第十八話 決着
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数分、皆と少し離れた場所にいた歌恋と轟は、第5試合を見る為にモニターの前に移動する。
「緑谷くん達のフォーメーション、第4セットの爆豪くんたちと似てるな」
「バランスも似てるからなー」
飯田と瀬呂の会話が、耳に入ってくる。
「ただ、耳郎も登坂もいない分、俺らよりも慎重に動かないとすぐやられそう」
「ハーイ!索敵係りね」
耳郎が手を上げて、意思表示。
「そうだね・・・さっきみたいに誘い出して位置特定するンなら、緑谷が爆豪以上の働きをしなきゃだね」
画面を見れば、緑谷を先頭に少し後ろで三人がついていっている。
(まず、僕が目立つことで標的になる。一番スピードのある僕を、B組は無視できないハズ。
B組に攻撃させて、全員の居場所を割り出してから、麗日さんたちと連携して捕らえる!)
そんな緑谷の目の前に、勝手に動くドラム缶が飛んできた。
(柳さんの―・・・!!)
ドラム缶を殴り飛ばした時に聞こえてきた。
「キャア!」
「!(麗日さん!?)」
仲間の悲鳴に振り返ると、視線の先にいたのはB組の物間だ。
(物間くん・・・!)
瞬時に動きを止め、物間の"個性"コピーを警戒する。何せ何をコピーしているかわからない。
心操の"個性"である洗脳をコピーしていた場合、とても厄介なのだから。声も出してはダメだ。
「あれ?見つかっちゃったか。爆豪くんの活躍を見た後で、君を警戒しないわけがない。
君みたいな・・・動けて強い人間を警戒する。クレバーな人間は、そう考える。
その一方で、クレバーな人間はこうも考える。「さっきの彼の強さは、他の3人によって引き出された」と。
「先に潰すべきは3人だ」と!わざわざ目立って、居場所を教えてくれたね。
僕の仲間が今、早速3人を見つけたようだ」
(煽ってくるな・・・)
下手に会話出来ない分、ここは我慢比べだ。
「3対4だぜ?大丈夫かな?心操くんもいる。密なコミュニケーションは取れない。
君はすぐにでも彼らの元へ駆けつけなきゃあ・・・いや、待て・・・!?
仮に今の「キャア」が「心操くんの声」だったら・・・!?まだバレてない3人の居場所を、
君が教えることになってしまうぞ・・・!?ハハハ、困ったな」
けれど緑谷は迷うことなく、物間にだけに集中している。
「仲間の方を見向きもしないなんて、薄情だな!」
(視線で探るつもりだ、ひっかからないぞ!)
「心操くんと、こんな話をしたよ。"恵まれた人間が世の中をブチ壊す"彼の友人なら教えてよ。
爆豪くんさ!何故、彼は平然と笑ってられるんだ?平和の象徴を終わらせた張本人がさァ!!
ああ、あと登坂さんもそうだよね!」
さらに言葉で煽られ、怒りで我を忘れそうになる。
A組の3人に場面を変えれば、麗日が峰田を"個性"で浮かせている。そんな中、先程の謎の「キャア」を聞いていた。
一人で先に行動を取っていた緑谷と違い、3人で一緒にいればその声の主は把握出来るわけで。
「今の・・・心操だ!近かったぞ」
罠を仕掛ける紐を引っ張りながら、麗日と顔を合わせながら峰田が言った。
「あの気だるい顔で「キャア」っつってるとこ、見たい」
二人と顔を合わせることなく話す芦戸に、麗日が軽く注意する。
「喋る時はちゃんと顔見て」
「あっ」
心操の洗脳の警戒が意味なくなってしまう。その時、峰田が持つ紐に異変を感じた。
「なんかくっついた!」
峰田自身を除き、全てを張り付けてしまう峰田のモギモギの張り巡らされたボールをすり抜ける気配。
「アッシドベール!」
様々な工具が飛んできた。それを酸の"個性"である芦戸の技でガードする。
「柳さんの「ポルターガイスト」!」
だがガードしていたにもかかわらず、自在に動く工具に、瞬時にナットもドラム缶も普通のサイズより巨大になった。
(小大さんの「サイズ」!)
