お前は手を差しのべているから。
「轟くん」
ふと掛かる、緑谷の優しい声に気づく。
「轟くんはきっと、許せるように準備をしてるんじゃないかな」
「え」
つい出てしまった、間抜けな声。緑谷はいつも、考えてない事のきっかけをくれる。
「本当に大嫌いなら「許せない」でいいと思う。でも君は、とても優しい人だから、
待ってる・・・ように見える。そういう時間なんじゃないかな」
「・・・・・ま、つ・・・・・?」
「君が根っから優しい人なんて、登坂さんももう知ってるよ。かっちゃんは・・・うん、怖い」
幼なじみとしてずっと一緒だからわかるし、初見で爆豪に会ってもわかるだろう。彼はずっとあんな感じだから。
針積めていた空気が、少し和らいだ気がした。
大丈夫。ちゃんと見ているから。君を、君自身を。
二人にも話すと決めた。もう一つの事情。ゆっくりくつろぐ時間に冬美と話を進めていたのは、燈矢兄の事。
「お兄さんが・・・」
緑谷の反応を見て、冬美が言った。歌恋には話しているようだったから、てっきりと思っていたが。
「それは、話してないんだ」
「率先して話すもんじゃねェだろ」
「夏は燈矢兄ととても仲良しでね・・・よく一緒に遊んでた。お母さんが入院してまもなくの頃だった・・・。
お母さん、更に具合悪くなっちゃって。焦凍にも会わせられなくて・・・。でも、乗り越えたの。
焦凍も面会に来てくれて・・・家が前向きになってきて。夏だけが・・・振り上げた拳を下ろせないでいる。
お父さんが殺したって、思ってる」
「だから、あんな面してたんか」
それはたまたま、食器を運ぶ時に見てしまった。緑谷が轟に言葉を投げかけていた時に、
どうしようもない、どうにもならないといった、轟と同じ表情。いや、それよりも憎しみがあったように感じる。
「そろそろ学校に戻る時間だ」
顔を出すエンデヴァーの後についていく。
「ごちそうさまでした!お料理、とても美味しいかったです」
冬美に頭を下げる緑谷。
「ありがとう!」
「四川麻婆のレシピ教えろや」
「うん!」
爆豪のお気に入りになったのだろう。素直に嬉しい。
「俺のラインに送ってもらうよ」
家族だから、兄弟だから。
「学校のお話聞くつもりだったのに、ごめんなさいね」
「冬美」
自分の名を呼ばれ、父親に顔を向けてみれば、照れくさそうにみえる。
「ありがとう」
それはとてもとても、嬉しい言葉だ。
「緑谷くん」
冬美はギュッと、緑谷の手を優しく包み込む。
「焦凍とお友だちになってくれて、ありがとう」
「そんな・・・こちらこそ・・・です!」
エンデヴァーに送られながら、話は今後のインターンについて。
「貴様らには早く力をつけてもらう。今後は週末に加え・・・コマをズラせるなら平日最低2日は働いてもらう」
「前回、麗日や切島たちもそんな感じだったな」
「期末の予習もやらなきゃ・・・轟くん、英語今度教えて」
「ああ」
仲良く話す二人とは反対に、爆豪は一人、車の外に顔を出し叫んでいる。
「No.1ならもっとデケェ車用意してくれよ!」
どうしても轟の友だち発言は許せないらしい。
「ハイヤーに文句言う高校生かー!!エンデヴァー、あんたいつからこんなジャリンコ乗せるようになったんだい!!」
変わった性格をした運転手に、緑谷は心の中で訴える。
(アグレッシブな運転手さんだ・・・!)
「頂点に立たされてからだ」
「ケェーーー!!」
そんなハイテンションな運転手に、轟も緑谷も首をかしげる。
(ケェ・・・?)
