第十八話 決着
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「本トね!緑谷くんの暴走に対して心操くんはもちろん、麗日さんの迅速な判断素晴らしかったわ」
意気揚々と講評してくれるのは、引き続きミッドナイト。
「友を落ち着かせる為に体を張って止めに出る!そうよ、そういうのでいいの!好きよ!」
そして続けざまに言うのは芦戸。
「麗日、ぴゅーんってすぐ飛んでいったもんねぇ。はやかったもんねぇ。ガッと、抱きついたもんねぇ!」
なんという表情をしてるんだい、芦戸さん。
(・・・もし、私が焦凍を角取さんから助けに行ってたら・・・)
歌恋は隣にいる轟の横顔を見る。視線に気付いたのか、轟も目を向けた。
「ん?」
目線が合って、恥ずかしくて何事もなかったかのようにすぐ反らす。
「?」
横目から僅にか入った。首を傾げる轟が。
もろに指摘された麗日は、歌恋よりも顔を真っ赤にしている。
「考え無しに飛び出しちゃったので、もうちょい冷静にならんといかんでした・・・。
でも・・・何も出来なくて後悔するよりは、良かったかな」
そんな麗日に、珍しく相澤先生が褒めている。
「良い成長をしてるな、麗日」
(可愛いなぁお茶子ちゃん。緑谷くんに言っちゃえばいいのに)
あの時、自分が耳郎みたいに麗日に対して何も言ってあげれなかったことが悔やまれる。
もっと、時間があればよかった。いや、この授業が終わったあとでも言ってあげればいいのかもしれない。
もちろんそれは、芦戸たちがいない場所でこっそりと。話を聞いてあげよう。
そして、ミッドナイトに講評してもらった心操も。
「・・・俺は、別に緑谷の為だけじゃないです。麗日に指示されて動いただけで。ていうか・・・、
柳さんたちにも黒いのに襲われてるのが見えた。あれが収まんなかったら、
どっちみちB組の負けは濃厚だった。俺は緑谷と戦って、勝ちたかったから止めました。
偶々そうなっただけで、俺の心は自分の事だけで精一杯でした」
相澤先生がとった行動に、誰もが驚く。
「「「!!?」」」
何せ、捕縛布で心操の首を閉めたからだ。
「誰もおまえに、そこまで求めてないよ。ここにいる皆、誰かを救えるヒーローになる為の訓練を、日々積んでいるんだ。
いきなりそこまで到達したら、それこそオールマイト級の天才だ。人の為に。
その思いばかり先行しても、人は救えない。自分一人でどうにかする力が無ければ、他人なんて守れない。
その点で言えば、おまえの動きは充分及第点だった」
「心操くん」
少し暴力的だが、最後は褒めてくれた相澤先生の言葉に、方針状態になりそうになる。
再び緑谷に名前を呼ばれ、顔を向ける心操。
「最後のアレ、乱戦に誘って自分の得意な戦いに戻そうとしてたよね!
パイプ落下での足止めもめちゃ速かったし、移動時の捕縛布の使い方なんか、相澤先生だった。
第1セットの時は、正直チームの力が心操くんを活かしたと思ってた・・・!
けど、決してそれだけじゃなかった。心操くんの状況判断も動きも、ヒーロー科の皆と遜色ないくらい凄くて、焦った!
誰かの為の強さで言うなら、僕の方がダメダメだった」
そして、ブラドキング先生が言った。
「これから改めて審査に入るが、恐らく・・・いや、十中八九!心操は2年からヒーロー科に入ってくる。
おまえら、中途に張り合われてんじゃないぞ」
「おおー!!どっちー!?」
「Aー!?Bー!?」
「その辺はおいおいだ。まだ講評続いてるぞ」
「てゆーか、先生ー」
手を上げるのは芦戸。
「峰田最低だったんで、断罪して下さーい」
「はァ!?オイラは庄田たちを体張って翻弄したんだが!?」
「フフ・・・今回は確かに僕らB組にクロ星がついた。しかし!!内容に於いては決して負けてはいなかった!
