第十九話 一歩前進
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「「クリスマスパーティー??」」
声が揃ったことに、不機嫌になる爆豪。
「俺ァ参加しねぇぞ」
「しなよー!一人一つ、プレゼント交換もあるからねー!」
「外出許可も、相澤先生からいただきましたわ」
「エリちゃんも楽しんでもらえるようにって、相澤先生が」
芦戸に八百万、緑谷も、爆豪の背中を押してくれる。
「外出許可・・・」
ポツリ呟く轟。そうだ、と思い至り歌恋に聞く。
「そん時に、お母さんに会えるかな」
それに歌恋はこっそりと伝えた。
「大丈夫だよ。そんなに事情話さなくても、みんな軽く流してくれるよ」
「ああ」
それから数日が経ち。"仮免事件"の話が広がり、轟と爆豪が二人でインタビューを受けている。
このやり取りを見るのももう三本目なのだが、いかんせん爆豪は轟と話を合わせようとしない。
今寮で、その三本目の取材の真っ最中だ。
「仮免取得から僅か30分後に、プロ顔負けの活躍!!普段から仲良く訓練されてるんでしょうか?」
「そう見えンなら、眼科か脳外科行った方がいいぜ」
ムスッと答える爆豪に、ほんわかした表情の轟がいる。
「仲は良いです」
「ハァ!?テキトーこいてンじゃねーぞ、いつ仲良くなったんだコラ」
「仮免補講で、二人一緒にいる事多かったろ」
「何だそのシステムは、時間と親交は比例しねェんだよ」
「システムって、何だ?」
「知らねーよ!」
二人のインタビューの受け答えに、クラスメイトは頭を抱えた。主に爆豪に。
12月下旬、あの日答えたインタビューの映像が流れた。
「「アヒャヒャヒャヒャ!!」」
映像を見て爆笑してるのは上鳴と瀬呂だ。
「一時間もインタビュー受けて!!」
「爆豪丸々カット!!見切れっぱなし!」
「ある意味、守ってくれたんやね」
「使えやぁああ・・・!!」
「オールマイトから遠ざかってない・・・?」
「イカレてんだ」
「聞こえてんぞクソデクと玉ァ!!」
「"仮免事件"の好評価が台無し。て、歌恋どうしたの?」
爆豪がカットされているのなら好都合だ。歌恋はギュッと、スマホを抱き締める。
「永久保存版」
「「・・・・・・・・・・」」
耳郞も、轟本人も、彼女に何も言えなくなる。
[初々しくも頼もしい仮免ヒーローでした。彼らには一刻も早くプロとして活動してほしいですね。
泥花市の悲劇を繰り返さない為にも―・・・]
メディアによると、泥花市の悲劇というのは事件から今日で9日、たった20人の暴動約50分程で、
壊滅に追い込まれたというものだった。被害規模は飯田曰く、"神野"以上らしいが、
地方だった為死傷者数は抑えられたよう。ヒーローの失墜を狙った計画的犯行だったとか。
以前だったら、こういったヒーローがハメられた事件に関しては、ヒーローへの避難一色だったが、
時代の節目もある為か、「避難」が「叱咤激励」へと変化しているようだ。
街の人へのインタビューの声も、声援を送ってくれる人が複数取り上げられている。
「「見ろや君」から、なんか違うよね」
麗日が目を大きく見せるように手をもっていき、芦戸もそれを真似している。
「エンデヴァーが頑張ったからかな!」
「・・・・・・・・」
轟は答えない。ヒーローとしての活躍を絶賛するよりも、皆の知らない父親としてのエンデヴァーのあり方に違和感があるから。
ヒーローとして父親として、どう受け止めていいのか迷ってるのかもしれない。
轟に何か一言いってあげようかと歌恋が言葉にするより早く、教室のドアが開いた。
「楽観しないで!!良い風向きに思えるけれど、裏を返せばそこにあるのは"危機"に対する切迫感!
勝利を約束された者への声援は、果たして勝利を願う祈りだったのでしょうか!?