(ケェーって、何だ)
「立場が人を変えるってェやつかい・・・ん?」
たまらず目を細める運転手。道路の真ん中に立ってるアレは何だ。ぐわんと車が揺れ、体を持っていかれる。
「道の白線が!」
緑谷の言葉に、周りを見れば確かに白線が浮かび上がっていた。
「喋るな!舌噛むぞ!」
運転手の粋な計らいに、白線を避けながら進んでいくが。
「良い家に住んでるな、エンデヴァー!」
そこには一人のヴィランと、白線にグルグル巻きに吊り上げられている夏雄がいた。
「夏兄!!」
「頭ァ引っ込めろジャリンコ!」
急な荒い運転だが、間一髪ヴィランの横をすり抜ける。すぐ車からエンデヴァーが飛び出した。
「彼を放せ!」
「俺を憶えているか、エンデヴァー!!」
ヴィランの言葉に聞く耳なんか持ちたくないのに、夏雄を人質にされては動けない。
「・・・・・・7年前・・・!暴行犯で取り押さえた・・・!ヴィラン名を自称していた名は・・・」
「そう!そうだ、すごい。憶えているのか、嬉しい!!そうだよ、俺だよ「エンディング」だ!」
「もう一度言う、彼を放せ」
「ふふ、すまないエンデヴァー。でもわかってくれ。俺がひっくり返っても手に入れられないものを、
あんたは沢山持っていた。憧れだったんだ!俺は何も守るものなんてない!この男を殺すから、頼むよエンデヴァー!
今度は間違えないでくれ!俺を、殺してくれ。ヒーローは、余程の事でも殺しは選択しねェ!
でもよ!あんた、脳無を殺したろ!?俺もあの人形と同じさ。生きてんのか死んでんのか、曖昧な人生!
だから安心して!その眩い炎で俺を燃やし尽くしてくれェ!」
エンデヴァーより出るのが遅れ、白線で巻かれた車からやっと出れる準備が出来た。
「出るぞ」
轟の言葉に、頷く緑谷。爆豪の爆破を合図に、三人が飛び出す。
「このジャリンコ共がァ!!忘れ物だぞ!」
運転席にあるレバーをおろすと、トランクが開き三人分のコスチュームが入った鞄が宙を舞う。
それをフルカウル状態の緑谷がキャッチし、それぞれ出席番号が書かれた物を本人たちに投げ渡す。
「かっちゃん!ショートくん」
初めて轟をヒーロー名で呼ぶ緑谷。ここはもう、エンデヴァーの後ろを追いかけるだけじゃない。
必要なコスチュームをすぐに身に纏う。
「夏雄兄さん!!」
「インターン生・・・俺の死を、仕切り直すぞエンデヴァー!!」
三人を避けようと、エンディングが後ろに下がる。
(チャンスだ、今なら奴より速く)
隙を見て、エンデヴァーも動こうとするが、捕らえられた夏雄。その彼の目が、動きを止めてしまう。
夏雄に言われた言葉が、脳裏にかすめた。
『俺の中じゃイカレ野郎絶賛継続中だよ』
部屋と通路でも、隔たりが障子一つだと嫌がおうにも聞こえてしまう会話に、爆豪はイラついていた。
『アンタみたいな幸せな両親の元で産まれた奴に、俺の何が分かる?』
そんな事言われていたなんて、初めて聞いた。それでも歌恋は轟を選び、一緒に道を歩む。
必要だったんだ。己を留めておける何か。暗がりだった人生に、ほんの少し見出だした光を求めて。
(俺だとダメな理由・・・)
一息ついた轟と冬美の会話を盗み聞き、爆豪はグッと拳をつくる。
「かっ」
緑谷の呼び止めもむなしく、スパンと障子は爆豪の手によって勢いよく開いた。
「客招くならセンシティブなとこ見せんなや!!」
いつにも増して迫力満点な爆豪の態度に、緑谷はぎょっとしている。
「まだ洗いもんあんだろが!」
「ああ!いけない、ごめんなさい、つい―・・・」
仕方ないのだ、久しぶりの家族との再開なんだから。緑谷が慌てて説明する。
「あ!あの!僕たち轟くんから事情は伺ってます・・・!」
「晩飯とか言われたら感じ良いのかと思うわフツー。四川麻婆が台無しだっつの!おい、轟」
「・・・・・・・・・・・」
会話も会話だったからか、落ち込んでいる様子の轟に声をかける。
本当は今すぐにでもぶん殴りたい。アイツは俺のもんだって、胸張って言いたい。
なんでテメーなんだと、文句の一つ二つ言いたい。泣かすなって、約束したのに。
そんな辛気くさい顔を見せるな。なんの為に、歌恋はお前を選んだのか。
救いたかったからだろ。お前を。衝動を抑え、一睨みしてやった。
「爆、豪・・・?」
「いつまでもそうやってっと、今度こそかっさらうぞ」
お互いの気持ちなんか知らない。自分だって、好きだから。
「・・・・・・・・・」