緑谷くんの"個性"がスカだとわかれば、それに応じた策を練れる!つまりだよ!?
今からもう一回やれば、次はわからない!!」
「やんねぇよ。もう今日の授業終わりだ」
やる気満々の物間に、冷めた声色で言うブラドキング先生。
ふと、緑谷は思い出す。
(そういえば・・・庄田くんの"個性"が発動したってことは、僕、触られてたんだよな・・・。
オール・フォー・ワン、オールマイトに話を聞いた時、四肢が爆散するって言ってたから焦ったけど・・・、
"スカ"って、何だ?)
「ああ、そうだ。話のついでで悪いが物間、ちょっと明日エリちゃんのとこ来い」
久しぶりに相澤先生から出たエリちゃんという名前。いったい、物間と合わせて何をするのだろう。
けどそれは、歌恋には関係のないこと。後で緑谷辺りに話を聞いてみればいい。
授業が終わりその日の夜。普段より騒がしいA組の寮は、B組の何人かが遊びに来ている。
「歌恋、緑谷みなかったか?」
夕食のビーフシチューをおかわりする歌恋に、先に食べ終えている轟が声をかける。
「ん?みてないよ」
期待していた答えと違い、轟は肩を落とす。
「部屋は?」
「チャイム鳴らしても出なかった」
「そっか・・・どうしたんだろう?」
「・・・"個性"のこと、聞きたかったんだが・・・歌恋が食べ終わる前にと」
そうだ。轟は、兄弟の事を話してくれると言ってくれた。でも、お姉さんとお兄さんがいるのは知っている。
電話やラインで、時々連絡をしてるのは知っているから。だからなんで今さらなのか疑問だった。
「焦凍のお姉さん達の話、ここじゃダメなの?」
椅子に座り、ビーフシチューを口に運びながら聞いてみる。
「それは・・・ちょっと・・・」
「?」
「クソが、つまんねぇ。あっ」
なにやら不機嫌な爆豪が、皆と少し遅れての夕食スタートしようとするが。
「「・・・・・・・・」」
テーブルに座る歌恋と、彼女の隣で立っている轟の横を通る気まずさ。
「ンだよ、見んじゃねぇ!てか、まだ食っとるんか」
「・・・・・・・・・」
なにを言われても、もう黙ってようと轟は顔を反らす。
「"個性"いっぱい使ったから。でも、勝てたのは嬉しかったよ、ありがとう」
歌恋の今、爆豪へ対する素直な気持ちである。
「ケッ、テメーらみてるとあのクソデク以上にムカつくんだよ」
「んー、なんか今日はなに言われてもスルー出来そう」
「ああ!?テメーら別れろ」
「は?」
それにはさすがの轟も反応しなくはない。
「それは絶対イヤでーす」
べーっと、舌を出す歌恋。彼女の舌を見ると、無性にむしゃくしゃする。
この野郎、わざとやってるのか試してるのかって。ここで別に轟の奴に見せつけてやってもいい。
けど、泣かすのは嫌なんだよ。
「冷めた」
このむしゃくしゃする気持ち。この二人にぶつけても、どうにもならなそうだ。
爆豪より少し遅れて来た緑谷を見つけた轟に軽く手を振る歌恋。
「緑谷、探したぞ」
声をかけられた緑谷は、足を止め振り返る。
「おまえも"個性"2つ持ちだったのか?」
「え!」
「全力でかかってこいっつってたおまえが、力を隠してたのなら、俺は多少ショックなんだが」
落ち込む轟に、緑谷は必死に否定した。
「違う違う!多分・・・"個性"の派生というか・・・根本は一つのもの・・・だと思うんだけど、
今日初めてああなって自分でビックリしてる状態」
「そうか、それは大変だったな。疑って悪かった。すげぇ事になってたな」
「轟くんも、凄かったよ。炎・・・あんなに使えるようになってたなんて」
「いや、まだまだだ。それこそ、今のおまえと変わらねぇよ。だからさ・・・俺は、もっと上へ行くよ」
授業が終わって、ずっと無視していた父・エンデヴァーへラインを送っていた。
