第十八話 決着
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両親は、いつも疲れた顔をしていた。それが、辛かった。
初めてヒーロー活動を目にした時、活動よりも周りの人々の表情に目が行った。
人の喜ぶ顔が好きだった。だから困ってる人を助ける事は当たり前だった。
その当たり前が、いかに大変なことなのか。余裕がなくて必死に助ける彼を、見てきたから思う。
(ヒーローが辛い時、誰がヒーローを守ってあげられるだろう)
あの時、一度聞いて見た。
『お互い気持ちが通じるって、どんなんかなーって・・・』
歌恋は、キョトンと可愛らしい表情で首をかしげた。本当は、二人の関係がちょっぴり羨ましくて。
轟も歌恋も、お互い必要としているのがハッキリ伝わってて。
お互い知らない所で十分色々悩んだ事があるのかもしれないけれど、轟と緑谷では違う。
なんだろう、ヒーロー一家ていうこともあってか、実力もあり堂々と立ち振舞っている轟に対し、
緑谷は目の前のことに毎度全力投球って感じで、麗日本人の入る隙があるのかさえ疑問だった。
だからってこともないけれど、歌恋に気持ちはしまっていると話した。
その時に、欲しかった答えは聞けなかったけれど、今なら好きな人に頼られたい気持ちってのが、凄くわかる。
助けたいって気持ちに、自分がいて安心出来る存在だって。こうゆう気持ちなのかなって。
一番に、手が届く場所に・・・。
「デクくん!落ちつけ!!」
暴れる黒い鞭の中心にいる緑谷に抱きつき、必死に呼び掛ける。
「止めっ・・・られ、ない!」
彼も彼で、パニックに陥っている。これは、ただ事ではない。
(デクくんの意志じゃない!!)
その時、麗日の目の前に入ったのは、心操だ。彼に聞こえるよう、必死に叫ぶ。
「心操くん!!洗脳を!!デクくん、止めてあげて!!」
緑谷本人さえ扱えない"個性"の強さを見て、足がすくみそうになる。
(緑谷に、洗脳を!何か!!何を問う。体育祭でおまえに負けた。ワクワクしてた。
あの時とは違う俺を、見せてやれるって。また戦えるって!楽しみにしてたんだぜ!!)
洗脳という特殊な"個性"は、かつて悪の方に向いているって話もあった。でも、違う。
心操の、一つの願い・・・立派なヒーローになって、俺の"個性"を人の為に使いたい。
マスクを外し、出したことのないほどの声量で言葉を投げ掛けた。
「緑谷ァ!!!俺と、戦おうぜ!」
心操の声がする。
「~~んん、応!!」
次の瞬間、暴れていた黒い鞭が、ピタリと動きを止めたかとおもうと、緑谷の発現場所である右腕に吸い込まれていく。
それと同時に、緑谷の意識も固まった。完全に洗脳にかかったのだ。
画面を見てるだけの者と、肌で時かに恐怖を感じた者との差はきっと大きいだろう。
「緑谷、あれ新技か?」
誰かが言った。
「でも、あんな制御出来ねーモンなのか?」
歌恋の隣で見ている轟も、小さく言葉を出す。
「・・・緑谷・・・"個性"2つ持ちなのか?」
「どうだろう。でも、あんな状態じゃ・・・違うように見える」
「でも、"個性"だろ?俺みたいに、単にコントロール出来ねーだけかも知れない」
「焦凍は出来てるよ、コントロール」
真っ直ぐな言葉に、目に向けられて、変に自信出そうな気してしまう。まだ、まだなのに。
先生達も、緑谷の状態に不振を抱いたのか、止めに行こうと行動に出ているようだ。
そんな未だ洗脳で意識を手放している緑谷に、麗日がビンタを食らわしている。
彼女なりに必死なのだ。緑谷の異常な事態に。
「お茶子ちゃん・・・」
「デクくん、デクくん!!」
麗日の叫びに、ハッと緑谷の意識が戻る。今のこの浮遊状態は、麗日が"個性"を使ってくれているからだろう。
「大丈夫!?ビンタ、痛くなかった!?」
「麗日さ・・・離れて、危ないよ!!」
あたふたする緑谷と一緒に、ゆっくり着地する。
「心操くんの洗脳でおさまった。何ともない?」
「・・・麗日さん、傷がっ!ああ、何てことを―・・・」
自分の力で仲間を傷付けて。
その時、背後からの気配を察知する。肩越しに振り替えると、巨大になっているナットに乗って飛んできた物間が迫っている。
「え!?まだ終わってないんだけど!!」
すれすれでよけるも、頬をかすった。
「物間くん!!」
物間の隙をつくように、麗日が攻撃をしかける。だが、またもや動く工具に邪魔された。
「二人とも、大丈夫?何今の?」
そう声をかけるのは、物間の隣に降り立つ柳。
「ナァァアイスポルターガイスト!」
「黒いのが暴れて、作戦台無しになってしまった!」
「ん」
そこに合流するのは、庄田と小大。B組の仲間が、先に集まる。
「いたァアオラァア!!」
少し遅れ、A組の仲間である芦戸と峰田も集結。
「緑谷、麗日、ブジ!?」
「皆集まった!」
乱戦だ!