押し負けそうになる芦戸に、無重力になるよう麗日が巨大になった工具を浮かしていく。
けれど、それらは休むことなく衝撃が加わり物が弾け飛ぶ。
「「「どわぁ!!」」」
「・・・びっくりした!今ので場所バレたかも。デクくんは・・・」
再び、体制を整える。その時、麗日の目の前に見えたのは、無造作に動く黒い鞭。
「なんだ!?」
異様な光景に、3人の足が止まる。遠くにあった黒い鞭は伸びていき、3人を襲う。
「「「うわあ!!」」」
攻撃をよけ、顔を上げれば黒い鞭の出所は、緑谷だった。
「デクくん・・・!」
『よく言われたよ。「その"個性"じゃスーパーヒーローにはなれない」って。一人では何も出来ない。
そんなヒーローが、いてたまるかってさ』
物間に聞かされる話に、心操は首をかしげる。
『何の話?』
『"出来ない"事を知ってるって話さ。僕は本当に君を気に入ってるンだぜ。清濁併せ呑まなきゃあ生き残れない、同じタイプだ』
『やだな』
『でも事実さ!体育祭で緑谷くんを洗脳した時、どうやって口を開かせたの?』
『どんな奴か知らなかったから、クラスメイトを貶した』
『ふーん。僕らはヒーローになる為に、ヒーローらしかぬ立ち回りをしなきゃならない。
でなきゃ、"何でも出来る"力には敵わない。憧れとは似ても似てつかない。こんな感覚ない?
幼い頃に描いた夢や希望が、段々重荷になっていく。まるで、呪いのように』
「うううううう!!」
物間と対峙していた緑谷。いつものように技を出そうとした時に、右腕から黒い鞭が出現。
唸る緑谷は、必死にそれを押さえようともがく。これは違う。自分の力じゃない。けど、物間は知らない。
「まーた知らない力か、嫌になる!」
(何で!!何でだよ、これ。さっきまで何ともなかったのに!!)
もう、誰にも心配させたくないのに。
「逃げて!!」
緑谷の黒い鞭が、心操が隠れていた場所の壁を破壊する。
「心操くん!!」
叫ぶ物間の声は、届いただろうか。
避けた心操は、もがく緑谷を見て唖然としていた。
「心・・・操くん・・・!逃げて・・・!力が、抑えられない、溢れる・・・!」
暴れる"個性"。制御出来ない"個性"。せっかく自分の力にしようとしてきたところなのに。
何だよ、痛い痛い痛い、何で―!!
「止まれ、止まれ!止まれ、ワン・フォー・オール!!」
涙をためながらも、一人で必死にもがく緑谷の姿。いまにも彼は、黒い鞭にのみこまれそうで・・・。
「デクくん!」
その中に手を伸ばしたのは、麗日だ。
「緑谷くん達のフォーメーション、第4セットの爆豪くんたちと似てるな」
「バランスも似てるからなー」
飯田と瀬呂の会話が、耳に入ってくる。
「ただ、耳郎も登坂もいない分、俺らよりも慎重に動かないとすぐやられそう」
「ハーイ!索敵係りね」
耳郎が手を上げて、意思表示。
「そうだね・・・さっきみたいに誘い出して位置特定するンなら、緑谷が爆豪以上の働きをしなきゃだね」
画面を見れば、緑谷を先頭に少し後ろで三人がついていっている。
(まず、僕が目立つことで標的になる。一番スピードのある僕を、B組は無視できないハズ。
B組に攻撃させて、全員の居場所を割り出してから、麗日さんたちと連携して捕らえる!)
そんな緑谷の目の前に、勝手に動くドラム缶が飛んできた。
(柳さんの―・・・!!)
ドラム缶を殴り飛ばした時に聞こえてきた。
「キャア!」
「!(麗日さん!?)」
仲間の悲鳴に振り返ると、視線の先にいたのはB組の物間だ。
(物間くん・・・!)
瞬時に動きを止め、物間の"個性"コピーを警戒する。何せ何をコピーしているかわからない。
心操の"個性"である洗脳をコピーしていた場合、とても厄介なのだから。声も出してはダメだ。
「あれ?見つかっちゃったか。爆豪くんの活躍を見た後で、君を警戒しないわけがない。
君みたいな・・・動けて強い人間を警戒する。クレバーな人間は、そう考える。
その一方で、クレバーな人間はこうも考える。「さっきの彼の強さは、他の3人によって引き出された」と。
「先に潰すべきは3人だ」と!わざわざ目立って、居場所を教えてくれたね。
僕の仲間が今、早速3人を見つけたようだ」
(煽ってくるな・・・)
下手に会話出来ない分、ここは我慢比べだ。
「3対4だぜ?大丈夫かな?心操くんもいる。密なコミュニケーションは取れない。
君はすぐにでも彼らの元へ駆けつけなきゃあ・・・いや、待て・・・!?