[赫灼について、教えてほしいことがいくつかある]
意気揚々と講評してくれるのは、引き続きミッドナイト。
「友を落ち着かせる為に体を張って止めに出る!そうよ、そういうのでいいの!好きよ!」
そして続けざまに言うのは芦戸。
「麗日、ぴゅーんってすぐ飛んでいったもんねぇ。はやかったもんねぇ。ガッと、抱きついたもんねぇ!」
なんという表情をしてるんだい、芦戸さん。
(・・・もし、私が焦凍を角取さんから助けに行ってたら・・・)
歌恋は隣にいる轟の横顔を見る。視線に気付いたのか、轟も目を向けた。
「ん?」
目線が合って、恥ずかしくて何事もなかったかのようにすぐ反らす。
「?」
横目から僅にか入った。首を傾げる轟が。
もろに指摘された麗日は、歌恋よりも顔を真っ赤にしている。
「考え無しに飛び出しちゃったので、もうちょい冷静にならんといかんでした・・・。
でも・・・何も出来なくて後悔するよりは、良かったかな」
そんな麗日に、珍しく相澤先生が褒めている。
「良い成長をしてるな、麗日」
(可愛いなぁお茶子ちゃん。緑谷くんに言っちゃえばいいのに)
あの時、自分が耳郎みたいに麗日に対して何も言ってあげれなかったことが悔やまれる。
もっと、時間があればよかった。いや、この授業が終わったあとでも言ってあげればいいのかもしれない。
もちろんそれは、芦戸たちがいない場所でこっそりと。話を聞いてあげよう。
そして、ミッドナイトに講評してもらった心操も。
「・・・俺は、別に緑谷の為だけじゃないです。麗日に指示されて動いただけで。ていうか・・・、
柳さんたちにも黒いのに襲われてるのが見えた。あれが収まんなかったら、
どっちみちB組の負けは濃厚だった。俺は緑谷と戦って、勝ちたかったから止めました。
偶々そうなっただけで、俺の心は自分の事だけで精一杯でした」
相澤先生がとった行動に、誰もが驚く。
「「「!!?」」」
何せ、捕縛布で心操の首を閉めたからだ。
「誰もおまえに、そこまで求めてないよ。ここにいる皆、誰かを救えるヒーローになる為の訓練を、日々積んでいるんだ。
いきなりそこまで到達したら、それこそオールマイト級の天才だ。人の為に。
その思いばかり先行しても、人は救えない。自分一人でどうにかする力が無ければ、他人なんて守れない。
その点で言えば、おまえの動きは充分及第点だった」
「心操くん」
少し暴力的だが、最後は褒めてくれた相澤先生の言葉に、方針状態になりそうになる。
再び緑谷に名前を呼ばれ、顔を向ける心操。
「最後のアレ、乱戦に誘って自分の得意な戦いに戻そうとしてたよね!
パイプ落下での足止めもめちゃ速かったし、移動時の捕縛布の使い方なんか、相澤先生だった。
第1セットの時は、正直チームの力が心操くんを活かしたと思ってた・・・!
けど、決してそれだけじゃなかった。心操くんの状況判断も動きも、ヒーロー科の皆と遜色ないくらい凄くて、焦った!
誰かの為の強さで言うなら、僕の方がダメダメだった」
そして、ブラドキング先生が言った。
「これから改めて審査に入るが、恐らく・・・いや、十中八九!心操は2年からヒーロー科に入ってくる。
おまえら、中途に張り合われてんじゃないぞ」
「おおー!!どっちー!?」
「Aー!?Bー!?」
「その辺はおいおいだ。まだ講評続いてるぞ」
「てゆーか、先生ー」
手を上げるのは芦戸。
「峰田最低だったんで、断罪して下さーい」
「はァ!?オイラは庄田たちを体張って翻弄したんだが!?」
「フフ・・・今回は確かに僕らB組にクロ星がついた。しかし!!内容に於いては決して負けてはいなかった!
緑谷くんの"個性"がスカだとわかれば、それに応じた策を練れる!つまりだよ!?
