第十八話 決着
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一人で、強くなれはしない。主役を張れる性質にない。君たちのように、真っ直ぐ道程を歩めない。
(でも僕は、この性質を恨みはしないのさ。名作には必ずいるものだから、主役を喰らう、脇役ってやつがね!)
物間がコピーして発動させた技、それは緑谷のワン・フォー・オールだ。
「君の"力"貰ったよ!!」
「待って物間くん、危な・・・」
「遅い!!」
緑谷の注意も聞かず、突っ込んでくる物間を止めたのは、ガンヘッドの元で訓練を受けた麗日だ。
「!?」
「デクくんのパワーじゃない、ハッタリだ!行って!」
「(発動しない・・・)ああ、もう・・・っ"スカ"かよ!」
(スカ・・・?)
「物間!」
心操が捕縛布で物間を助ける前にそれを阻止するのは、麗日の"個性"で無重力になった緑谷だ。
「解除!」
緑谷と行動を合わせ、無重力がなくなった途端重たくのしかかる体重。
「体育祭ぶりだな、取っ組み合うのは!!」
(君を見失えば、この乱戦一気に形勢が傾く!君が脅威だ、心操くん!!)
「あの時の俺とは違うぞ、緑谷!!」
捕縛布でパイプを一瞬に落下させていく。
(避けられない!!)
だが、緑谷が迷わず使った技は、あの黒い鞭だ。それを使い、落ちてくるパイプを受け止めている。
「っトに・・・何だよおまえは!!さっきの大暴れはブラフかよ!?俺の気持ち、返してほしいね!」
けれど、その黒い鞭もまた一瞬だ。痛みに耐えきれず腕を抑える緑谷は、膝間つく。
攻撃の体制を立て直す為に、一旦距離を取る心操。もう緑谷は洗脳にひっかからないだろう。
仲間がせっかく隙をつくってくれたのに、このまま終わりにする気は心操にもない。
(当たらないなァア、ポルターガイスト・・・)
紐でぐるぐる巻きにされている物間は、麗日の"個性"により浮かびながら運ばれていた。
「戦い始めてからそろそろ5分経過する頃。物間くんのコピーは5分間!」
「5分の振りして、実は10分間に延びててさ、急襲しかけられたら君一人で僕に勝てるの?」
「・・・!」
話を振られ、声には出せないが麗日は拳を作り物間を警戒する。
「ちぇ・・・(心操くんの"洗脳"も警戒済み)ちゃっかりしてるよ。ちなみに、僕のコピー数は知ってるの?」
「?」
麗日は首をかしげながら、指を三本立てる。
(柳さんの「ポルターガイスト」、小大さんの「サイズ」は確定。残りは戦法的に心操くん・・・)
「3つか・・・。ハハハ、時計が3つだから3つコピーだと?ハハハハハ!
3つの振りして、実は4つに伸びてたらどうするの?コピーできる"個性"にもいろいろあってね、
僕同時発動はできないんだけど、効果が残るものもあるんだ。人体に直接影響するもの以外は割と残るんだよ。
例えば、小大さんのサイズ。ナットを大きくしてから他の"個性"を発動しても、ナットは大きいままなんだ」
「?」
「ハハハハハ意味わかんないかな!?"ファイヤー!"ってことなんだけど。脇役なりの最後っ屁」
物間を牢の中に入れてから麗日は走る。
(物間くん!デクくんに何かした・・・!?けど・・・)
一瞬立ち止まり、緑谷に言われた言葉を思い返す。
『麗日さん、頼みがあるんだ。僕を無重力にして、心操くんの懐に潜る!麗日さんは、物間くんを!
その後は二人の下へ!僕の事は気にしないで!大丈夫!』
「・・・うん」
麗日は踵を返し、芦戸たちの下へ急ぐ。『大丈夫』、緑谷はそう言っていた。信じよう、彼のことを。
(まともにやり合っては勝てない。なら!俺の"得意"に持ち込む!)