仮に今の「キャア」が「心操くんの声」だったら・・・!?まだバレてない3人の居場所を、
君が教えることになってしまうぞ・・・!?ハハハ、困ったな」
けれど緑谷は迷うことなく、物間にだけに集中している。
「仲間の方を見向きもしないなんて、薄情だな!」
(視線で探るつもりだ、ひっかからないぞ!)
「心操くんと、こんな話をしたよ。"恵まれた人間が世の中をブチ壊す"彼の友人なら教えてよ。
爆豪くんさ!何故、彼は平然と笑ってられるんだ?平和の象徴を終わらせた張本人がさァ!!
ああ、あと登坂さんもそうだよね!」
さらに言葉で煽られ、怒りで我を忘れそうになる。
A組の3人に場面を変えれば、麗日が峰田を"個性"で浮かせている。そんな中、先程の謎の「キャア」を聞いていた。
一人で先に行動を取っていた緑谷と違い、3人で一緒にいればその声の主は把握出来るわけで。
「今の・・・心操だ!近かったぞ」
罠を仕掛ける紐を引っ張りながら、麗日と顔を合わせながら峰田が言った。
「あの気だるい顔で「キャア」っつってるとこ、見たい」
二人と顔を合わせることなく話す芦戸に、麗日が軽く注意する。
「喋る時はちゃんと顔見て」
「あっ」
心操の洗脳の警戒が意味なくなってしまう。その時、峰田が持つ紐に異変を感じた。
「なんかくっついた!」
峰田自身を除き、全てを張り付けてしまう峰田のモギモギの張り巡らされたボールをすり抜ける気配。
「アッシドベール!」
様々な工具が飛んできた。それを酸の"個性"である芦戸の技でガードする。
「柳さんの「ポルターガイスト」!」
だがガードしていたにもかかわらず、自在に動く工具に、瞬時にナットもドラム缶も普通のサイズより巨大になった。
(小大さんの「サイズ」!)
押し負けそうになる芦戸に、無重力になるよう麗日が巨大になった工具を浮かしていく。
けれど、それらは休むことなく衝撃が加わり物が弾け飛ぶ。
「「「どわぁ!!」」」
「・・・びっくりした!今ので場所バレたかも。デクくんは・・・」
再び、体制を整える。その時、麗日の目の前に見えたのは、無造作に動く黒い鞭。
「なんだ!?」
異様な光景に、3人の足が止まる。遠くにあった黒い鞭は伸びていき、3人を襲う。
「「「うわあ!!」」」
攻撃をよけ、顔を上げれば黒い鞭の出所は、緑谷だった。
「デクくん・・・!」
『よく言われたよ。「その"個性"じゃスーパーヒーローにはなれない」って。一人では何も出来ない。
そんなヒーローが、いてたまるかってさ』
物間に聞かされる話に、心操は首をかしげる。
『何の話?』
『"出来ない"事を知ってるって話さ。僕は本当に君を気に入ってるンだぜ。清濁併せ呑まなきゃあ生き残れない、同じタイプだ』
『やだな』
『でも事実さ!体育祭で緑谷くんを洗脳した時、どうやって口を開かせたの?』
『どんな奴か知らなかったから、クラスメイトを貶した』
『ふーん。僕らはヒーローになる為に、ヒーローらしかぬ立ち回りをしなきゃならない。
でなきゃ、"何でも出来る"力には敵わない。憧れとは似ても似てつかない。こんな感覚ない?
幼い頃に描いた夢や希望が、段々重荷になっていく。まるで、呪いのように』
「うううううう!!」
物間と対峙していた緑谷。いつものように技を出そうとした時に、右腕から黒い鞭が出現。
唸る緑谷は、必死にそれを押さえようともがく。これは違う。自分の力じゃない。けど、物間は知らない。
「まーた知らない力か、嫌になる!」
(何で!!何でだよ、これ。さっきまで何ともなかったのに!!)
もう、誰にも心配させたくないのに。
「逃げて!!」
緑谷の黒い鞭が、心操が隠れていた場所の壁を破壊する。
「心操くん!!」
叫ぶ物間の声は、届いただろうか。
避けた心操は、もがく緑谷を見て唖然としていた。
「心・・・操くん・・・!逃げて・・・!力が、抑えられない、溢れる・・・!」
暴れる"個性"。制御出来ない"個性"。せっかく自分の力にしようとしてきたところなのに。
何だよ、痛い痛い痛い、何で―!!
「止まれ、止まれ!止まれ、ワン・フォー・オール!!」
涙をためながらも、一人で必死にもがく緑谷の姿。いまにも彼は、黒い鞭にのみこまれそうで・・・。
「デクくん!」
その中に手を伸ばしたのは、麗日だ。