今からもう一回やれば、次はわからない!!」
「やんねぇよ。もう今日の授業終わりだ」
やる気満々の物間に、冷めた声色で言うブラドキング先生。
ふと、緑谷は思い出す。
(そういえば・・・庄田くんの"個性"が発動したってことは、僕、触られてたんだよな・・・。
オール・フォー・ワン、オールマイトに話を聞いた時、四肢が爆散するって言ってたから焦ったけど・・・、
"スカ"って、何だ?)
「ああ、そうだ。話のついでで悪いが物間、ちょっと明日エリちゃんのとこ来い」
久しぶりに相澤先生から出たエリちゃんという名前。いったい、物間と合わせて何をするのだろう。
けどそれは、歌恋には関係のないこと。後で緑谷辺りに話を聞いてみればいい。
授業が終わりその日の夜。普段より騒がしいA組の寮は、B組の何人かが遊びに来ている。
「歌恋、緑谷みなかったか?」
夕食のビーフシチューをおかわりする歌恋に、先に食べ終えている轟が声をかける。
「ん?みてないよ」
期待していた答えと違い、轟は肩を落とす。
「部屋は?」
「チャイム鳴らしても出なかった」
「そっか・・・どうしたんだろう?」
「・・・"個性"のこと、聞きたかったんだが・・・歌恋が食べ終わる前にと」
そうだ。轟は、兄弟の事を話してくれると言ってくれた。でも、お姉さんとお兄さんがいるのは知っている。
電話やラインで、時々連絡をしてるのは知っているから。だからなんで今さらなのか疑問だった。
「焦凍のお姉さん達の話、ここじゃダメなの?」
椅子に座り、ビーフシチューを口に運びながら聞いてみる。
「それは・・・ちょっと・・・」
「?」
「クソが、つまんねぇ。あっ」
なにやら不機嫌な爆豪が、皆と少し遅れての夕食スタートしようとするが。
「「・・・・・・・・」」
テーブルに座る歌恋と、彼女の隣で立っている轟の横を通る気まずさ。
「ンだよ、見んじゃねぇ!てか、まだ食っとるんか」
「・・・・・・・・・」
なにを言われても、もう黙ってようと轟は顔を反らす。
「"個性"いっぱい使ったから。でも、勝てたのは嬉しかったよ、ありがとう」
歌恋の今、爆豪へ対する素直な気持ちである。
「ケッ、テメーらみてるとあのクソデク以上にムカつくんだよ」
「んー、なんか今日はなに言われてもスルー出来そう」
「ああ!?テメーら別れろ」
「は?」
それにはさすがの轟も反応しなくはない。
「それは絶対イヤでーす」
べーっと、舌を出す歌恋。彼女の舌を見ると、無性にむしゃくしゃする。
この野郎、わざとやってるのか試してるのかって。ここで別に轟の奴に見せつけてやってもいい。
けど、泣かすのは嫌なんだよ。
「冷めた」
このむしゃくしゃする気持ち。この二人にぶつけても、どうにもならなそうだ。
爆豪より少し遅れて来た緑谷を見つけた轟に軽く手を振る歌恋。
「緑谷、探したぞ」
声をかけられた緑谷は、足を止め振り返る。
「おまえも"個性"2つ持ちだったのか?」
「え!」
「全力でかかってこいっつってたおまえが、力を隠してたのなら、俺は多少ショックなんだが」
落ち込む轟に、緑谷は必死に否定した。
「違う違う!多分・・・"個性"の派生というか・・・根本は一つのもの・・・だと思うんだけど、
今日初めてああなって自分でビックリしてる状態」
「そうか、それは大変だったな。疑って悪かった。すげぇ事になってたな」
「轟くんも、凄かったよ。炎・・・あんなに使えるようになってたなんて」
「いや、まだまだだ。それこそ、今のおまえと変わらねぇよ。だからさ・・・俺は、もっと上へ行くよ」
授業が終わって、ずっと無視していた父・エンデヴァーへラインを送っていた。
[赫灼について、教えてほしいことがいくつかある]