だが、スピードは一枚も二枚も、心操より緑谷の方が上手。段取りをつける前に追い付いてしまう。
「「!?」」
目を見張った。何も緑谷に攻撃していないのに、攻撃を喰らう緑谷に。
「ツインインパクト」
そう、最後に捕まる前に攻撃を仕掛けていたのは、物間だ。残りのコピーは、庄田の"個性"。
「衝撃を与えた箇所にもう一度、さらに強い衝撃を与える。心操くん、先に捕まってごめんね。隙、できたかなァ」
「おえ!!」
跳峰田で奇襲をかけていた芦戸と峰田の技が、とうとう庄田に峰田をとらえられてしまう。
「峰田ァ!!」
「慣れてしまえば捉え易い!人は動ける恵体と僕を呼ぶ!」
「よっしゃ、一人捕まえればあとは楽だ」
「ぐひゃ!」
柳のポルターガイストを、まともに受けてしまう芦戸。B組が、逆転しそうな勢い。このままA組は、押されてしまうのか・・・。
ツインインパクトの衝撃で、意識をもっていかれていた緑谷。
(忘れるな!常に、心に!原点を)
ワン・フォー・オールを発動させ、襲ってくる心操の捕縛布を捕まえる。
そして、芦戸たちのもとに麗日が到着した。隙を伺っていた麗日が、柳の首に衝撃を与え。
「レイ子!?」
駆け寄る小大の体を思いっきり押し込み峰田のくっつくボールに彼女を張り付ける。
「小大さん、柳さ・・・」
隙を作った庄田に一発拳を食らわしたのは、芦戸だ。
大丈夫!絶対、勝つから!
緑谷が心操自身を捕まえた。
(回転して、捕縛布を絡め寄せやがった。ちくしょう・・・)
あの時とは、違う俺を見せてやれるって・・・楽しみにしてたんだ。
どいつもこいつも、留まる事なく動きやがる。
(ちくしょう、凄いなァヒーロー科)
第5セット、なんだかんだ危険な場面もあったが、4―0でA組の勝利だ。
緑谷を心配して相澤先生とともにいなくなったブラドキング先生の代わりに、ミッドナイトが実況してくれる。
その時に、A組が散々バカにされていた腹いせもあるように『公正実況に努めるミッナイ。
偏向実況のブラキンは、ただちに更送すべし』と書かれた看板を、数名が抱えていたとか。
「これにて、5セット全て終了です。全セット皆、敵を知り己を知り、よく健闘しました。
第1セット、A。第2セット、B。第3セット、ドロー。第4セット、A。第5セット、A。
よって今回の対抗戦!A組の勝利です!!」
A組の皆と一緒に、歌恋も喜ぶ。クラスが勝利したことにも、初めて自分が勝てた事にも。
まだ講評の時間が残っている為、そんなにはしゃげないけれど。なんだかんだ楽しかった対抗戦、またあればいいな。
先生たちも集合したところで、相澤先生から話が始まる。
「えー、とりあえず緑谷。何なんだおまえ」
単刀直入すぎる相澤先生の質問。ソワソワしている常闇と黒色。
「凄く黒いのが顕現していたが」
「暴走していたが、技名は?」
「新技にしちゃ・・・超パワーから逸脱してねぇか?」
「どういう原理?」
ざわざわとする中で、緑谷が口を開く。
「僕にも・・・まだハッキリわからないです。力が溢れて、抑えられなかった。
今まで信じてたものが突然、牙を剥いたみたいで。僕自身、すごく恐かった。
でも、麗日さんと心操くんが止めてくれたおかげで、そうじゃないってすぐに気付くことができました。
心操くんが洗脳で意識を奪ってくれなかったら、どうなるかわからなかった。
心操くん、「ブラフかよ」って言ってたけど・・・本当に、訳わかんない状態だったんだ。
二人とも、ありがとう!」
(・・・洗脳かける為にふっかけただけなんだけどな、気にしてたのか。明らかに演技の範疇越えてたし)
(でも僕は、この性質を恨みはしないのさ。名作には必ずいるものだから、主役を喰らう、脇役ってやつがね!)