いつも、こうやって言い返せない。歌恋にも言ってる、自分がどうなるかわからないから、言葉が出ないんだ。
幸せを、貴重な時間をたくさんたくさん貰ってるのに。自分はなにも返せてないんじゃないかって。
いつも必死なのに空回りなのは、まだ心の中は過去の自分だから。自分だって、言われっぱなしは悔しいさ。
くれてやってもいいって、エンデヴァーがハイエンドと戦ったあの日本気で思った。
でも、それさえも振り切って歌恋は後を追ってきて抱き止めてくれたのに。
『一人にならないで』
そう言葉を投げかけてくれて、真っ暗な底から救ってくれてるのに。
「?」
爆豪と轟、二人の関係を知らない冬美は、首をかしげる。でも轟は、頑なに唇をギュッと閉じてしまっている。
ぶつくさ言いながら食器を置きに、洗い物をしているエンデヴァーのもとに運ぶ爆豪。
言い返したい。言い返したいのに、上手く言葉が見つからない。
神野事件の時傍にいたのは爆豪。クラス対抗、初めて勝利に導いたのも爆豪。
大事な場面で、お前は手を差しのべているから。
「轟くん」
ふと掛かる、緑谷の優しい声に気づく。
「轟くんはきっと、許せるように準備をしてるんじゃないかな」
「え」
つい出てしまった、間抜けな声。緑谷はいつも、考えてない事のきっかけをくれる。
「本当に大嫌いなら「許せない」でいいと思う。でも君は、とても優しい人だから、
待ってる・・・ように見える。そういう時間なんじゃないかな」
「・・・・・ま、つ・・・・・?」
「君が根っから優しい人なんて、登坂さんももう知ってるよ。かっちゃんは・・・うん、怖い」
幼なじみとしてずっと一緒だからわかるし、初見で爆豪に会ってもわかるだろう。彼はずっとあんな感じだから。
針積めていた空気が、少し和らいだ気がした。
大丈夫。ちゃんと見ているから。君を、君自身を。
二人にも話すと決めた。もう一つの事情。ゆっくりくつろぐ時間に冬美と話を進めていたのは、燈矢兄の事。
「お兄さんが・・・」
緑谷の反応を見て、冬美が言った。歌恋には話しているようだったから、てっきりと思っていたが。
「それは、話してないんだ」
「率先して話すもんじゃねェだろ」
「夏は燈矢兄ととても仲良しでね・・・よく一緒に遊んでた。お母さんが入院してまもなくの頃だった・・・。
お母さん、更に具合悪くなっちゃって。焦凍にも会わせられなくて・・・。でも、乗り越えたの。
焦凍も面会に来てくれて・・・家が前向きになってきて。夏だけが・・・振り上げた拳を下ろせないでいる。
お父さんが殺したって、思ってる」
「だから、あんな面してたんか」
それはたまたま、食器を運ぶ時に見てしまった。緑谷が轟に言葉を投げかけていた時に、
どうしようもない、どうにもならないといった、轟と同じ表情。いや、それよりも憎しみがあったように感じる。
「そろそろ学校に戻る時間だ」
顔を出すエンデヴァーの後についていく。
「ごちそうさまでした!お料理、とても美味しいかったです」
冬美に頭を下げる緑谷。
「ありがとう!」
「四川麻婆のレシピ教えろや」
「うん!」
爆豪のお気に入りになったのだろう。素直に嬉しい。
「俺のラインに送ってもらうよ」
家族だから、兄弟だから。
「学校のお話聞くつもりだったのに、ごめんなさいね」
「冬美」
自分の名を呼ばれ、父親に顔を向けてみれば、照れくさそうにみえる。
「ありがとう」
それはとてもとても、嬉しい言葉だ。
「緑谷くん」
冬美はギュッと、緑谷の手を優しく包み込む。
「焦凍とお友だちになってくれて、ありがとう」
「そんな・・・こちらこそ・・・です!」
エンデヴァーに送られながら、話は今後のインターンについて。
「貴様らには早く力をつけてもらう。今後は週末に加え・・・コマをズラせるなら平日最低2日は働いてもらう」
「前回、麗日や切島たちもそんな感じだったな」
「期末の予習もやらなきゃ・・・轟くん、英語今度教えて」
「ああ」
仲良く話す二人とは反対に、爆豪は一人、車の外に顔を出し叫んでいる。
「No.1ならもっとデケェ車用意してくれよ!」
どうしても轟の友だち発言は許せないらしい。
「ハイヤーに文句言う高校生かー!!エンデヴァー、あんたいつからこんなジャリンコ乗せるようになったんだい!!」
変わった性格をした運転手に、緑谷は心の中で訴える。
(アグレッシブな運転手さんだ・・・!)
