第十九話 一歩前進
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12月。寒さで目が覚めた。部屋のカーテンを開ければ、外は雪が降っている。
「さむい・・・」
部屋はすっかり、皆とやった部屋王から随分変わり冬使用になっていた。
寒くないように暖かい格好をして女子のスペースから、皆いないのを確認し、共有スペースに行く。
「おはよー」
「おはよー」
「おう」
それぞれ挨拶すれば、挨拶を返してくれる。
「雪だー!!」
「心頭滅却乾布で摩擦!」
「布濡れますわよ」
「転ばないようにな!」
皆元気だなーと思いながら、ふと歌恋の視界にうずくまる蛙吹がいる。
「あれ、梅雨ちゃんどうしたの?」
珍しく、彼女はソファーの上で体を丸め眠っているように見えた。
「蛙の"個性"やからかな、動かんくなった」
「ああ、成る程」
歌恋が炎が苦手なように。それと一緒なのだろう。
(冬眠・・・)
「ドア閉めてー、梅雨ちゃん動かん」
「わー、ごめん梅雨ちゃん」
ドアの近くにいた耳郞が、麗日に答えドアを閉めてくれる。
「瀬呂くん、おはよー」
「はよー登坂」
彼はどうやら今から朝食のようだ。
「一緒にいい?皆もう食べたんだ」
「らしいな。俺も寒いの苦手だなー」
「積雪情報みようぜー」
テレビのリモコンは、大抵いつも上鳴が占領している。まぁ、彼がよくかけるのはニュースとか天気予報とかが多いが。
「ねぇ、轟たち何時くらいに帰って来るか聞いてる?漫画の続き借りてェの」
「確か、6時くらいって言ってたよ」
瀬呂に聞かれ答える歌恋。それに付け加えるように、飯田が言った。
「仮免補講最終日―・・・!二人が今日テストで合格すれば、晴れてA組全員仮免取得だ!」
耳郞が、暖かい飲み物を入れたマグカップを手に、歌恋の隣に座る。
「今頃テスト中かねぇ、大丈夫かなぁ」
意気揚々と答えるのは、葉隠だ。
「大丈夫でしょ!爆豪くんも最近、感じ良いし!悪いけど!」
(いやぁ、どっちよ透ちゃん)
思わず苦笑いしてしまう。
「俺があの二人に勝ってたのが、仮免持ちっつーとこだったのになー」
「チンケな事言うなよ」
「おまえだけの良さは多々あろうに」
「上鳴チン気」
「んだそりゃ!障子ありがとう」
言うなら、皆がいるこの時かも知れない。歌恋は耳郞と顔を合わせ、そして八百万を見る。
「ねぇ、皆!聞いて!」
思いきって、言ってみた。大好きなクラスメイトに、このクラスで本当に良かった。
今朝降った雪は積もる事なく、歌恋は耳郞と勉強しながら轟を待つ。
「あっ」
スマホの画面が光る。慌てて確認すると、轟からだ。
「受かったって!爆豪くんも!」
「「よっしゃ!」」
「「イエーイ!」」
「やったね!」
「それではさっそく、相澤先生にお話をしてまいりますわ」
「委員長たるもの、良き報告を持ってくる」
クリスマスパーティーの話は、委員長と副委員長の二人が相澤先生に通してくれるようだ。
==========
「入れ喰いじゃーー!!」
「バッグ盗られた!!」
「返してーー!!」
「何だこの水、炭酸・・・!?」
仮免からの帰りのタクシーの中、目の前で繰り広げられている騒ぎのせいで車が動かない。
痺れを切らす爆豪が、口を開く。
「おい、あれ」
「んん!?トラブルか!?」
「ヒーローは?」
「・・・発生直後か。だが、30秒もしないうちに・・・」
「じゃー俺が行くぜ」
「ム!?いや、まずは周囲の状況を」
「確認した。避難誘導はあんたが頼む」
「あなたは戦えねぇが、俺たちは戦える」
「リーダー!!休日は量が違うな量が!」
「お財布の濁流じゃ~~!!」
市民を襲う波に乗りながら浮き足立つヴィランたち。そんな中、濁流の勢いを止めるように氷が道を塞いでいく。
付き添いで一緒に乗っていたオールマイトが、慌ててタクシーから降りた。
「そうだけど!!まだ取って30分だぞ!!」
「30分」
凍らせた濁流を、爆破で粉々にしながら、爆豪が問いかけた。
「んじゃ、何分経ちゃヒーローになれンだよ?」
「何じゃてめぇら、ヒーロー気取りかぁ~~!?」
オールマイトが避難誘導し、逃げる人々を背に、ヴィランと向き合う轟。
「その財布やバッグ、人のモン盗ったらダメだ」
再びヴィランのリーダーであろう相手を凍らせるが。
「てめェエ~こんな氷でェエ・・・諦めると思ったンかこの俺がァ!!俺たちゃ今日この時の為に、
周辺のパトロールパターンを徹底調査してきた!年末近いこの時期に!1ヶ月も費やしてだ!