麗日の背後から迫る心操の捕縛布を、緑谷がギリギリつかみとる。
「わっ」
離れた場所からの捕縛布に引っ張られ、緑谷はコンテナの上から落下してしまう。
「だっ」
「力負けした!?デクくんが・・・!」
「また皆を危ない目に遭わすかもしれない。今この状況で"個性"は使えない」
「じゃあ、一旦退こう!立て直そう!」
「退いたら負ける。心操くんが目の前にいる今が、勝つチャンスだ!」
「でも・・・!だって、デクくんつまりそれ・・・"無個性"で戦うってこと!?」
「・・・ううん。麗日さん、頼みがあるんだ」
「アッシドショットー!!ピリピリ痛むよー」
その頃、緑谷と麗日と少し離れた場所で、芦戸の"個性"がB組3人に襲いかかっていた。
「大」
「この乱戦で、持続ダメージはいただけない」
だが、降る酸の攻撃を、板を拡大して小大が防御。芦戸の懐に、庄田が飛び込む。
工具に触れ"個性"を使い投げ飛ばす。
「ツインインパクト、ファイア!!」
勢いを増した工具。空中で身動き取れない芦戸との間に、モギモギを集結させた盾を持ち要りながら峰田が入る。
「危ねェ!」
「峰田ァ!」
「(モギモギは、オイラにだけはひっつかず弾く性質を持つ!無作為に投げられたモギモギは!!
トラップであると同時に、オイラ専用トランポリン!!)全て計算通りよ。そうさ、庄田二連擊!!
計算通り!オイラが「ツインインパクト」の威力に耐えられず、こうなることもな!!」
峰田が間に挟まったそれは、芦戸のおっぱいだ。
「余裕か!!」
普段なら殴り飛ばしているところだが、如何せん。今は乱戦中。
「もー!こうだ!!」
峰田の頭を鷲掴み、酸とともに敵に向け投げる。
「アッシドレイバック!!」
グレープピンキーコンボ跳峰田!
