第十七話 先手必勝
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「かっちゃん!おめーやりゃできるのなァ!耳郎かんぜんヒロインだったわ」
そう上鳴が言い。
「ウチ、ヒーローだし」
「不良が子猫拾った感じだよなー」
そう瀬呂が言い。
「ウチ、人間だし」
(響香ちゃんヒロインでも、かわいいかも)
なんて、歌恋は一人こっそりニコニコだ。もとより耳郎は、文化祭でヒロインやってるようなものだし。
そんな四人の前・・・いや、爆豪の前にオールマイトが顔を出す。
「震えたよ!」
「風邪でもひいてんじゃねーの」
(まったく・・・)
オールマイトがせっかく誉めてくれたのに、爆豪も素直ではない。
(そうだ)
『俺は雄英に、恋愛ごっこでも友だち作りでも、悠長な事しにきたんじゃーねえ』
爆豪にそう言われて、人目が気になってしまったけれど。もう、終わりにしよう。
「焦凍!」
「!」
名前を呼ばれ顔を上げれば、歌恋が名前を呼んでくれた。
「歌恋・・・」
「私、勝てたよ!初めて勝てた!」
嬉しそうに声を弾ませて、知らせてくれる。
「ああ、見てた。桜吹雪、あんな風に使えるようになったんだな」
「ホークスに教わって、扱えるようになったんだよ」
それに、貴方のようにと、近くに常に目標があったから。
「・・・俺はダメだな、負けちまった・・・」
落ち込む轟に、歌恋は首を横に振る。
「結果はどうあれ、凄くカッコよかった。一緒のチームじゃなかったのが悔しい、今度またあったら一緒がいいな」
「・・・そう、だな・・・歌恋、俺な。また爆豪の邪魔しちまってねぇかって。何か言われたんだろ?」
不安げに揺れる轟の瞳。普段大人びてる彼が、いまはやけに小さく見える。それだけ、心配させていたんだ。
今日のクラス対抗だけど、初めての勝ちに自信がついた。まだまだ自分は強くなれる。
「・・・うん、爆豪くんに雄英に入ったのは恋愛ごっこでも仲間作りに来たわけじゃないって」
「・・・・・・・・・・」
「それを聞かされた時、私何しに来てるんだろうって考えちゃったんだ。"個性"の優劣が酷くて。
ここなら、"個性"豊かな人がいっぱいいると思って、居場所を見つけられると思って。
たった、それだけの私の動機。爆豪くんに比べたら遊びに来てるように見えちゃうよね。
本気でヒーロー目指してる人からすれば、やっぱり私みたいなのは邪魔なだけ。
でもね、今日勝って自分の力に自信を持てた。何のためにいままで訓練して色んな人に沢山の事を教わったのか。
私も、今度は守りたい。助けられてばかりじゃ、ヒーローなんて失格だ。雄英にいる必要だってないって言われちゃいそう。
いつか何かで、爆豪くんに一発ギャフンと言わせてやるんだから!」
勝ちを得た事で、以前よりもずっと前向きになってる彼女。ここで彼女の意志を否定してはダメだ。
「ギャフンなんて、言うか?」
「もう・・・いいの!あと、ね・・・」
「ん?」
急にモジモジと、顔を下に向ける。
「焦凍の隣に、まだいさせて欲しい・・・」
「っ・・・」
まさかの言葉に、目を見開く。
「一緒に、強くなりたい。私も、守りたい。みんなにからかわれる度に距離あけたくなっちゃうけど、決めた。逃げないって。
私だって、焦凍の不安な顔はみたくないから。笑ってくれる顔が好き」
どうすればいいのか、なんて答えてあげれば正解なのか。
「・・・ありがとう。やっぱ、爆豪は凄いな」
自分に出来なかった事を、彼はとことん成し遂げてしまうのだから。
「んー・・・そうかな?要は、考え方だとおもう。焦凍がいてくれるから、前向きに頑張れるんだよ。
A組の皆が優しいから、私はここにいられたんだよ。(そうでなければたぶん、学校をやめてたかも)」
(・・・俺自身を、頼ってくれる人が、ここにいる・・・)
歌恋の視界に、轟が自身の左手を見てる姿が入る。
「・・・焦凍?」
「左のコントロール、もっと出来るようにならねぇとな。やっぱ、親父に聞くしかねぇか・・・」
「焦凍ならすぐ出来ちゃうよ」
「そうか?」
「うん!」
「歌恋」
「なに?」
「授業が終わったら、なかなか話せなかった俺の兄弟について話しておきたい。
姉さんに、兄さんのこと。隠していたつもりはない。ただ、話す決断がなかった。
歌恋を好きになって、自分で無理矢理願い出た事だったが、俺を見てくれることが嬉しくて」
彼の辛い過去を知っている者ならば、そう言ってくれる事はこちらだって何より嬉しい。
「急に改まった言い方だけど・・・大丈夫?」
「・・・・好きになってくれて、ありがとう」
おかげで、自分の事を好きでいられる。
「さぁ、第5試合スタートだ!」