人が多く、且つヒーローの目が無くなる一瞬!!それが今、この場所!!」
「働け」
「予定潰れて残念だったな」
「残念!?違うな、甘いぜ高校生。学生ってやつは認識が甘い!いいか!?
俺は炭酸水を操る男!刺激を求めて生きる者!学校帰りのてめぇらよりも、よっぽど覚悟が決まってる!
「必ず逃げる」という覚悟がなァ!!」
もう一度逃げ出そうとするヴィランに一人残らず爆破させるのは、爆豪。
やられていく手下を見て、リーダーの足が止まる。
「オイオイ、気絶しやがった!足止め程度に抑えたつもりだぜ!?てめーら覚悟はねェのかよ!
痛ェ目ェ見る、覚悟がよォ!!」
「あるワケねェだろ!!」
炭酸水を噴射させ、爆豪に間合いを入らせない。
「おっおォおっ、おお強っ過ぎじゃああ!!」
暴れる"個性"に、辺りの建物に被害が及ぶ。その時、避難誘導列からふらりと離れる女性。
「雪と氷のカーニバル・・・!」
激しくも、美しく繰り広げられる光景を写真に納めようとスマホを手にしている。
「お嬢さん!!ダメだ!!」
敵の"個性"で切られる街道。
その街道が、女性目掛けに落ちていく。オールマイトが女性を庇い身を屈める。
ボォンと、爆豪の爆破でそれを吹っ飛ばした。
「ひっ」
「自殺なら他所でやれ!」
尚暴れるリーダーに、これ以上の被害を出さない為にはしょうがない。
「手荒になるがしょうがねぇ」
左の袖をまくり、熱をこもらせていく。そして、一瞬で片付けた。
「膨冷熱波!!」
冷えていた空気が一瞬で膨張し、高熱により爆風が起きる。気絶したヴィランに轟は、一言呟いた。
「炭酸って、温めると抜けるンだよな」
「てめー、今の、体育祭でクソデクに使ったやつか」
「あれより抑えた。怪我ねェか?」
「ねェわクソが!俺をバカにしてんのか!」
「女の人の方は?」
「ねェわクソが!」
「おーい、二人とも大丈夫かい!?」
オールマイトがヒーローと一緒に駆け寄ってくる。
「やや!?君は雄英のヤバイ子だね!?」
爆豪を見て、ヒーローの一言。
「語彙力この野郎」
「これを―・・・君たちでやってくれたのか」
「通行人のバッグ等を強奪していました。確認した限りの人数、全て取り押さえてます」
轟が現状を伝え、ヒーローが聞き返す。
「盗品の方は―・・・」
「ん」
爆豪の視線の先に、バッグの山がある。
「燃えカスになる前にパクっといた」
「完璧じゃないか!!」
逃げる間もなく、ヒーローに抱き締められる二人。
「凄いぞ、学生とは思えない!!ありがとう!!ありがとう、君たちは未来のトップヒーローだ!!