弾けるように、モギモギをうまくつかい相手の足を引き止める。
「峰田たち、人数不利の中善戦してるな!」
「懐に入れれば芦戸の間合いだぜ」
上鳴も切島も、嬉しそうに声を弾ませているが、女子連中はそんな余裕はなく。
(((やっぱ峰田(くん)最低だっ)))
彼は何をしてもどこにいても、女の敵にかわりない。
そんな、ムスっとした表情で画面を見る歌恋に、轟が不思議そうに首をかしげた。
「どうした?」
「え、ううん。なんもないよ」
「・・・・峰田の事は、授業中でも俺が見張っとくから。手は出させねェ」
「っ・・・もうっ!わかってて、わざと!?」
「ハハッ」
「くっ~~」
轟の笑顔には弱い。反撃できなくるし、頬も熱を持つ。でも、こんなやり取りは好きだ。
(カワイイって言ったら、焦凍怒るかな)
今度、隙あらば言ってやろう。
初めてヒーロー活動を目にした時、活動よりも周りの人々の表情に目が行った。
人の喜ぶ顔が好きだった。だから困ってる人を助ける事は当たり前だった。
その当たり前が、いかに大変なことなのか。余裕がなくて必死に助ける彼を、見てきたから思う。
(ヒーローが辛い時、誰がヒーローを守ってあげられるだろう)
あの時、一度聞いて見た。
『お互い気持ちが通じるって、どんなんかなーって・・・』
歌恋は、キョトンと可愛らしい表情で首をかしげた。本当は、二人の関係がちょっぴり羨ましくて。
轟も歌恋も、お互い必要としているのがハッキリ伝わってて。
お互い知らない所で十分色々悩んだ事があるのかもしれないけれど、轟と緑谷では違う。
なんだろう、ヒーロー一家ていうこともあってか、実力もあり堂々と立ち振舞っている轟に対し、
緑谷は目の前のことに毎度全力投球って感じで、麗日本人の入る隙があるのかさえ疑問だった。
だからってこともないけれど、歌恋に気持ちはしまっていると話した。
その時に、欲しかった答えは聞けなかったけれど、今なら好きな人に頼られたい気持ちってのが、凄くわかる。
助けたいって気持ちに、自分がいて安心出来る存在だって。こうゆう気持ちなのかなって。
一番に、手が届く場所に・・・。
「デクくん!落ちつけ!!」
暴れる黒い鞭の中心にいる緑谷に抱きつき、必死に呼び掛ける。
「止めっ・・・られ、ない!」
彼も彼で、パニックに陥っている。これは、ただ事ではない。
(デクくんの意志じゃない!!)
その時、麗日の目の前に入ったのは、心操だ。彼に聞こえるよう、必死に叫ぶ。
「心操くん!!洗脳を!!デクくん、止めてあげて!!」
緑谷本人さえ扱えない"個性"の強さを見て、足がすくみそうになる。
(緑谷に、洗脳を!何か!!何を問う。体育祭でおまえに負けた。ワクワクしてた。
あの時とは違う俺を、見せてやれるって。また戦えるって!楽しみにしてたんだぜ!!)
洗脳という特殊な"個性"は、かつて悪の方に向いているって話もあった。でも、違う。
心操の、一つの願い・・・立派なヒーローになって、俺の"個性"を人の為に使いたい。
マスクを外し、出したことのないほどの声量で言葉を投げ掛けた。
「緑谷ァ!!!俺と、戦おうぜ!」
心操の声がする。
「~~んん、応!!」
次の瞬間、暴れていた黒い鞭が、ピタリと動きを止めたかとおもうと、緑谷の発現場所である右腕に吸い込まれていく。
それと同時に、緑谷の意識も固まった。完全に洗脳にかかったのだ。
画面を見てるだけの者と、肌で時かに恐怖を感じた者との差はきっと大きいだろう。
「緑谷、あれ新技か?」
誰かが言った。
「でも、あんな制御出来ねーモンなのか?」
歌恋の隣で見ている轟も、小さく言葉を出す。
「・・・緑谷・・・"個性"2つ持ちなのか?」
「どうだろう。でも、あんな状態じゃ・・・違うように見える」
「でも、"個性"だろ?俺みたいに、単にコントロール出来ねーだけかも知れない」
「焦凍は出来てるよ、コントロール」
真っ直ぐな言葉に、目に向けられて、変に自信出そうな気してしまう。まだ、まだなのに。
先生達も、緑谷の状態に不振を抱いたのか、止めに行こうと行動に出ているようだ。
そんな未だ洗脳で意識を手放している緑谷に、麗日がビンタを食らわしている。
彼女なりに必死なのだ。緑谷の異常な事態に。
「お茶子ちゃん・・・」
「デクくん、デクくん!!」
麗日の叫びに、ハッと緑谷の意識が戻る。今のこの浮遊状態は、麗日が"個性"を使ってくれているからだろう。
「大丈夫!?ビンタ、痛くなかった!?」
「麗日さ・・・離れて、危ないよ!!」
あたふたする緑谷と一緒に、ゆっくり着地する。
「心操くんの洗脳でおさまった。何ともない?」
「・・・麗日さん、傷がっ!ああ、何てことを―・・・」
自分の力で仲間を傷付けて。
その時、背後からの気配を察知する。肩越しに振り替えると、巨大になっているナットに乗って飛んできた物間が迫っている。
「え!?まだ終わってないんだけど!!」
すれすれでよけるも、頬をかすった。
「物間くん!!」
物間の隙をつくように、麗日が攻撃をしかける。だが、またもや動く工具に邪魔された。
「二人とも、大丈夫?何今の?」
そう声をかけるのは、物間の隣に降り立つ柳。
「ナァァアイスポルターガイスト!」
「黒いのが暴れて、作戦台無しになってしまった!」
「ん」
そこに合流するのは、庄田と小大。B組の仲間が、先に集まる。
「いたァアオラァア!!」
少し遅れ、A組の仲間である芦戸と峰田も集結。
「緑谷、麗日、ブジ!?」
「皆集まった!」
乱戦だ!