「頂点に立たされてからだ」
「ケェーーー!!」
そんなハイテンションな運転手に、轟も緑谷も首をかしげる。
(ケェ・・・?)
(ケェーって、何だ)
「立場が人を変えるってェやつかい・・・ん?」
たまらず目を細める運転手。道路の真ん中に立ってるアレは何だ。ぐわんと車が揺れ、体を持っていかれる。
「道の白線が!」
緑谷の言葉に、周りを見れば確かに白線が浮かび上がっていた。
「喋るな!舌噛むぞ!」
運転手の粋な計らいに、白線を避けながら進んでいくが。
「良い家に住んでるな、エンデヴァー!」
そこには一人のヴィランと、白線にグルグル巻きに吊り上げられている夏雄がいた。
「夏兄!!」
「頭ァ引っ込めろジャリンコ!」
急な荒い運転だが、間一髪ヴィランの横をすり抜ける。すぐ車からエンデヴァーが飛び出した。
「彼を放せ!」
「俺を憶えているか、エンデヴァー!!」
ヴィランの言葉に聞く耳なんか持ちたくないのに、夏雄を人質にされては動けない。
「・・・・・・7年前・・・!暴行犯で取り押さえた・・・!ヴィラン名を自称していた名は・・・」
「そう!そうだ、すごい。憶えているのか、嬉しい!!そうだよ、俺だよ「エンディング」だ!」
「もう一度言う、彼を放せ」
「ふふ、すまないエンデヴァー。でもわかってくれ。俺がひっくり返っても手に入れられないものを、
あんたは沢山持っていた。憧れだったんだ!俺は何も守るものなんてない!この男を殺すから、頼むよエンデヴァー!
今度は間違えないでくれ!俺を、殺してくれ。ヒーローは、余程の事でも殺しは選択しねェ!
でもよ!あんた、脳無を殺したろ!?俺もあの人形と同じさ。生きてんのか死んでんのか、曖昧な人生!
だから安心して!その眩い炎で俺を燃やし尽くしてくれェ!」
エンデヴァーより出るのが遅れ、白線で巻かれた車からやっと出れる準備が出来た。
「出るぞ」
轟の言葉に、頷く緑谷。爆豪の爆破を合図に、三人が飛び出す。
「このジャリンコ共がァ!!忘れ物だぞ!」
運転席にあるレバーをおろすと、トランクが開き三人分のコスチュームが入った鞄が宙を舞う。
それをフルカウル状態の緑谷がキャッチし、それぞれ出席番号が書かれた物を本人たちに投げ渡す。
「かっちゃん!ショートくん」
初めて轟をヒーロー名で呼ぶ緑谷。ここはもう、エンデヴァーの後ろを追いかけるだけじゃない。
必要なコスチュームをすぐに身に纏う。
「夏雄兄さん!!」
「インターン生・・・俺の死を、仕切り直すぞエンデヴァー!!」
三人を避けようと、エンディングが後ろに下がる。
(チャンスだ、今なら奴より速く)
隙を見て、エンデヴァーも動こうとするが、捕らえられた夏雄。その彼の目が、動きを止めてしまう。
夏雄に言われた言葉が、脳裏にかすめた。
『俺の中じゃイカレ野郎絶賛継続中だよ』