後は、このスライディン・ゴーに任せてくれ!!」
すると、どこからともかく爆発音がした。振り向くと、ヴィランリーダーが扱っていたコテが壊れたらしい。
「コテ、爆発したぞ」
自身もコテを使う者として、少々爆豪は驚いたのだろう。
「したね!闇市製の粗悪品を使うからだ!」
「凄いな、二人とも」
ポンと、オールマイトに頭を撫でられる。
「あっす」
「ンガッ」
あまり褒められ慣れない二人。どう反応していいのか迷ってしまった。
照れ隠しが表に出てしまう。
いや、あのオールマイトだからこそ、かもしれないが。
「さァ、帰ろう。お腹すいてるだろ」
「氷、溶かさなきゃ」
「俺手伝わねーぞ」
一年A組、寮。
「ただいまー」
大好きな人の声がする。その姿を見て、歌恋は笑顔になった。
「おかえり!」
「あ?」
「歌恋だけか?」
「セーノ!」
歌恋の合図で、みんな手に隠しもっていたクラッカーを鳴らした。
まさかの歓迎に、ポカンとした表情を見せる轟に爆豪。
「「「おめでとー!!」」」
「ンだそれ!?」
「仮免取得、おめでとう!」
「やったね、かっちゃん!」
「ああ!?」
「轟さん!」
「おめでとう」
「ああ」
これでA組、晴れてみんな仮免合格である。
「さむい・・・」
部屋はすっかり、皆とやった部屋王から随分変わり冬使用になっていた。
寒くないように暖かい格好をして女子のスペースから、皆いないのを確認し、共有スペースに行く。
「おはよー」
「おはよー」
「おう」
それぞれ挨拶すれば、挨拶を返してくれる。
「雪だー!!」
「心頭滅却乾布で摩擦!」
「布濡れますわよ」
「転ばないようにな!」
皆元気だなーと思いながら、ふと歌恋の視界にうずくまる蛙吹がいる。
「あれ、梅雨ちゃんどうしたの?」
珍しく、彼女はソファーの上で体を丸め眠っているように見えた。
「蛙の"個性"やからかな、動かんくなった」
「ああ、成る程」
歌恋が炎が苦手なように。それと一緒なのだろう。
(冬眠・・・)
「ドア閉めてー、梅雨ちゃん動かん」
「わー、ごめん梅雨ちゃん」
ドアの近くにいた耳郞が、麗日に答えドアを閉めてくれる。
「瀬呂くん、おはよー」
「はよー登坂」
彼はどうやら今から朝食のようだ。
「一緒にいい?皆もう食べたんだ」
「らしいな。俺も寒いの苦手だなー」
「積雪情報みようぜー」
テレビのリモコンは、大抵いつも上鳴が占領している。まぁ、彼がよくかけるのはニュースとか天気予報とかが多いが。
「ねぇ、轟たち何時くらいに帰って来るか聞いてる?漫画の続き借りてェの」
「確か、6時くらいって言ってたよ」
瀬呂に聞かれ答える歌恋。それに付け加えるように、飯田が言った。
「仮免補講最終日―・・・!二人が今日テストで合格すれば、晴れてA組全員仮免取得だ!」
耳郞が、暖かい飲み物を入れたマグカップを手に、歌恋の隣に座る。
「今頃テスト中かねぇ、大丈夫かなぁ」
意気揚々と答えるのは、葉隠だ。
「大丈夫でしょ!爆豪くんも最近、感じ良いし!悪いけど!」
(いやぁ、どっちよ透ちゃん)
思わず苦笑いしてしまう。
「俺があの二人に勝ってたのが、仮免持ちっつーとこだったのになー」
「チンケな事言うなよ」
「おまえだけの良さは多々あろうに」
「上鳴チン気」
「んだそりゃ!障子ありがとう」
言うなら、皆がいるこの時かも知れない。歌恋は耳郞と顔を合わせ、そして八百万を見る。
「ねぇ、皆!聞いて!」
思いきって、言ってみた。大好きなクラスメイトに、このクラスで本当に良かった。
今朝降った雪は積もる事なく、歌恋は耳郞と勉強しながら轟を待つ。
「あっ」
スマホの画面が光る。慌てて確認すると、轟からだ。
「受かったって!爆豪くんも!」
「「よっしゃ!」」
「「イエーイ!」」
「やったね!」
「それではさっそく、相澤先生にお話をしてまいりますわ」
「委員長たるもの、良き報告を持ってくる」
クリスマスパーティーの話は、委員長と副委員長の二人が相澤先生に通してくれるようだ。
==========
「入れ喰いじゃーー!!」
「バッグ盗られた!!」
「返してーー!!」
「何だこの水、炭酸・・・!?」
仮免からの帰りのタクシーの中、目の前で繰り広げられている騒ぎのせいで車が動かない。
痺れを切らす爆豪が、口を開く。
「おい、あれ」
「んん!?トラブルか!?」
「ヒーローは?」
「・・・発生直後か。だが、30秒もしないうちに・・・」
「じゃー俺が行くぜ」
「ム!?いや、まずは周囲の状況を」
「確認した。避難誘導はあんたが頼む」
「あなたは戦えねぇが、俺たちは戦える」
「リーダー!!休日は量が違うな量が!」
「お財布の濁流じゃ~~!!」
市民を襲う波に乗りながら浮き足立つヴィランたち。そんな中、濁流の勢いを止めるように氷が道を塞いでいく。
付き添いで一緒に乗っていたオールマイトが、慌ててタクシーから降りた。
「そうだけど!!まだ取って30分だぞ!!」
「30分」
凍らせた濁流を、爆破で粉々にしながら、爆豪が問いかけた。
「んじゃ、何分経ちゃヒーローになれンだよ?」
「何じゃてめぇら、ヒーロー気取りかぁ~~!?」
オールマイトが避難誘導し、逃げる人々を背に、ヴィランと向き合う轟。
「その財布やバッグ、人のモン盗ったらダメだ」
再びヴィランのリーダーであろう相手を凍らせるが。
「てめェエ~こんな氷でェエ・・・諦めると思ったンかこの俺がァ!!俺たちゃ今日この時の為に、
周辺のパトロールパターンを徹底調査してきた!年末近いこの時期に!1ヶ月も費やしてだ!