麗日の背後から迫る心操の捕縛布を、緑谷がギリギリつかみとる。
「わっ」
離れた場所からの捕縛布に引っ張られ、緑谷はコンテナの上から落下してしまう。
「だっ」
「力負けした!?デクくんが・・・!」
「また皆を危ない目に遭わすかもしれない。今この状況で"個性"は使えない」
「じゃあ、一旦退こう!立て直そう!」
「退いたら負ける。心操くんが目の前にいる今が、勝つチャンスだ!」
「でも・・・!だって、デクくんつまりそれ・・・"無個性"で戦うってこと!?」
「・・・ううん。麗日さん、頼みがあるんだ」
「アッシドショットー!!ピリピリ痛むよー」
その頃、緑谷と麗日と少し離れた場所で、芦戸の"個性"がB組3人に襲いかかっていた。
「大」
「この乱戦で、持続ダメージはいただけない」
だが、降る酸の攻撃を、板を拡大して小大が防御。芦戸の懐に、庄田が飛び込む。
工具に触れ"個性"を使い投げ飛ばす。
「ツインインパクト、ファイア!!」
勢いを増した工具。空中で身動き取れない芦戸との間に、モギモギを集結させた盾を持ち要りながら峰田が入る。
「危ねェ!」
「峰田ァ!」
「(モギモギは、オイラにだけはひっつかず弾く性質を持つ!無作為に投げられたモギモギは!!
トラップであると同時に、オイラ専用トランポリン!!)全て計算通りよ。そうさ、庄田二連擊!!
計算通り!オイラが「ツインインパクト」の威力に耐えられず、こうなることもな!!」
峰田が間に挟まったそれは、芦戸のおっぱいだ。
「余裕か!!」
普段なら殴り飛ばしているところだが、如何せん。今は乱戦中。
「もー!こうだ!!」
峰田の頭を鷲掴み、酸とともに敵に向け投げる。
「アッシドレイバック!!」
グレープピンキーコンボ跳峰田!
弾けるように、モギモギをうまくつかい相手の足を引き止める。
「峰田たち、人数不利の中善戦してるな!」
「懐に入れれば芦戸の間合いだぜ」
上鳴も切島も、嬉しそうに声を弾ませているが、女子連中はそんな余裕はなく。
(((やっぱ峰田(くん)最低だっ)))
彼は何をしてもどこにいても、女の敵にかわりない。
そんな、ムスっとした表情で画面を見る歌恋に、轟が不思議そうに首をかしげた。
「どうした?」
「え、ううん。なんもないよ」
「・・・・峰田の事は、授業中でも俺が見張っとくから。手は出させねェ」
「っ・・・もうっ!わかってて、わざと!?」
「ハハッ」
「くっ~~」
轟の笑顔には弱い。反撃できなくるし、頬も熱を持つ。でも、こんなやり取りは好きだ。
(カワイイって言ったら、焦凍怒るかな)
今度、隙あらば言ってやろう。