第十八話 決着
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B組の面々が帰り、落ち着いた深夜の時間。
「まだ起きてんのか?」
いつもの夜更かし組も、そろそろ自室に戻る頃、切島に声をかけられる。
「ああ」
「あと少しだけ」
カップにホットミルクの残りを見せるように、頷く轟の隣で歌恋が言う。
「じゃあ、最後の戸締まりとかお願いしていい?」
「大丈夫だよ」
「ありがとう、おやすみ」
「おやすみー」
尾白に上鳴に。女子の皆はもうすでに女子寮の方に行っているため、共有スペースにいた数人の人に言葉をかわす。
自分達の部屋にお互い行くのでもいいだろうが、皆もう二人の関係に何も言わない。
ごく自然と、当たり前の風景になってきたからかもしれないけれど。(まぁ、やはり峰田は煩いが)
共有スペースで、静かになった二人だけの空間。歌恋は轟の右肩に頭を乗せた。
「眠いよー」
なんて甘えてぐずってみる。
「・・・今から、やっぱやめとくか?」
やっと二人になれたけれど、さすがに今日の授業は疲れたかと心配になる。
「ううん、聞く。早い方がいいでしょ」
猫のように自分に身を預けてくれる彼女。少し乗る彼女の体温に重さは、嫌いじゃない。寧ろ居心地がいい。
「・・・もう知ってると思うけど、俺には冬美姉さんと、夏雄兄さんがいる」
「うん」
「あと、もう一人・・・燈矢兄さんがいた」
轟の言い方に、引っ掛かりを覚える。
「・・・いた?」
「いまは、もういない・・・。俺は小さい頃、三人と一緒に遊んだ覚えがあまりねぇんだ。
物心ついて、俺はオールマイトを越えさせようとしごかれ初めてから。ずっと俺は別に行動させられていた。
親父はよく言ってたよ。燈矢兄さんは惜しかったって。その燈矢兄さんを殺したのも、親父だって」
「・・・・・・・・どうして、教えてくれる気になったの?」
そんなに辛く・・・きっと心の何処かにそっととどめておいたものだと思うのに。
「それは・・・俺には歌恋が必要だから。そのために、秘密にしておくのはやめようって。
いつかきっと、知る日が来ると思うから。歌恋と一緒なら、乗り越えられる気がするから」
「焦凍・・・」
「実は後、冬休みの間お母さんに会えれば会っておこうと思ってる。その時に、連れて来てほしいって」
その言葉に、歌恋は目を見開く。
「それって・・・」
「歌恋の事だよ。会いたいって。ついでに、姉さんも。勝手に話進めてて、悪いが・・・」
「ううん。私が、会ってもいいのかな・・・」
なんだか恥ずかしい。
「大丈夫だ。前に一度言ったかもしんねぇけど、俺だけが幸せにはまだ慣れない。
ちゃんと、お母さんたちには知ってて欲しいから。親父には・・・まだどうするか、決めてねぇけど」
嬉しくて、でもなんだか照れ臭くて。ギュッと、轟の腰に腕を回して抱きつく。
「嬉しい・・・本当は、もっと焦凍と遊びに行きたい。買い物に行きたい。こんな狭い空間だけじゃなくて、
もっといろんな場所に二人で行ってみたかった。新しいモノとか知らなかった事とか、
二人で探検して冒険して。普通に怪我なんてしないで、痛みなんか知らないで、隣で笑い合いたかった」
「歌恋・・・」
「もっと違う形で焦凍と出会えてたらよかったのにって、たまにおもっちゃうの。
ヒーローなんて、やっぱり危険はつきもので。いつ死んでしまうかだって分からなくて。
ごめんなさい・・・今でも十分、幸せなのに」
「・・・いまは学生だから時間で縛られてるが、大人になれば出来る。俺がもう、不安になんかさせない」
「うん・・・なんか、ホークスの気持ちやっとわかった気がする」
「?」
「ヒーローが暇をもて余すとかなんとかって。最初はなに言ってんのかなーって思ったけど。
ヒーローにだって、こういった時間は必要なんだってこと」
「そうか・・・でも、そうだな。歌恋とはもっと、普通の時間を過ごしたいな」
「大人になれば出来るんでしょ?」
雰囲気で、流れで、なんとなくお互い気持ちが通じたのかもしれない。どちらからとなく、キスをする。
「「・・・・・・・・・」」
深夜のテンションのスイッチが、入りそうだ。
「・・・ここじゃ、まずいよな」