ショービズ色濃くなっていたヒーローに今、真の意味が求められている!」
そこにいるのは、Mt.レディだ。ざわつく教室に、寝袋にいる相澤先生が登場。
「特別講師として招いたんだ。おまえら、露出も増えたしな。ミッドナイトは付添い」
「増えてねンだよ」
丸々カットされた爆豪は致し方ない。
「次から頑張ろーぜ!!」
さすが、爆豪にそう言えるのは切島だ。
「オイラが言うのもアレだけど、一番ショービズに染まってんだろ」
「お黙り!!」
Mt.レディの職場体験に行っていた峰田だからこそ何か分かることがあるのだろう。
彼女を指差していた手は叩かれているが。
「今日行うは「メディア演習」わたしが、ヒーローの立ち振舞いを教授します!!」
「何するかわかんねェが・・・みんなぁ!!プルスウルトラで乗り越えるぜ!!」
皆と一緒に、張り切って外に出る。
「"ヒーローインタビュー"の練習よ!!」
とても緩かった。
「ヒーローショート、こっちへ」
Mt.レディに指名され、轟が用意されている壇上に上がる。
「凄いご活躍でしたね、ショートさん!」
マイクを手に、Mt.レディの質問がスタートする。
「何の話ですか?」
「なんか一仕事終えた体で!はい!」
「はい」
「・・・・・・・・・・・」
何故だろう、女性のアナウンサーにインタビュー受けてる時はなんとも思わなかったのに。
こっそりというわけでもなく、顔を近づけたMt.レディに少しイラッとする歌恋。
「ショートさんはどのようなヒーローを目指しているのでしょう!?」
「俺が来て・・・皆が安心できるような・・・」
「素晴らしい!!あなたみたいなイケメンが助けに来てくれたら、私逆に心臓バクバクよ」
なんという言葉だ。落ち着け、授業だ、授業。ただならぬオーラに、歌恋の近くにいる数名がギョッとしている。
だが、皆が思っていることと違うのが、轟のちょっと抜けている部分だ。
「心臓・・・悪いんですか・・・」
「やだ、なにこの子」
普通・・・というか、複数の男ならこの場合自分に惚れ込んでるからとか思う言葉なのに。彼は違う。
本気で相手を心配する。抜けてるというか、冗談が通じない。
「どのような必殺技をお持ちで?」
壇上から降りると、轟は右手を冷やし、タイムラグなしで氷結を作り出す。
一瞬で冷える空気にこの冬という季節。クラス大半は寒さに震えた。
「穿天氷壁。広域制圧や、足止め・足場づくり等、幅広く使えます。あとは、もう少し手荒な膨冷熱波という技も・・・」
「あれ?B組との対抗戦で使ったヤツは?」
首をかしげる耳郞の隣で、歌恋が「ああ」と声を出す。
「エンデヴァーの赫灼熱拳?」
「うん」
「赫灼熱拳は、親父の技だ」
壇上に戻りながら、顔を二人に向けながら轟が答えてくれた。
「俺はまだ、あいつに及ばない」
「パーソナルなとこまで否定しないけど・・・安心させたいなら笑顔をつくれると良いかもね。
あなたの微笑みなんて見たら、女性はイチコロよ」
「俺が笑うと死ぬ・・・!?」
「もういいわ!」
ああいうやり取りにも、轟には慣れさせた方がいいのかなと思う歌恋だった。
声が揃ったことに、不機嫌になる爆豪。
「俺ァ参加しねぇぞ」
「しなよー!一人一つ、プレゼント交換もあるからねー!」
「外出許可も、相澤先生からいただきましたわ」
「エリちゃんも楽しんでもらえるようにって、相澤先生が」
芦戸に八百万、緑谷も、爆豪の背中を押してくれる。
「外出許可・・・」
ポツリ呟く轟。そうだ、と思い至り歌恋に聞く。
「そん時に、お母さんに会えるかな」
それに歌恋はこっそりと伝えた。
「大丈夫だよ。そんなに事情話さなくても、みんな軽く流してくれるよ」
「ああ」
それから数日が経ち。"仮免事件"の話が広がり、轟と爆豪が二人でインタビューを受けている。
このやり取りを見るのももう三本目なのだが、いかんせん爆豪は轟と話を合わせようとしない。
今寮で、その三本目の取材の真っ最中だ。
「仮免取得から僅か30分後に、プロ顔負けの活躍!!普段から仲良く訓練されてるんでしょうか?」
「そう見えンなら、眼科か脳外科行った方がいいぜ」
ムスッと答える爆豪に、ほんわかした表情の轟がいる。
「仲は良いです」
「ハァ!?テキトーこいてンじゃねーぞ、いつ仲良くなったんだコラ」
「仮免補講で、二人一緒にいる事多かったろ」
「何だそのシステムは、時間と親交は比例しねェんだよ」
「システムって、何だ?」
「知らねーよ!」
二人のインタビューの受け答えに、クラスメイトは頭を抱えた。主に爆豪に。
12月下旬、あの日答えたインタビューの映像が流れた。
「「アヒャヒャヒャヒャ!!」」
映像を見て爆笑してるのは上鳴と瀬呂だ。
「一時間もインタビュー受けて!!」
「爆豪丸々カット!!見切れっぱなし!」
「ある意味、守ってくれたんやね」
「使えやぁああ・・・!!」
「オールマイトから遠ざかってない・・・?」
「イカレてんだ」
「聞こえてんぞクソデクと玉ァ!!」
「"仮免事件"の好評価が台無し。て、歌恋どうしたの?」
爆豪がカットされているのなら好都合だ。歌恋はギュッと、スマホを抱き締める。
「永久保存版」
「「・・・・・・・・・・」」
耳郞も、轟本人も、彼女に何も言えなくなる。
[初々しくも頼もしい仮免ヒーローでした。彼らには一刻も早くプロとして活動してほしいですね。
泥花市の悲劇を繰り返さない為にも―・・・]
メディアによると、泥花市の悲劇というのは事件から今日で9日、たった20人の暴動約50分程で、
壊滅に追い込まれたというものだった。被害規模は飯田曰く、"神野"以上らしいが、
地方だった為死傷者数は抑えられたよう。ヒーローの失墜を狙った計画的犯行だったとか。
以前だったら、こういったヒーローがハメられた事件に関しては、ヒーローへの避難一色だったが、
時代の節目もある為か、「避難」が「叱咤激励」へと変化しているようだ。
街の人へのインタビューの声も、声援を送ってくれる人が複数取り上げられている。
「「見ろや君」から、なんか違うよね」
麗日が目を大きく見せるように手をもっていき、芦戸もそれを真似している。
「エンデヴァーが頑張ったからかな!」
「・・・・・・・・」
轟は答えない。ヒーローとしての活躍を絶賛するよりも、皆の知らない父親としてのエンデヴァーのあり方に違和感があるから。
ヒーローとして父親として、どう受け止めていいのか迷ってるのかもしれない。
轟に何か一言いってあげようかと歌恋が言葉にするより早く、教室のドアが開いた。
「楽観しないで!!良い風向きに思えるけれど、裏を返せばそこにあるのは"危機"に対する切迫感!