ブラドキング先生の声に、意識を戻す。A組vsB組の、最終戦だ。
「私もだよ。必要としてくれて嬉しい」
焦凍と二人で、はにかんだ。
そう上鳴が言い。
「ウチ、ヒーローだし」
「不良が子猫拾った感じだよなー」
そう瀬呂が言い。
「ウチ、人間だし」
(響香ちゃんヒロインでも、かわいいかも)
なんて、歌恋は一人こっそりニコニコだ。もとより耳郎は、文化祭でヒロインやってるようなものだし。
そんな四人の前・・・いや、爆豪の前にオールマイトが顔を出す。
「震えたよ!」
「風邪でもひいてんじゃねーの」
(まったく・・・)
オールマイトがせっかく誉めてくれたのに、爆豪も素直ではない。
(そうだ)
『俺は雄英に、恋愛ごっこでも友だち作りでも、悠長な事しにきたんじゃーねえ』
爆豪にそう言われて、人目が気になってしまったけれど。もう、終わりにしよう。
「焦凍!」
「!」
名前を呼ばれ顔を上げれば、歌恋が名前を呼んでくれた。
「歌恋・・・」
「私、勝てたよ!初めて勝てた!」
嬉しそうに声を弾ませて、知らせてくれる。
「ああ、見てた。桜吹雪、あんな風に使えるようになったんだな」
「ホークスに教わって、扱えるようになったんだよ」
それに、貴方のようにと、近くに常に目標があったから。
「・・・俺はダメだな、負けちまった・・・」
落ち込む轟に、歌恋は首を横に振る。
「結果はどうあれ、凄くカッコよかった。一緒のチームじゃなかったのが悔しい、今度またあったら一緒がいいな」
「・・・そう、だな・・・歌恋、俺な。また爆豪の邪魔しちまってねぇかって。何か言われたんだろ?」
不安げに揺れる轟の瞳。普段大人びてる彼が、いまはやけに小さく見える。それだけ、心配させていたんだ。
今日のクラス対抗だけど、初めての勝ちに自信がついた。まだまだ自分は強くなれる。
「・・・うん、爆豪くんに雄英に入ったのは恋愛ごっこでも仲間作りに来たわけじゃないって」
「・・・・・・・・・・」
「それを聞かされた時、私何しに来てるんだろうって考えちゃったんだ。"個性"の優劣が酷くて。
ここなら、"個性"豊かな人がいっぱいいると思って、居場所を見つけられると思って。
たった、それだけの私の動機。爆豪くんに比べたら遊びに来てるように見えちゃうよね。
本気でヒーロー目指してる人からすれば、やっぱり私みたいなのは邪魔なだけ。
でもね、今日勝って自分の力に自信を持てた。何のためにいままで訓練して色んな人に沢山の事を教わったのか。
私も、今度は守りたい。助けられてばかりじゃ、ヒーローなんて失格だ。雄英にいる必要だってないって言われちゃいそう。
いつか何かで、爆豪くんに一発ギャフンと言わせてやるんだから!」
勝ちを得た事で、以前よりもずっと前向きになってる彼女。ここで彼女の意志を否定してはダメだ。
「ギャフンなんて、言うか?」
「もう・・・いいの!あと、ね・・・」
「ん?」
急にモジモジと、顔を下に向ける。
「焦凍の隣に、まだいさせて欲しい・・・」
「っ・・・」
まさかの言葉に、目を見開く。
「一緒に、強くなりたい。私も、守りたい。みんなにからかわれる度に距離あけたくなっちゃうけど、決めた。逃げないって。
私だって、焦凍の不安な顔はみたくないから。笑ってくれる顔が好き」
どうすればいいのか、なんて答えてあげれば正解なのか。
「・・・ありがとう。やっぱ、爆豪は凄いな」
自分に出来なかった事を、彼はとことん成し遂げてしまうのだから。
「んー・・・そうかな?要は、考え方だとおもう。焦凍がいてくれるから、前向きに頑張れるんだよ。
A組の皆が優しいから、私はここにいられたんだよ。(そうでなければたぶん、学校をやめてたかも)」
(・・・俺自身を、頼ってくれる人が、ここにいる・・・)
歌恋の視界に、轟が自身の左手を見てる姿が入る。
「・・・焦凍?」
「左のコントロール、もっと出来るようにならねぇとな。やっぱ、親父に聞くしかねぇか・・・」
「焦凍ならすぐ出来ちゃうよ」
「そうか?」
「うん!」
「歌恋」
「なに?」
「授業が終わったら、なかなか話せなかった俺の兄弟について話しておきたい。
姉さんに、兄さんのこと。隠していたつもりはない。ただ、話す決断がなかった。
歌恋を好きになって、自分で無理矢理願い出た事だったが、俺を見てくれることが嬉しくて」
彼の辛い過去を知っている者ならば、そう言ってくれる事はこちらだって何より嬉しい。
「急に改まった言い方だけど・・・大丈夫?」
「・・・・好きになってくれて、ありがとう」
おかげで、自分の事を好きでいられる。
「さぁ、第5試合スタートだ!」
ブラドキング先生の声に、意識を戻す。A組vsB組の、最終戦だ。
「私もだよ。必要としてくれて嬉しい」
焦凍と二人で、はにかんだ。