「さすがに・・・今日は、部屋戻るよ」
最後に共有スペースの電気を消して、おやすみと告げて部屋に戻る。
「・・・・・・はぁ・・・・・・」
ため息とともに、歌恋は崩れるようにしゃがみこむ。緊張した。なんで今さらと、苦笑する。
「焦凍・・・」
まだ知らなかった彼の過去。どれだけあのエンデヴァーに酷くさせられていたのだろう。
端から見ればただの、ちょっと度が行き過ぎた親バカのイメージだったけれど。
お兄さんお姉さんと別に、たぶん最高傑作として特別だったのだろう。普段から別行動させられて。
文化祭の時も言っていた。お祭りとか、きっと皆で楽しめる行事とかもやったことないのかもしれない。
「クリスマス・・・クリスマスパーティー、プレゼント。プレゼント・・・」
ショッピングモールで耳郞と八百万と見た、ペアルック。
「そうだ!」
「「「クリスマスパーティー?」」」
次の日。女子のスペースで皆に話してみる。
「そう!クラスの皆でクリスマスパーティー!やりたい!」
歌恋のその楽しげなキーワードに賛成してくれるのは、芦戸と葉隠だ。
「いいね!やろうよ!」
「楽しそうー!それならいろんなん買い集めなきゃ!」
「クリスマスパーティー、楽しそうですが・・・やっても大丈夫でしょうか」
そう、八百万が心配するのもわかる。でも、これは歌恋にとっても重要なのだ。
「皆で外出許可出せば相澤先生も怖くない」→歌恋
「24日は、皆の特別な日やもん。大丈夫さ!」→麗日
「少しは羽休みって感じでいいんじゃない?」→耳郞
「でもその前に、爆豪ちゃんと轟ちゃんの仮免補講のテストがあるわ」
蛙吹の言葉に、空気が一瞬でかわった。
「二人が合格しなければ、また相澤先生になにを言われるか・・・」
考え込む八百万に、なにも言い返せない。
「じゃ、じゃあ!それが終わってから男子には言う!それなら問題ないよね」
「歌恋、そんな張り切ってなんかあった?」
さすが鋭い、一番の親友の耳郞。
「別に、何も」
昨日の気持ちはひた隠す。
(ごめんね、響香ちゃん。ただ焦凍に、楽しい時間を過ごすの増やしてあげたいんだなんて、恥ずかしくて言えない)
暗い思いだけの過去だけじゃなく、楽しい今を。
「まだ起きてんのか?」
いつもの夜更かし組も、そろそろ自室に戻る頃、切島に声をかけられる。
「ああ」
「あと少しだけ」
カップにホットミルクの残りを見せるように、頷く轟の隣で歌恋が言う。
「じゃあ、最後の戸締まりとかお願いしていい?」
「大丈夫だよ」
「ありがとう、おやすみ」
「おやすみー」
尾白に上鳴に。女子の皆はもうすでに女子寮の方に行っているため、共有スペースにいた数人の人に言葉をかわす。
自分達の部屋にお互い行くのでもいいだろうが、皆もう二人の関係に何も言わない。
ごく自然と、当たり前の風景になってきたからかもしれないけれど。(まぁ、やはり峰田は煩いが)
共有スペースで、静かになった二人だけの空間。歌恋は轟の右肩に頭を乗せた。
「眠いよー」
なんて甘えてぐずってみる。
「・・・今から、やっぱやめとくか?」
やっと二人になれたけれど、さすがに今日の授業は疲れたかと心配になる。
「ううん、聞く。早い方がいいでしょ」
猫のように自分に身を預けてくれる彼女。少し乗る彼女の体温に重さは、嫌いじゃない。寧ろ居心地がいい。
「・・・もう知ってると思うけど、俺には冬美姉さんと、夏雄兄さんがいる」
「うん」
「あと、もう一人・・・燈矢兄さんがいた」
轟の言い方に、引っ掛かりを覚える。
「・・・いた?」
「いまは、もういない・・・。俺は小さい頃、三人と一緒に遊んだ覚えがあまりねぇんだ。
物心ついて、俺はオールマイトを越えさせようとしごかれ初めてから。ずっと俺は別に行動させられていた。
親父はよく言ってたよ。燈矢兄さんは惜しかったって。その燈矢兄さんを殺したのも、親父だって」
「・・・・・・・・どうして、教えてくれる気になったの?」
そんなに辛く・・・きっと心の何処かにそっととどめておいたものだと思うのに。
「それは・・・俺には歌恋が必要だから。そのために、秘密にしておくのはやめようって。
いつかきっと、知る日が来ると思うから。歌恋と一緒なら、乗り越えられる気がするから」