物間がコピーして発動させた技、それは緑谷のワン・フォー・オールだ。
「君の"力"貰ったよ!!」
「待って物間くん、危な・・・」
「遅い!!」
緑谷の注意も聞かず、突っ込んでくる物間を止めたのは、ガンヘッドの元で訓練を受けた麗日だ。
「!?」
「デクくんのパワーじゃない、ハッタリだ!行って!」
「(発動しない・・・)ああ、もう・・・っ"スカ"かよ!」
(スカ・・・?)
「物間!」
心操が捕縛布で物間を助ける前にそれを阻止するのは、麗日の"個性"で無重力になった緑谷だ。
「解除!」
緑谷と行動を合わせ、無重力がなくなった途端重たくのしかかる体重。
「体育祭ぶりだな、取っ組み合うのは!!」
(君を見失えば、この乱戦一気に形勢が傾く!君が脅威だ、心操くん!!)
「あの時の俺とは違うぞ、緑谷!!」
捕縛布でパイプを一瞬に落下させていく。
(避けられない!!)
だが、緑谷が迷わず使った技は、あの黒い鞭だ。それを使い、落ちてくるパイプを受け止めている。
「っトに・・・何だよおまえは!!さっきの大暴れはブラフかよ!?俺の気持ち、返してほしいね!」
けれど、その黒い鞭もまた一瞬だ。痛みに耐えきれず腕を抑える緑谷は、膝間つく。
攻撃の体制を立て直す為に、一旦距離を取る心操。もう緑谷は洗脳にひっかからないだろう。
仲間がせっかく隙をつくってくれたのに、このまま終わりにする気は心操にもない。
(当たらないなァア、ポルターガイスト・・・)
紐でぐるぐる巻きにされている物間は、麗日の"個性"により浮かびながら運ばれていた。
「戦い始めてからそろそろ5分経過する頃。物間くんのコピーは5分間!」
「5分の振りして、実は10分間に延びててさ、急襲しかけられたら君一人で僕に勝てるの?」
「・・・!」
話を振られ、声には出せないが麗日は拳を作り物間を警戒する。
「ちぇ・・・(心操くんの"洗脳"も警戒済み)ちゃっかりしてるよ。ちなみに、僕のコピー数は知ってるの?」
「?」
麗日は首をかしげながら、指を三本立てる。
(柳さんの「ポルターガイスト」、小大さんの「サイズ」は確定。残りは戦法的に心操くん・・・)
「3つか・・・。ハハハ、時計が3つだから3つコピーだと?ハハハハハ!
3つの振りして、実は4つに伸びてたらどうするの?コピーできる"個性"にもいろいろあってね、
僕同時発動はできないんだけど、効果が残るものもあるんだ。人体に直接影響するもの以外は割と残るんだよ。
例えば、小大さんのサイズ。ナットを大きくしてから他の"個性"を発動しても、ナットは大きいままなんだ」
「?」
「ハハハハハ意味わかんないかな!?"ファイヤー!"ってことなんだけど。脇役なりの最後っ屁」
物間を牢の中に入れてから麗日は走る。
(物間くん!デクくんに何かした・・・!?けど・・・)
一瞬立ち止まり、緑谷に言われた言葉を思い返す。
『麗日さん、頼みがあるんだ。僕を無重力にして、心操くんの懐に潜る!麗日さんは、物間くんを!
その後は二人の下へ!僕の事は気にしないで!大丈夫!』
「・・・うん」
麗日は踵を返し、芦戸たちの下へ急ぐ。『大丈夫』、緑谷はそう言っていた。信じよう、彼のことを。
(まともにやり合っては勝てない。なら!俺の"得意"に持ち込む!)