勝利を約束された者への声援は、果たして勝利を願う祈りだったのでしょうか!?
ショービズ色濃くなっていたヒーローに今、真の意味が求められている!」
そこにいるのは、Mt.レディだ。ざわつく教室に、寝袋にいる相澤先生が登場。
「特別講師として招いたんだ。おまえら、露出も増えたしな。ミッドナイトは付添い」
「増えてねンだよ」
丸々カットされた爆豪は致し方ない。
「次から頑張ろーぜ!!」
さすが、爆豪にそう言えるのは切島だ。
「オイラが言うのもアレだけど、一番ショービズに染まってんだろ」
「お黙り!!」
Mt.レディの職場体験に行っていた峰田だからこそ何か分かることがあるのだろう。
彼女を指差していた手は叩かれているが。
「今日行うは「メディア演習」わたしが、ヒーローの立ち振舞いを教授します!!」
「何するかわかんねェが・・・みんなぁ!!プルスウルトラで乗り越えるぜ!!」
皆と一緒に、張り切って外に出る。
「"ヒーローインタビュー"の練習よ!!」
とても緩かった。
「ヒーローショート、こっちへ」
Mt.レディに指名され、轟が用意されている壇上に上がる。
「凄いご活躍でしたね、ショートさん!」
マイクを手に、Mt.レディの質問がスタートする。
「何の話ですか?」
「なんか一仕事終えた体で!はい!」
「はい」
「・・・・・・・・・・・」
何故だろう、女性のアナウンサーにインタビュー受けてる時はなんとも思わなかったのに。
こっそりというわけでもなく、顔を近づけたMt.レディに少しイラッとする歌恋。
「ショートさんはどのようなヒーローを目指しているのでしょう!?」
「俺が来て・・・皆が安心できるような・・・」
「素晴らしい!!あなたみたいなイケメンが助けに来てくれたら、私逆に心臓バクバクよ」
なんという言葉だ。落ち着け、授業だ、授業。ただならぬオーラに、歌恋の近くにいる数名がギョッとしている。
だが、皆が思っていることと違うのが、轟のちょっと抜けている部分だ。
「心臓・・・悪いんですか・・・」
「やだ、なにこの子」
普通・・・というか、複数の男ならこの場合自分に惚れ込んでるからとか思う言葉なのに。彼は違う。
本気で相手を心配する。抜けてるというか、冗談が通じない。
「どのような必殺技をお持ちで?」
壇上から降りると、轟は右手を冷やし、タイムラグなしで氷結を作り出す。
一瞬で冷える空気にこの冬という季節。クラス大半は寒さに震えた。
「穿天氷壁。広域制圧や、足止め・足場づくり等、幅広く使えます。あとは、もう少し手荒な膨冷熱波という技も・・・」
「あれ?B組との対抗戦で使ったヤツは?」
首をかしげる耳郞の隣で、歌恋が「ああ」と声を出す。
「エンデヴァーの赫灼熱拳?」
「うん」
「赫灼熱拳は、親父の技だ」
壇上に戻りながら、顔を二人に向けながら轟が答えてくれた。
「俺はまだ、あいつに及ばない」
「パーソナルなとこまで否定しないけど・・・安心させたいなら笑顔をつくれると良いかもね。
あなたの微笑みなんて見たら、女性はイチコロよ」
「俺が笑うと死ぬ・・・!?」
「もういいわ!」
ああいうやり取りにも、轟には慣れさせた方がいいのかなと思う歌恋だった。