「焦凍・・・」
「実は後、冬休みの間お母さんに会えれば会っておこうと思ってる。その時に、連れて来てほしいって」
その言葉に、歌恋は目を見開く。
「それって・・・」
「歌恋の事だよ。会いたいって。ついでに、姉さんも。勝手に話進めてて、悪いが・・・」
「ううん。私が、会ってもいいのかな・・・」
なんだか恥ずかしい。
「大丈夫だ。前に一度言ったかもしんねぇけど、俺だけが幸せにはまだ慣れない。
ちゃんと、お母さんたちには知ってて欲しいから。親父には・・・まだどうするか、決めてねぇけど」
嬉しくて、でもなんだか照れ臭くて。ギュッと、轟の腰に腕を回して抱きつく。
「嬉しい・・・本当は、もっと焦凍と遊びに行きたい。買い物に行きたい。こんな狭い空間だけじゃなくて、
もっといろんな場所に二人で行ってみたかった。新しいモノとか知らなかった事とか、
二人で探検して冒険して。普通に怪我なんてしないで、痛みなんか知らないで、隣で笑い合いたかった」
「歌恋・・・」
「もっと違う形で焦凍と出会えてたらよかったのにって、たまにおもっちゃうの。
ヒーローなんて、やっぱり危険はつきもので。いつ死んでしまうかだって分からなくて。
ごめんなさい・・・今でも十分、幸せなのに」
「・・・いまは学生だから時間で縛られてるが、大人になれば出来る。俺がもう、不安になんかさせない」
「うん・・・なんか、ホークスの気持ちやっとわかった気がする」
「?」
「ヒーローが暇をもて余すとかなんとかって。最初はなに言ってんのかなーって思ったけど。
ヒーローにだって、こういった時間は必要なんだってこと」
「そうか・・・でも、そうだな。歌恋とはもっと、普通の時間を過ごしたいな」
「大人になれば出来るんでしょ?」
雰囲気で、流れで、なんとなくお互い気持ちが通じたのかもしれない。どちらからとなく、キスをする。
「「・・・・・・・・・」」
深夜のテンションのスイッチが、入りそうだ。
「・・・ここじゃ、まずいよな」
「さすがに・・・今日は、部屋戻るよ」
最後に共有スペースの電気を消して、おやすみと告げて部屋に戻る。
「・・・・・・はぁ・・・・・・」
ため息とともに、歌恋は崩れるようにしゃがみこむ。緊張した。なんで今さらと、苦笑する。
「焦凍・・・」
まだ知らなかった彼の過去。どれだけあのエンデヴァーに酷くさせられていたのだろう。
端から見ればただの、ちょっと度が行き過ぎた親バカのイメージだったけれど。
お兄さんお姉さんと別に、たぶん最高傑作として特別だったのだろう。普段から別行動させられて。
文化祭の時も言っていた。お祭りとか、きっと皆で楽しめる行事とかもやったことないのかもしれない。
「クリスマス・・・クリスマスパーティー、プレゼント。プレゼント・・・」
ショッピングモールで耳郞と八百万と見た、ペアルック。
「そうだ!」
「「「クリスマスパーティー?」」」
次の日。女子のスペースで皆に話してみる。
「そう!クラスの皆でクリスマスパーティー!やりたい!」
歌恋のその楽しげなキーワードに賛成してくれるのは、芦戸と葉隠だ。
「いいね!やろうよ!」
「楽しそうー!それならいろんなん買い集めなきゃ!」
「クリスマスパーティー、楽しそうですが・・・やっても大丈夫でしょうか」
そう、八百万が心配するのもわかる。でも、これは歌恋にとっても重要なのだ。
「皆で外出許可出せば相澤先生も怖くない」→歌恋
「24日は、皆の特別な日やもん。大丈夫さ!」→麗日
「少しは羽休みって感じでいいんじゃない?」→耳郞
「でもその前に、爆豪ちゃんと轟ちゃんの仮免補講のテストがあるわ」
蛙吹の言葉に、空気が一瞬でかわった。
「二人が合格しなければ、また相澤先生になにを言われるか・・・」
考え込む八百万に、なにも言い返せない。
「じゃ、じゃあ!それが終わってから男子には言う!それなら問題ないよね」
「歌恋、そんな張り切ってなんかあった?」
さすが鋭い、一番の親友の耳郞。
「別に、何も」
昨日の気持ちはひた隠す。
(ごめんね、響香ちゃん。ただ焦凍に、楽しい時間を過ごすの増やしてあげたいんだなんて、恥ずかしくて言えない)
暗い思いだけの過去だけじゃなく、楽しい今を。