人が多く、且つヒーローの目が無くなる一瞬!!それが今、この場所!!」
「働け」
「予定潰れて残念だったな」
「残念!?違うな、甘いぜ高校生。学生ってやつは認識が甘い!いいか!?
俺は炭酸水を操る男!刺激を求めて生きる者!学校帰りのてめぇらよりも、よっぽど覚悟が決まってる!
「必ず逃げる」という覚悟がなァ!!」
もう一度逃げ出そうとするヴィランに一人残らず爆破させるのは、爆豪。
やられていく手下を見て、リーダーの足が止まる。
「オイオイ、気絶しやがった!足止め程度に抑えたつもりだぜ!?てめーら覚悟はねェのかよ!
痛ェ目ェ見る、覚悟がよォ!!」
「あるワケねェだろ!!」
炭酸水を噴射させ、爆豪に間合いを入らせない。
「おっおォおっ、おお強っ過ぎじゃああ!!」
暴れる"個性"に、辺りの建物に被害が及ぶ。その時、避難誘導列からふらりと離れる女性。
「雪と氷のカーニバル・・・!」
激しくも、美しく繰り広げられる光景を写真に納めようとスマホを手にしている。
「お嬢さん!!ダメだ!!」
敵の"個性"で切られる街道。
その街道が、女性目掛けに落ちていく。オールマイトが女性を庇い身を屈める。
ボォンと、爆豪の爆破でそれを吹っ飛ばした。
「ひっ」
「自殺なら他所でやれ!」
尚暴れるリーダーに、これ以上の被害を出さない為にはしょうがない。
「手荒になるがしょうがねぇ」
左の袖をまくり、熱をこもらせていく。そして、一瞬で片付けた。
「膨冷熱波!!」
冷えていた空気が一瞬で膨張し、高熱により爆風が起きる。気絶したヴィランに轟は、一言呟いた。
「炭酸って、温めると抜けるンだよな」
「てめー、今の、体育祭でクソデクに使ったやつか」
「あれより抑えた。怪我ねェか?」
「ねェわクソが!俺をバカにしてんのか!」
「女の人の方は?」
「ねェわクソが!」
「おーい、二人とも大丈夫かい!?」
オールマイトがヒーローと一緒に駆け寄ってくる。
「やや!?君は雄英のヤバイ子だね!?」
爆豪を見て、ヒーローの一言。
「語彙力この野郎」
「これを―・・・君たちでやってくれたのか」
「通行人のバッグ等を強奪していました。確認した限りの人数、全て取り押さえてます」
轟が現状を伝え、ヒーローが聞き返す。
「盗品の方は―・・・」
「ん」
爆豪の視線の先に、バッグの山がある。
「燃えカスになる前にパクっといた」
「完璧じゃないか!!」
逃げる間もなく、ヒーローに抱き締められる二人。
「凄いぞ、学生とは思えない!!ありがとう!!ありがとう、君たちは未来のトップヒーローだ!!
後は、このスライディン・ゴーに任せてくれ!!」
すると、どこからともかく爆発音がした。振り向くと、ヴィランリーダーが扱っていたコテが壊れたらしい。
「コテ、爆発したぞ」
自身もコテを使う者として、少々爆豪は驚いたのだろう。
「したね!闇市製の粗悪品を使うからだ!」
「凄いな、二人とも」
ポンと、オールマイトに頭を撫でられる。
「あっす」
「ンガッ」
あまり褒められ慣れない二人。どう反応していいのか迷ってしまった。
照れ隠しが表に出てしまう。
いや、あのオールマイトだからこそ、かもしれないが。
「さァ、帰ろう。お腹すいてるだろ」
「氷、溶かさなきゃ」
「俺手伝わねーぞ」
一年A組、寮。
「ただいまー」
大好きな人の声がする。その姿を見て、歌恋は笑顔になった。
「おかえり!」
「あ?」
「歌恋だけか?」
「セーノ!」
歌恋の合図で、みんな手に隠しもっていたクラッカーを鳴らした。
まさかの歓迎に、ポカンとした表情を見せる轟に爆豪。
「「「おめでとー!!」」」
「ンだそれ!?」
「仮免取得、おめでとう!」
「やったね、かっちゃん!」
「ああ!?」
「轟さん!」
「おめでとう」
「ああ」
これでA組、晴れてみんな仮免合格である。