だが、スピードは一枚も二枚も、心操より緑谷の方が上手。段取りをつける前に追い付いてしまう。
「「!?」」
目を見張った。何も緑谷に攻撃していないのに、攻撃を喰らう緑谷に。
「ツインインパクト」
そう、最後に捕まる前に攻撃を仕掛けていたのは、物間だ。残りのコピーは、庄田の"個性"。
「衝撃を与えた箇所にもう一度、さらに強い衝撃を与える。心操くん、先に捕まってごめんね。隙、できたかなァ」
「おえ!!」
跳峰田で奇襲をかけていた芦戸と峰田の技が、とうとう庄田に峰田をとらえられてしまう。
「峰田ァ!!」
「慣れてしまえば捉え易い!人は動ける恵体と僕を呼ぶ!」
「よっしゃ、一人捕まえればあとは楽だ」
「ぐひゃ!」
柳のポルターガイストを、まともに受けてしまう芦戸。B組が、逆転しそうな勢い。このままA組は、押されてしまうのか・・・。
ツインインパクトの衝撃で、意識をもっていかれていた緑谷。
(忘れるな!常に、心に!原点を)
ワン・フォー・オールを発動させ、襲ってくる心操の捕縛布を捕まえる。
そして、芦戸たちのもとに麗日が到着した。隙を伺っていた麗日が、柳の首に衝撃を与え。
「レイ子!?」
駆け寄る小大の体を思いっきり押し込み峰田のくっつくボールに彼女を張り付ける。
「小大さん、柳さ・・・」
隙を作った庄田に一発拳を食らわしたのは、芦戸だ。
大丈夫!絶対、勝つから!
緑谷が心操自身を捕まえた。
(回転して、捕縛布を絡め寄せやがった。ちくしょう・・・)
あの時とは、違う俺を見せてやれるって・・・楽しみにしてたんだ。
どいつもこいつも、留まる事なく動きやがる。
(ちくしょう、凄いなァヒーロー科)
第5セット、なんだかんだ危険な場面もあったが、4―0でA組の勝利だ。
緑谷を心配して相澤先生とともにいなくなったブラドキング先生の代わりに、ミッドナイトが実況してくれる。
その時に、A組が散々バカにされていた腹いせもあるように『公正実況に努めるミッナイ。
偏向実況のブラキンは、ただちに更送すべし』と書かれた看板を、数名が抱えていたとか。
「これにて、5セット全て終了です。全セット皆、敵を知り己を知り、よく健闘しました。
第1セット、A。第2セット、B。第3セット、ドロー。第4セット、A。第5セット、A。
よって今回の対抗戦!A組の勝利です!!」
A組の皆と一緒に、歌恋も喜ぶ。クラスが勝利したことにも、初めて自分が勝てた事にも。
まだ講評の時間が残っている為、そんなにはしゃげないけれど。なんだかんだ楽しかった対抗戦、またあればいいな。
先生たちも集合したところで、相澤先生から話が始まる。
「えー、とりあえず緑谷。何なんだおまえ」
単刀直入すぎる相澤先生の質問。ソワソワしている常闇と黒色。
「凄く黒いのが顕現していたが」
「暴走していたが、技名は?」
「新技にしちゃ・・・超パワーから逸脱してねぇか?」
「どういう原理?」
ざわざわとする中で、緑谷が口を開く。
「僕にも・・・まだハッキリわからないです。力が溢れて、抑えられなかった。
今まで信じてたものが突然、牙を剥いたみたいで。僕自身、すごく恐かった。
でも、麗日さんと心操くんが止めてくれたおかげで、そうじゃないってすぐに気付くことができました。
心操くんが洗脳で意識を奪ってくれなかったら、どうなるかわからなかった。
心操くん、「ブラフかよ」って言ってたけど・・・本当に、訳わかんない状態だったんだ。
二人とも、ありがとう!」
(・・・洗脳かける為にふっかけただけなんだけどな、気にしてたのか。明らかに演技の範疇越えてたし)